2022/04/05放送

マツコの知らない世界

https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 


'年間365日!今まで3000食のからあげを食べた女性'
有野いくさん(以下、有野)




有野「パタパタパタ、はじめまして。よろしくお願い申し『揚げ』ます」
マツコ「いろいろ言いたいことがあるんだけど、まず、食ってるものが生きている状態を表現するっていうね。うそだ、365日はうそ。この体型維持できない」
有野「こう見えてプランクとか、うつぶせになってこういう状態で保つっていうのをけっこうな頻度でやっています」
マツコ「やっぱりだから気を遣いながらやってるのね」
有野「そうなんですよ」
マツコ「確かにだからみなさん気を遣えばどうにかなる。あたしもう50年間気を遣ってない。そうなるとこういうスーパーなものになる」
有野「からあげの魅力を語る前に、まずはマツコさんに今のからあげ業界を知ってもらおうと思って。中津からあげ・ザンギの2強だけじゃない。今からあげは町おこしの最強ツールに」
マツコ「ちょっと一時の焼きそばみたいな感じね」
有野「そうなんですよ。中津からあげとザンギなんですけど」
マツコ「大分の中津と北海道のでしょ。それはわかる。でもなんかあたしら世代って、からあげって家で食べるものなんだよね。からあげ店でからあげを買う癖がついていないの」
有野「そんなマツコさんに、今回私がからあげの魅力をめっちゃ語るので」
マツコ「でしょうね」
有野「そうなんです。なのでより好きになってもらえたらうれしいです。まずは私が何者かっていうのを紹介させてください」
マツコ「そうね。曲者であることはわかっている」
有野「名前は有野いく。職業は企業イベントMC」
マツコ「ちょっと待って、企業イベントMCって、そんなに若い人できない。うわ、これけっこういってるわね」
有野「いやまあ年齢聞かれたときは、からあげジューシーの14歳で通しています」
マツコ「あ、そう。それねもう二度と言わないほうがいいわよ。笑い方がベテランだもん」
有野「私の小中学生時代なんですけど」
マツコ「かれこれ40年近く前ってことかしら」
有野「つい最近のできごと。揚げ物とは縁遠い生活を送っていました。お母さんが揚げ物をするのがめんどうくさいというか」
マツコ「めんどうくさい系ね」
有野「それであんまり作ってなかった」
スタッフ「揚げ物はしないらしいです、今の家庭は」
マツコ「天ぷらとか、家で揚げないんだ?」
スタッフ「部屋が臭くなるのがいやみたい」
マツコ「ばかやろう。あの臭くなった匂いで、次の日の朝ごはん食うんだよ。何を言ってるんだ本当に」
有野「めっちゃわかります」
マツコ「油の匂いの中、ご飯を食べるのいいよね」
有野「最高です。家のフレグランスがからあげの油の香りっていう」
マツコ「それはちょっと違うと思います、ごめんなさいね」
ナレーション「そんなからあげと程遠い生活をしていた有野さんが、最初にハマったのが『オリジン』の若鳥の唐揚げ弁当」
マツコ「すごいからあげ弁当ね。もうからあげだけなのね」
有野「こちらオリジンの若鶏の唐揚げ弁当は、2種類の醤油のうまみ、衣の柔らかい食感が特徴です」
マツコ「だからそう、買って食べるお弁当も『からあげ弁当』って選ばないんだよね。親が作るお弁当の中に入っているのがからあげっていう。やだ、あたしなによ。どの口がからあげ好きって言ってたの?あたし好きだけど、あんまり食ってなかったわ」
有野「私今3000店舗のからあげを食べてきたんですけど」
マツコ「あたしね、まずびっくりしているのが、からあげ専門店じゃないのも含まれているのね?」
有野「もちろん精肉店」
マツコ「にしても、3000店舗からあげを出している店があるんだっていうね」
有野「ありますね」
マツコ「すごいね」
有野「もっとありますね。居酒屋のからあげとか」
マツコ「そっか、居酒屋も出すか、あいつら。食べるわ。あー、はいはいはい。そう、酒のときだわ。あほみたいにからあげ食ってるわ。それです。大好きでした。言えます、よかった」
有野「よかったです」
マツコ「そうだ、つまみだ。でもそう考えるとすごいよね。ご飯のお供として子どもに愛され、酒のあてとして全国のじじいにもこよなく愛され。こんな食べ物ある?すごいわ、からあげ。ごめんな、今まで話が嚙み合わなくて」
有野「いえいえ」


