2021/11/23放送
マツコの知らない世界
https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/
'年間1000食!ご飯の代わりに豆腐を食べる女性'
工藤詩織(クドウシオリ)さん(以下、工藤)
工藤「ご無沙汰しています」
マツコ「大丈夫?あ、でもなんか前より健やかになってる感じがするね。幸福を感じる。あ、なんかあった?」
工藤「はい」
マツコ「やっぱり。やっぱり変わる。ちょっと別人に近いよ。映るかな、前回の。これよ。どうした?」
工藤「この番組、前回豆腐の世界で出させていただいたんですけど、番組を観た方からお仕事をいただきまして。そのお仕事をしていくうちに知り合った方と今いっしょに住んでいます」
マツコ「想像通りだったわね」
工藤「前回、お豆腐屋さんを応援したい気持ちで出演させてもらって、年間500軒減っているってお話をしたんです」
マツコ「そのあとどうなの?」
工藤「昭和35年はお豆腐屋さんの軒数でいうとピークで、5万軒くらいあったんです」
マツコ「これはだからお豆腐屋さんだけじゃないよね、もうね。どうなっていくんだろう、この国は」
工藤「そこで油揚げの出番なんです。お豆腐は主食。油揚げは自分の私生活の中ではもうメインのおかずって言っていいくらい、お豆腐と油揚げはあんまり切り離して考えられないくらい。2人は兄弟っていう感じで好きな食べ物なんです」
ナレーション「そう、油揚げは油揚げ用の豆腐を揚げたもの。ほとんどの豆腐屋さんで豆腐といっしょに作られる、いわば兄弟のような存在。そして今、豆腐に比べアレンジが効くことから、油揚げが豆腐業界復活の救世主として大注目されているという」
マツコ「油揚げってけっこう定期的に話題になるよね」
工藤「実際、お豆腐屋さんも油揚げに最近力を入れているっていうのが事実としてあるんです。たとえば希少な大豆、あんまり油揚げには使わなかったような珍しい大豆(『秘伝豆』)をあえて使ったり。あとは油を昔はできるだけコストを抑えられるように選んでいたところを、あえて国産の高級な油に変えたり。極め付けが、油揚げのイベントっていうのが福井県で2019年から始まったんですよ(『あげフェス』)。これはお豆腐屋さんが主催してるんですけど、食べ物として興味を持っていただけたら、豆腐屋さんで買ってみようかなってなるきっかけができるのかなと思って。うふふふふ」
マツコ「なにやっても幸せそうだね」
工藤「油揚げの魅力をまずひとつ。中はフワフワ、外はカリカリなジューシー感。私の中で料理に万能に使えるっていうのは、ありがたいオプションなんですよ。揚げ物としてそもそも完成されているものだと思うんです。それをまずはお料理にいろいろ使う前にダイレクトに味わってもらいたい」
マツコ「揚げたては難しいじゃない?一回ちょっとあぶって。グリルじゃないのよ、魚焼き器ってあった。昔ね。それでコンロの上にそれを置いて」
工藤「けっこう焼き目も」
マツコ「そうそう、しっかりつくやつ。納豆を中につめて焼かなかった?」
工藤「ああー、大好きです」
マツコ「あたしも大好き」
工藤「まずは油揚げそのもののジューシー感を味わっていただきたいと思いまして。こちら『とうふ工房ゆう』さん。東京都青海市にございます。こちらなんですけど、全国豆腐品評会でよせとうふで金賞をとっている。豆腐ではかなり実力はのお豆腐屋さん。ここが豆腐もそうなんですけど、油揚げに本当にこだわっているんです。ゆうさんで使われているのが新潟県産の青大豆。緑色の鮮やかな大豆で、この青大豆って糖度が高くてたんぱく質が少ないっていう特徴があるので油揚げに」
マツコ「この間、ちょうどきな粉をやったのよ」
工藤「甘さがすごくなかったですか?」
マツコ「だからもう全然違った。普通の大豆と」
工藤「違いますよね。やっぱ青大豆で揚げるとこれだけ色も鮮やかになるんですけど、やっぱ油揚げは難しいです」
マツコ「なんかこう、野菜感が強くなるよね」
工藤「そうですね、枝豆のような香りが。この甘味とジューシー感が抜群な油揚げがあるので、召し上がってみてください」
