2022/06/07放送

マツコの知らない世界

https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 


'全国の透かしブロックを400種類以上記録し続けるブロック塀研究会・会長と副会長'
藤井美奈子(フジイミナコ)さん(以下、藤井)
藤井克彦(フジイカツヒコ)さん(以下、克彦)



藤井「研究会と申しましてもですね、会長、副会長、以上ということで」
マツコ「どんどん恐怖感が増してくる。他にもまだいらっしゃるならともかく」
藤井「会長の藤井美奈子と申します。普段は高校の英語の教員で働いております」
マツコ「けっこう前の写真持ってきましたね、これ」
藤井「15年前くらいですね」
マツコ「思い切りましたね、15年もさかのぼり」
藤井「最近のがなくてすみません」
マツコ「いやいや、お靴ヘビ柄よ。意外とイケイケだったんだと思う、お母さま。ちょっと映ってるわね。それこそブロック塀からヘビが顔を出している。いっちゃうよっていうね、これね」
藤井「2015年の12月に私が初めてですね、透かしブロックをとうとう写真に撮った第1号っていうのが」
マツコ「越えてはならない壁を越えてしまったのね」
藤井「こちらがですね私が」
マツコ「これはでもあたし初めて見たかも」
藤井「そうですよね、これはやっぱり撮らなきゃと思って、撮りにいってっていうことがきっかけで。これ透かしブロックの柄ってなかなか奥深くて、おもしろんじゃないかと思って、このあとたくさん狂ったように写真を撮るようになって」
マツコ「ごめんなさい、『狂ったように』は学校の先生でもありますし、あんまりね。実際狂われているのはわかるんですけども。すみませんね、本当に」
藤井「こちらこそすみません」
マツコ「まあそれはね、1つあるから、そういうことは生きていれば。問題はだからなぜそこに息子が関わってきたかってことよ。いろいろ誤解を招くからこれね」
克彦「2016年母の活動に興味を持ち、2人で活動を開始。親子の会話が増えて、そこでブロック塀研究」
マツコ「親子の会話増えます?ブロック塀の話で」
克彦「やっぱり増えますね。趣味が似ているというか」
マツコ「もともと仲がよろしいのね」
克彦「そうですね」
藤井「そうかもしれないですね」
克彦「形にするのが好きで」
藤井「写真集を作成しました」
マツコ「写真集?」
藤井「パソコンの使い方とか私よくわからないので、息子にちょっと聞いたりして」
マツコ「そういうのを頼んでいるうちに」
藤井「その工程できっと」
マツコ「売れました?」
藤井「売れません。学校の図書館に寄贈しました」
マツコ「ご自分のいらっしゃる?」
藤井「そうです」
マツコ「いやがらせですね」
藤井「そんなことそんなこと」
マツコ「息子はモデルやってた?」
克彦「昔俳優をちょっとやらせていただいていましたね」
マツコ「身長何センチあるの?」
克彦「188センチ」
マツコ「すごい。旦那もかっこいい?」
藤井「小林旭?」
克彦「それしゃべり方」
藤井「しゃべり方が小林旭」
マツコ「いやしゃべり方聞いてませんよ。なに?この親子」


《実はおしゃれなデザインが!映えスポット&超貴重!製造工程》


藤井「ブロック塀って昭和の風物というか、昔ながらのやっぱり建物、建築物につきもので」
マツコ「最近家新築しましたってなって、塀がブロック塀のお宅って少ないよね、きっと」
克彦「日本でかなり流行ったのが戦後だったんです。もう焼野原になっちゃって、やっぱり燃えない材料で家建てないといけないっていうので」
マツコ「なるほど。だから安くて便利だったのかな、外壁をブロックにするっていうのは」
藤井「そうですね。なので無くなってしまう前にひとつでも多くの写真を撮って、記録に残しておきたい使命感を持って活動している次第でございます。そんな透かしブロックなんですが、魅力とは」

克彦「地味だけど道を彩る日陰に咲く灰色アート。パッと見で比較すると、やっぱりブロックがあるとなんか良くないですか?」
マツコ「親切な家、人なのかなとは思うよね。ちゃんと外を歩いている人にまでいろいろね。無機質にブロックだけよりは。街に彩りを与えようって思ってくれているお宅なのかなっていうね。あたしが中学くらいになるとね、それにペンキを塗る家が多かった。白く塗ってたり」
藤井「水色に塗ったりとか」
マツコ「っていうお宅ありましたよね」
藤井「少しでもおしゃれに見せようと」
マツコ「言い方!言い方よ、本当に」
藤井「少しおしゃれに」
マツコ「学校で残したコッペパン挟んだり。あたしらの時代はそうよ」
藤井「そんな日陰に咲くアート、透かしブロックですが、本日最も伝えたいことがこちらです」