《中津・ザンギだけじゃない!全国のご当地からあげ》


ナレーション「2008年、大分の中津市からスタートしたからあげを使った町おこし。老若男女に愛され、バリエーションが作りやすいことから、今町おこしのツールとしてご当地からあげが続々登場」
有野「こちらなんですけれども。もっと他にもいろいろあるんですが、今回は」
マツコ「代表選手ね」
有野「はい、代表選手でピックアップしてみました」
マツコ「名古屋の手羽先はもちろんね。宮崎のチキン南蛮はもちろんだけど。新潟。それあたしたぶん食べにいったよ」
有野「そうなんです。『せきとり』っていうお店なんですけれど、からあげの半身揚げがとても有名で、カレー味が特徴的で」
マツコ「おいしかった」
有野「なんでカレー味かっていうと、子どもたちに喜んでほしいっていう思いから、最初にカレー粉をまぶして、そこからカレー味が」
マツコ「子どもたちに喜んでほしいと思ってたのが、あんな飲んだくれのオヤジたちが集まる店になったの?本当になにがあるかわからないわね。暴力的なくらい酒が進む。あたしなんかもう途中から記憶ないもん」
有野「じゃあ他にも、青森県の甘辛とりごぼう唐揚」
マツコ「ちょっと待って。なにこれ。このおしゃれな商品。ごぼうをまぶしてあるの?」
有野「そうなんですよ」
マツコ「誰が考えたの、こんな天才的なこと」
有野「こちらスーパー」
マツコ「スーパーが考えたの?」
有野「そうなんです」
マツコ「スーパー、また独特な名前のスーパー。『カブセンター』っていうの?スーパーカブ売っているわけじゃないよね?」
有野「じゃないです。青森県ってごぼうの生産量ナンバーワンなんですよ」
マツコ「あと相性的にやっぱりさ、絶対おいしいよね」
有野「絶対おいしいんです。この甘辛醤油ダレを最後に加えて完成します」
マツコ「いやーだー」
有野「かわいい」
マツコ「かわいい?あたしが?…そうなのよ。みんなね、生で会うと気づくの。マネする居酒屋出てくるんじゃない?相当おいしいと思う」
有野「続きましてこちら。栃木県の佐野黒から揚げ」
マツコ「ごめんなさい、初めて。でも佐野ってラーメン有名じゃない?」
有野「そうなんですよ。この佐野ラーメンに続く佐野ご当地グルメなんです」
マツコ「上手ね、佐野って」
ナレーション「なぜからあげが黒色なのかというと、大量のコショウと中濃ソースで下味をつけるからなんです」
マツコ「えー、これはちょっとわからない。これ大丈夫なの?」
有野「コショウとソースってお酒に合いません?味付け」
マツコ「まあでもからあげにソースをかけていると思えばいいのか」
有野「手羽先のスパイシーなやつ。あんな感じの味です」
マツコ「だからソースのスパイスがけっこう残る感じね」
ナレーション「全国にさまざまなご当地からあげが誕生し、勢力争いが繰り広げられる中、今中津やザンギに迫る第三の勢力が出現しているという。それが」
有野「からあげ界の第三勢力。東北からの刺客、岩手県のご当地からあげ」
マツコ「へえ、ちょっとごめん。全然知らないわ。冷麺とわんこそばしか知らない」
有野「本当ですか。実は岩手県って、鶏肉の生産量が鹿児島、宮崎についで3位なんですよ」
マツコ「けっこうこれで見る限りでは三大産地よね」
有野「そうなんですよ。東京に鶏肉を持ってくるじゃないですか。そのときに宮崎・鹿児島ってやっぱり時間がかかるんですよ」
マツコ「じゃああたしたち食ってるの、岩手が多いよね」
有野「ですね。スーパーでも岩手のお肉が並んでいることが多いです」
マツコ「あのカッコなんとか産って書いてあるのが、岩手産が多いんだ?お世話になっています。本当にそれなのに『なんか知らない。初めて聞いた』みたいなこと言って本当すみません」
