6月27日-320
武士である金右衛門は、甚三郎が言うように自分が生き延びるのが順当とは思わない。「甚三郎とお秋、そなたたち二人だけは守り抜くへきなのだ」 それこそが武士のあるべき姿。恥を忍び、二人に頼む、というのは「それがしについてきてくれぬか」。お秋は腹を決めている。「あたしも、屋敷の主の言いなりになるのはまっぴらごめんです」。
6月28日-321
出し抜けに、お秋の目から涙。生い立ちが語られる。お店のお客に手を出されお秋を孕んだおっかさん、二人きりのくらしに、お金に困った遊び人の件のお客が舞い戻り、しつこくつきまとう。逃れるため、お秋は八つから外で働きはじめ、おっかさんは「擦り切れるように死んじまった」。「あんな男のせいで、こんな死に方をさせられたんだって、悔しくて悔しくて」。
6月29日-322
遊び人は、今度はお秋の奉公する二葉屋に父親面をして姿を現す。自分でけりをつけよう、おっかさんの仇を討つんだ、と決心。
6月30日-323
「あいつの喉首を掻き切ってやりました」。二葉屋に迷惑をかけちゃいけない、このまま大川に飛び込もう、と走っているとき番屋の人に労わられ、二葉屋に戻る。いつお縄になるか、毎日毎日思っていた。けれど「誰にも知られませんでした」「それでよかったのだ」と金右衛門。「はい。でもあたしは人殺しです」
だが、この屋敷の主のいいようにされる謂われはない。
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