
四人の直木賞作家の書き下ろしアンソロジー。
井上荒野=ピエモンテ州(イタリア)、
江國香織=アレンテージョ地方(ポルトガル)、
角田光代=バスク地方(スペイン)、
森絵都=ブルターニュ地方(フランス)を舞台に描く
「食と愛」の物語。(BOOKNAVIより)
頑な心と心が接触する土地。4人の直木賞作家の「食と愛」の物語。
(Yahoo!ブックスより)
最近、携帯で図書館の予約をしているのですが、とても情報が少なくて、てっきり角田さんの作品かと思い
借りてみたら、4人の作家さんのアンソロジーでした。
塩はともかくとして、私はチーズも豆も大好物なので、もちろんこのタイトルにも惹かれました (*´ー`*)
借りてみたら、4人の作家さんのアンソロジーでした。
塩はともかくとして、私はチーズも豆も大好物なので、もちろんこのタイトルにも惹かれました (*´ー`*)
内容はまったくわからずですが、江國さんが入っているということは、恋愛系なんでしょうか?
角田光代さんは、比較的読んでいる方だと思います。
井上荒野さんは、最近読んだ 「つやのよるに」 を含め、2作品読んでいます。
森絵都さんは、お名前は存じ上げていますが、アンソロジーを含め初めましての作家さんのようです。
角田光代さんは、比較的読んでいる方だと思います。
井上荒野さんは、最近読んだ 「つやのよるに」 を含め、2作品読んでいます。
森絵都さんは、お名前は存じ上げていますが、アンソロジーを含め初めましての作家さんのようです。
4つの作品が収録されています。
各作品のタイトルのページにはモノクロの写真が、各物語の最後には、その話の舞台となった国の地図に
ピンを刺した絵が書かれています。
各作品のタイトルのページにはモノクロの写真が、各物語の最後には、その話の舞台となった国の地図に
ピンを刺した絵が書かれています。
『神さまの庭』 角田光代 著
家族、親戚の集まりは、必ず会員制の集会所で行われ、ホスト役の男性の手作りの美味しい料理が
振る舞われる。 それはどんな話の時でも。
自分の妻が死に近づいているということを知らせる時も、夫は美味しい料理を振る舞う。
食べることが出来なくなった病人の話を、美味しいものを食べながら話し合う、そんな状況がどうしても
許せない娘。
しかし娘は、自立し自分の道を進む決心をした時に、この故郷に戻ってきた。
「……(難民キャンプの炊き出しの仕事に就く前の) 私は、炊き出しなんてカオスだろうと思ってた。みんな我さきに争いながら食べものを得ようとするんだろうと想像していた。でも、ぜんぜんちがった。子どもなんてあたたかい料理ののった食事を渡しても無表情でそれを見ているの。それがおいしいもので、食べるもので、しあわせになれるものだと、わからないの。それがだんだん、日がたつにつれ、顔と目に表情が出てくる。家族で、木の下で、集まって、輪になって、ちいさい子を抱いて、わたしたちの作った料理を食べる」
その光景を、娘は自分の記憶… 集会所での、家族、親戚とのしあわせな笑いに満ちた食卓の記憶と
重ねていく。
私も小さいころ、親戚や両親の知り合いが、週末には必ず集まってくる環境だったので、大人になるまで、
この娘のようにそんな環境を疎ましく思ってました。。。そんなことを懐かしく思い出しながら読みました。
家族、親戚の集まりは、必ず会員制の集会所で行われ、ホスト役の男性の手作りの美味しい料理が
振る舞われる。 それはどんな話の時でも。
自分の妻が死に近づいているということを知らせる時も、夫は美味しい料理を振る舞う。
食べることが出来なくなった病人の話を、美味しいものを食べながら話し合う、そんな状況がどうしても
許せない娘。
しかし娘は、自立し自分の道を進む決心をした時に、この故郷に戻ってきた。
「……(難民キャンプの炊き出しの仕事に就く前の) 私は、炊き出しなんてカオスだろうと思ってた。みんな我さきに争いながら食べものを得ようとするんだろうと想像していた。でも、ぜんぜんちがった。子どもなんてあたたかい料理ののった食事を渡しても無表情でそれを見ているの。それがおいしいもので、食べるもので、しあわせになれるものだと、わからないの。それがだんだん、日がたつにつれ、顔と目に表情が出てくる。家族で、木の下で、集まって、輪になって、ちいさい子を抱いて、わたしたちの作った料理を食べる」
その光景を、娘は自分の記憶… 集会所での、家族、親戚とのしあわせな笑いに満ちた食卓の記憶と
重ねていく。