ナレーション「そんな岩手からあげの特徴は、ニンニクをたっぷり使う大分の中津や北海道のザンギと違い、鶏肉のうまみを活かし、ニンニクをほとんど使わないのが特徴。そしてこのあと有野さんイチオシ、肉のうまみが際立つからあげが登場」
有野「こちら。岩手県盛岡市の南部唐揚げ、そして岩手県一関市の『オヤマのからあげ家』」
マツコ「『オヤマの』があたし一瞬『オカマのからあげ家』に見えちゃって。あらやだオネエさんが来るのかしらって今一瞬。オヤマ、そりゃそうよね」
有野「じゃあまずはこちら」
ナレーション「南部唐揚げがあるのは、岩手県の盛岡市。2020年に開店したテイクアウトの専門店で」
有野「なんと1日に最高1200個を売り上げる人気店なんです。岩手県産鶏肉のうまみを引き出すため、見てください、岩手県産塩麴、甘酒、ショウガの特製塩ダレで揉みこむ」
マツコ「想像がつかない。塩麴と甘酒?甘いのか辛いのかわからないわね。あ、だから甘じょっぱいのか」
有野「そうなんです。続いてこちら。『オヤマのからあげ家』さんです。こちらはですね、宮城と岩手に3店舗ある養鶏場直営のからあげ専門店」
マツコ「養鶏場がやられてるのね」
有野「はい。実は東京秋葉原にも出店しています」
マツコ「あら。東京だけ看板が急におしゃれ」
有野「見てください、この自社の養鶏場で育てた銘柄鶏、奥州いわいどり」
常務・小山達也さん「エサ、飼育方法にこだわっています。岩手県は木炭焼きが盛んで、そこで出る液、木酢液とヨモギ等の天然ハーブを入れております。エサにこれを入れますと、鶏肉の臭みが消えまして、おいしい鶏になります」
有野「岩手県は木炭の生産が全国の3割を占めているんです」
マツコ「そうなんだ」
ナレーション「そんなこだわりの奥州いわいどりの味を引き立てるのが、秘伝のタレ」
有野「このタレなんですが、ニンニクを一切使わないで、醤油、ショウガ、あともうひとつだけで作っているんですよ。それが鶏肉のうまみを最大限に引き出しています」
マツコ「クイズ?」
有野「何が入っているか、当てていただきたいと思います」
マツコ「こういうことばっかりする」
有野「なんとこのからあげ、お取り寄せもできるんです」
マツコ「冷凍とかで届くってこと?ああ、便利だね。お母さんたちは。ちょっと衣はあたし好きな感じですよこれ」
有野「あー、おいしそう」
マツコ「お醤油とショウガと、もう一個だよね?」
有野「もう一個です。まずお味どうですか?」
マツコ「おいしいけど。ちょっともうそういうのを一個入れるから、こうね、心から味わえなくなる」
有野「おいしそう。もしわカラない場合は、ヒントもございます。ちなみにからあげとかけてみました」
マツコ「なんで急にそういうこと始めたの?今までなんにもやってなかったじゃないのよ。なんにも入ってないんじゃないかってくらい、すごい鶏の味が濃いね。あんまり味付けが濃くないタイプ。でも今ね、違うの。ちょっとね、野菜系な感じがする」
有野「おおー」
マツコ「タマネギ」
有野「アゲー!正解」
ナレーション「そう、正解はすりおろしたタマネギ。奥州いわいどりは、一般的な鶏肉より、うまみ成分のイノシン酸を多く含んでおり、さらにそこにタマネギのグルタミン酸を加えることでうまみと甘みが倍増するというという」
マツコ「なに?『アゲー』って」
有野「さすがですね」
マツコ「さすがじゃないわ。『アゲー』って急に」
有野「今思いつきました」
マツコ「道理でね。なんかちょっとイラッときたのよ。今思いついたのよ、『アゲー』」


