2023/01/03放送

マツコの知らない世界

https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/


'数々の昭和美女を間近で目撃した美のカリスマ'
IKKOさん(以下、IKKO)



マツコ「新年にふさわしい。たぶん日本で3本の指に入るおめでたい。一富士、二鷹、三IKKOっていうね」
IKKO「あけおめ」
マツコ「あけおめ。『あけおめ』もうリハで5回くらい言ってるからね」
IKKO「緊張してるのよ」
マツコ「すごいわよ、もうなんかこのアクリル越しIKKOってすごいわね、もうね。なんかカーテンを開けたら庭に不審者がいたみたいな。…冗談」
IKKO「いい?座って。ありがとうございます。お久しぶりですね、マツコちゃん」
マツコ「番組で共演したのはもう相当前で、どこかでなんかすれ違ったりとかはたまにあるんだけど」
IKKO「私楽屋に行ったのね」
マツコ「衝撃的な楽屋訪問があってね。バッて開けたらもうIKKOさんが泣いてるのよ」
IKKO「大げさよ、泣いてるって」
マツコ「『ねえマツコちゃん、どうしたらいいの』って。『どうしたの?』って言ったら、『どうやったらやせるの?』って。あたしに聞いてどうするのよっていう。びっくりしたわあれ本当に。誰に聞いてるのかしら?と思って」
IKKO「本当にあっという間よ。60になった。61よ」
マツコ「60になっちゃったの?」
IKKO「61よ」
マツコ「ちょうどIKKOさんと10歳違うの。あたしが50。ピー様が70になったのか」
IKKO「70、そう。50、60、70」
マツコ「『50、60、よろこんで』みたいなね」
IKKO「やだわもう。だって気持ちはさ、私まだ20代よ」
マツコ「いやいや、もう本当ね、すぐその気持ち捨てて」
IKKO「どんだけ~」
マツコ「あら出た。シンプルイズベスト。原点回帰ね」
IKKO「だって今日、知ってる?トイレ、始まる前5回くらい行っちゃった。なんか緊張しちゃって」
マツコ「それはただの頻尿じゃないの」
IKKO「違うわよ。まぼろし~」
マツコ「『まぼろし』。また4文字。『ひんにょう~』ってね」


《聖子ちゃんカット・トサカ前髪…時代の映し鏡!アイドルの髪型》


マツコ「IKKOさんは自力で女になろうとしてるのよ」
IKKO「そうよ。だって61年よ、女になろうとして」
マツコ「そうなのよ。なんにも施さずに女に生まれ変わるって信じて61年。筑豊炭田で生まれて」
IKKO「そうよ。本当よ。私なんにもやってないから」
マツコ「なんにもやってないのよ」
IKKO「自然消滅」
マツコ「消滅してませんからね、みなさんね。気のせいですからね、これね」
ナレーション「炭鉱の町で生まれ育ったIKKOさん。幼いころからきらびやかな世界に対する強いあこがれがあったという」
マツコ「やっぱりあの辺ってなんか地場の影響なのかしら」
IKKO「あるある」
マツコ「あるよね」
IKKO「私ね、美輪先生に言われたの。『IKKOちゃんね、IKKOちゃんがこうやってきれいなものを着てきれいなものが大好きっていうのは、やっぱり反動だったのかな?あの時代の』。生まれた場所は大好きだけど、やっぱりもう必死でみんな生きてた。ボタ山っていうのがシンボルの街じゃない?だけど私それで良かったと思う」
マツコ「あたしたち子どものころって、ギリギリまだ日本って貧しかった」
IKKO「そう、貧しかったし、たとえば夏だったら夏に、夏の香りがしてたし、正月だったらお正月の香りがするし、そのときしか食べられないもの、観られないテレビ番組っていうのがあったから、逆に幸せだった」
マツコ「あたしもそうだけどさ、‘枯渇感’みたいなものって大事よね。無いからほしがるじゃない。なんていうのかな、やっぱり昭和のものがキラキラして見えたのって、すごいだからやっぱり、無かったからだと思う。もうだから今日ご紹介していただくのは、IKKOさんのあこがれよね」
IKKO「そうですよ。雲の上の感覚。現実と全く違う。じゃあちょっと見てください、マツコちゃん。昭和美女スターは空想の世界だったんじゃない?っていうことね。それは圧倒的な美しさと徹底した魅力だよね。それで雲の上の存在だからこそ夢があった。なんかこうこの人たちって、なんなんだろうって思うのがやっぱり、女優さん。昭和の女優さん。独特なこの唯一無二の感覚。トイレも行く?この人たち」
マツコ「あと実在しているのかどうかも。近くにいないじゃん、あんな人たち」
IKKO「いつも私たちブラウン管で見てるから」
マツコ「あと今テレビ出てる人っておきれいな人でも、1日東京にいたら近い人はいるじゃない。当時のやっぱり女優さんとか歌手の方とかって、近所で見たことないもん」
IKKO「だからこの違いってなんだったんだろうって思うと、当時はブラウン管のみ。もう東京に行かないと見れない。加賀さんの小悪魔チックなっていう。すごいよね、かわいくって」