克彦「ブロック塀研究会最大の発見。透かしブロックはほぼ地産地消。ご当地のかわいい子たちに気づいてほしい」
マツコ「そうなの?地元で作ってるんだ、みんな」
克彦「400種類以上撮影してきたんですけれども、なんでそんなに種類があるのかっていうと、ブロックは単価が安い割に運搬費用が高いんです。一個ホームセンターで100円くらいで売っている」
マツコ「え?100円なの?」
克彦「1個100円くらいで売っているのに、重くてデカいので運搬費用がかかっちゃうので各地に工場を作って、そこで地産地消みたいな感じでブロックを消費しているわけなんですね。だからこの地域性が出て、ブロックのバリエーションがすごいあるということなんですね」
ナレーション「後世に伝えるため全国を駆け回り、衰退していく透かしブロックを撮影し続ける藤井親子。その写真の一部をマップとともにご紹介」
藤井「こちらご覧になっていかがですか、マツコさん」
マツコ「『いかがですか』と言われましても」
藤井「いろんな種類があるなっていうことで、全国それぞれ地域に特徴のある透かしブロックが見られるっていうことでまとめてみました」
マツコ「あたしちょっと島根が一番、両方ともかわいいなって思った。安く建材を作るっていう目的で始まった中で、あそこにたどり着いたっていうのは、島根の人の民度の高さ。おしゃれ」
藤井「おしゃれですよね」
マツコ「でも一番不思議なのはニュージーランドよね」
藤井「そうですよね。私もあれすごい」
マツコ「あれはなんなの?」
藤井「ちゃんと立体的になってて、対角線上にへこんでいるっていうか。わかりますかね?」
マツコ「傾斜がついているってこと?彫ってある部分に?」
藤井「そうなんです」
マツコ「モダンだよね、デザインがね」
藤井「そうなんですよね。いったいどうやって考えたらこんなすばらしいデザインが四百何十種も思いつくのだろうと思うと、心躍りますよね、透かしがあったほうが」

マツコ「心躍ります?心躍るまではいかないですけど。すごいおしゃれだわ」
ナレーション「全国さまざまな透かしブロックがある中、さらに特徴的なデザインをもつ県が」
克彦「欠かせないのが、やっぱり沖縄のブロック」
マツコ「そうね、沖縄はブロック塀多いもんね」
克彦「保育園なんですけれども」