《育て油がたまらない、ご当地からあげ3選》


ナレーション「一般的においしいからあげの条件は、鶏肉のジューシーさ、味付け、サクサクの衣と言われているが、有野さんは3000食食べる中で、今までとは全く違うおいしさの条件を発見したという」
有野「もうひとつの条件、それがこちらです。私が思うからあげの魅力。からあげを揚げまくった肉汁、鶏油、調味ダレが溶け出した油、その名も育て油がたまらない」

マツコ「もうだからこれは、からあげ店ならではの油よね」
有野「そうなんですよ」
マツコ「老舗のうなぎのタレみたいなものよね、だからね。なるほどね。だからもうお出汁みたいなもの」
有野「そう、まさに育て油を出汁油とも言います。そんな育て油がおいしいからあげのお店を紹介します。こちら。はい、じゃあまず1店舗目」
マツコ「春日部でしょ?春日部ならでは?」
有野「ではない」
マツコ「クレヨンしんちゃんと大塚家具しかわからない。なんだろう、春日部」
有野「こちらです。『光苑』さんは埼玉県春日部市のなんと、市役所の中にございます」
マツコ「えっ?」
有野「なんと3年前に市役所の食堂に移動しました。そして市民にからあげを提供しています。その光苑さんの特徴なんですけど、大きめの国産若鶏のもも肉を使用し、自家製XO醤で下味をつけています。もともと光苑さんっていうのは、中華料理屋さんをやっていたので、代々伝わる秘伝のXO醤なんです」
マツコ「今はあちらを閉めて、市役所の中だけでやってるの?」
有野「はい、閉まっています」
マツコ「もうだから春日部市公認ってことね」
有野「そういうことですね。油のこだわりがすごいんです。これもう本当貴重映像です。まずはキャノーラ油。そのあと大豆のコクが入った揚げヂカラという油。そして3つ目、煮干し油を入れます」
相川さん「今使っている古い油を、新しい油に足していきます。からあげのうまみがいっぱい染み込んだ油を継ぎ足していかないと、新しい油のままだとどうしてもからあげに必要なうまみやコクが足りない」
ナレーション「育つポイントは、油を注ぎ足し風味とうまみが倍増する」
有野「できあがったのが、この海鮮出汁のうまみ甘みがギュッと凝縮されたからあげ」
マツコ「ああ、これはおいしいでしょう」
有野「そうなんです。もう肉汁もたっぷり詰まっています」
マツコ「油って昔何回使っていたっていうね。あれ今恐ろしいよね。あれうち1か月くらい使っていた。こし器にかけてね。タレみたいな状態になっている油で揚げて。もうこれは無理だよ、天ぷら茶色いよ、お父さん、っていうね。になったら固めるやつを入れる。固めるやつでちょっとこう。懐かしいね」
有野「じゃあ続いて2店舗目。こちらは千葉県香取市にある『水郷のとりやさん』」
マツコ「『須田本店』って店みたい」
有野「こちらは地元の銘柄鶏、水郷どりを使用していて、お店ではお肉、焼き鳥を販売しています」
マツコ「やだ、おいしそう」
有野「『バードランド』っていう焼き鳥の、ご存じですか?そこで修業した方がこの4代目店主なんですよ」
マツコ「もともと家業でらっしゃって?」
有野「そうです、家業です。そのお店の人気メニューがこちら。若鶏唐揚げ」
マツコ「これやだ、昔っぽくない?」
有野「めっちゃおいしい。懐かしの味って感じです。その日に引いた超新鮮な若鶏を」
マツコ「あの大きさね。日本が貧しかったころの大きさですよ」
有野「ショウガ醤油にからめて」
マツコ「最近は贅沢すぎますよ、からあげの鶏の大きさが」

