2022/07/05放送

マツコの知らない世界

 https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 


'アニソンに魅了され、日本に移住したイタリア人女性'
ユリコタイガーさん(以下、ユリコ)



ユリコ「こんにちは」
マツコ「あら。あららら。大変、ユリコ」
ユリコ「言うの忘れていたんですけど、イタリア出身のユリコタイガーです。よろしくお願いします」
マツコ「いいんですよ。あたし代わりに言っといたので。なんでユリコなの?」
ユリコ「昔から日本がすごく好きで、実は5歳のときから『ユリコ』、自分で名前をつけたんです。ちょっとバカみたいですけど、日本人になりたくて調べたらね、『ユリコ』めちゃめちゃきれいな名前だなと思って。漢字も調べたら『lily』と『子ども』という意味だったので、その後タイガーもつけました」
マツコ「タイガーはどこから来たの?」
ユリコ「『とらドラ!』逢坂大河からです」
マツコ「ごめんなさい、ちょっともう」
ユリコ「漫画です」
マツコ「あるのね、そういうのが。ちょっとメガネしてみて」
ユリコ「メガネも用意しました。ちょっと頭良さそうに見えるので」
マツコ「これはたまらない人いると思う」
ユリコ「いやー、マツコさんのほうがかわいいな。リアルで見るのはすごい興奮です」
マツコ「こういう嘘とかもちゃんと勉強して」
ユリコ「いや、ないない。私はアニソンにハマって、日本に移住しました。その件に関して説明したいと思います。仕事はコスプレイヤーです」
マツコ「やっぱりさ、ちょっとこれやられちゃうと、かなわないわよね、背伸びしたコスプレイヤーは。こっちは本物のパツキンだからね。カラコン入れてないんだからね」
ユリコ「あ、入れてます」
マツコ「入れてました。ごめんなさい、入れてましたよ」
ユリコ「幼少期、にせアニソンを聞いて育つ。青春期、本物アニソンと運命の出会い」
マツコ「最初に好きになったアニメってなんだったの?」
ユリコ「一番最初は、4歳のときは『セーラームーン』がすごく大好きになりました」
マツコ「『セーラームーン』っていうのはポイントなんですよ。今世界中の女の子、けっこう子どもの頃に『セーラームーン』で影響受けてる人、すごく多いの」
ユリコ「日本と同じで夕方4時とか朝8時から放送されてたアニメはオープニング変えられたんですね」
マツコ「オープニングとエンディングだけ作り直してるのね」
ユリコ「そうです。めちゃめちゃショックでした」
ナレーション「実は当時、海外ではアニメのオープニング曲や映像は、その国の言葉で作り替えられることが多かった。そんな中、11歳のとき日本のアニソンと運命の出会いが」
ユリコ「なぜ好きになったきっかけは、実はね、一番最初お父さんのおかげでした。お父さんはゲームがすごく好きで、6歳くらいに『AKIRA』見せてくれたんだけど、めちゃめちゃショックで。悪夢見て2週間くらい全然寝れなかったんです」
マツコ「まあね。6歳だとね」
ユリコ「その時は一時期『ああヤバい、アニメもう見たくない』って思ってたなんですけど、『マツコの知らない世界』と同じ時間と日だった。火曜日の9時。『アニメナイト』という番組があったんですけど、オープニングとエンディング、そのまま放送された番組がありました。お父さんとアニメを見て『犬夜叉』とか『らんま1/2』とか『カウボーイビバップ』『NANA』とか。けっこうちょっと大人向けのアニメをいっしょに見て、このオープニングめちゃめちゃかっこいい、なにこれって思って。その時初めてアニソンを知ったんです」
マツコ「それはだから8歳のときでしょ?」
ユリコ「はい、ちょうど2000年くらい」
マツコ「8歳ですでにその感覚があったっていうのは、すごいわよね」
ユリコ「ちょっと変な子だったと思う」
マツコ「いやいや、変っていうか、大人だったというか、しっかりしてるわよね」
ユリコ「実は自分のお父さんはマツコさんの同い年です」
マツコ「ちょっと待って。あたしこんな子がいてもおかしくないのね」
ユリコ「あのときはやっぱりどうしても好きなアニソンの『God knows…』という涼宮ハルヒのCDがどうしてもほしくて、フランスまで行って、お父さんと」
マツコ「しかも7000円もしたんだ。こういう時代を経て今があると思うと、感慨深いわね。当時イタリアで日本文化がそこまで好きって人、全然少なかったでしょ?」
ユリコ「確かにいなかったし、けっこうクラスメイトからいじめがあったりとか」
マツコ「日本が好きっていうだけで?」
ユリコ「やっぱり昔、特にイタリアの港町で5歳とか7歳のとき、アニソンが好きって、『おまえ何聴いてるの?』って言われるんですよ」
ナレーション「その後、5000曲以上のアニソンを聴きまくり、19歳のときアニソンを歌って踊れるアイドルになりたいという夢を抱き、日本へ移住。現在はコスプレイヤーを職業に、アニソン漬けの日々を送っている」
マツコ「当時、あたしテレビが好きだからよく覚えているのは、ちょっとマニアな人たちが、例えば芸能人のアニメ好きとかが集まって『あのアニソン最高だよな』みたいな。でも一般の人たちは『ちょっと知らないんだけど、そのアニメ』みたいな。けっこうそのコンテンツをよく見たのテレビで。その記憶があって、それを見ているうちにあれよあれよという間にボカロが大ブームになって。だからもう本当にこの5年間くらいのスピードの速さ。すごいよね」
ユリコ「すごかったんです。実は最近Spotifyというアプリで、こちらなんですけど」
ナレーション「こちらは世界一ユーザーの多い音楽のサブスクSpotifyが出した、昨年海外で最も再生された日本のアーティストの楽曲」