(加賀まりこ)
マツコ「あたしはけっこう一番じゃないかなと思う。あの当時の加賀さんのあれをどうやったらあんな」
IKKO「感じになっていくんだろう」
マツコ「どうなったらああなっていくかがわかんないくらいきれい」
IKKO「だけど今はどっちかっていうと、SNSとかいろんなところで情報網が多くなってるから、身近じゃないと逆にダメな時代になってきたのかなと思っちゃうの」
マツコ「あたし今の時代、IKKOさんとかあたしみたいなほうが芸能人っぽいと思うよ。だってこんな人いないじゃない」
IKKO「だからさ、私たちって最後の昭和の感じじゃない?独特な」
マツコ「まあ、昭和の美女スターとはつながってないと思うんですけど」
IKKO「言葉誤っちゃった。だからなんかこう、昭和の感覚っていうのをリアルタイムに目の当たりに見られたことが、すごい財産だった」
マツコ「それはあたし本当に感じる」
IKKO「本当に思うよね、大スターたちの」
マツコ「うん、まあIKKOさんとは10年違うけど、あたしのころってまだそれこそ聖子ちゃんとか明菜ちゃんとかキョンキョンの時代が思春期だから、あれくらいが最後だよね」
IKKO「最後。最後っていうところが私今回のテーマかなと思うの」
マツコ「あら、ようやくテーマ発表?」
IKKO「言っちゃったわ。ちょっと今良かったかしら?それでね、昭和の時代ってさ、テレビの花形は歌番組だったっていう」
マツコ「本当にわかる」
IKKO「毎日歌番組があったじゃない」
マツコ「『夜ヒット』とか」
IKKO「そう。もうずっと観てた」
マツコ「芳村真理さんもすごかった」
IKKO「ファッション。すごかったから」
マツコ「真理さんにみんな見てもらうから、歌手の人も超気合い入れてあれだけは出てたし」
IKKO「それでさ、あれ覚えてる?なんかさ届かなかった時計。時計を広告の切り抜きを付けて出た」
マツコ「あった。でもさ、だからそれでもいいから意地で付けたいのよね。コーディネートがそれがないと」
IKKO「それがかっこいいんだよね」
マツコ「本題!」
IKKO「そうよ、本題。忘れちゃったじゃん」
マツコ「脱線ばっかり」
IKKO「流行歌手のヘアスタイルが、この景気だったり、いろんな社会の情勢を映していたような気がするの」
ナレーション「ヘアメイクに転身する前は美容師だったIKKOさんが、昭和の流行歌手のヘアスタイルのトレンドを解説」
IKKO「始まりは60年代後半ぐらいから70年代っていうのがつながっているような気がするの」
マツコ「弘田三枝子さんの『人形の家』とか」
IKKO「そう。『人形の家』」
ナレーション「累計100万枚を超える大ヒットを記録した『人形の家』」
IKKO「本当にフランス人形のようになって」
マツコ「TBSでカラーにしてくれたのかわからないけど、カラーなのよ。レコ大が」
IKKO「かわいいの」
マツコ「本当にきれいよ」
IKKO「本当にかわいい。それで肌も陶器のようで。もうあのラインの入れ方がもう本当に」
マツコ「あれ地毛?」
IKKO「地毛とカツラ」
マツコ「あれはだからビヨンセみたいな感じよね。両方ミックスさせてるんだよね」
IKKO「今でいうビヨンセみたいな感じよ」
マツコ「すごい髪なのよ。だから本当に、本当にお人形みたいな」
IKKO「サイドだけ上げて、上からもうちょっとまた盛って」
マツコ「すごいよね」
IKKO「弘田三枝子さんのあの『人形の歌』って、なんか歌いたくならない?」
マツコ「わかるあれ。なかにし礼さんの歌詞すごい」
IKKO「『人形のように捨てられていって』。すごいわよ。それでさ私、今でも覚えてるもん。スキーに行ったときに、なにあれ、リフトっていうの?リフトに乗ってて、後輩といっしょに乗ってて『なんか歌って』って言われて『人形の家』歌いながら泣いちゃって。なんか陶酔しちゃってさ」
マツコ「IKKOさんちょっとね、精神バランスがおかしいからね。スキーのリフトの上で『人形の家』歌って泣くってね」
IKKO「こう上に上げて、真ん中分けで前髪おろして、キュッと上げてこの辺こうやったりとか。大人びたこういう感じのセットにしたりとかして。だからまあ‘目指せ大人な女’っていうところで、青江三奈さん」
マツコ「青江三奈さん、でもちょっとIKKOさん近いと思う」
IKKO「あのマリリン・モンローの感覚がちょっとこう取り入れて。当時そんなヘアカラーっていっても、栗毛色くらいだったのが、ちょっとブリーチ系になって。それでこうウワッと巻いて、マリリン・モンローみたいにする。あれが流行って、田舎でも。ああいう感じにしてほしいっていう人はけっこういたのよ」
マツコ「ほとんどの人が黒髪だったわけじゃない?」
IKKO「黒髪だった中で、だからちょっとね。今で言う『オーマイガー』」
マツコ「今『オーマイガー』っていう人あんまりいないけど」