有野「卵でうまみを加えます」

マツコ「あれで5個くらいだったんだから。圧倒的に鶏の数が少ないんだから」
有野「見てください、油のこだわり、ここからです。まずベースの大豆油に水郷どりの鶏油を混ぜます」
マツコ「鶏油で鶏を。すごいわね」
有野「これ貴重映像」
マツコ「貴重映像なのね。あたしもお尻も炒めたらあれくらい油出るわよ」
有野「こちらが肉汁たっぷりなジューシーからあげ」
マツコ「これはあたしら世代には郷愁をそそられる見た目ですよ。これなんですよ、あたしら世代のからあげは」
有野「水郷のとりやさんも、お取り寄せがございまして。下味がついた状態の鶏肉もあれば、レンチンできるからあげもあるので。あとちなみに鶏油あるじゃないですか。あれも販売しているのでぜひ」
マツコ「ああそう、これじゃあちょっとラーメンに垂らしたりとかね」
有野「からあげ揚げるときに入れていただきたい」
マツコ「それはもったいない」
有野「そして最後は兵庫県神戸市にある『揚匠しげ盛』さん。ここのからあげの特徴はなんといっても、創業130年以上の老舗醤油店の濃口醤油を使った調味ダレなんです。もう醤油がとにかくおいしい」
マツコ「昔はあの味付けしかなかったの、からあげってね。懐かしいね、あれね」
有野「これで育った継ぎ足し油がヤバい。本当にヤバい。この油、なんと10年間継ぎ足しをしているそうです」
マツコ「それは違うよね、あれが染み出した油と、新品の油じゃ、揚げたら味が違うに決まっているよね」
有野「そうなんですよ、そして今回新しい油で揚げたからあげと育て油で揚げたからあげの2種類をご用意しました」
マツコ「またそういうあたしを試すようなことをして」
有野「どちらもしげ盛さんのももの醤油からあげです」
マツコ「揚げる前の状態は全く変わらないわけよね。もうまず色が違う。もう新しい油のほうが薄い。十分おいしいですよ」
有野「おいしそう。なんかマツコさんがからあげ食べてる姿で、私も食べたいですね」
マツコ「お断りします」
有野「わかりました」
マツコ「全然違う。誰が食ってもわかる。おいしいと思ってた新しい油のほう、育て油のほう食べたら全然物足りない。味も濃いし、いい意味でこっちのほうが油を感じるんだよね」
有野「油を感じるとおっしゃったじゃないですか。揚匠しげ盛さんは、柚子マヨとかあと梅マヨのからあげも揚げているので、そのマヨの油も染み出しているんですよ」
マツコ「へえ、やっぱりさ、アルコールと混ざったときに違うおいしさが出るよね。そういう力がからあげにはあるわ。あれよ、ワインのマリアージュといっしょよ」
有野「その気持ちわかります」
マツコ「なんでわかるんだよ」


