2022/10/25放送

マツコの知らない世界

https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 


'45万枚以上の衣服を生き返らせてきた洗濯ブラザーズ'
茂木貴史(モギタカシ)さん(以下、貴史)
茂木康之(モギヤスユキ)さん(以下、康之)
今井良(イマイリョウ)さん(以下、今井)



マツコ「これブラザーズって言っているわりには1人お名前違うじゃないのよ。インチキブラザーズよだから。バブルガム・ブラザーズみたいなブラザーズよね。うーんと、どうだろうなこれ。そっちの2人が意外と似ているよね。今井、茂木、茂木じゃない?違う?え、違うの?ちょっと待って。もう一回。じゃあもう一回見てみるね。こことここも似てるのよ」
今井「ここがじゃあ軸ってことですね」
マツコ「だからここが万能なのよね。万能なのよ。こことここも似てるのよ。だとしたら、茂木、茂木、今井なのよ。違う?」
貴史「正解です」
マツコ「本当は真ん中が今井だったらおもしろかったのよ。万能すぎるだろっていうね。遅かったか」
康之「ごめんなさい、茂木でした」
マツコ「茂木か。でも洗濯に出したら汚くなって返ってきそうな店だよね」
貴史「いやいや」
マツコ「本当?」
今井「はい。万能がいます」
マツコ「真ん中は違う、真ん中は清潔」
康之「ありがとうございます」
マツコ「見た目損してるって、あなたたち。洗濯売りにしているんだったら、もうちょっと清潔感出さないと」
今井「どういうふうに?」
マツコ「顔が」
今井「顔?」
貴史「顔の清潔感ない」
マツコ「いやまずやっぱりヒゲ、ロン毛はダメでしょ」
貴史「まあまあ、そうですね」
マツコ「あとガングロもダメよ」
貴史「ガングロもダメ」
今井「一番ダメだ」
ナレーション「2007年に父の影響で弟の康之がクリーニング店を設立。その後、兄の貴史と友人の今井も参加。これまで45万枚以上衣服を生き返らせてきた3人が伝えたい洗濯の魅力は」

貴史「ちゃんと洗濯を知れば、衣服の汚れも心の汚れもスッキリ取れます」
マツコ「あたしの心の汚れがそんな簡単に落ちるとでも思っている?」
貴史「なんかでも、ないですか?掃除してなんか気持ちいいなって、なんか」
今井「すがすがしいとか」
マツコ「家の中が完全にきれいになったことなんてこの15年くらいないから。わからないわよ、やってみないと」
康之「マツコさん、1週間に1、2回?」
マツコ「そうだね、1、2回だね」
貴史「僕らとしてはマツコさんは洗濯すらしていないと思っていたんです」
マツコ「どんなイメージだよ」