1位「廻廻奇譚」;呪術廻戦、2位「紅蓮華」;鬼滅の刃、3位「夜に駆ける」、4位「unravel」;東京喰種、5位「心臓を捧げよ!」;進撃の巨人、6位「Tokyo Drift」、7位「Black Catcher」;ブラッククローバー、8位「シルエット」;NARUTO、9位「ブルーバード」;NARUTO、10位「怪物」;BEASTARS

ユリコ「赤はアニソンです」
マツコ「もうだからTOP10のうち8曲がアニメの主題歌なのね?」
ユリコ「そうです。Eveとかももう1位になってるんですよ。日本の音楽といえばアニソンでございます」
ナレーション「1位に輝いたのは人気漫画のテレビアニメ『呪術廻戦』第一期第一クール、オープニングテーマ『廻廻奇譚』」
マツコ「LiSAちゃんなんて、アニメを通ってないでLiSAちゃんから入って、アニメを知らずにLiSAの歌を聴いてる人もいっぱいいるま思うし」
ユリコ「いっぱいいると思いますよ」
ナレーション「8位は世界46以上の国と地域で大ヒット、国内発行部数歴代4位を記録。『NARUTO』のオープニング曲『シルエット』」
マツコ「あれ良かったよね、『怪物』。あれあたしアニメは見てないんだけど、アニメを見てなくてもPVが本当に良かったから。これアニメだったり原作知っている人はたぶんこれたまらないだろうなと思いながら見てた。あれ本当にあのオオカミとウサギは出てくるのよね?ああいう物語なんでしょ?あれ良い話ね。だからあたし漫画は知らないんだけど」
ユリコ「いやいや、よく知ってるんですよね」
マツコ「あれ読むわ、あたし」