マツコ「ありがとうございます。うわ、おいしそう。ちょっとじゃあいただくわよ。これまずお塩が良いかな」
工藤「お塩がご主人オススメ」
マツコ「ああー、ウマい」
工藤「よかった」
マツコ「味がすごい濃い。これはもったいないからこのままがいいと思う。ちょっとお醤油でも食べてみよう」
工藤「実はポン酢なんですよ」
マツコ「あ、ポン酢なのね」
工藤「ご主人がこの青にはポン酢って言ってた」
マツコ「でもポン酢つけても負けないね。すごい、この豆が濃くて」
工藤「お豆腐屋さんの意図としてももう焼いて、そのままシンプルに食べてほしいっていう気持ちで作ってる油揚げもどんどん増えているというか」
マツコ「これでも相当おいしいわよ。いやー、ちょっとやだー、あっという間に食べちゃったわ」
工藤「ああ、よかったです。こういう油揚げってお豆腐屋さんでしか出せないっていう味だとわかっていただいたと思うんです。お豆腐屋さんがどれだけその油揚げ作りに手間をかけているかっていうのを表す言葉があって。『豆腐は3年、油揚げは10年。豆腐屋さんは油揚げが作れてようやく一人前』」
マツコ「そんなに難しいの?油揚げ作るのって」
工藤「これはいろんな職人さんから聞くんですけど、お豆腐は工程がひとつひとつシンプルで、そのシンプルな工程を極めればおいしいお豆腐が作れる、道が見えてくるんですけど。油揚げは生地を作って揚げるところまでを全てうまくできたと思うまでに本当に時間がかかる。だからさきほど日本一をとったゆうさんでさえ」
マツコ「お豆腐のほうが大変そうに感じるけどね。実は知らないよね。豆腐を薄く切ってるわけじゃないのね」
工藤「じゃないんです。このお豆腐屋さんは油揚げのお豆腐のことを生地っていうんですけど、この生地は豆腐と比べて豆乳の濃度を薄くしています。そのぶん生地に空気が入るので、膨らむようになるんです。生地を固めるときにがりを入れてるんですけど、その日の水温だったり」
マツコ「厚揚げは豆腐を揚げてるだけ?」
工藤「そのとおりです」
ナレーション「そして油揚げ作りで一番大変なのが、型に入れて水分を取り除く作業。まずは専用のケースをのせて30分ほど置き」
工藤「これを重しを何段階にも少しずつ重くして水を抜いていくっていう作業。この水抜きもかなり大変で、時間がかかるんですよ。最後、これプレス機っていう機械を使って、これトータルでいうと2時間」
(5キログラムのおもりをのせて、さらに30分。氷水と豆腐の生地をのせて1時間。仕上げにプレス機を使って30分)
マツコ「知らなかった。もっと感謝して食べないとダメだった。本当に49年間、薄く切った豆腐を揚げてるんだと思っていた」
ナレーション「生地を均一にカットしたところで、いよいよ揚げる工程。油揚げをおいしく仕上げるには二度揚げしなければならず、これまた手間がかかる」
工藤「これ揚げるのも二度揚げなんです。まずはこののばしっていう作業で低温でまず膨らます作業が入ります。そのあと高温の油に移して、からしというんですけど、カリっと仕上げていく。これもうずっと揚げ場に立ちっぱなしで揚げていきます。職人さんによっては5時間くらいは生地から揚げる作業までかかってる」
スタッフ「お豆腐と油揚げ、どちらが大変?」
とうふ工房ゆう店主、大久保裕史さん「100%油揚げ。生地作るだけじゃなくて、揚げなきゃいけない。温度で全然味が変わっちゃう。すごい大変です」
工藤「分厚い油揚げなんかは沈めて押さえながら揚げないと浮かんできちゃうので。機械で道具で押さえながら揚げるっていう、沈め揚げという揚げ方があります。そうすると中心まで。あと福井と逆で京都に行くと今度浮かせて揚げるんです。浮かせて揚げると中心がしっとり残ります」
マツコ「これはあたしもうちょっと感謝して食べるわ、油揚げを。どこかで切って揚げればいいんだもんねっていうのがあった。ごめん。これ本当にちょっとびっくりした」
《ジューシー感がすごい!全国ご当地油揚げ》
ナレーション「そもそも精進料理として肉の代わりに生まれた油揚げ。全国各地で独自の発展を遂げ、様々な形や厚さに進化。そこでまずは工藤さんオススメの全国のご当地油揚げをご紹介」