IKKO「やばっ」

ナレーション「というわけで、秘蔵映像で振り返る、70年代女性歌手のヘアスタイルの変遷」
♪ブルーライト・ヨコハマ/いしだあゆみ
マツコ「あら、かわいい」
IKKO「かわいいよね。やっぱりメイクが独特」
マツコ「かわいい。今またああいうブラウス流行ってるもんね。こう大きなやつでね」
IKKO「かわいい。それでアクセサリーとかもなんかこう、いやらしくなく良い感じに見えるよね。これが品格って感じ」
マツコ「たぶん手作りなものとかほとんどだっただろうけど、いわゆる高級ブランドのデカいやつとかと違う」
IKKO「味があるんだよね。それでその人に似合うようにだから、作られているからいいのよね」
マツコ「一点物だしね」
♪経験/辺見マリ
IKKO「辺見マリさん。たださ、辺見さんの当時あんまりわからなかったけど、このメイクってやっぱり全盛で。ちょっとこれがもうちょっと大きくなった感じが、弘田三枝子さんがちょっと元祖よね。そう、このメイク。まぶたのところをちょっとホリを出して」
マツコ「宝塚よね」
IKKO「そう、宝塚。だけどかわいいんだよね。それでやっぱりちょっとこうルージュがちょっとヌーディな感じで」
♪喝采/ちあきなおみ
IKKO「あ、ちあきさん」
マツコ「もう大好き」
IKKO「伝説の。私たちリアルタイムで。まばたきしないのよ」
マツコ「そう。ワンコーラス歌いきるまでまばたきしないのよ」
IKKO「あれ本当にしなかったと思う?」
マツコ「でも映ってるからしてないんじゃない?」
IKKO「私ちょっと画面が移り変わるときにちゃんと計算してここでやってたのかなって」
マツコ「バックショットのときとか」
IKKO「なんかちょっとドラマチックだったよね。上手でさ、なんかこう映像が浮かぶよね」
マツコ「なんだろう、またそのきらびやかとは違う」
IKKO「違うんだけど、うん、わかる」
マツコ「ちょっとこう暗い感じの」
IKKO「それがまた粋でいいのよね」
♪みずいろの手紙/あべ静江
IKKO「あべ静江さん。この近所のお姉さんがって感覚の。きれいよね。クロード・チアリさん」
マツコ「今またああいうの流行ってるね」
IKKO「髪型とかメイクもそうだし、歌もそうだけど、やっぱり30年くらいすると、40年すると、また新鮮に映るから。私が令和の女の子だったら、こういうところがお姉さんかわいいな、私なりにこういうふうにアレンジするといいだろうなと思う」
♪魅せられて/ジュディ・オング
IKKO「ジュディ・オングさん!ジュディ・オングさんってさ、編み込みを流行らせたじゃない?いろんな編み込みしてたよね」
マツコ「ちょっとだからなんていうのかな、コスプレに近いような、レイア姫みたいなさ」
IKKO「なんかすごかったよね。きれいだったよね」
マツコ「きれいだわ」
♪舟唄/八代亜紀
IKKO「八代亜紀さん。私さ、あれ見てたよ」
マツコ「きれいよ」
IKKO「もうメイクも独特で、全然濃くないのよ。だけどホリが深いから」
マツコ「いやー、きれい。でもこれじゃないんだよね。もっときれいな」
IKKO「もっとこういう感じなの。なんかこの声が独特で。もう『舟唄』は亜紀さんしか歌えないし」
ナレーション「このように、ボリュームのある大きな髪の毛にロングドレス姿が70年代女性歌手の主流でしたが、パンツスタイルで個性を出す人も」
♪どうにもとまらない」/山本リンダ
IKKO「わあ、リンダさん。この踊り。腰と手が動くんだよね」
マツコ「あと後頭部のラインいいよね。ああいう膨らませてあるやつね」
IKKO「これが重要だよね。それでさ、乱れるとかっこよくない?スッと振ったときに、すごいすてきよね」
マツコ「今見るともう当時のほうが進んでたんじゃないかっていうさ」
IKKO「進んでいたわよね。RUMIKOさんっていう人が、ヘアメイクのね、アーティストのRUMIKOはこうやって言ってたんだけど、『まだつけまつげが無い頃、あんたどうしたか知ってる?私たち毛を切ってつけまつげを作っていた』」
マツコ「RUMIKOさんってRMKのRUMIKOさんよね」
IKKO「それでファンデーションも今みたいにきれいなものは無かったわけだから」
マツコ「当時ってだからあれだよね。たぶんあの水で、パフで、お粉で塗ってたファンデ時代よね」
IKKO「そうよ。パンケーキよ。やっぱり夏に水に強い、汗に強いのって、当時はパンケーキしかなかった」
マツコ「前田美波里さんがね」
IKKO「そう。なんかかっこよかった。ジューって」
マツコ「ジューってね。スポンジジュー」
IKKO「水泳帽みたいなのかぶってさ」
マツコ「そうそう」
IKKO「コーセーよ」
マツコ「資生堂よ」
IKKO「資生堂か。資生堂?本当に水泳帽かぶってたの」
マツコ「資生堂だと思う。やっぱり資生堂が」
IKKO「すごい圧倒的」
マツコ「圧倒的よね」
IKKO「すごかった。ポスターもすごいし」