《国民食になったからあげ!知られざる歴史と大問題》


ナレーション「ここからはどうやってからあげが国民食になったのか?その知られざる歴史から、からあげが直面した大問題までご紹介」
有野「まず最初にさかのぼりますと、1932年頃。食堂三笠の若鶏の唐揚げが登場しました」
マツコ「どちらのお店?」
有野「こちら銀座です」
マツコ「あ、三笠会館?」
有野「そうなんです。三笠会館の前身」
マツコ「からあげの発祥なの?」
有野「外食メニューとして最初に置いたお店とされています」
マツコ「へえ、あんな老舗がからあげ発祥だったんだ。確かにこれ当時の人が食べたら、おいしかっただろうね」
ナレーション「そして1960年頃、大分県に日本で初めてのからあげ専門店ができたといわれ、そこから爆発的に店舗数が急増。今では」
有野「中津とか宇佐では、コンビニの数よりからあげ専門店の数が多くて、ちょっと歩けばすぐからあげ屋さんがあるんですよ。そしてその後ですね、こちら。1974年に日清製粉のから揚げ粉が大ヒット」
マツコ「これでなの?」
有野「そうなんです」
マツコ「要はお手軽にからあげが作れるようになったから、大ブームになったんだ?でもね、これだったよ。♪日清製粉から揚げ粉、ていうのよ」
有野「そして歴史に戻りますと、2009年にからあげブームが起こります」
マツコ「すごかったよね、あの当時ね」
有野「当時すごかったです。メディアでもたくさん取り上げられましたしね」
マツコ「すげえなこれ。なんだこれ」
(2011年からあげフェスティバル/大分県中津市)
有野「これギネス記録に挑戦しているんですよ」
マツコ「これちょっと怖いなこれ。凶悪だな、からあげが多いって」
有野「私もその現場にいたんですけど」
マツコ「いたの?」
有野「はい、もちろん食べました」
スタッフ「年齢おかしいですよ」
マツコ「やめなさいよ。さっきから崩壊してるんだから。いくつだったって話よ。どうやって中津まで行ったんだ」
有野「そして2014年にむね肉ブームが起こります」
マツコ「むね肉ブームあった?」
有野「セブンイレブンのサラダチキンが一時期すごい流行ったんですよ」
マツコ「そういう意味ね」
有野「ヘルシー志向の方々にウケて、当時筋トレブームも起こっていたので、相まってむね肉ブームでした」
マツコ「あたしあのときに初めて知ったんだけど、アメリカの人ってもも肉ほとんど食べない。みんなむね肉好きなんだって。不思議じゃない?向こうの人のほうが脂好きそうなのにさ。日本人はもも肉大好きじゃん。あたしなんかむね肉大反対派だからね」
有野「でもまさにおっしゃるとおりで、むね肉が流行ったんですけども、やっぱりからあげにするとなると、大きな問題がございます。それがこちら、パサパサ問題」
マツコ「でしょうね。さすがからあげ屋さん。本当ごもっともです。ダメですよ、むね肉でからあげはダメ」
有野「なんですが」
マツコ「が」
有野「やっぱりむね肉はもも肉に比べ高たんぱくで、低カロリー。その中でいかにジューシーに作るかとか、研究が重ねられて。今回はマツコさんにむね肉がジューシーなお店をご紹介したいと思います」
マツコ「ジューシーなお店。まあでもこれたぶん、きょうびのOLさんとかは『うわ、ありがたい』な情報なのね」
