2022/07/12放送

マツコの知らない世界https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 


'世界101か国、3700以上の噴水を見てきた男'
地蔵保幸(ジゾウヤスユキ)さん(以下、地蔵)



地蔵「こんにちは」
マツコ「特殊」
地蔵「地蔵保幸、55歳。出身は東京で」
マツコ「シティボーイ」
地蔵「職業は『噴水人』と名乗っています。兼、心理カウンセラー」
マツコ「どおりで。こういう感じなのね。でもあたしはなぜだか逆に不安になっている。…やめなさいよ。冗談、冗談」
地蔵「いえ、それでまちがいないです。中学2年のとき一人旅の途中で上野恩賜公園の噴水に出会う」
マツコ「中2で一人旅っていうのもなかなか珍しいですよね」
地蔵「そうなんです。けっこう落ち込んでいる時代だったんです。中学校の記憶はそんなにないです」
マツコ「あれ?こんな立派な噴水あるの?上野に」
地蔵「そうなんです。この上野の恩賜公園の噴水に出会って、水音で喧騒が消え無音になる瞬間に感激」
マツコ「要はもうザーッとかワーッて音で回りの喧騒が聞こえなくなるということね。その時の少年の気持ちには噴水が優しく答えてくれたのね」
地蔵「そうですね」
ナレーション「それ以来、癒しを求めて世界中の噴水を巡る旅を始めたという地蔵さん」
地蔵「まず最初に私から言いたいこと、伝えたいことということで。こちらです。世界で噴水は富と権力の象徴。もともと噴水自体がメソポタミア文明の」
マツコ「そんな昔からあるの?」
地蔵「はい、生活用水として使われていた。それから遠くから水を引いて高々と上げるっていうことですから。本当に権力の象徴で、水が貴重だった時代にこの水を届けているんだぞと」
マツコ「なるほどね。だからその見た目だけじゃなくて、あなたたちが水を飲めているのは、遠くから俺が引っ張ってやってるからだぞっていうのの証明でもあるのね」
地蔵「そうです!」
マツコ「個性派俳優さんじゃないの?」


《富と権力の象徴、世界の噴水4選》


ナレーション「まずは地蔵さん厳選、これぞ富と権力の象徴という世界の4つの噴水をご紹介」
地蔵「ひとつめがこちら。イヴサンローランの別荘、モロッコのマルケシュ。マジョレル庭園の噴水です」
マツコ「あのイヴサンローラン?」
地蔵「そうです」
マツコ「70年代とかかな、建てたの。おしゃれね」
地蔵「年間に80万人くらい訪れてるっていうふうに言われている庭園です」
マツコ「サボテンってあんな高く伸びるのね」
地蔵「こちらです。私は大好きなんです。イヴサンブルーとか別名言われたりするんですけど。後ろの黄色の色とのコントラストがすごいきれいで」
マツコ「噴水もそうだけど、全体のデザインよね。他は全部土色なのよ。その中にこれがあるのが本当におしゃれ」
地蔵「青と黄色、そうですね。次のをご紹介させていただきます。製作費約17億円。アメリカのシカゴ。クラウン噴水」
マツコ「これはちょっと。どういうことなの?あの方はどなた?ああ、顔が変わるんだ」
地蔵「そうなんです」
マツコ「あれ画面なんだ?」
地蔵「画面なんです。15メートルのタワーが二対あって、ちょうど顔が向かい合っているところです。上から今噴き出されて、下で子どもが遊んでいる。10億円を寄付したクラウンさんの名前をとったっていうふうに言われています。17億円するので。LEDライトが26万個以上使ってるって言われていますから、やっぱり17億円くらいしても当然なのかと。様々な人種とか性別とか年齢の約1000人のシカゴの市民の顔を使って噴水を作っています」
マツコ「なんで日本にはこういうものが無いんだろうね。こんな立派な国になったのに、こういうものをひとつ東京の街に無いんだなって思うと、それがなんかくやしいわね、やっぱりね」
地蔵「東京駅に噴水は無いじゃないですか。どうですか、東京駅にあったら?って考えると」
マツコ「ちょっと迷惑かな。…冗談。冗談です」
ナレーション「これぞ富と権力の象徴、アラブのニ大噴水をご紹介。まずは総工費250億円、ドバイ・ファウンテン。ドバイ・ファウンテンがあるのはドバイ観光の中心地。世界一高いビル、ブルジュ・ハリファの目の前」
地蔵「これが噴水ショーです、有名な。全景がこの角度でも全部見えないんですね。そのくらい大きな噴水なんです」
マツコ「上のビルから見たほうが一番いい」
地蔵「うわ、すごい。本当にそのとおりなんです。ラスベガスのベラージオを造った製作者といっしょなんです。高さ150です。ビルでいうと50階くらいまで噴きあがるんです。だから上から見たほうが全景が見える。すごくすばらしい」
マツコ「すごいわ」
地蔵「デカすぎて、本当に全景が見えないんです。先ほどのブルジュ・ハリファ828メートルの展望台から見ると、こういうふうに」
マツコ「うわっ、きれい」
ナレーション「そしてもうひとつの噴水が、世界一の高さを誇るファハド王の噴水。ファハド王の噴水があるのは、サウジアラビアの第二の都市、ジェッダの沿岸、紅海の中。世界一の高さを誇る、その噴水がこちら」
地蔵「高さって実感ないかもしれませんけど」
マツコ「これだからちょっと比べるものがあったほうがわかりやすいよね」
地蔵「これマツコさん、実は312メートルなんです」
マツコ「いや異常よ、これもうね。ほぼ東京タワーだと思えばいいのよね」
地蔵「そうですね。ジャンボジェット機のエンジンを使って、時速375のその勢いで噴き出させているので、あそこまで」
マツコ「もうちょっと引きの映像でなにか比べられるものないのかしら。なんでこんな高さを実感できない場所に造ったのかしらね、これね。やっぱりあのへん、あそこが富なのね」
地蔵「そう思います」
マツコ「そりゃみんなドバイ行くわよ。スカイプールとかさ、あのずっと雪降っているショッピングセンターとか。お台場とかショボくて行ってらんないわよ」