マツコ「山口小夜子さんが出てたぐらいまでかな」
IKKO「すごいよ小夜子さん」
マツコ「すごかったの。本当にもう小夜子さんは」
IKKO「本当にきれいだった。『この人、え、本当?』っていうぐらいの」
マツコ「いるのかなこの人?って感じよね」
IKKO「いるのかな?幻想的な。それとセルジュ・ルタンスのINOUIだったりとか。あのINOUIは」
マツコ「IKKOさん、IKKOさん」
IKKO「また?またちょっとやだわ」
マツコ「またよ」
IKKO「足りないんじゃない?」
マツコ「まだ70年代だから」
IKKO「まだ肝心な80年代もいってないわよ」

ナレーション「大人の恋の世界を歌う女性流行歌手の他に、70年代に生まれたもう一つの潮流が、アイドルの存在。『8時だヨ!全員集合』などのバラエティ番組に出演することで、アイドルはたちまちお茶の間の人気者に。そして70年代後半になると、『ザ・ベストテン』などの歌番組が増加。テレビで毎日のように放送される歌番組にアイドル歌手が出演することで、一般の女の子がアイドルの髪型をマネするように。中でも一世を風靡した3組の髪型を、このあとIKKOさんが解説します」
IKKO「アイドルの髪型っていうのでいうと、3つあったような気がするのよ。1つは麻丘めぐみさんの姫カット」
マツコ「ここパツンいってるやつね」
IKKO「パツンと切ってさ」
♪わたしの彼は左きき/麻丘めぐみ
ナレーション「両サイドの髪の一部を耳の下あたりで切りそろえるのが特徴」
マツコ「あれちょっと前さ、K-POPの子とかやってたよね」
IKKO「そう。ときどき。ちょっとね、かわいくない?ここにこれがあるだけで、なんか顔が中心にギュッと寄っていって。そしたらその姫カットが、今スーパーモデルたちもやってたりとかするじゃない。今の姫カットって、昔みたいと違う」
マツコ「ちょっと違うね」
IKKO「だから後ろの部分はウワッとウェービーな感じにするとか。これがやっぱりアレンジだよね。それで高田みづえさんのグラデーションカット。もうさ、デビューのときもかわいかったけど」
マツコ「まだ鹿児島から出てきたばっかりのお嬢さんって感じよね」
IKKO「なんかいい感じだったんだけど、だけどあるとき気がついたら一気に大人の女性になった。それがグラデーションカット。『私はピアノ』」
♪私はピアノ/高田みづえ
ナレーション「桑田佳祐が作った『私はピアノ』が大ヒット。このときの髪型がグラデーションカット」
IKKO「だから本当にもう一大ブームだったの。この髪型も」
マツコ「みんなある程度年齢いった人とかも含めて、みんなマネしてたもんね」
IKKO「マネしてた、これは。本当にピーク・ア・ブーの川島さんのこのヴィダルサスーンのカットがないとできないのよね」
マツコ「あれだからみんなマネするんだけど、できないのよね。ちゃんとカットしてからじゃないとね、流れないのよね」
IKKO「グラデーションカットってさ、当時このグラデーションカットをビューティ・ペアのジャッキー佐藤さんの独自の路線で、ちょっとひっくり返す。最初はグラデーションだったのよ」
マツコ「飛ぶわね本当に」
IKKO「なんか一気にみんながマネし始めたの、ひっくり返すのを。ひっくり返す量が多くなってきちゃって、くるくるドライヤーでさ。それでみんなくるくるくるくる」
マツコ「もうなんかこの辺一周してたもんね」
IKKO「一周しちゃって、この辺まできてさ。両脇からグーっときちゃってさ。そうよ、マッハ文朱さんは、私ね、強い女が好きだったのよ。自分が弱いから。それでマッハさんの前の、実はジャンボ宮本と。ジャンボ宮本、赤城マリ子。赤城マリ子、もうなんか女子のプロレスってアクロバットのように技が軽快ですごいなっていうのに見ほれちゃって。それが今度はマッハが入ってきたときに、『♪好きで選んだ道だから』ってあったじゃない、あの歌。あれをリングで歌ってくれるのよ」
マツコ「だからクラッシュとかさ、ビューティ・ペアの前の、いわゆるアイドルレスラーみたいな感じよね」
IKKO「女子プロだよね。草分け的存在が。マッハさんで、それからビューティ・ペアになって、クラッシュになっていって。私ビューティ・ペアまで大好きだった」
マツコ「そのあとはもう見てなかったの?」
IKKO「見てた。見てたけど」
マツコ「90年代まで見てたわよ。だからあれよ。ブルとか北斗とかアジャとか神取とか」
IKKO「アジャだけど良い人なんだよね」
マツコ「みんな良い人よだいたい」
IKKO「そう、みんな良い人なんだけど。かわいいところあるんだよね、アジャさん」
マツコ「えーとね、ごめんなさい。脱線しすぎ」
IKKO「脱線しちゃった。ちょっともう脱線だらけね」
マツコ「脱線だらけよ。脱線9割5分」

ナレーション「その後、80年代はアイドル全盛期。きら星のようにアイドルが誕生する中で、その髪型が社会現象になった人物が」
