美人すぎるなんとか。ネットやテレビなんかであまりに多く使われた言い回しだから、逆に最近ではあまり見かけなくなったように感じる。

もともと美人すぎるなんとかという、そんなフレーズが流行ったのは、SNSが今ほどに普及する前、SNSが小さな世論として機能していたという背景があったと個人的には考えている。小さな世論を大マスコミが拾い上げ、普及することで、その内容がオーラを纏って独り立ちし、自生し出す。そんな流れが、ある時期確かに成立していた。

けれど、時代は流れ、YouTubeをはじめとする動画系のSNSでも、TwitterからXへと改称された文字系のSNSでも、それぞれが細分化されていった結果として、小さな世論ではなく、泡のような無駄話が絨毯みたいに広がるばかりとなった。あるいは大マスコミに都合よく切り取られ、利用されまいと、YouTuberやTikTokerはそれぞれが独日のブランディングを始めた。

(毎日新聞朝刊 2024年5月22日)

 

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