2022/12/06放送
マツコの知らない世界
https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/
'3人合わせて1万5000枚以上のレコードを集めたDJ3兄弟'
サントラブラザーズ
鶴谷聡平さん(以下、鶴谷)
山崎真央さん(以下、山崎)
渡辺克さん(以下、渡辺)
渡辺「こんにちは」
マツコ「ごめんね、待たせて」
鶴谷「とんでもないです」
マツコ「ご、ご、ごめんね、ごめん」
山崎「よろしくお願いします」
マツコ「あそこにあったからさ。なんにもないところからこれやったらもう病気よ。あれからだから」(DJプレイヤー)
山崎「まずは僕たちの自己紹介からさせてください。3人合わせて1万5000枚以上のレコードを集めたDJ三兄弟、サントラブラザーズ。真ん中が長男。次男、山崎真央です。三男が一番右側」
(長男:鶴谷聡平、次男:山崎真央、三男:渡辺克己)
マツコ「実際兄弟じゃないだろうし、設定がめんどうくさいわね。入れ替わるから。長男次男が。覚えられないからもうね」
山崎「映画音楽のみでDJをしているユニットになります」
マツコ「映画音楽のみでDJやっているの?」
山崎「そうです」
マツコ「ちょっと迷惑ね。いやいや、冗談です。サントラが好きはいいんですけど、問題点が1個ありまして。そろいもそろって独身ですか」
山崎「はい、そうなんです」
マツコ「映画音楽なんて好きになるんじゃなかった。そんなことないでしょ」
山崎「バツゼロ」
マツコ「結婚しちゃったら、こんな勝手なことできない」
山崎「緊張が全然とけないんですよね」
マツコ「抱きしめてやろうか?」
山崎「後で裏でお願いします」
マツコ「大丈夫よ、もう。自由なんだよ。自由」
山崎「ああそうですね。ありがとうございます、自由」
鶴谷「下にあげているのが、好きな映画のサントラですね」
マツコ「あたしもうそれ『アメリカン・ビューティー』しかわからないわ」
ナレーション「アカデミー賞で作品賞を受賞した1999年公開の作品」
鶴谷「ダメな中年男の日常から始まって、その中年男が段々キレ始めて暴走していくみたいな映画なんですけど」
マツコ「けっこう好きなほうの映画ですよ」
鶴谷「よかった。ダメっぷりに笑えるような。本当はコメディになってもおかしくないような内容に、こういうちょっと幻想的な」
マツコ「そんな中でもこの曲なの?」
鶴谷「オリジナルスコアっていう、映画のために作られた曲はこういう曲が多くて。他の既存の歌ものの曲もいっぱい使われているんですけど。今日は主に映画のために作られた音楽を紹介したいなと」
マツコ「誰かの歌を拝借して使っているやつじゃなく、その映画用に作られた曲のみってことね」
鶴谷「そうです。でも普段のDJのときは誰かの曲で」
マツコ「そりゃそうでしょうね。こんなのばっかり流されたら、どうしたらいいかわからない」
ナレーション「2014年『アナと雪の女王』の公開以降、音楽チャートにランクインされるほど、今大ブームの映画音楽。しかもその人気ぶりは映画公開が終わったあとでも衰えることがない。その理由は?」
山崎「映画音楽が人気の理由。テレビやCMなどで毎日のように使われている。今テレビとかCMとかYouTubeとかで、けっこう映画音楽が使われているので。若者も映画音楽をすごい知っていると思うんです」
マツコ「サントラに限らずそうなんだけど、ちょうどジジイたちが今クリエイターで仕事を中心でしているから。何年かぐらい前からあたしらが思春期に聴いていた曲がテレビとかですごいかかるようになってきたよね。よく考えたらこのジジイたち年齢近いのよ。いっしょに原っぱで野球やっていたくらいの年齢よね」
山崎「映画音楽がいろんなところで認知されてるのはとてもうれしいんですけど、今日はあえてこれを言わせてください。本日僕たちが伝えたいこと。映画音楽の魅力は、映像との相乗効果で何倍も力を発揮する。だから映画も観てほしい。そもそも映画音楽は映像に合わせて作っているので、映画といっしょに観るべきだと思っているんですよね。しかも今どきの人たちってタイパっていって、2倍速とかで観るらしいんですよ、映画。知ってました?」