IKKO「あれよ。聖子ちゃんカット」
マツコ「出た」
IKKO「出た。80年代」
マツコ「ディメンションね」
IKKO「そう。ディメンション・ヘアーティメンション」
マツコ「ファラ・フォーセットの日本風アレンジだよね」
IKKO「それがちょっと短くなった感じで。70年代の途中からくるくるドライヤーがあって、あの髪型をやるにはくるくる使えばわりと簡単にできる。ちょっとこう朝、おしゃれな子たちは」
マツコ「男の子もみんなパーマかけて。それをブローでのばして、トシちゃんとかマッチみたいなさ」
IKKO「トシちゃん、マッチ。独特だった。そうよ」
マツコ「風にしたいんだけど、時間がなくなっちゃっておばさんパーマのまま。だいたいみんなおばさんパーマがチャリンコに乗ってこうやって」
IKKO「パーマがしっかりかかってるから。毛先までかかっちゃってるから。聖子ちゃんカットっていうのは、もう時代で、右ならえっていう感じで。もうあの髪型をやっていれば。だからこの髪型って、ちょっとトップが短くて、三角形になるじゃない?そうするとこの三角形のこれがだいたいほぼみんな似合うんだよね」
マツコ「日本人に似合うように」
IKKO「アジア人に似合うの」
マツコ「ちょっと言い方ね、ごめんなさいね。ちょっとおへちゃな、当時の女子高生とかでもかわいく見えるのよ」
IKKO「誰がやってもまちがいがないっていう。2年、3年、4年くらい続いたよね。もっともっと続いた」
マツコ「82年が明菜とかキョンキョンだけど、みんなあの髪型でデビューしてる」
IKKO「みんな同じ頭。長さが違うだけで」
ナレーション「82年デビュー組の髪型を見ると、デビュー直後の伊代ちゃんも聖子ちゃんカット。デビュー2年目の早見優ちゃんも、ご覧のように聖子ちゃんカット」
IKKO「明菜ちゃんもほぼそうで、それがだんだん個性的になって」
マツコ「明菜はもう途中からとんでもないことになってきたからね、本当。まあキョンキョンもとんでもなくなったけどね。キョンキョンは本当おしゃれだったもんね」
IKKO「おしゃれだった。途中ショートカットにして、独自の路線で小泉今日子っていう人と」
マツコ「この2人はだからやっぱりあれだろうな。聖子という存在があって、それと違う道を歩まなければいけない」
IKKO「その独自の路線を」
マツコ「あの中で模索して、みんな化け物みたいになってったっていうね」
IKKO「自分らしさが出ていったんだよね。だから見事に私美容師やってたでしょ、当時。明菜ちゃんは聖子ちゃんカットがアレンジされて、どんどんまとめ髪の崩れた感じのアンニュイな感じ」
マツコ「それこそだからさ、加賀さんとかさ、ベベのアップに近い感じの」
IKKO「そうそう。あっち系になったよね」
マツコ「こうブワってアップにして、ちょっとおくれ毛出してみたいな」
IKKO「歌う曲とマッチしてたよね」
マツコ「ちょうど『サザン・ウインド』とかさ、あのへんのころよね、あのアップはね」
IKKO「だけどそればっかりにならないからね。もうボブにしたりとか」
マツコ「とんでもなかったわ、本当に」
IKKO「いろいろだった。カツラかぶってね」
マツコ「明菜とキョンキョンは本当に異常なぐらいファッションがすばらしかった」
IKKO「楽しませてくれた。独自の路線でね」
♪北ウイング/中森明菜
ナレーション「80年代中盤から、アイドルの髪型にも個性が。曲に合わせた世界観で毎回ガラッと髪型を変えた中森明菜や」
マツコ「あんな目をするのね」
IKKO「やっぱりこれやられちゃうと、男の子たちってやっぱりこうわしづかみね」
マツコ「おかまだっておかしくなってた」
♪ダンシング・ヒーロー/荻野目洋子
マツコ「これはなかなか似合う人いない」」
IKKO「このステップがこの頃すごい画期的だったよね」
マツコ「大好きだった」
IKKO「ショートね。このころキョンキョンもちょっとショートでね」
マツコ「キョンキョンあれ勝手に切ったんだって」
IKKO「そうなの?」
マツコ「すごいよね、本当に。全然衣装が合わなくなっちゃって、慌ててだから当日買って合わせたって言ってた」
♪はいからさんが通る/南野陽子
IKKO「あ、南野ちゃん。かわいいよね」
ナレーション「バブル全盛期の80年代後半になると、髪の毛にリボンをつけるなど、装飾品が目立つように」
♪MUGO・ん…色っぽい/工藤静香
IKKO「これは前髪が、浅野ゆう子さんたちがクジャクの前髪をし始めて、それで篠ひろ子さんが裾を巻いて」
マツコ「金妻」
IKKO「そうそう、ちょっとこういう感じだったよね、アップもね、おくれ毛出してさ」
マツコ「まあでもこれ普通の人できないよね、こんなの」
IKKO「だからおくれ毛が、元祖おくれ毛っていうのがこのあたりからだよね」
マツコ「これだから、これのやっぱり前って」
IKKO「前が聖子ちゃん。聖子ちゃんがあの頭でおくれ毛をこの辺にピピピって」