《スルーしないで!日本の名噴水6選》


地蔵「日本の噴水の魅力。噴水は地味じゃない。この国ならではのわびさびがある」
マツコ「ありがとうございます」
地蔵「ということでまずひとつめ。子を背負う亀に究極の親子愛。東京の亀戸駅前公園、『はね亀』」
マツコ「えーと、ごめんそれ、わびさびですかね?亀に羽が生えてるんですよ」
地蔵「ご覧になっていただいてわかるように、親亀、子亀、そして孫亀っていうふうに羽の生えた亀が。これどういった意味があるかっていうと、江東区が孫の代まで発展するようにというふうな意味合いで造られた噴水というふうに私は聞いています。ご覧になってください」
マツコ「今コロナになっちゃったからかもしれないけど、よくあそこでワンカップ飲んでいるおっちゃんたちいますよ。とても憩いの場になってます」
地蔵「こちらですね、青森八戸、『水の樹』っていう」
マツコ「八戸のどこにあるんですか?」
地蔵「八戸の駅から近くです」
マツコ「あー、おもしろい」
地蔵「はい、ししおどしなんです。上から水が落ちてきてたまると、本当にししおどしのつくりがいくつもいくつもあって」
マツコ「じゃあお水の音だけじゃなくて、そのししおどしのカコンって音もずっとしてるわけだ」
地蔵「そうなんです。この噴水を見つけたのはつい最近のことなんですよ。たまたまヒラメ丼を食べにいこうと」
マツコ「たまたまヒラメ丼を食べに八戸に。もう別に噴水に限らず異常者の行動をとられているんですね、本当に」
地蔵「予想外の動きに和のこころ。静岡の青葉シンボルロード、『ZEN』。フランスの造形家の方が造った」
マツコ「おしゃれよね。普通はあれから出るもんね。あれに入っているっていう」
地蔵「はい、見ててください。この噴水を見ているときに頭の中に詰め込みすぎるなとか、もっと楽になっていいんだよ、吐き出していいんだよ、みたいな」
マツコ「あれはだからもう頭にため込んだ無駄な知識をいっぺん出しちゃいなさいっていう」
地蔵「いろんな見方がありますけど。高知の北川村、モネの庭マルモッタンの噴水です。本当に庭園がモネの絵みたいになっていて」
マツコ「要はモネが睡蓮を描いたあの自宅っぽい感じを再現した」
地蔵「そうなんです、橋があって」
マツコ「はあ、すごい。うわっ、すごいね」
地蔵「水柱が1本しか出ていないから、地味じゃないかって言われる人がいらっしゃるんですけど。トータル的に見てあの噴水を見ると、本当にバランスのとれたすばらしい噴水で」
マツコ「ここ住みたい。絶対開放しない」