有野「埼玉県浦和に本店がある、からあげ専門店『鶏笑』さんです。ジューシーなむね肉からあげを広めたお店です。なんと現在全国に278店舗」
マツコ「すごいわね、全国展開」
有野「そうなんですよ。一般的なむね肉のからあげは、けっこう繊維質でパサパサ。でも鶏笑のムネからあげは、見てください」
マツコ「確かにプリプリ」
有野「本当に柔らかいんです」
マツコ「なぜ?」
有野「その秘密がこちら。秘伝の醤油ダレ。タレは水分がより染み込みやすいように、塩分と糖分の濃度を計算してようやくここにたどり着いたんです」
ナレーション「そしてこのむね肉とは思えないジューシーさで、女性ファンが急増しているという。続いては、愛知県東海市にある『からあげ!ごっち』。そのからあげがこちら」
マツコ「なんか上品なからあげね、今の」
有野「はい、もう超柔らかくてジューシーなんです。こちらのお店の秘密は、肉質の柔らかい銘柄鶏。奥三河どりを使用しています」
マツコ「どうでもいいけど、ここ良い所ね。なに今の奇跡の、なにあれ。どこよあれ」
(愛知県四谷千枚田)
有野「塩ダレにつけ、6時間真空保存しています。再度タレに漬け、2段仕込み」
マツコ「やっぱり漬け込むことが重要なのよね」
有野「そうなんです。最初低温で揚げて、次に高温185度でさっと二度揚げをします。二度揚げをすることによって、水分が逃げるのを防いでいます」
ナレーション「女性から圧倒的な人気を誇っているむね肉のからあげだが、有野さんが最も感動したというお店が」
有野「こちら。まるでホタテの貝柱。元寿司職人が作る最強ジューシーからあげ」
マツコ「そうなると、ホタテの貝柱でよくありません?」
有野「いや、『まるで』ですから」
マツコ「まるで、だからね。そのままじゃないから」
有野「池袋にある『一番唐揚げ』、匠ムネ唐揚げです。こちらがそのお店です。外観」
マツコ「渋いね。なんか昔何かのお店だったところを居ぬきで使ってるのかな?渋いね。デカいんですけど。お稲荷さんみたいなんですけど、ちょっと。すごいね」
有野「大きい拳サイズです」
マツコ「柔らかい。えー?なんで?」
有野「パサパサ問題解決していますか?」
マツコ「ていうか、言ってるとおり、ホタテの貝柱。食感」
有野「本当ほろほろしていますよね。ジューシー」
マツコ「これは本当にすごい。これなんで?」
ナレーション「マツコも驚いた奇跡のジューシーむね肉からあげを生みだす秘密とは?このからあげを生み出したのが、元寿司職人の松原さん」
有野「まずお肉の繊維を切るところから始まります」
マツコ「けっこう物理的にわかりやすい作業が必要なのね」
有野「水につけて水分補給させます。そして水をきって、塩を揉みこみ一晩寝かせます。翌日特製塩ダレを揉みこみ、この時点で一日経っています。またさらに一晩寝かせます。つまり3日」
マツコ「寝すぎじゃない?」
有野「そうなんです。そこにこの特製のショウガダレ、片栗をつけて」
マツコ「ていうか大変だねこれ。出すまで何日かかるの?」
有野「3日以上かかります」
マツコ「大丈夫?採算とれてるの?なんだろうな、これやっぱりみんなこれくらい『からあげやりたい』と思うんだろうね。お寿司握っていた方がさ、からあげに対して思い入れがある人が多いってことよね。からあげ盤石ですわ。日本からからあげ消えませんわ」