マツコ「やっぱり加賀さんにつながるわよね」
IKKO「つながるのよ。だから自分風におくれ毛も内巻き風にしてっていう感じが聖子ちゃんだったよね」
マツコ「だからそれでもう一回今から来そうってことよね」
IKKO「だからやっぱり時代って繰り返して刺さったものが新鮮に映る。映ったものっていうのはやっぱり刺さるから。やっぱりアレンジされて繰り返していくっていうね。グラデーションカットして流す部分もちょっとレイヤーを少し」
マツコ「レイヤー入れるのがね。レイヤーがだから入れりゃあいいってもんじゃないからね」
IKKO「そうなのよ」
マツコ「流れないのよね、下手な人が入れると」
IKKO「さすが。もうさ、私いくら怒られたか。自分ではちゃんとやってるつもりでも、先輩たちで違うんだよね、流し方が。入らないわあなたって。それで全部水かけられてやり直されちゃって。イヤだわ、またやり直されちゃって」
マツコ「エピソードが暴力的よね」
IKKO「水かけられちゃって。スプレーでさ。ビチョビチョに」
マツコ「あれ難しいのよ、本当に」
IKKO「難しいのよね」
マツコ「当然そりゃあみんなおばさんパーマでチャリ乗ってたよね。あんなもん朝できないよね」
IKKO「だからさ、あのレイヤーカットがハイレイヤーになったときに、ニュートラハマトラ」
マツコ「もうだからこういうやつね、こういうやつ」
IKKO「『JJ』。賀来さん」
マツコ「ストレートでここだけブワッてなってるのよね」
IKKO「表紙やってたからね」
マツコ「あれは本当に難しかったろうね」
IKKO「難しかった。こんなことして切らなきゃいけないから、本当に難しい。これで切るのよ」


《圧倒的な美しさ&存在感!銀幕を彩った女優たち》


ナレーション「昭和の映画・ドラマ界を華やかに彩った、存在感あふれるトップ女優たち」
IKKO「私昭和の女優さんたちを18人。もっともっとたくさんいらっしゃるんですよ」
マツコ「IKKOさんセレクトね」
IKKO「18人の方をこういうふうに出させていただいたんですけど。八千草薫さん、浅丘ルリ子さん、吉永小百合さんっているじゃないですか。このへんって、第一期の60年代から70年代頭ぐらいって、女優さんたちがどっちかっていうとメインの俳優さん、男の人の恋人役として起用されることが多くって。ちょっとこうかわいい感じだったりっていう。私は岩下志麻さん、十朱幸代さん、三田佳子さんっていうと、私の時代の三大女優だと思っているのね」
ナレーション「IKKOさんが特に好きなシーンがこちら。まずは『極道の妻たち』の岩下志麻。続いて映画『櫂』。夫の浮気に耐えかね実家に戻った主人公・喜和を、草笛光子が演じる料亭の女将が説得に来るシーン。そして『Wの悲劇』より薬師丸ひろ子と三田佳子、伝説のやり取り」
IKKO「それでまあワーッときて、加賀まりこさんがファッションリーダーでいたりとか、大原麗子さんがいたりとか」
ナレーション「昭和後期になると、映画のみならずテレビドラマでもトップ女優が次々と主演を務めるように。さらに80年代後半には、後藤久美子や宮沢りえといった新世代の美少女が登場。さらに80年代はさまざまなCMにも女優が進出。というわけで、令和の10代・20代の若者200人に聞きました。昭和美女CMの中で、特に衝撃的なものはどれですか?その上位7つを発表。まず第7位。麻生祐未、カネボウ化粧品。第6位。南野陽子、フジカラー。第5位。深津絵里、JR東海。第4位。大原麗子、サントリーレッド。第3位。斉藤由貴、明星チャルメラ。第2位。後藤久美子、宮沢りえ、キットカット。第1位。宮沢りえ、三井のリハウス」
IKKO「このとき何歳なんだろう実はって思うと、10代でこんなに、今で言う30代くらいの感じに見えていく大人っぽさ」
マツコ「あたしのまだ中学とか高校ぐらいまでは、みんなやっぱりある程度19から20歳くらいになると、本当に大人になってた」
IKKO「そうなの。それを目指してたし、なんか早く大人になりたいっていう感じだったじゃない。そんなところでですね、池上季実子さん、夏目雅子さんとか、このへんの池上さんとか夏目さんとかになってくると、80年代宮尾登美子文学。宮尾文学っていう」
マツコ「だから五社さんね」
IKKO「五社監督の世界観って、ずいぶん女優さんのあり方が変わったひとつのような気がしたんですよ。もう私全部好きで。まず夏目雅子さん、1982年。『なめたらいかんぜよ』っていう。あれね」
マツコ「あれだけ見てると、夏目さんの役って、お父さんのとこに養子で入るんだけど。いわゆるヤクザの家に入るのよ。ああいうキャラの人なんだろうかって思っちゃうんだけど、あの部分だけなのよね」
ナレーション「鬼龍院家の抗争に巻き込まれ、愛する男性が死亡。その葬儀で」