ナレーション「さらに地蔵さん、きっと噴水が好きになる究極の楽しみ方があるという」
地蔵「街の喧騒と噴水の水音のグラデーション。噴水はアプローチごと楽しんで。噴水との出会いっていうのは、音が聞こえた時点から始まっているんだっていうことで。音が聞こえているほうにどんどん歩いていくと、もう自然と音は大きくなっていくし、自然と噴水に近づいていく。それで噴水に近づいたときに、私たちは最大の癒しを得られるんだという話をさせていただいて」
マツコ「はい、ここが限界です」
地蔵「限界でしたか」
マツコ「惜しかったです、あと一歩。もうちょっとだったのに今テレビの限界値に到達してしまいました。3回目で強制終了になります」
地蔵「今まだ1回です」
マツコ「今1回ですから」
地蔵「次にご紹介させていただく噴水なんですけど、日本で一番好きな噴水です」
マツコ「おー、言っちゃいましたね」
地蔵「ずっと言っています」
マツコ「あたしたちは初めて聞くんですけどね」
地蔵「京都桜並木の向こうにある噴水ということで」
マツコ「これじゃあやっぱり桜のシーズンに行くのが一番いいのね」
地蔵「そうです~!」
マツコ「気をつけてくださいよ」
ナレーション「阪急西日向駅から徒歩約3分ほど。閑静な住宅街の中にある噴水公園の名も無き噴水」
マツコ「すごい良い住宅街ね」
地蔵「ロータリーなんです」
ナレーション「派手さはないがどこか品格を感じる、子どもたちの遊び場にもなっている噴水。噴水へのアプローチのスタート地点は、このまっすぐな並木を戻った先。ポイントは街の喧騒と噴水の水音のグラデーション。ではお聞きください」
地蔵「直線約300メートルくらいある噴水通り。もし水の音が聞こえてくるかもしれないので」
マツコ「これすてきな住宅街だね。ああ、聞こえてきた」
地蔵「聞こえてきました?近づいていくともっとやっぱり大きくなっていきます。もう直線に約300メートル先にこの噴水が。噴水なのかな、噴水じゃないのかな、っていうのが遠くに聞こえるんです。そこをゆっくり噴水に近づいていくと、やっぱり水の音がどんどん大きくなっていって、一番近くまで寄るともう全ての音が遮断されて最高の癒しが得られる瞬間かなと思っています」
マツコ「桜並木にこうやって当たるのね。その当たる場所に噴水があるんだ」
地蔵「はい、そうなんです。今『止まれ』ですから、止まってるところだと思いますけれども」
マツコ「いや別にこれ徒歩だからいいと思いますよ。まじめなんですね」
地蔵「このあと一気に噴水まで近づくと、水の音で他の音が遮断されちゃいます」
マツコ「ていうか、この住宅街すごいな。田園調布とか、ああいうのができたくらいのときの住宅街よね。志高かったのよね。当時のそういうデベロッパーの人というかさ。夢があるわ」

地蔵「じゃあふたつめの噴水を。都会の騒音が消える瞬間に究極の癒しが。東京の日比谷、日比谷公園大噴水」
マツコ「あら。まあ東京で噴水て言ったらここよね」
地蔵「ああ、やっぱり。私も取材に参加させていただいて。VTR中に2回目が出てしまう可能性がありますね」

地蔵「もうここで2回目だと思います」
ナレーション「オフィスビルに囲まれた東京の中心部、日比谷公園にある大噴水。すぐそばには交通量の多い日比谷通り。地蔵さんこだわりのアプローチのスタート地点は」
地蔵「ここ。私にはここにレッドカーペットみたいなものが敷いてあるように見えるんですよね」
ナレーション「大噴水まで直線で歩けるこの場所から、ポイントは都会の騒音が水音にかき消される瞬間。ではお聞きください」
地蔵「近づいていくと、この車の音がどんどん消えていくんです」
マツコ「こんなに音がするんだ、噴水の音って」
地蔵「さらにこう近づいていきます」
マツコ「自動車の音、全然聞こえないね」
地蔵「そうなんです」
マツコ「ああ、すごいわこれは。あんな近くにあんなデカい通りがあるのに」
地蔵「すごい。やっぱりすごい」
マツコ「興奮されてしまって。あらあら。いかれてしまいました」