《残り油がたまらない!絶品からあげ弁当》


有野「もうひとつオススメしたいものがございまして、それがこちら。今人気急上昇中、からあげ弁当です」
マツコ「からあげ弁当?」
有野「そうなんですよ」
ナレーション「コロナ禍でテイクアウトやデリバリー需要が増えたことで、からあげだけでなく、からあげ弁当の人気が急上昇しているのだが、油マニアの有野さんは人とは全く違う楽しみ方をしていた」
有野「私がめちゃくちゃ聞いてほしいポイントがあるんです」
マツコ「さっきからそれを聞いてるんだけどね、ずっと」
有野「これは本当に特に」
マツコ「これは本当に一番言いたいことなのね?」
有野「今日めっちゃ言いたいことです。それがこちら。からあげの下にしたたる残り油がたまらない」
マツコ「これはちょっと共感できないわね」
有野「いやいや、でもこのあと聞いたらわかると思います。それではマツコさん、こちらです。オススメのからあげ弁当。じゃあまず『ほっともっと』からいきましょう」
マツコ「そうね、お求めやすいしね」
有野「こちら、『ほっともっと』のから揚弁当。ニンニク、醬油ベース、そしてこの衣、パリパリの衣」
マツコ「いやいやそれはわかりますよ」
有野「からあげの残り油が染み込むのは」
マツコ「なるほど、いるね」
有野「パスタ」
マツコ「いるね。あんまり仲良くしたくないと思っていたけど、今まで。いた、この子たち」
有野「そうなんです。全体に残り油が染み込んでいて」
マツコ「オイル系パスタっちゃそうだけど」
有野「最高のオイル系パスタなんですよ」
マツコ「確かにペペロンチーノだと思えばいいんだもんね」
有野「そうなんですよ。もうこれがたまらない。やっぱり油がおいしいので」
マツコ「やっぱりわかり合えないわ」
ナレーション「他にも、有野さんオススメは、『蒲田鳥久』東口店のからあげ弁当。からあげの油が染み込んだごはんが、たまらなくおいしいという」
有野「はがれた衣も楽しめる最高のふりかけ」
マツコ「違うと思うんですけど」
ナレーション「さらに全国展開する『やきとり家すみれ』は、ラードで揚げたからあげを熱々のままレタスの上に。こうすることで、ラードのうまみが加わるごはんが進む最高のおかずに。他にも『からやま』のからあげ弁当は、残り油でシナシナになるキャベツがたまらないという」
有野「もうあれが、油がドレッシング代わりなんですよ。ドレッシングいらない」
マツコ「なんだ。今日久々に共感できる人かと思ったら、やっぱりここに座る人ってダメなんだね。…ダメではないわよ」
有野「そして今回、マツコさんに食べていただきたいのをお持ちしました」
マツコ「いい音がしているわよ」
有野「こちら。残り油と出汁のマリアージュ。神奈川県川崎市『いろから』いろから丼」
マツコ「残り油と出汁のマリアージュ。あんまりよろしくない言葉よね。なにを食ってるんだおまえは、っていうね。残り油、はいお出汁、ゴーっていうね。危険ですよ」
有野「田園都市線の宮崎台駅から徒歩4分」
マツコ「まだ日昇りきってないじゃないのよ。ありがとうございます。朝から本当に」
有野「岩手県産のあべどりという鶏のももとむね肉を使用しています」
マツコ「やっぱり岩手なんだね」
有野「あべどりもめちゃくちゃおいしい」
マツコ「赤ワイン入れてるの?」
有野「赤ワインと粉末の煮干しが入っています。真空で一晩寝かせます」
マツコ「やっぱりみんな真空で寝かすのね」
有野「ここ衣にパン粉を使っています。そして片栗粉」
マツコ「はい質問です。フライじゃないんですか?」
有野「いや、片栗粉も入っているので」
マツコ「見た目はけっこうフライなんですけど」
有野「パン粉使われたものはフライって言いますよね」
マツコ「食べた感じはフライじゃないのね?」
有野「はい、完全からあげです。上から特製の塩ダレをかけます」
マツコ「いやこれちょっと。『白だしが残り油を落とす』。やっぱりもうちょっと表現の方法ある気がするんだよねこれ。『残り油』ってなんか言い方ないかね。食べてみよう、とりあえず」
有野「トリあえず。『とり』だけに」
マツコ「うっせえなおまえは。からあげだけでいただくわ。すごいあっさりしてない?」
有野「そうなんです。意外とあっさり」
マツコ「全然しつこくない」
有野「残り油はどうですか?」
マツコ「残り油の意味がもうわからない。こっちに残り油が入ってるの?」
有野「そうです。からあげをバウンドさせる先のことです」
マツコ「でも油も、油って感じではないのよ。調味料的な感じ」
有野「それが残り油」
マツコ「デブって正直ね。油ごはんおいしい」

 

~完~