たいそう素敵な物語を読みました。
挿画:GURIPOPO 装丁:大久保伸子
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リボン (ポプラ文庫)
748円
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こちらは文庫本。画像は単行本です。
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つばさのおくりもの
1,320円
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60ページの薄い本。こちらを先に読みました。
「リボン」とは、オカメインコの名前です。
ひばりという名の少女、命名したおばあちゃんのすみれちゃん。(ひばりはおばあちゃんのことをこう呼びます)。ひばりの視点から、すみれちゃんとふたりで鳥のたまごを還すための奮闘ぶりが丁寧に描かれます。そしてようやく誕生し、「リボン」と命名。ふたりと一羽の蜜月。そして突然の別れ…。
呆然としているうちに、語り手が変わり、はぁ、とため息をついているうちに、また語り手が変わる。
読み進めていくうち、これは同じ「リボン」が出てくるんだよね、そうなんだよね、など、ひとりつぶやきつつ。
呼ばれる名前も変わっていきます。
リボン黄色い鳥(天使)
バナナ
スエヒロ
スー坊
そして、また、リボン。
あの「ひばりさん」が、大人になって、しかも、いまはこんな思いをして。舞台がベルリンに移った展開には驚きました。
あの頃の私は、本当にまだ子どもで、すみれちゃんのことも、世の中のことも、これっぽっちも知らなかった。けれど、私の手のひらでリボンが必死に内側から卵をこじ開けて外に出ようともがいていた頃、ベルリンの人々もまた、ひとつの世界を壊そうと闘っていたのだ。
すみれちゃんの若かりし頃、ベルリンでの出会いと出来事、そして遺言。
ひばりさんが夢の中ですみれちゃんと話したことは、ほんとうにじんわりと胸に沁みてきます。
ベルリンから帰り、そのまま向かった先。そこでの再会。
…これは、これは泣くだろう
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『つばさのおくりもの』では、オカメインコの「ぼく」が自分の半生を語ります。鳥としての生き方を教えてくれたヨウムのおばあさん、ヤエさんが教える人間のこと。ぼくには以前の記憶がありません。
気分がよくなるといつのまにか口ずさんでしまううた。ぼくはヤエさんに、このうたについて語ります。
「たぶんたまごのなかできいていたんだとおもう」
「いつも、きこえていたんだよ。ぼくは眠くて眠くてしかたがなかったんだけど、そのうたがきこえてくると、ふしぎとくつろいだ気分になった。あったかいものにつつまれるような気がして、たまごの外にでるのが待ちどおしかったんだ」
ぼくはその後、いろんな人間に出会います。そしてまた、新しい家族に引き取られるのですが、そこで「あたらしい家族ですよ」とママさんがぼくに見せるようにして、しずかに語ったのが、生まれたばかりのみゆきちゃんでした。
赤ちゃんのみゆきちゃんと会話するぼく。家族にちっちゃな男の子が加わった頃。
「おねがい、ママを助けて」「ママのおっぱいに、こわい悪魔が住んでるんだって」
「こわくないよ、ぼくがそばにいるから、こわくないよ。きっと、ぼくがみゆきちゃんをたすけてあげるから」
ママさんは病院へ、パパさんはぼくのところへ来て泣いている。やがて家に戻ってきたママさんは、ぼくに「オカエリナサイ」といいう言葉を言えるよう、練習をはじめる。みゆきちゃんとは、少しずつ、言葉が通じなくなった。そうして、突然の別れ。みゆきちゃんは言います。
「はやく!」「にげて!」「だいじょうぶ、こわくないから」
長い旅のあと、ぼくは木の「じーじ」と出会い、木がしゃべることに驚きます。
「おまえさんの耳にはきこえていないだけで、木には木の、石には石の、言葉があるのさ」
じーじから「ここは、おまえさんのふるさとじゃ」と聞かされ、ぼくは思い出すのです。自分が呼ばれていた名前を。
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わたしはたまたま『つばさのおくりもの』を先に読みました。どちらが先がいいのか 手に入った順番がいいのかな。もし両方同時に手に取ったとしたら、そのときの気分に任せましょう
どちらにせよ、一度読んだら、もう一度、読みたくなるはずだから。