《今日から直そう!まちがいだらけの洗濯方法》


貴史「だいたいみなさんですね、洗濯の仕方をまちがえています。その多くはこちらになります。まちがっている洗濯のやり方。マツコさんもこれちょっと衝撃がある項目もあると思うんですけど。まず、晴れた日は洗濯日和」
今井「これはまちがいってことです。お洋服のことを考えると、やっぱり色の濃いものとか、白っぽいものもそうなんですけれども、けっこう紫外線で色が変色したり退色したり」
マツコ「でもじゃあ本当は匂いだったりの問題さえクリアになるんだったら、ちょっと立派なお宅だと洗濯部屋みたいなのがあって、そこに干せるようになってたりするじゃない?」
貴史「あれが一番いいですね」
マツコ「あれが一番いいんだ」
貴史「これも『えっ?』ていうことなんですけど、洗濯機に入れる順番ですね。洗濯もの、水、洗剤の順番が一般的にはこういうふうにされているんですけども。僕たちからするとこれはまちがいなんですね」
マツコ「洗濯槽に水を張って、洗剤を混ぜてから入れるの?」
貴史「混ぜて、そうです」
今井「撹拌させて」
貴史「水量を最大に設定していただくことが、汚れ落ちのポイントになっています。汚れの落ちるメカニズムなんですけど、洗濯機の洗い、すすぎ、脱水っていうのがあって、みなさん洗いのときに汚れが落ちていってると思いがちなんですけども。汚れが浮いているだけでですね、最後に水を移すっていう作業がすすぎの工程なので。そこでいっぱい水を使ってあげると、汚れ落ちがさらにアップします。じゃあ次いきましょう。黄ばみは漂白剤で落とす」
マツコ「ガンガン入れていますよ。致死量くらい入れています」
貴史「黄ばみを取る方法のVTRがございまして」
康之「スタッフの堂本くんの」
マツコ「汚いね、やっぱり若いから」
貴史「はい、めちゃくちゃ汚い」
マツコ「皮脂はね」
貴史「黄色くなっちゃいまして。プレウォッシュ液っていうのを。漂白剤は使わずに。これで完成で、漂白剤使ってないんですけども」
マツコ「普通の洗剤?」
貴史「普通の。家で使っている洗剤と水を1対1で割るだけ。黄ばんだところにスプレーしていきます。やっぱり漂白剤だとね、生地が傷んでしまいますし」
マツコ「傷まない?」
貴史「叩くと傷まない。こすると傷むんですよ」
マツコ「叩くぶんには傷まないんだ?」
康之「傷まないんですよ」
マツコ「要はしみ抜きってこと?」
貴史「はい」
マツコ「『ハッピーランドリー』?」
貴史「ちょっとメーカーのところにステッカーを貼らせていただいているんですね」
マツコ「どういうこと?『ハッピーランドリー』って」
今井「ハッピーをお届けするんです。もう洗濯が楽しいよっていう」
マツコ「はい、うるさいです。来い、こっちおまえ。おおー」
貴史「いやもっとすごかったんですけど、だいぶ」
マツコ「さっきのはわかった。汚いなんかこう若さゆえのね、分泌が」
康之「僕たちが着ているのが、漂白剤を使っていなくて4年着用しているTシャツなんですよ」
マツコ「黄ばんじゃってるじゃない」
今井「ベージュです」
マツコ「ベージュなのね。びっくりした。皮脂の汚れじゃないのね。あのさ、黄ばみうんぬんの前に、4年着ているもので生地自体の傷みの無さがすごいね。普通もうちょっとなんかテロテロになっちゃうじゃない、4年も着ていると、Tシャツって。すごいわね」
貴史「じゃあ次いきましょう。お風呂の残り湯も使うのは」
マツコ「使っちゃいけないってことね」
貴史「いけないんですね」
マツコ「いわゆるあの垢みたいなやつとかを取っただけでは。あの中に溶けている」
貴史「目に見えない」
マツコ「ものはもうぬぐいきれてないから。だから洗濯物につけちゃっているようなものだってことね」
康之「節水ではあるんですけど」
マツコ「あたしたまに何度か入って、これでお湯抜くなっていうバスタブに靴下といっしょに洗いながら入ってる」
貴史「それは初めてのパターン」
マツコ「もうあたし終わってるでしょ」
貴史「ダウンやシルクは自宅で洗えないから洗わない」
マツコ「ダウンは家では無理でしょ」
康之「そうだと思っているんですが、実は我々クリーニング業者としては、ダウンって水洗いすることが多くあって。やっぱり水鳥ですから、まあ水に強い。手順さえ守れば、ダウンはお家でもケアできるんです」
貴史「こちらもスタッフの」
マツコ「またこいつか」
康之「堂本くんの」
貴史「一度も洗っていないダウンジャケットで、こちらを洗っていきました」
康之「30度のぬるま湯をバケツにためて、洗濯洗剤を混ぜます」
マツコ「お風呂もきれいにしているのね」
康之「ありがとうございます。自宅です。まずダウンは空気が含まれているので、裏返しにします。しっかり水を含ませてダウンの空気を抜くというところが。ここまでできればあとは洗濯機で洗えます」
マツコ「どういうこと?これ。これを洗濯機にはこのまま入れていいの?」
康之「これから水を一回抜いて、洗濯ネット、寝具用の洗濯ネットに入れて。あとはもう洗濯機にお任せして洗えます」
マツコ「要はだから、ダウンっていうと洗っちゃいけないもののように感じているけど、要は普通に布を洗うほどカジュアルじゃないけど、あの羽自体は水にビチャビチャに浸して洗剤で洗っても全然大丈夫なものってことよね」
康之「そうなんです」
ナレーション「ちなみに、こんなに袖の汚れが目立つダウンでも、プレウォッシュをして洗濯ブラシで叩いて汚れを浮かせてから洗えば、自宅での洗濯でもこんなにきれいになるんです」


《ブラザーが即解決!洗濯のお悩みあるある》


貴史「僕たちクリーニング屋さんということで、いろんな人から洗濯のお悩み相談を受けるんですけども。けっこう悩みを放置している方が非常に多いなというふうに感じている」
今井「なにか気になるものはありますか?」
マツコ「こうやって見ると、どれだけ自分がダメな暮らしをしているか。あるいは人としてダメなのかがわかるわね。だって、ニット型崩れしてもいいって思っている」
貴史「初めて聞いた」
マツコ「あたしに聞いちゃダメ」
貴史「そうですね。じゃあ一番よくある‘Tシャツの首回りが洗濯するたびに伸びていく’というお悩みはすごい多いんですね。これはハンガーを活用することで防げます。首回りが伸びないようにいろいろハンガーをご用意したんですけども。選んでいただいて、干していただくことは可能でしょうか?」
マツコ「伸びないハンガーを選ぶの?」
貴史「はい。首回りが伸びないやつですね」
マツコ「このへんは伸びるんだと思うのよ。ビヨーンって引っ張っている状態になるわけじゃない?素材は良いわねこれ」
貴史「素材感は良いですね」
マツコ「引っ掛かりやすいっていう。これなに?ワンショルダー用?どういうことなのよ。こうなってくると、これが最有力ですよね、今のところ。ではないかと。違うか、これ」
貴史「違うんです。こちらになって」
マツコ「ええー?違うと思う」
貴史「これは伸びるってご存じなかったですよね?」

