この夏に読んだ戦時中のノンフィクション絵本です。
かわいそうなぞう (おはなしノンフィクション絵本)/金の星社

小学2年生の国語の教科書に載っていたこともある、有名な作品。
けれどわたし自身は教科書で読んだ記憶はなく…
掲載されている教科書ではなかったのか、はたまたまったく忘れているのか
どちらかは不明です。

現在は掲載されていないので、子どもたちには触れる機会が減っているかもしれません。
三男(小3)は「表紙は見たことがある」と言っていました。

いちばんはじめは1951年に発表されたのだそうです。

第二次世界大戦が激化し、動物たちの檻が壊されて
逃げ出したらどうなるか…はてなマーク
ライオン、トラ、ヒョウ、クマ、ダイジャは次々と殺処分されていきます。
そして三頭のゾウ、ジョントンキーワンリーも殺されることになったのです。

頭のいいゾウは、毒入りのエサは食べようとしない。
毒薬を注射しようとしても、注射針が折れてしまう。
結局、餓死させることになります。

その残酷さはもちろんですが
これまで飼育してきた動物園の人たちの苦悩を考えると
なんともいたたまれない気持ちになります…

当時のゾウは芸当をしてお客さんたちを喜ばせていました。
「エサをちょうだい」と痩せ細った体で、力をふりしぼって
後ろ足で立ち上がったり、前足を折り曲げたり、鼻を高く上げてばんざいをしたのだそうです。

噛みくだいた、美しい文章で描かれている悲劇。
ずしんと響きます。

これはぜひ、いまの子どもたちにも読んでほしい…

そしてこちらは…
そして、トンキーもしんだ/国土社

昭和57(1982)年8月に放送されたNHK特集
『そして、トンキーも死んだ─子が父からきく戦争童話─』の絵本版だそうです。

動物を殺せ、という命令の本当の意味が書かれています。
それは人気者のぞうまで殺すことで、この戦争がどんなに大変なことになっているかを、日本中の国民にわからせるため…

見せしめのために、動物たちの命が奪われた…

最後に描かれているこの事実にも考えさせられます。
この命令は昭和18年の夏に出されたとのこと。
実際に東京に爆弾が落とされるようになったのは

 それから……
 一年と二か月もたってからの ことでした。



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