《日本人にしか作れない89秒のミラクル》


ナレーション「今や国境を越えて全世界で親しまれているアニソン。なぜそこまで世界を熱狂させるのか?日本人に聞いてみると、まとめるとご覧のような結果に」
1位;アニメが人気だから、2位;曲がカッコいい、3位;ノリがいい
ナレーション「しかし実は世界から見たアニソンの魅力は、別なところにあるという。それが」
ユリコ「世界が夢中になるアニソンの魅力。日本人しか作れない、89秒のミラクルです」
マツコ「だんだんキャラおかしくなってきているわよ。かわいいとは変わってきた」
ユリコ「89秒ということはテレビサイズ。この89秒の中でものすごく変化が起きてしまうアニソン、ものすごく多いなんですよ」
ナレーション「この89秒という短い時間で視聴者を引き付けるために、さまざまな要素が詰め込まれ、音楽ジャンルや言語さえもミックス。1曲の中で目まぐるしく展開する音楽は世界的に珍しく、外国人は度肝を抜かれるという」
マツコ「オープニングが短いからだろうね。要はあの短い中にいろんな要素を入れるわけじゃない?1曲の中に。実は自然とやっていたのがアニソンなんだろうなっていう。最近K-POPを聴くと本当にそう思う」
ユリコ「さっきランキングに入っていた『unravel』とかは私は特に大好きなんですけど。ノリがいいっていうか、カッコいいっていうよりは、ちょっと落ち込む曲なんですけど逆にそれがいいんです」
マツコ「もしかしたら今日本の音楽の中で、一番すごく考えて練られて作られてるジャンルだと思う。作家性みたいなものが強くなってってるじゃん、日本の音楽って。だからその作為的なものってあんまり入らなくなってきてるじゃん。でもアニソンはもうめちゃめちゃ考えられて作られてる」
ナレーション「ということでここからは、ユリコタイガーが厳選、世界から見た89秒のミラクルがすごすぎるアニソンをご紹介。まずは」
ユリコ「一番最初、私の大好きな曲。音の国籍が怒涛の変化。『うみねこのなく頃に』オープニング『片翼の鳥』」
マツコ「国籍?」
ユリコ「それはね、イタリア語のオペラまでも使っているんです」
マツコ「ていう歌があるの?」
ユリコ「そうです。アニソンって思わないくらいすごい」
マツコ「今日は本当にあたし知らないわ」
ナレーション「2009年放送、大人気ゲームが原作で、コミックや舞台などさまざまなメディアで展開された、根強いファンも多い名作。大富豪が所有する離島に遺産相続の親族会議のために集まった一同が、台風によって島に閉じ込められそこで大量殺人事件が起こるというストーリー。音の国籍が目まぐるしく変化するポイントにご注目」
♪片翼の鳥
ユリコ「これオペラなんですよね。イタリアのオペラですよね」
マツコ「イタリアのオペラなのね?」
ユリコ「でも急にアジア風の音楽に変わってるんです。私からすると、演歌にちょっと聞こえるんですこれは。でもこちらで急にまた変わるんですよ。イタリア語のオペラ、またアジア。またイタリア語のオペラ。とにかくジェットコースターのような音楽ですよね」
マツコ「どこで見たの?あなたこれ。だんだんかわいくなくなってきたわ。ちょっとヤバい女になってきたわね」
ユリコ「めちゃめちゃ好きよ。初めてこの曲を聴いたとき、『うぉー!』ってなったんです。とにかく大げさ。とにかくすばらしい音楽です。世界にはないんですよ」
マツコ「今聴いていて思ったのは、あたしが初めて『ボヘミアン・ラプソディー』を聴いたときの感覚に近いかも。『ボヘミアン・ラプソディー』ってわかる?QUEENの。バラードから入るんだけど、途中から激しいロックが入ったり、それこそオペラみたいな部分が入ったりとかして、あんまりいろんなジャンルのものが1曲の中に入っているのを聴いたことがなかったから、たまげたんだけど。それに近い感覚なのかな?」
ユリコ「J-POPとか今のK-POPとかもそうなんですけど、カッコいいし確かにノリもいいけど、わかるんですよ、最初から最後のリズムとか。言葉はなんとなく想像ができる。アニソンはマジックの89秒の中でどうなるのかは本当考えられないんですよ」
ナレーション「ちなみに今、89秒の展開のすごさが話題なのが、『SPY×FAMILY』の主題歌『ミックスナッツ』。イントロの重厚なジャズからAメロのテンポ変化にご注目」
♪ミックスナッツ/Official髭男dism

ナレーション「疾走感が増したところでサビに突入。ドラムの松浦さんいわく、この展開によって演奏がトップレベルの難易度になったんだそう」
マツコ「日本でもオタク文化って、10年前くらいもうちょっとマイナーな存在だったじゃん。今完全にオタクってどっちかっていったら、経済を引っ張っていってくれているメインストリームなものになったじゃん?日本とか海外とか関係なしにオタクってものがメジャーになったんだよね、この10年で」
ユリコ「一番大きかった変化はアニソンだと思います」
ナレーション「世界から見たアニソンの89秒のミラクル。続いては」
ユリコ「世界の言葉が融合。ミックスするんですよね。『Wild Side』、『BEASTARS』のオープニング。さっきイタリア語と日本語だったじゃないですか。これは英語、フランス語、日本語です。それだけではなくて英語はフランス語っぽく歌っているんです」
マツコ「なんで?」
ユリコ「それがわからないなんですけど、酔っぱらって作ったんじゃないかなって思ったんですよ」
マツコ「もっとすごいちゃんと計算して作ったと思うわよ」
ナレーション「2019年放送、海外の『アニメアワード』にてベストオープニング賞を受賞した話題作。舞台は肉食獣と草食獣が共に暮らす世界。心優しいオスのハイイロオオカミであるレゴシは、メスのドワーフウサギ、ハルに出会い強烈に惹かれ抱きしめるのだが、果たして彼の感情は恋なのか?それとも?世界の言葉が融合、おしゃれすぎるアニソンがこちら」
♪Wild Side/ALI
ユリコ「よく聴いてください。何語だと思いますか?英語とプラス日本語。これはまず普通ですよね。そのあと急にフランス語と日本語に混ざってくるんです。こちらの英語とか、イントネーションはフランス語っぽいです」
マツコ「すごい人たちなのね、だから。英語もちゃんと話せるけど、それをフランス語っぽいなまりでとかできるのね。すごいね」
ユリコ「これは日本人にしか作れないアニソンだと思うんですよ。本当天才ですよね。Bravissimo(すばらしい)Merci beaucoup(ありがとうございます)」
マツコ「だんだん本心が出てきちゃった」