IKKO「清純派の夏目雅子さんが一気に『なめたらいかんぜよ』っていうので、『鬼政の娘じゃけん』っていうので、『えっ?』っていうぐらい、『えっ、何が起きたんだろう』っていうところで、注目浴びていったひとつよね」
マツコ「いやもう五社さんのは全部あたしBlue-rayそろえてるもん」
IKKO「なんかいいよね。私たちの魂よね。私もほしい。入れてくれる?いっしょに」
マツコ「いいわよ。なんの会も無いけど」
IKKO「1982年っていうと私上京してたの。81年に上京してたから、本当に住み込みで一番苦しいとき。怒られてばっかりのときになんかこう魂の耐えることとか、いろんな悲しみを乗り越えていく魂。この映画を見て」
マツコ「五社さんの作品って、絶対女性が主人公で、しかもなんかすごい波乱万丈な人生を。『肉体の門』とか『吉原炎上』とかもそうだけど」
ナレーション「『吉原炎上』は、吉原遊郭に生きる花魁5人の悲喜を描いた映画で、熱烈なファンも多い作品」
IKKO「私本当になにかみんなで『吉原炎上』やりたかった」
マツコ「勝手にやるんだったらみんな許してくれると思うんですけど。それを映画化ってなるとね。誰?誰の役をやりたいの?」
IKKO「仁支川峰子さん」
マツコ「わあ。みんなそれほしがるわよ。みんなそこ狙いじゃない。全員峰子になっちゃう。全員布団部屋でのたうち回ることになるからね」
IKKO「それか、あと藤真利子さん」
マツコ「ああ、よかったね」
IKKO「そう、よかった。『見せもんじゃねえんだよ』っていう」
マツコ「あとあれもいいんだよね。かたせ梨乃さん。最後落ちぶれてってさ、燃えてる吉原を『燃えちまえ』って言って」
IKKO「そうよ。吉原炎上。本当にあの燃えるシーンがすごかった。それとあと『陽暉楼』」
マツコ「いやあのね、『陽暉楼』はねキャッチコピーがいいのよね、『陽暉楼』って。『女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥』っていうね。すごいわ」
IKKO「すごいわ。ここすごかったよね」
マツコ「止まらないわね本当」
IKKO「この音楽。私このシーン大好きだった。きれいねと思った。池上さんきれいじゃない。なんかこう振り向くところとか、やっぱり全て計算されているんだろうなとかって思うよね。私このころもう『陽暉楼』ずっと観てた」
ナレーション「主人公の芸妓・桃若を演じるのは、当時24歳の池上季実子。そして桃若をライバル視する珠子を演じるのは、浅野温子」
IKKO「このセリフすごいよね。私さ、ここのたたずんでいる、もうこのたたずまいがなんか本当にすごいなと思っちゃった。なんかすごいわ。池上様って感じ。本当きれいだよね。羽織がつぼんでいってるところとか、なんかすごい。なんかすてき。首も長いし」
マツコ「ここ良いシーンよね」
IKKO「だってここも池上さんの空想の世界じゃない?時代的に。浅野温子さんもかわいいわね。なんかこう迫力あるよね、この人も。度胸がいいなと思う、浅野さんは」
マツコ「なんだろうな、池上さんってなんかちょっと、なんていうのかな。ハイカラな感じなのよね。顔つきがなんかちょっと、帰国子女顔というかさ」
IKKO「そうだよね。もうすごいすてきだよね」
マツコ「本当すてき。トイレの取っ組み合いのシーンね」
IKKO「取っ組み合いよ。私あれ本当か嘘かわからないんだけど、会わせなかったって言っていた」
マツコ「本当にケンカしてると思う。あれは」
IKKO「すごい迫力だったよね」
マツコ「ねえねえ。これ普通に家で話しているみたいになってるわ」
IKKO「そのくらいさちょっと思い入れが強い私」

マツコ「なんかザワザワし始めた」
IKKO「なに?ザワザワって。また早く終われって言ってるの?」
番組スタッフ「実はですね、今日スペシャルゲストの方が来てくれていまして。お呼びしてもよろしいですか?」
IKKO「誰?誰?」
番組スタッフ「じゃあお願いします」
IKKO「あー!いやー!ちょっと興奮して。ちょっと」
マツコ「ありがとうございます」
IKKO「池上さん!」
池上さん「ご無沙汰しております」
IKKO「いやー、うれしい。マツコちゃん」
池上さん「はじめましてですね」
マツコ「はじめましてですよね」
池上さん「はい。はじめまして」
マツコ「ねえなに、このおぐし。きれい」
池上さん「『陽暉楼』の頭とはえらい違いなんです」
マツコ「いやいやこれもすてきよね」
IKKO「ねえ、きれいだよね」
池上さん「がっかりさせちゃうんじゃないかと思って、お話いただいたとき迷ったんです」
ナレーション「女優・池上季実子。『おんな太閤記』淀殿役や、『陽暉楼』の桃若役など、話題作に次々と出演。さらに86年には大ヒットドラマ『男女7人夏物語』に出演。持ち前の美貌と表現力で、これまで出演した作品はなんと220作以上。主役も脇役もできる貴重な存在として、デビュー49年目を迎えた現在も活躍中」
池上さん「ちょっと昨日まで舞台やってたので、声がガラガラで」