※長いハンガーを袖まで通すことで、首元が伸びない
マツコ「あ、ひっかけ。そういう手使うんだ」
貴史「そういうことになっちゃいましたね。これ伸びるってわかってたら、マツコさんもたぶんね、これを選んでいたと思うんですけど。本当ごめんなさい」
マツコ「まあでもそれが急に伸びていたらあからさまにそれだしね」
今井「これもう伸びるつながりで、ニットもいっちゃったらいい」
康之「じゃあやらせていただいてもよろしいですか。この厚いハンガーをこう肩のところに」
マツコ「まあでもニットはよくそういうのでやるわよね」
康之「そうですね。でもこれで干してしまうと、こうしてやっぱり肩のところがビヨーンと伸びちゃう」
マツコ「そうね。まあそれ込み込みでもうやってるよね、ニットはね」
康之「もう一本追加していただいて、この裾にですね、このように重さを分散させてあげるんですね。こういうふうにかけていただき、カッターのこの袖の部分もですね前にかけていただければ。おばけ干しという形で」
ナレーション「他にも、Yシャツのアイロンがけがめんどうくさすぎというお悩みには、そもそもシワをつくらない、アイロンがけ不要の洗濯方法があるんです。それは脱水時間を1分に設定。水分を多く含んだまま干すだけ。水の重みでほとんどシワの無い仕上がりに。食べこぼしたシミをきれいに取る方法は、洗濯用ではなく、油を分解する成分が強い食器用洗剤でプレウォッシュ液を作り、シミに吹きかけて叩く。あとは洗濯機にお任せ。このひと手間があるだけで、シミがこんなにきれいに落ちるんです。洗濯ネットは何が大事かというと、入れた衣服がネットの中で動かないようにすること。ネットのほうが大きい場合は余分な部分を縛ってあげることがポイントなんだとか」


《プロが認めるクオリティ。日本クリーニング界の魔術師》


貴史「日本のクリーニング業界の魔術師を、ちょっと紹介させていただきたいなと思っております。こんな機会をいただけるなんて」
ナレーション「魔術師一人目は、『抜けないシミはない』という横倉靖幸さん。麻など色落ちしやすい衣服のシミでも、完璧に落とせるんだそう」
マツコ「まだできないの?おまえらじゃ」
康之「まだ横倉さんの技術には」
今井「あそこまで白く色を抜くって、なかなかできない。自信がないと」
ナレーション「魔術師二人目は、『消せない匂いはない』という斉藤泰男さん。匂いを取るため、オゾン水を使って洗うのですが、衣服の状態や匂いの程度に合わせて丁寧にオゾン水の加減を微調整。この技術が日本トップクラスなんだそう」
貴史「この二方もすごいんですけど、僕たちが一番尊敬しているという、こちらですね。この世にクリーニングできないものはない。NG素材なしの最高峰職人集団、仙台の『クリーニングタカノ』さんです」
ナレーション「仙台クリーニングタカノの工場に全国から集まってくるのが、洗濯表示全てNGの難関素材」
貴史「全部バツですね」
康之「洗えないっていう」
マツコ「これは洗うなって言ってるの?」
康之「そういうことです」
ナレーション「たとえばこちらのコート。2枚の生地を天然ゴムで貼り合わせた特殊素材を使っていて、洗濯表示は全てNG」
康之「剥離しちゃって大変なことになる」
ナレーション「汚れは落とせても、縫い目の上に特殊な接着剤で貼ってあるテープがこんなふうにはがれてしまうことも」
貴史「みんな断ってますね」
康之「これはクリーニングでは」
ナレーション「ここで登場するのが、特殊接着の達人、佐藤栄さん。このテープを貼り直してくれるんです。接着方法は企業秘密。佐藤さんだけができるスゴ技。こうして新品のような仕上がりでお客さんのもとへ。そんなタカノさんに、スタッフがクリーニングをあきらめていた服を持ち込みました。『Barbour』というイギリス王室御用達のブランド。表面にワックスが塗ってあり、洗濯表示は全てNG。それを洗うのが手洗いの魔術師、菅野弘美さん」

康之「菅野さんもこの道長いですね」
菅野さん「これ‘ささら’っていいます。竹でできたブラシですね」
ナレーション「このささらで一着ずつワックスと汚れを落としていくのです。洗うと汚れは落ちますが、Barbourの特徴のワックスも一緒に落ちてしまい、このままだとただのよくあるジャケットに。ここで修復の魔術師、藤川典幸さんが登場。Barbourの質感を取り戻すために、溶かしたワックスをジャケットに塗りなおします。ムラなく仕上げ、Barbour本来の色合いを復活させるのは至難の業。そしてお客さんの大事な服、失敗は許されないが」
マツコ「要はだからコーティングされているものを一回コーティングをはいで、その中にある布を洗い、もう一回コーティングをしたってことね」
今井「いろいろお話したなかで、少しでも洗濯に興味を持ってもらったり」
マツコ「いやもうちょっとなんか、ちゃんとしないとね。『もう縮んでもいいや』って洗濯する人いないよね」
貴史「聞いたことないですね」
マツコ「洗濯をおろそかにしないってことは、幸福への第一歩だから。みなさんもちゃんとやってくださいね、本当に」


~完~