マツコ「知ってますよ」
山崎「知ってますか」
マツコ「すみませんね、ごめんなさいね。あともっと言うと、音楽だって飛ばして聴くからね、今の子は。もうちょっと意味がわからないんだけど」
山崎「意味がわからないですよね。2倍速で観たら、映画音楽の良さは全くわからないので」
ナレーション「ということでまずは、若者も必ず知っている、往年の映画音楽の名曲をご紹介」
山崎「聴き覚えがあるとか、もしあれば」
マツコ「聴き覚えはけっこう、ほぼあるわよ。テレビにいるとね、すごく効果音的に。あたしけっこう『炎のランナー』とか好きね」
山崎「ヴァンゲリス」
マツコ「うん、ヴァンゲリス。たぶん若い子は映画の音楽だって知らないだろうね」
鶴谷「そうなんですよね。あとは『ピンクパンサー』とか。『ピンクパンサー』だと思わずに聴いているってこと?」
ナレーション「1964年公開、『ピンクの豹』を第一作とし、20世紀後半を代表するコメディ映画の大ヒットシリーズ」
渡辺「だいたい泥棒のシーンってなると、これがかかるような気はします」
マツコ「ドリフさんとかいっぱい使っていたよね。『アルマゲドン』か。よく聴いたのは。エアロスミスのね。あれはアホみたいに。リヴ・タイラー最近見ないわね。ごめんなさい、普通の感想言っちゃった。娘ね、よく一時娘出てたじゃない。セレブと結婚でもしたのかな、全然見なくなったね」
山崎「ちなみにですね、映画音楽がよく使われる番組がこちらです」
鶴谷「『夜ふかし』は」
渡辺「こちらも実はサントラ」
♪スラローム
マツコ「これ映画のサントラだったの?」
山崎「これ映画のサントラで、エンニオ・モリコーネというイタリアの映画音楽の巨匠のサントラなんですけど。これすごくマニアックな映画で、よくこれをテレビで使ったなと思って」
マツコ「あのね、『月曜から夜ふかし』は『AKIRA』の曲使って」
渡辺「‘♪ラーダッダッ’ってやつですね」
マツコ「そうそう。本当一部なんだよね、曲の」
渡辺「良い使い方されている」
マツコ「あれはね、あたし本当ちょっと感動したの覚えてるんだよね。どこかで聴いたことあるわねこれと思って」
山崎「相当引き出しが多いんですよね」
ナレーション「さらに『世界の果てまでイッテQ!』や『オールスター感謝祭』のマラソンで耳にするこちらの曲は、1982年公開の『ロッキー3』のサントラ。そして『M-1グランプリ』の出囃子には、2001年公開のミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』のサントラが使用されている。このようにキャッチーで耳なじみのいい映画音楽は、各メディアで使用され若者にも認知されているが」
鶴谷「実際に若い人、20代の人たちって、本当にどれくらい観てるの観てないのっていうのを、実はアンケートして聞いた結果ってことなんですけどね」
山崎「僕たちはこの結果をかなり不満に思っているので」
マツコ「不満?」
山崎「不満ですね」
マツコ「曲をわかってるんだったら観てよってこと?」
《映像との相乗効果がすごい!映画音楽ベスト3》
ナレーション「映画音楽は映像とともに聴くことで、何倍も力を発揮するというサントラブラザーズ。ということでここからは、誰もが知る映画音楽の中から、映像との相乗効果がすごすぎるベスト3をご紹介」
山崎「第3位はこちらになります。本当に空を飛ぶ感覚にさせる『E.T.』『Escape/Chase/Saying Goodbye』」
マツコ「1982年?」
ナレーション「地球に取り残された地球外生命体E.T.と仲良くなる、少年エリオットの物語。まずは音楽のみでお聴きください」
♪Escape/Chase/Saying Goodbye
マツコ「ここからじゃね、違うのよ。この前から聴かなきゃダメなのよ。実験されているE.T.を救うところから。そこからじゃないと感動できないのよ。そうなのよ」
ナレーション「それでは音楽がかかる瞬間に空を飛ぶ高揚感が増して感じられるというシーンがこちら」
マツコ「いやでもここからじゃ無理だな。なんか来るのよ、白装束の人が家にね。そこから見ないと」