(沖縄県、愛和保育園)
マツコ「え?建物のやつもあれブロックなの?」
克彦「あれもブロックです」
マツコ「へえ、すごい」
克彦「沖縄だと透かしブロックじゃなくて、花ブロックって呼ぶんですけど」
マツコ「何この保育園。すごいね」
克彦「使い方が全然違うんですよ。こうやってバーッて連続で使っていて。やっぱり沖縄の強い日差しを遮るためだとか、逆に風は通したいんですよ。日差しは遮りたいけど、風は通したいので、こういうふうなまあいわゆるフェンスみたいな使い方をしているっていうのが沖縄の特徴ですね」
(那覇文化芸術劇場なはーと)
マツコ「すてき。けっこう新しくできた現代建築でこういうふうにモチーフにするってことは、それだけだから沖縄の象徴なのよね」
克彦「そうですね。建物の内側にも使ってたりして」
マツコ「すごいおしゃれよね」
克彦「おしゃれですよね」
マツコ「沖縄のブロックは本当もし家を建てるならやりたいなって思うくらいおしゃれ」
克彦「本当ですか?」
マツコ「本州にまで来るのかしら、このブロックが」
克彦「でもけっこう来てますよ」
マツコ「もう来てる?」
克彦「埼玉の会社が花ブロックのカルチャーを広めている」
マツコ「あら。じゃあこれけっこう出回るかもね」
克彦「けっこう、そうですね」
マツコ「南国の感じがする。東南アジアとかバリ島とかさ」
藤井「ぜひ」
マツコ「ご自宅はどうなってるのよ、そんなこと言うんだったら、ブロック」
藤井「自宅はうちマンションなので」
マツコ「そうね、マンションの外壁勝手にやったら怒られる。そりゃそうだわ」
ナレーション「ここからは全国400種類を撮影してきた藤井親子厳選、絶景透かしブロックスポットを紹介。まずは、今では建築できない、圧巻の配列が道を彩る埼玉県深谷市の民家の塀。いったいどんな塀なのか」
マツコ「透かしすぎよね」
藤井「全て透かしっていう」
克彦「ほぼオール透かしって感じの塀で」
マツコ「でもこれもういわゆるオーソドックスな2つを使ってやってるのね」
克彦「そうです」
藤井「だけどインパクトがものすごいと思いませんか?この塀」
克彦「これ今作れない。建築基準法的に」
マツコ「あとこちらのお宅、これはだから本当にさ節約のためというよりは、デザインでやったよね。なぜなら隣の塀は石の立派な塀だもん」
藤井「そうですよね」
マツコ「しゃれおつな家よ」
ナレーション「今では建築できないまさに圧巻の透かしブロック。続いては、路地裏を現代美術の世界に帰る、群馬県高崎市の民家の塀。こちらの路地は藤井親子にとって透かしブロック塀の宝庫。その中でもアートを感じる塀というのがこちら」
藤井「ここだけなんか周囲と雰囲気が」
克彦「全然違うね」
マツコ「あと若干、ちょっとヤバさも感じるわね」
克彦「これ4種類の透かしがこんな感じであって、日の出と縦三分割はいわゆるちゃんとした透かしなんですけど、この2つ穴、1つ穴っていうのはおそらく手で勝手にあけた穴なんですよね」
ナレーション「こちらの塀は、現家主の父が60年以上も前に建築関係の会社を起業した弟に、第一号の仕事として施工を依頼。60年の歴史の深みがアートを感じさせてくれる
藤井「良いお話ですよね」
マツコ「『良いお話ですよね』?」
藤井「初めて発注させたお仕事」
マツコ「まあだからちょっと気合を入れてね。でもちょっとなんか遺跡みたいになりそう。今見るとちょっとおしゃれよね」
藤井「そうですね」
克彦「逆におしゃれですよね」
藤井「ここまで透かしブロックのお話をさせていただいたんですけど、夢ができまして。その夢というのはですね、一生に一度でいいから透かしブロックの製造工程を見たいっていう夢がむくむくと湧いてきたんですね」
マツコ「もう作ってなかったんだ?」
藤井「回すとしても半年に1回かって言われて見れなかったんですけど。その気持ちを今回スタッフのみなさんにぶつけてみたところ、なんと今でも透かしブロックを作っている工場を探していただいて。見せていただいてきましたので、VTRをぜひご覧いただきたいと思います」
VTR藤井「おはようございます。私たちはなんと今日、ここ宮崎県にやって参りました」
ナレーション「さっそく二人が向かったのは」
藤井「よろしくお願いします」
瀬戸山さん「よろしくお願いします、瀬戸山です」
克彦「初めてなので、ドキドキしています」
瀬戸山さん「久しぶりに作るので、こちらもちょっと緊張します」
ナレーション「1960年に創立した『瀬戸山ブロック工業所』。年間およそ100万個の建築用コンクリートブロックを製造。しかし現在透かしブロックは注文されないと製造していない」
藤井「これお名前っていうか、呼び名っていうのはあるんですか?」
瀬戸山さん「うちで呼んでいる名前はもちろんある。『松』って呼んでいます」
藤井「群馬県の工場におじゃましたことがあって、そのときは『みやま』って言われていた」

瀬戸山さん「たぶん地方によって違うと思います」

克彦「これは貴重だね」
藤井「感動だね」
マツコ「息子にもちょっとキモい一面はあるのね。変な親子だね」
ナレーション「早くも大興奮の藤井親子。そしていよいよ夢だった、透かしブロックの製造工程を見学」
瀬戸山さん「ここが材料を練り合わせるミキサー」
藤井「すごい。いやー、なんか感動です」
ナレーション「材料は砂、砕石などを合わせたいわゆるコンクリート。しっかり混ざったらいよいよ透かしブロックの製造。まずはこちらのプレートを金型に入れたら、先ほどのコンクリートを流し込む」
克彦「あえて振動させるみたいな?」
瀬戸山さん「そうです。振動と油圧でキュッてしめることで、強度を」
藤井「感動です。手作り感というか、ひとつひとつ人の手をかけて作られている」
克彦「この時点だはまだこのプレートはくっついたままなんですね」
瀬戸山さん「翌日固まるまではこれに乗ったまま」
ナレーション「およそ2週間乾燥させれば完成」
瀬戸山さん「透かしブロックのどこがいいんですか?」
克彦「いろいろあるところですよね。収穫しがいがある」
藤井「400くらい」
瀬戸山さん「そんなにあるんですね。それは大変驚きました」
藤井「集まっちゃいました」
克彦「あとでそれをまとめた本を今日差し上げます」
瀬戸山さん「ありがとうございます、勉強させていただきます」
藤井「恐れ入ります」
瀬戸山さん「いえいえ、ありがとうございます」
マツコ「一見すごい仲の良いほほえましい親子に見えるんだけど、ちょっとよくよく見てくると背中のほうがぞわぞわっとしてくるわよね。親子で宮崎にまで行って、ブロックを作ってるのを見てるのよ」
藤井「業者の皆様もお忙しいところね。なんか関係ない者が行ってキャピキャピして不愉快だったんじゃないかなとか思ったりして」
マツコ「いやいや、不愉快じゃなかった。怖いなって」
藤井「そうですかね」


~完~