工藤「正直もっといろんな油揚げがたくさん載りきらないくらいあるんですけど」
マツコ「あたしこれいただいたことないと思うよ全部」
工藤「ひとつのお豆腐屋さんがこの形を作っているわけではなくて。たとえば東北、北陸、北海道のほう」
マツコ「確かに三角だね。厚くて三角だよね」
工藤「一説によると三角形のほうがフライヤーに収まりやすかったり作りやすかった」
マツコ「そんな理由なの?そうなんだ。鋭角になるじゃない?この四角よりも。そこがおいしい。カリカリ感が強くて」
工藤「結果、角がカリカリでおいしい油揚げになる。やっぱりこういう厚みのある地域は、煮物に使ったりですとか、味を吸い込ませて食べる食べ方をしている地域でもあります」
マツコ「すごいわね、この西と東で全然違うね。超薄くなるのね、西に行くとね」
工藤「たぶん一番この中で薄いのだと、これ意外なんですけど、石川県。金沢なんですよ。金沢は意外とお料理の特徴で薄いものを使うんですけど」
マツコ「でも確かに金沢のうどんに入っていた肉いなり、めっちゃ薄かった。肉いなりはあれで作るとめちゃおいしいと思う」
工藤「あとは乾燥しているタイプの油揚げって見たことありますか?」
マツコ「ない」
工藤「実はこちらにあるんですけど、真ん中に。松山あげ、南関あげあたりは」
マツコ「松山あげ食べた。友近ちゃんにもらったの。そうそう、松山あげ食べた。めっちゃおいしい。なんか本当にお菓子みたいに食べてもおいしいんだよね」
工藤「カレーに入れたり」
マツコ「カレーに入れるの?」
工藤「はい、南関あげとか松山あげ、カレーに入れてもすごいおいしいですよ。ここらへんも昔、保存の問題で水気があるものってだめになりやすい」
マツコ「確かにね。水分が腐る原因だからね」
工藤「そうなんです。だから油揚げも常温で長く保存できるようにと生まれた油揚げ」
マツコ「それでああなってるんだ。急にどうしたの?」
工藤「すみません、今すっごい口なめちゃって」
マツコ「急にリップ気にして。なんか変わったわね」
ナレーション「他にも麩菓子に似たフカフカ食感の『あげ棒』(埼玉県、とうふ工房わたなべ)や、厚揚げと油揚げをミックスした『大和あげ』(奈良県、梅本とうふ店)など、さまざまな進化を遂げる油揚げ。中でもジューシー感がすごい工藤さん激推しのトップ3が」
工藤「本当に今油揚げって戦国時代のように、油揚げが有名な場所ってたくさんあるんです。中でもひとつめは宮城県。こちら『とうふ処豆達人』さんの三角油揚げです」
マツコ「サンドウィッチマンさんがよく紹介しているところとかもあるよね」
工藤「定義山にその場で揚げたてがたべられるお店があって。そこが非常に有名なんですけど。お取り寄せする観点で今回オススメしたいのが、この豆達人さん。こめ油で揚げててすごく油切れがよくて、あぶって食べる油揚げとしておいしい」
マツコ「そのほうがカリカリもいいよね」
工藤「もうひとつ、京都府の『久在屋』さんの京揚げです。京都の油揚げの特徴はこの大きさ。細長くて大きい。ここの久在屋の場合は、油が菜種を2種ブレンドしている。もう最初から、油の風味や香りを楽しんでもらうために作っている油揚げなので。もう究極、シンプルに食べてもらうのがおいしい油揚げです。最後が『岸田食品』さんの大判あげ」
マツコ「ようやくこのデカいの食べられる」
工藤「見た目からざぶとん揚げとも」
マツコ「本当にすごいのよ。これとご飯とお味噌汁で食べる。みんなね。ちょっとあたしたちの感覚だと『えっ?』と思うんだけど」
工藤「やっぱりこの福井はもう根付いている食べ方がありまして。あげおろしそば」
マツコ「定食じゃないのね」
工藤「どちらかというと定食屋さんは油揚げ屋さんが油揚げを新しく提案している」
マツコ「油揚げを推すために定食にした。福井でもめずらしいんだ。そうなんだ」
工藤「なので今回は初体験かなと思いうんですけど、あげおろしそばを」