ユリコ「これは絶対マツコさんが知ってると思うなんだけど。出た!89秒のミラクル。ディティールがすごい。『美少女戦士セーラームーン』のオープニング、『ムーンライト伝説』。やったー!」
マツコ「ほう。改めて」
ユリコ「覚えてますか?なんとなく」
マツコ「ごめん、覚えてるかって言われると」
ユリコ「あのときはコンピュータがまだなかった時代なんですよね」
マツコ「あったけど、今みたいに使われていない」
ユリコ「そうですよね。アニメーターは1枚1枚ずつ描いていたんですよ。『セーラームーン』のオープニングはすごいちゃんと作られている」
ナレーション「1992年放送の、言わずと知れた大ヒットアニメ、美少女戦士セーラームーン。曲と映像が見事に融合した細かすぎるディティールに注目」
ユリコ「まずはこんなに暗かったっけ?オープニングは。これ『セーラームーン』って感じはする?」
マツコ「こんな暗い感じで始まると覚えていない」
ユリコ「でしょ、でも急に変わって『セーラームーン』のロゴも出て」
マツコ「ここからだと思っていた」
ユリコ「そう、でもこのバラをちょっと注意してほしいんですよ。めちゃめちゃリアルな感じはしなかったですか?」

♪ムーンライト伝説/DALI
マツコ「ごめん、全部覚えていないわ」
ユリコ「こちら、バラが開くんですよ。このアニメーションは全部コンピュータなしです」
マツコ「全然覚えてなかった、ごめん」
ユリコ「でもすごくない?おしゃれだけじゃなくて、細かさはもう完璧なんですよ。この音楽のリズムに合わせて」
マツコ「おしゃれね」
ユリコ「ここもピアス。動きとか、髪の毛の動き。すごくないじゃないですか?」
マツコ「ごめんね、ついていけなくて」
ユリコ「目も閉じるんですよ」
マツコ「まばたきしたわね」
ユリコ「これ人間っぽさになるんですよね。すばらしい」
マツコ「個人的な思い入れが相当入っている気がするんですけど。今なんかあたし『セーラームーン』のオープニング見てて思い出したのが『CAT’S EYE』だったわね。あたし読売テレビのあの時間帯の『シティーハンター』と」
ユリコ「おお、お父さんめちゃ大好きだった」
マツコ「あの2つはね」
ユリコ「けっこうディティールズはすごく細かくで作ってたんです。でもあの時で考えると、相当考えて作ったと思います」
マツコ「もちろんさ、世界で競争していくことを考えたら、コンピューターを導入しないと採算が取れなくなってきてるんだろうけど。日本のアニメの手描きってすごいよね。昨日今日始まったことじゃないのよ。もう何十年かけてお父さん世代から日本のアニメに親しんでくれて、ようやく花開いたのよ」
ユリコ「ブラビッシモ。めちゃ感動するんですよ」
マツコ「ブラボーの上よ」