地蔵「これからお話することに関しては、引かれちゃう方が多いんです」
マツコ「今もう2回警告出ちゃってますからね。V中だったんで止めませんでしたけど」
地蔵「そうですね、もしかしたら全部で3つ紹介させていただきたいんですけど、1発目に出ちゃう可能性もあります」
マツコ「ひとつめが一番ヤバい感じ?」
地蔵「いえ、全部です」
マツコ「じゃあもう順番いいです。どうぞどうぞ」
地蔵「すみません。次ですね。3700以上の」
マツコ「ああ、もうちょっと怖いんですけど」
地蔵「そうですね、やめときますか」
マツコ「大丈夫ですか?本当に」
地蔵「私もこうやって文字になると、怖くは感じます」
マツコ「じゃあ実際はそんなに怖くないんですか?」
地蔵「怖くないです。3700以上の噴水に出会って気づいたこと。私は噴水が人に見えます」
マツコ「噴水の擬人化ということですね」
地蔵「そうです、擬人化です。いきます、ひとつめ。榊原郁恵さんに見える噴水。オーストラリアのシドニー。エルアラメインの噴水」
マツコ「いやちょっと。また方向性が変わってきたんですけれども」
地蔵「郁恵ちゃんに見える噴水」
マツコ「『アイスクリーム、ユースクリーム』ですよね」
地蔵「はい、『夏のお嬢さん』の郁恵ちゃんです」
マツコ「見えるんですか?」
地蔵「この方が笑っていると、なんかこっちも自然と笑ってしまうような。同じように周りの人たちを笑顔にさせてくれる噴水です」
♪夏のお嬢さん/榊原郁恵
マツコ「ここから説明していただけるのね」
地蔵「やっぱり見てるとこっちが笑顔になっちゃいます。なんか今舞台の上で郁恵さんが歌っているように見えませんか?」
マツコ「ごめんなさい、全然見えないです」
地蔵「そうですか」
マツコ「どちらかと言うと徹ちゃんに見えます」
地蔵「ふたつめいきます。松山千春さんに見える噴水。北海道の札幌市。モエレ沼公園、海の噴水」
マツコ「それも北海道に引っ張られていません?なかなか噴水と程遠い感じですよ」
地蔵「松山千春さんの、なんだろう、歌の中の詩に大いなる愛を感じるものとか。あとはなんか信念みたいなものを感じる」
マツコ「見てから説明をお願いします」
地蔵「いいですか」
♪オホーツクの海/松山千春
地蔵「48メートルの直径なんです」
マツコ「立派な噴水なのはわかります」
地蔵「イサム・ノグチさんが造られた」
マツコ「あの公園自体がそうですもんね。すばらしい」
地蔵「25メートルまで。なんかこう信念が伝わってくるような、一本の」
マツコ「そうですね、まあ先ほどのオーストラリアの郁恵さんよりは、千春さんっぽいかなと思いますけれども、まだ」
地蔵「でもそのために3本用意してあるわけですから」
マツコ「そうね、だから次のがみんなが納得できるような」
地蔵「みんなが納得できるような」
マツコ「これだったらそうよね、あの方よねっていうね」
地蔵「最後は本当に見えるかもしれません」
マツコ「本当ですか?」
地蔵「マツコさんに見える噴水なんです。私にはマツコさんに見える噴水なんです」
マツコ「今のところは良い気分はしないかな」
地蔵「そうですか。でもすばらしい噴水です。世界的にもすばらしい噴水です。全米で」
マツコ「全米に行っちゃいます?」
地蔵「はい。全米でナンバーワンの噴水です」
ナレーション「マツコに見える、アメリカのシカゴ、バッキンガム噴水がこちら」
地蔵「この彫刻物がこれだけ大きいのにも関わらず、一つ一つがすごい繊細なんです。その繊細な上に、その噴き出される水がとても華やかで、大量の水が噴きかかっているんですけど、どちらも雰囲気を壊すことなくバランスが取れている噴水なんです。この噴水は湖から見た顔と、ビルから見た顔では全然違うんですね。いろんな面を持っている奥の深い、そして神々しい噴水だな」
マツコ「はい、そこまでです。とうとう3回目です」
地蔵「やっぱり」
マツコ「あたしもギリギリまで我慢しましたよ。まああとちょっと結論を。ちょっと申し訳ないんですけれども、ちょっと言わせていただきますと、そうですね、全く見えませんね」

~完~