渡辺「それだいぶ長いですよ」
マツコ「それだけで今日終わりにしてもいい」
山崎「音楽の効果としてはですね、空を飛ぶ瞬間に音程が高くなっていったりとかですね。ここでもうクライマックスのメロディーが流れる感じが」
マツコ「この曲は静かなところのほうが好きなんだよね。すばらしいよね、あれね。ジョン・ウィリアムズでしょ?これじゃ伝わらない。『E.T.』放送しようか、今日。けっこういくと思うよ、数字。『E.T.』は若い子観てないなら観ておいたほうがいいわよ」
鶴谷「学校で観にいった記憶がある」
マツコ「あら。シャレオツな学校だね」
鶴谷「世田谷区」
マツコ「ああ、ヤダ。世田谷の人にE.T.の気持ちなんかわからない。E.T.の気持ちはわからないわよね」
山崎「続いて、第2位はこちらです。2音の繰り返しで恐怖心をあおる。『サイコ』、1960年。『The Murder』」
ナレーション「お金を持ち逃げした女性が宿泊したモーテルで殺害される事件の謎に迫る物語。全ての最古サスペンスのルーツと呼ばれる、ヒッチコック監督の伝説的作品。まずは音楽のみでお聴きください」
♪The Murder
ナレーション「この繰り返される2つの不協和音を映像のシャワー音や女性の悲鳴に乗せることで恐怖心が倍増しているというシーンがこちら」
渡辺「2つの不協和音が何度も繰り返して、おっかない映像になっていく」
マツコ「ずいぶん刺すね」
渡辺「そこなんですよ。高音が女性の悲鳴の声を想像させて、映像と最高にマッチしたホラーの曲になっています」
マツコ「これもずいぶん使われたわよね」
渡辺「だいたいおっかないときは」
マツコ「おっかない通り越して、ネタみたいになっちゃったわよね、最後もうねこれ」
渡辺「本当はあのシーンはシャワーの音だけで音をつけない予定だった。バーナード・ハーマンっていう作曲家が『絶対音をつけたほうがいい』ってあの音をバンバン入れて」
マツコ「正直音が無かったら、『えい!』こんなんだったしな」
鶴谷「最後に第1位がこちらになります」
マツコ「え?これなの?」
鶴谷「一気に映画の世界に入り込ませる。『トップガンマーヴェリック』2022年、今年ですね。『Danger Zone』」
マツコ「昔のじゃないやつがいいの?」
山崎「もうとりあえず、続編の今年やっている」
マツコ「曲はいっしょじゃないの?」
山崎「いっしょです」
マツコ「いっしょだけど2022年のやつのほうがすごいんだ?」
鶴谷「映像と音楽のマッチング具合とかも、今回がさらに良くなっているって感じですね」
ナレーション「かつて天才パイロットと呼ばれたマーヴェリックが、飛行士訓練校に教官として帰ってくる。1986年公開の『トップガン』の続編。まずは音楽のみでお聴きください」
♪Danger Zone
マツコ「あたしまだこっちの観てないんだよね」
鶴谷「良いですよ」
山崎「最初のやつ観てますか?」
マツコ「最初のやつ、もうたぶん当時観て以来」
ナレーション「それでは映像のエンジン音などが音楽と見事に組み合わさり、まるでミュージックビデオのように感じられるというシーンがこちら」
鶴谷「割と雄大な感じで始まって、飛行機が飛び立つところでバーンと切り替わって。一気に映画の中に引き込まれるような展開になってますね。オリジナルの映画のほうと、曲の使い方も映像のパターンも割とほぼ同じに再現した続編なんですけど。微妙にそれがよくなっていて。細かい編集なのか、もとに最初から同じ曲使うっていうのありきで映像は合わせていってるっていう」
渡辺「どうですか、トム」
マツコ「『どうですか、トム』?でもあたしケニー・ロギンスは『トップガン』じゃないんだよね、実は。『フットルース』なのよ」
山崎「わかります。『フットルース』ですよね。『フットルース』はもうみんなで聴いていた。アイダホの公民館とかでおばちゃんたちもこれに合わせて踊っていた」
渡辺「その人たち、たぶん今でも『フットルース』で踊ってそうですからね」
マツコ「そうよね。アイダホのおばちゃんは今でも踊ってるよね、きっと」
鶴谷「今回、映像との相乗効果でみんな」