《ただのファンタジーじゃない、心に刺さる社会的リアリティ》


ナレーション「昨今ブレイクしたように思える日本のアニソンだが、実は昔から海外の人の心をつかんでいた。その秘密が」
ユリコ「世界が夢中になるアニソンの魅力。ただのファンタジーじゃない、ストーリーがよりリアルに感じる。日本は争いや差別はあんまりリアルに感じないですけど、外国のほうではお金がない人と持っている人とで分かれてて、争いもあったじゃないですか」
ナレーション「ユリコタイガーいわく、外国人は日本人よりも競争や差別などをより身近に感じており、アニメのストーリーやアニソンの歌詞の捉え方にもそのことが深く関わっているそう。社会問題をよりリアルに感じる海外の人たちに、勇気を与えてきた名曲をご紹介。まずは」
ユリコ「これはお父さんのおかげで聴いていたんですけれど。フランスで視聴率100%を記録。『とべ!グレンダイザー』ささきいさお」
マツコ「100%?あたし知らないもん」
ユリコ「そうなんですか」
マツコ「ささきいさおも知ってるし、『とべ!』『なんとかダイザー!』とか、なんとなくあれ系のものだろうなって想像がつくんだけど」
ナレーション「『マジンガーZ』をはじめとしたロボットアニメが次々に誕生した1970年代。その後、海外でも同じアニメが放送され人気に。しかし高度経済成長を受け勢いに乗る日本国民に対し、ヨーロッパでは東西冷戦のまっただ中。人々は皆緊張と不安の中、生活をしていた。そんな時代にフランス国民に刺さった『グレンダイザー』とは?『マジンガーZ』と同じ永井豪原作のアニメ。生まれ故郷の星を滅ぼされた主人公デュークフリードが、地球の平和を守るためグレンダイザーに乗り戦う。ヨーロッパでは『ゴルドラック』というタイトルで放送された」

♪とべ!グレンダイザー/ささきいさお
マツコ「似たようなものは知ってるけどね。誰か知ってる日本人はいないの?」
ナレーション「放送から40年以上経った今でもイベントが開催されるほど、根強い人気を誇っている」
マツコ「本当すごい」
ユリコ「すっごく人気になった理由はこれなんです。カオスな時代に刺さった正義と愛」
マツコ「どうしてもあのグレンダイザーがよくわからない」
ユリコ「やっぱりこの歌詞とかを見ると、心に刺さるんですよね。『友と誓ったこの平和』」
マツコ「たぶんあのころって、あたしたちにはわからないあれがあったのよ」
ユリコ「争いの時代にいつかグレンダイザーが飛んできて、悪役をやっつけると思うんですよ。私たちにはすごく大事なアニメとアニソンなんです」
マツコ「逆にすごいありがたい。こんなに向こうの人が大事に思ってくれてるのが」
ユリコ「本当?よかったです」
ナレーション「続いては、フィリピンの革命で人々の心を奮い立たせた名曲」
ユリコ「フィリピンで第2の国家ともいわれる⁉『ボルテスVの歌』」
マツコ「ごめんなさい。これも堀江さんもわかるし、近い形のはわかるんですけど。『ボルテスV』だけどうしても、どうしてもわからないんですよ」
ユリコ「なぜこんなに人気があったのかは、こちらのポイントです。自由のシンボル」
マツコ「自由?」
ユリコ「子どもたちはボルテスVが大好きだったんですけど、残念ながらラストの4エピソードだけが中止になってしまいましたんですよ。国からバイオレンス、暴力がありすぎて放送できなかったみたいなんです。マルコスプレジデントって、わかりますよね。そのときは『ボルテスV』放送されて」
マツコ「なるほど、すごい抑圧されてたのね、みんな」
ナレーション「そんな『ボルテスV』打ち切り事件から8年後、当時それを見ていた子どもたちが大人になった年に、マルコス政権を倒すための革命が勃発。当時放送を打ち切られた悔しい思いをした青年たちは、革命活動の最中『ボルテスV』の歌を歌っていたのだそう。いったいどんなアニメなのかというと、プリンス・ハイネル率いる地球侵略軍の侵攻により、地球に危機が訪れた」
ユリコ「プリンス・ハイネル、まじでかっこいいよね。イケメン」
ナレーション「そこで5人の仲間が集結。ボルテスVに乗って侵略軍に立ち向かう」
マツコ「なんかいろんな要素が入りすぎてない?」