私も小さいころ、親戚や両親の知り合いが、週末には必ず集まってくる環境だったので、大人になるまで、
この娘のようにそんな環境を疎ましく思ってました。。。そんなことを懐かしく思い出しながら読みました。
『理由』 井上荒野 著
父ほどの年齢の夫をもつ若き妻。 夫は、すでに病室のベッドの上で、何もわからず、肉体だけが衰えていく。
結婚当初から、年の離れた妻の行く末を思って、妻に生活の全てを教え込んでいた夫。
若き妻の心の揺らぎ。
死が近い者の傍にいる時のあの、なんとも言いようのない気持ち。 母との病室での生活が思い出されました。
井上さんの、不思議な感じ… 乾いているような、でもどこか纏わりつくような感じがしました。
私は、川上弘美さん、三浦しをんさんの 「不思議系の作品」 と同じ分類に、井上さんを仲間入りさせました。
父ほどの年齢の夫をもつ若き妻。 夫は、すでに病室のベッドの上で、何もわからず、肉体だけが衰えていく。
結婚当初から、年の離れた妻の行く末を思って、妻に生活の全てを教え込んでいた夫。
若き妻の心の揺らぎ。
死が近い者の傍にいる時のあの、なんとも言いようのない気持ち。 母との病室での生活が思い出されました。
井上さんの、不思議な感じ… 乾いているような、でもどこか纏わりつくような感じがしました。
私は、川上弘美さん、三浦しをんさんの 「不思議系の作品」 と同じ分類に、井上さんを仲間入りさせました。
『ブレノワール』 森絵都 著
女手ひとつで育ててくれた母の真意を知ったのは、母が亡くなってからだった。
結局は、疎ましく思っていた故郷出身の女性と結婚し、自分の父のようになっていく男性。
頑固で堅実な男性が、妻と子供たちと、少しずつ夢をかなえていくというシーンがちょっと長すぎたかな…
森さんの作品は初めてで、どんなタイプなのかもわからなかったし、ミステリ好きの私はどうしても
“妻の裏切り” とか、“子どもに悲しい事件がおこる” とか、何かもうひとつ起こるんじゃじゃないかと
勘ぐってしまいました。
女手ひとつで育ててくれた母の真意を知ったのは、母が亡くなってからだった。
結局は、疎ましく思っていた故郷出身の女性と結婚し、自分の父のようになっていく男性。
頑固で堅実な男性が、妻と子供たちと、少しずつ夢をかなえていくというシーンがちょっと長すぎたかな…
森さんの作品は初めてで、どんなタイプなのかもわからなかったし、ミステリ好きの私はどうしても
“妻の裏切り” とか、“子どもに悲しい事件がおこる” とか、何かもうひとつ起こるんじゃじゃないかと
勘ぐってしまいました。
『アレンテージョ』 江國香織 著
江國さんのイメージは、“大人な恋愛の話” 今回は、男性同士の恋愛です。
とても暑い土地での話と言うことも有り、むせるようななまめかしさがありました。
前の3作品が、 「大切な人との死」 が関係している話のせいか、この作品中に登場する
“八人の老婆が一列になって前方を見つめている” というのが、何か死と関わりがあるのかもと
思っていましたが、最後までどういう理由でそうしているのかは、書かれていませんでした。
この老婆の事もそうだけど、作品全体、江國さんが表現したい事を、私が理解できていないかもしれない。
前にアンソロジーで読んだ江國さんの作品に対する自分の記事を読み返してみたら、「息切れした」 と
書いてありました。
江國さんのイメージは、“大人な恋愛の話” 今回は、男性同士の恋愛です。
とても暑い土地での話と言うことも有り、むせるようななまめかしさがありました。
前の3作品が、 「大切な人との死」 が関係している話のせいか、この作品中に登場する
“八人の老婆が一列になって前方を見つめている” というのが、何か死と関わりがあるのかもと
思っていましたが、最後までどういう理由でそうしているのかは、書かれていませんでした。
この老婆の事もそうだけど、作品全体、江國さんが表現したい事を、私が理解できていないかもしれない。
前にアンソロジーで読んだ江國さんの作品に対する自分の記事を読み返してみたら、「息切れした」 と
書いてありました。
すべて短編とは言えないほどの重さを感じる作品でした。
ところでなぜ、このタイトルなのでしょう? これも私自身が読みとれないだけか… (@_@)
ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ
そして次に読んだのは、道尾秀介さんの 「骸の爪」 です。
