わたしはね、社会と自分は同じ大きさだと思っているんですよ。だって、わたしが死んじゃったら自分にとっての社会もなくなってしまう。だから、大きな社会があって、その中にちっぽけな自分がいるんじゃなくて、この社会イコール自分だというふうに考えているんですね。だとしたら、こんな社会で生きるのは嫌だ、原発のない社会にしたい、戦争をしない国にしたいと思ったら、自分が動いて変えていくしかないじゃないですか。

 

そのとき大切なのは、「熱」じゃないかと思うんです。脱原発の運動やいくつかの選挙戦を経験してわかったのは、どれだけ熱を持っているかで、伝わり方は全然違ってくるということ。偉い政治家が言うことよりも、普通のお母さんの言葉にふっと胸を打たれたりしますよね。権威とか、肩書きとか、権力とか、武器とか、そんなもので世の中を動かすことはできない。心に伝わるあたたかいものでなければ、原発も戦争もなかなか止められないと思うんですね。一人ひとりが熱を持って行動すれば、きっと社会は変えられます。

(2014年6月18日)

またね。――木内みどりの「発熱中!」

またね。木内みどりの「発熱中!」』

2020年6月 岩波書店発行 

 

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