マツコ「すてき」
IKKO「ねえ、すてき」
池上さん「いえいえ、もう本当に大丈夫?当たってないんじゃないの?女優ライトが」
マツコ「今モニターで確認できるかぎり、相当当たってますね」
池上さん「そうですか。私的にはもうちょっと」
IKKO「だけどうれしいです。ねえ、マツコちゃん」
マツコ「本当よ」
池上さん「え、気づいてらっしゃらなかったんですか?」
IKKO「私たちわからないわよね?」
マツコ「あたしは知ってたの」
IKKO「あらヤダわ、ちょっと」
マツコ「だからもうIKKOさんがずっとしゃべってるから、『早く終わらないかな、この女』と思った。池上さん待ってるんだから早く終わりにしろよと思ってたのよ」
IKKO「こっちが早く終われって言われた」
マツコ「あたしはイライラしてたのよ。今日IKKOさんがたまたま紹介しましたけど」
池上さん「『陽暉楼』好きな方、たくさんいてくださって」
マツコ「めちゃくちゃ多いですよ」
池上さん「新宿の某場所のお店行くと必ずどこのお店にも」
マツコ「新宿の某場所はもう各店舗に五社作品全巻そろってる」
池上さん「置いてある。私もびっくりしました。見せられたことありました」
ナレーション「マツコもIKKOも度肝を抜かれた、人気女優同士伝説のケンカシーンがこちら」
IKKO「このスピードもいいよね。ケンカもどっちかというと、品とかそういうものの争いみたいな感じで。すごくリアルでおもしろい。おもしろいって言っちゃいけないんだけど」
池上さん「こんなケンカしたことあります?」
マツコ「ないですよ」
IKKO「ここまでないよね」
マツコ「すごいよね」
池上さん「また本気で引っ張るんですよ、髪の毛。痛いんですよね、あれ」
IKKO「私ちょっと聞いていい?」
マツコ「いい。だってダメって言っても聞くでしょ?」
IKKO「ドキドキしちゃうんだけど。私うわさでね、絶対浅野温子さんと池上さんは会わせないようにされていたっていうのは本当なんですか?乱闘シーンのときは」
池上さん「そうだったみたいですね、あとから聞いたら」
IKKO「そういう雰囲気ではなくって、ただ会わなかった?」
池上さん「はい。ただ温子さんは全然私に挨拶はしなかったですね。フンっていう感じで」
マツコ「やっぱり作っていたんじゃない?」
池上さん「彼女は作ってた」
IKKO「入り込んでいるから」
池上さん「私はそのときは挨拶して、芝居のときだけそれをやればいいと思ってるんですけど、彼女はそういうタイプじゃなかったみたいで」
IKKO「すごい。それであの乱闘シーンってどのくらいの時間かけて撮ったんですかね?」
池上さん「あれは衣装つけて、午前中全部テストだった」
IKKO「テストで1回やるんですか?」
池上さん「ワンカットで全部ワンキャメでいくので。レール敷いてこのときには温子の顔がこっち来て、私はこっちから抜けるようにとか。っていう指導がもう決まってて、それがあって、それを何回かやってから本番。でないと最後カツラを取って」
IKKO「バッと取れますもんね」
池上さん「せっかくそれやっても顔が映らなかったら意味がないので。ぜんぶそれまでの段取りをやって」
IKKO「張り手でバンってやるじゃないですか。あれ本当に叩いてるんですか?」
池上「叩いているんですよ」
IKKO「うわっ」
マツコ「どうしたの?本当に」
IKKO「いや、ミスっちゃったら10回叩かれなきゃいけないじゃない」
池上さん「だから手のあとついちゃうんですよ」
マツコ「でも五社さんのやつはなんか演技とかじゃないと思う。濡れ場とかもそうだけど、すごいやっぱりあの生々しさが」
IKKO「そうだよね。だからあの迫力が」
池上さん「でも濡れ場は演技ですよ」
マツコ「本気ってことにしておいてください」
池上さん「あー、ごめんなさい。気がつかなくて。バラエティ慣れしてないから。ごめんなさい」
IKKO「私女優さんたちってすごいなと思うのはさ、私だったら役柄とはいえあそこまでやられちゃったら、本当にマジで頭にきてマジにケンカになっちゃうかなって思うくらい。演技なんだか、なんだか自分がわからなく」
マツコ「でも当時の女優さんって、なんですごかったのかなと思うと、役柄だけじゃなくて本当に女として、どっちがすごいか?っていうさ。それをやっぱり女優さん同士で、みんな私が一番だって思いながらやっているじゃない。それが役柄を通して本当に意地の張り合いだったりっていうのが背景にあるから、なんて言うのかな、本当にケンカしているように見えるんだと思う」
IKKO「ああ、そうね。なんか女優ってそういういことだよね」
マツコ「そういうことですよ。理屈じゃない圧倒的なもの」
IKKO「そうだよね。私たちと違うから」
マツコ「そりゃそうですよ。なにを言ってるんですか。そんなの前提として話している。同じ土俵に上がってこないで。なにを言ってるんですかあなたは」


~完~