933円 講談社


御手洗シリーズや吉敷シリーズではなく、中篇2作のそれぞれ単発作品。

 
最近の島田氏の小説では、久しぶりに読みやすく楽しめた。ただ、収録の一作品が本人が編著した
21世紀本格アンソロジーの作品として、既出だったのでそちらを持ってる人だと、約半分は「あ、これ収録してる本持ってる」と損した気分はちょっと出るかも。


 似たようなテーマの作品はあるが、独自のどんでん返しアリ・聖書へのツッコミあり
(世界初の人類 アダムとイブの息子が放浪先で妻を見つけるが、その妻はどこから現われたのかなど)医療的テーマありで・SF的な気分で読み続けてもしっかりとしたミステリな構成となっており、
舞台が海外モノは苦手な私でも、充分興味深く面白く読めた。


また、最近のこの作者さんのほかの本の感想でも書いた登場人物たちの、テンポ悪い会話(…これはひとえに里美ちゃんの独特な喋り方設定が入ってしまうからというのが大きいんだけど)がなかった点も嬉しい。
最初は何気なく読んでいて、最後にこう来たか!と思わせてくれた作品です。



島田 荘司

エデンの命題 The Proposition of Eden