マツコ「わかってる。だから今回はこれが正解。だから『トップガン』を選ぶか、ケニー・ロギンスを選ぶかよね。ケニー・ロギンスはって言われたらあっちだよって言ってるけど、これを否定はしていない。やっぱりね、同年代って楽ね」
山崎「わかりやすい映画でトップ3を紹介さしていただいたんですが」
マツコ「そういうふうに選んでくれてるなというのはわかりましたよ。ここは年の功ですよ、やっぱりね」
山崎「ちょっとマニアックなところで、もう一つ選んできました」
ナレーション「アーティストのビョークが主演、2000年公開の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。女手ひとつで息子を育てる母親の悲劇を描いた物語」
マツコ「これね、どんどん速くなっていくんだよね」
ナレーション「このシーンではインダストリアル・ミュージックという、機械音を取り入れた楽曲が使用されており、映像の音が徐々に音楽へと移り変わっていく手法がとられている」
山崎「ビョークって、テクノとかハウスシーンから出てきているボーカリストで、これも音楽もたぶんビョークが全部アレンジしているんだと思うんですけれど。こういう機械音ってけっこうテクノの音楽と親和性が高いというか。なんかそういう使われ方をしているので、すごくここは僕は個人的にはすごい大好き」
マツコ「でもビョークにしてはあんまりそっちよりじゃなかったよね」
山崎「そうですね。実験的にいきすぎずみたいな、ちょうどいいところで」
マツコ「あれはだからビョークが勘違いをしているシーンなの。要は、現実は暗いただの工場なんだけど、つらすぎてずっと彼女はその音を聴きながら勝手に音楽を想像してみんなでダンスしているっていう妄想なの。だからなおさら、だから泣かせるのよ。あたしけっこうベスト1映画なの。あたし丸の内プラゼールで観たあと、席を立てなくなって。下から上がってくるOLたちに号泣しているのを見られて、笑われながら。しばらく身動きとれなかった。それ以降映画館で映画を観ていないの。だからあんまりオススメしない」
《常人には理解できない!奇才作曲家5選》
ナレーション「今、映画音楽をフルオーケストラでおこなうシネマコンサートが、チケットが即完するほどの大人気。映画ファンのみならず、純粋に楽曲を楽しみにくる観客も多数来場しているという。そこで」
山崎「常人には理解できない作曲家たちのすごさを知ってほしい。立て続けにいきます。言わずと知れた映画界の巨匠3人ですが、僕たちは彼らを奇才だと思っています」
マツコ「ジョン・ウィリアムズは本当に好き」
ナレーション「ジョン・ウィリアムズといえば、『インディ・ジョーンズ』や『スーパーマン』など、数々の映画音楽を作曲し、御年90歳でいまだ現役のレジェンド。誰もが知る楽曲を作り続ける引き出しの多さは、まさに奇才だと彼らはいう」
マツコ「あたしでもね、ジョン・ウィリアムズって、代表作はオリンピック。すばらしいよね、あれは本当に。もちろん全部すごいんだけど、集大成よね。あれがね、ロス五輪が」
渡辺「なつかしい」
マツコ「ずっと良い。そのあと、ずっとこここすられてるでしょ、その後のオリンピックでも。もうね、音を上げたのよみんな。これ以上のファンファーレは出てこない」
山崎「出てこないんですよね」
マツコ「あれはたぶんね、ジョンちゃんも一世一代だったんだよね。美しい地球の最後だった気がする。今日人口が80億人超えたわよ。地球が。…だから?」
ナレーション「そしてもう一人のレジェンド、ハンス・ジマーは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『バックドラフト』など、超人気作を手掛けてきた作曲家。そんな彼は電子音楽を得意とし、カスタムメイドの楽器であらゆる音を作り出す奇才」
マツコ「アメリカ音楽の映画音楽を、バトンを継いだ人よね」
山崎「そうですね。次がですね、我らが日本の久石譲さん。あらゆるジャンルを網羅する日本の映画音楽界の巨匠。久石譲さんってジブリとか、『菊次郎の夏』の『Summer』とか、ちょっとほっこりするような聴きやすい国民的な音楽を作るイメージなんですけど。実はこの人、出どころはもうちょっと前衛的な音楽をやっていた人で。ミニマル・ミュージックっていう、最小限のフレーズを重なるような感じで進行していく音楽のパイオニア的な人だったんですね」