♪ボルテスVの歌/堀江美都子
ナレーション「歌っているのはアニソン四天王、堀江美都子。コンサートでフィリピン訪問した際には」
ユリコ「すごいな。これは日本じゃないからね。これフィリピンなんですよ。見て、子どもの顔は。幸せしかないじゃん」
ナレーション「ちなみに、『ボルテスV』はフィリピン警察のトップ、国家警察長官の交代式の式典でも使用された」
マツコ「まじで?もうだから正義の象徴みたいになってるのね」
ユリコ「そうです。『地球の夜明けはもうちかい』って、これ明るく未来を作るためなんですよ。同じ意味なんですよ」
マツコ「『やるぞ力のつきるまで』だしね。命を懸けて戦ったのね。ごめんなさい、全然知らなくて」
ナレーション「さらにアメリカで今大人気なのが『僕のヒーローアカデミア』のオープニングの『ピースサイン』。人々の多くが個性といわれる超常的な能力を持つ世界で、無個性で劣等生の主人公デクが成長していく姿と合わせて、身分や貧富の差が激しいアメリカで、人生どんな立場からも逆転できるという応援歌ととらえる人もいるそう」

♪ピースサイン/米津玄師
ユリコ「ちなみになにか好きなアニメとかありますか?」
マツコ「うーん、あたしはやっぱり『世界名作劇場』の影響が大きいんだよね。わからないでしょ」
ユリコ「わからない」
マツコ「世界の有名な子ども向けの本を原作にして『アルプスの少女ハイジ』、『母をたずねて三千里』、『フランダースの犬』」
ユリコ「昭和アニメ?」
マツコ「うん、もうめちゃくちゃ。あとごめんなさい、あたしが今から言うのは全部昭和よ。宮崎駿さんとかが初期関わっていたのよ。あれの影響はデカかったね、あたしは。マルコが一人アルゼンチンに行く。お母さんを探しに。…はい、もうやめます」


《世界を魅了する日本語の魔力》


ユリコ「世界が夢中になるアニソンの魅力。日本語の響きがかっこいい、コール&レスポンス。日本語は覚えやすいんですよ、歌いやすい。外国人とカラオケオフ会をやったら、みんなあたりまえくらい留学しにきているから日本語はゼロくらいだったんです。しかしみんなめっちゃうまかったんです、歌は。なぜかというと、'あいうえお'とかはよく使うやつじゃないですか。鼻の声なんです。たとえば、英語だと『I want to change the world』、『WORLD』とか『CHANGE』とか、この音はなかなか難しかったんです」
マツコ「巻き舌とかね」
ナレーション「海外の言葉は複雑な舌の使い方・子音で終わるなど、発音に慣れてないと難しい。一方日本語は、言葉が'あいうえお'の母音で終わるため、海外の人からしても発音しやすいという」
♪COLORS(コードギアス反逆のルルーシュ)
ユリコ「これ日本人じゃないでしょ。でもみんな歌ってるやん」
マツコ「発音キレイね」
ユリコ「みんなすごくないじゃないですか?」
マツコ「すごい発音きれい。発音しやすいんだね」
ユリコ「発音しやすいです」
マツコ「意外だった。だから日本語って音に乗りづらい言葉って言われているけど、一音につき一語って思ったら、発音さえ苦じゃなかったら歌いやすいのか」
ユリコ「そうですよね、歌いやすいと思います。もうひとつはさっき言っていたとおり、コール&レスポンスも魅力のひとつなんです。外国だとライブのときは歌手さんといっしょに歌う文化があるなんですけど。レスポンスはない、どっちかっていうと」
ナレーション「海外ではアーティストといっしょに歌う文化はあるが、掛け合いのようなコール&レスポンスはアニソン特有のものだという。そんな中、ユリコタイガーが思うテンションマックスのコール&レスポンスができる意外なアニソンが。曲の合間に最高潮を迎える気持ちいいレスポンスにご注目」
♪ハム太郎とっとこうた
ユリコ「みんな歌ってるじゃないですか、レスポンス」
マツコ「『まわるとうれしいハム太郎』って。こういうことね。日本でもすごい人気のあるアニメだったけど、『ハム太郎の主題歌で盛り上がろう』とはならないわよね。いやでも、これだからなんかさ、二極化しちゃってるじゃん。アニソン的なすごい凝ったものと、ものすごいポピュラーなシンプルなものと。もうちょっと融合した。今YOASOBIさんとかそのへんが始めていると思うけど。もっとアニソンの世界観とか、アニソンの凝った作り方を活かして日本のポップスを作れば、もっとすごいものになるのになって思った。いやこれはだから本当に勉強不足ですわ、あたしたちは。それをすごい熱弁してくれている外国の方がいるっていう現実。世界でこれだけ戦えるコンテンツは、日本には他にないですよ」


~完~