マツコ「うわ、うれしい。やっと食べられる。あのデカいの。でっかいわね。うん、すごいねこれ。存在感が。今まで食べたことない、この油揚げは。めっちゃずっしり。つぶれると思って口の中に入れたけど。ほぼこれ。これはおかずになる。おいしいわ」
工藤「よかったです。天ぷらが乗ってるそばのような感覚で、けっこうボリューム」
マツコ「天ぷらどころの騒ぎじゃない。なんて言ったらいいんだろう。ものすごい噛み応え。試されてる感じ。おまえはこれとどう向き合うんだ、っていう」
《油揚げ界のニュースター、味付け系油揚げ》
工藤「次は油揚げの魅力その2を。出汁を吸い込む包容力。油揚げってそのまま食べてもおいしいっていうのもお伝えしたと思うんですけど。中がスポンジになっているからこそ、うまみ・出汁、いろんな調味料を吸い込む包容力があると思ってるんです。その中でも最近のニュースターともいえる存在があって。味付け系」
マツコ「味が付いた状態で売ってるの?」
工藤「そうです。代表的なもので言うと、お稲荷さん用の油揚げ」
マツコ「あれは昔からあったよね」
工藤「はい、今そういうお稲荷さん用の味付け系はけっこう今までもたくさん売ってるところが見られると思うんですけど、最近そのまま食べるために味をつけている油揚げが増えている。それをちょっとご紹介したいと思います」
マツコ「全然知らなった」
工藤「味をジャンルで」
マツコ「あげづげ(岐阜県、陣屋とうふ古川屋)は知ってる。これ前スーパーの人が持ってきてくれたやつだよね。おいしいよね」
工藤「あぶってもあぶらなくてもおいしい。これたぶんけっこう番組の効果ですごいいろんなところで買えるようになった。他にもまあ最近いろいろあるんですっていうので」
マツコ「キムチは。大丈夫?これ、味。油揚げの味ちゃんと残る?」
工藤「ここ(新潟県、『栃尾豆庵』)のキムチ漬けは油揚げの味をしっかり残す程度に」
マツコ「じゃあそんなに激しめじゃないんだ」
工藤「もともと栃尾に行くとキムチのソースをかけて食べられるようなお店とかもあったりして、ちょっとピリ辛で食べるような感覚。あとはさっき食べていただいた福井県の油揚げの『谷口屋』さんっていうレストランをやっているお店です」
マツコ「なにこれ。出てくる?ありがとう。これすごいね」
工藤「揚げる前がその谷口屋のおあげって、真ん中の段の真ん中です」
マツコ「これがこれになってるの?」
工藤「そうです。これをを50分間煮た」
マツコ「50分間も煮たの?わかる?これ色がもう。…なつかしい。昔ってこの味の煮物が食卓の8割くらいを占めてたよね。なつかしい。このちょっと濃いめの。いいね」
工藤「こういう味がずっと残ってほしい」
マツコ「やっぱり自炊しよう。出前館もスーパーゴッド取れた。スーパーゴッド取ったわよとうとう」
ナレーション「他にも刻んだシイタケ・ネギを赤みそでサンドした名古屋あげ(愛知県、『豆腐処味匠くすむら』)や、粒こしょうのパンチが効いた京あげ(愛知県、『豆粋』)、さらにはスナック感覚で食べられるお揚げさんチップス(京都府、『AMAIMON KYUZAYA』)など、今大注目の味付け系油揚げ。中でも工藤さんが欠かさずストックしているオススメが」
工藤「これが味付け系油揚げの究極。宮城県『びいんず夢楽多』のみそづけ油揚げ。お味がいくつかあるんですけども、私が今回一番気に入っている辛口を持ってきました」
マツコ「3切れで出すこともなくない?ちょっと引きで見るとイカかみたい。つまみ。すごいのが、これだけけっこうしっかり味付いてるけど、ちゃんと大豆感はあるんだよね」
工藤「そうなんです。中の油揚げがけっこう肉厚で、味付けの濃さに負けない。味がしっかりある」
マツコ「皿についたやつでいける」
工藤「先ほどのはけっこう煮込んであったと思うんですけど、できあがった油揚げに味をしっかり漬け込んでそれを焼いて食べるんです。袋に入っているので、少しだけタレが残る。そこにネギを刻んで入れてそれを炒めて、今度お肉とか焼いて食べてもおいしいから、全部一滴残さず使いたくなる。『うわっ、新しい』っていうよりは、『これだったら定期的に食べたいな』」
