552円 角川文庫


 誘拐された子供が、野生児として帰ってくる

という設定も突飛だが

さらにその女性が殿様の御寵愛を受けると

いう設定には驚いた。


 視点がちょくちょく変わるので、主人公が誰かと

わかりづらいが、その分一つの物事に関する

色んな見方と言うのを教えられ、かつ心の交流が

伝えられてくる。


 ラストに近づくのに連れて、状況描写ばかりが

続き、物語としての面白みは減って行くが

気持ち良くまとめられてはいる。

 江戸モノの歴史小説と言うより、和風ファンタジーの

気持ちで読めば、気持ち良いかも。

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宇江佐 真理
雷桜