ナレーション「そんな久石譲のミニマル・ミュージックが見事に表現されているのが、北野武監督の映画『ソナチネ』」
山崎「久石譲さんのイメージとは全然違うんですけど、ものすごくすばらしい」
マツコ「スカしてきたわね。久石譲を代表する曲で。でも久石さんがあんな感じだったなんて知らなかった」
山崎「もう昔は本当そうですよ」
ナレーション「今なお世界の映画史に燦然と輝く巨匠たち。しかし今、次世代を担う奇才映画音楽家が台頭しているという」
山崎「まずこちら。牛尾憲輔、39歳」
渡辺「もともとDJとかトラックメイクをされていて、今は電気グルーヴのサポートメンバーとして活躍している人なんですけれども。それと並行して次々とアニメの話題作を手掛けている若き奇才という人です」
ナレーション「そんな彼の奇才ポイントは、規格外のコンセプトで音を作ること。映画『聲の形』では聴覚障害を持つヒロインの生きる世界を表現。牛尾さんは補聴器を付けたときに聞こえるハウリングに注目し、‘ノイズ’というコンセプトで音楽を制作。実際にピアノの音がハウリングし、ノイズが表現されているシーンがこちら」
渡辺「これピアノの中にマイクを仕込んでですね、こもるように。そのノイズも込みで録音して。ちょっとだから普通の音よりもこもった音になっています。鍵盤に爪が当たる音だったりとか、それから消音べダルを踏むときのフェルトがこすれる音みたいなものを全部拾って、一つの曲にしている。映画全体がノイズを感じる音になっている」
ナレーション「さらに『リズと青い鳥』は、女性同士の友情とも恋愛とも言えない微妙な関係性がテーマ。牛尾さんは誰にも言えないその秘めた思いを表現するため、彼女たちを見守る‘周りのもの’をコンセプトに制作」
渡辺「これ教室の椅子を叩く音とか、窓をこする音、これを実際に舞台になった学校に行って、学校にあるものを使って出る音から収録をして曲にしていったと。物の音を全体に散りばめて、二人を物が見守る視点を表現している」
マツコ「急に牙をむいてきたわね、三男が。俺の本当のところがここにあるんだっていう。TVショーなんかに負けないぞっていう」
渡辺「ちなみに牛尾さんは浅倉大介さんにあこがれてシンセサイザーを」
マツコ「じゃあ変態だわ」
渡辺「そうです」
山崎「続いてご紹介したい若手奇才作曲家はこの方です」
鶴谷「ルドウィグ・ゴランソン、38歳。スウェーデン出身で、アメリカに移住して『クリード』とか『ブラックパンサー』の監督をやることにのちになるライアン・クーグラーって人と大学の中で友達になって、いっしょに組んでずっとやっている人ですね」
ナレーション「そんな彼の奇才ポイントは、映画に憑依して音作りをしているところ。2020年公開の『TENET』は時間の逆行が存在する世界で、未来の戦争を阻止するために敵と戦うSFアクション映画。そんな作品の中でルドウィグが時間の逆行を表現した楽曲がこちら」
♪747
ナレーション「聞きなじみのない浮遊感漂うこの不思議な楽曲。その作り方にはかなりのこだわりが」
鶴谷「まず普通にパーカッションを音楽家の人たちに演奏してもらって、それをコンピューターに取り込んで反転させた音を、もう一回音楽家の人たちに反転をまねた演奏をしてもらって、さらにそれをまたコンピューターで元に戻して、この世の物とは思えないよくわからない音になっているっていう。クレイジーな作曲家だなと思っています」
マツコ「どうなんだろう、今紹介してもらったやつって全部さ、興味深い音ではあったけど、効果的かって言われると。音楽で盛り上げちゃってるところもあったじゃない、昔の映画って。それよりは極力リアルなほうにいくぶん邪魔をしないというか」
山崎「潜在意識に訴えかける」
マツコ「そう、それがだから本当に観る側にとって良いことなのか」
山崎「映画館の音響システムの進化にも影響あるかもしれないです」
鶴谷「IMAXですよ、今」
マツコ「IMAX」
~完~