マツコ「と思います。あとやっぱりそれが油揚げの魅力じゃない?このなんて言うんだろう、定番の味との組み合わせ。油揚げって合わない味ってないんじゃない?と思います」
《一度でいいから食べてほしい!究極の揚げたて油揚げ》
工藤「最後にお豆腐屋さんに足を運んでみたくなる秘策。一度でいいから揚げたてを食べてほしい」
マツコ「何時くらいに行けばいい?朝だよね」
工藤「お豆腐屋さんは冷蔵で油揚げを販売しないといけない」
マツコ「無理なんだ、フライヤーからは。さっきみたいにレストランみたいな形でやってるところはいいけど、いわゆるその場で飲食店としてやってないところはおかないとだめなのね」
工藤「そうなんです。やっぱりお豆腐屋さんに行くと、今は冷ましたものしか買えないんですけど。実は日本の中でも新潟県の長岡の栃尾と呼ばれていたエリアです。あちらに行くと」
マツコ「たぶんご当地油揚げの中で一番有名なんじゃない?」
工藤「現地に行くとイートインできる場所が何店舗もあって。どうしても今回最後マツコさんには揚げたてを食べていただきたい」
マツコ「来てくださってるの?」
工藤「裏で揚げていただいている」
マツコ「やだうれしい」
あげ家松兵衛生会長、大橋正和さん「マツコさん、詩織さん、アツアツをお持ちしますね」
マツコ「ありがとうございます。今日わざわざ長岡から来てくださったの?」
大橋さん「そうです」
マツコ「ありがとうございます」
工藤「この道40年、年間100万本、栃尾揚げを揚げている」
大橋さん「まだ40年の駆け出しです」
工藤「駆け出し?」
マツコ「饒舌な方ではあるわね。ちゃんとだって箸、すごいねあれ」
工藤「太い箸なんです。油揚げは穴が開いてしまうと、うまく揚がらないので」
マツコ「なるほど。だから傷つけないように。けっこう手間かかるんだね。あんなに頻繁にひっくり返すんだね」
工藤「そうです。油を上からかけたり」
マツコ「なるほど。均等にしないと」
工藤「ひっくり返してあと位置を変えたりっていう」
大橋さん「完成です」
工藤「あ、完成」
マツコ「けっこう色が薄いね」
工藤「すごい松兵衛さんのはきれいな」
マツコ「でも角がきれいに出てて。すごいね。あー、来た。うわ、今日なにこれ?いっぱいある、薬味が」
工藤「松兵衛さんに行くと、トッピングが選べます。今回は全部ご用意しましたので。えっ、私もいいんですか?聞いてない。本当にいいんですか?」
マツコ「まずはシンプルに」
工藤「まずはマツコさんが召し上がってください」
マツコ「揚げたてのほうが油が軽い。全然油っぽくない。油で揚げてる?ってくらい」
工藤「みなさんがご存知の栃尾の油揚げの油の切り方は、串に刺して吊るす。縦のスペースを有効活用して油を切っていくっていう作業があるんですけど。松兵衛さんは穴をあけない油の切り方をしているので、端から端まで厚みも均一ですし、かつ中がシュワッとやわらかい。何が一番オススメですか?」
大橋さん「大根おろし、ぜひ食べてもらいたい」
工藤「あと大根おろしの手前にあるのが神楽南蛮っていうこの地域の唐辛子。辛いお味噌」
マツコ「その前に大将がおろしで食べてほしいって言ってたから、ちょっとね。大将に背いてまでなんとか南蛮を食べるわけにはいかなかったわ。ごめんね、次ね。大将が言ったから今。…おろしだわ。いくわよ。これはなに?」
工藤「神楽南蛮っていうピーマンみたいに見える唐辛子があって」
マツコ「こんなもんでいい?お酒はこれかな。これをちょっと塗って焼いてもいいね。ウマい。おいしかった」
工藤「揚げたて、どうです?」
マツコ「全然違う。あの人誰?」
工藤「息子さん」
マツコ「息子?」
工藤「はい、社長です」
マツコ「育て方間違えたわね。イケイケになっちゃってるじゃん、息子さん」
あげ家松兵衛社長、大橋剛さん「いっしょにハワイも行きました」
工藤「社長といっしょに。言い方が変です」
※ハワイは栃尾揚げのPRの仕事です
マツコ「お父さんががんばって油揚げを揚げた金でハワイなんかに行きやがって。まずはお父さんについて、ちゃんと揚げられるようになってからやりなさい。それまでハワイ禁止」
~完~

