2021/09/28放送
マツコの知らない世界
https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/
'パントマイムで30年世界35か国で公演するパフォーマー'
が~まるちょばさん(以下、が~まるちょば)

が~まるちょば「お会いしたかったです」
マツコ「いやいや、こちらこそ。パントマイムってなに?改めて聞かれると。不思議よね、よく考えたら。パントマイムって。得体の知れないものよね。いったいどこまでがパントマイムっていうのか」
が~まるちょば「それを紐解くために。言い番組ですよこれ」
マツコ「あれ(東京五輪開会式)おもしろかった。本当に」
が~まるちょば「あれパントマイムじゃないっていうか、パントマイムの一部なんですけど、氷山の一角なんです。言葉を使わないというくくり」
マツコ「そういう意味のものではあるなと思ってた。あんまりあれをパントマイムだって」
が~まるちょば「マツコさんはいろんなことを知ってらっしゃるから、そうやって認識できるんだと思うけど、世の中的にはあれをパントマイムだと思ってしまう人だったりとかがやっぱり多いんです。その誤解を解くために今僕はここにいるという」
マツコ「逆にあれをやっちゃったからこそ。あれは別件のお仕事ですっていうね」
が~まるちょば「あれはあれ。だって僕出るつもりなかったんですもん。作るだけで」
マツコ「あれなかなかの精鋭でしょ?」
が~まるちょば「後輩です」(GABEZ)
マツコ「カメラのほうが追いついてなかったもんね」
が~まるちょば「カメラを僕がやったんです」
マツコ「それがまずかったんじゃない?カメラは本職の人にやらしたほうがよかったんじゃない?ちょっとこれはっきりしてほしいわ」
が~まるちょば「いっちゃいますか。では、パントマイムは歴史もすごいぞ。起源。始まりは古代ギリシャ。『全て(パントス)をまねる人(ミモス)』」
マツコ「こういう意味なのか」
が~まるちょば「王様の前で一人の人が身振り手振りでやったのが起源って言われていて。言葉として『パントス、全て』『ミモス、まねる』という2つの言葉が合わさってパントマイムっていうものが生まれた。流れ流れてですね、16世紀から18世紀くらい。ご存知かもしれないですけど『コメディア・デラルテ』っていう」
マツコ「それで広まったんだ?」
が~まるちょば「文献ですよ。僕もわからないですけど」
マツコ「そりゃそうですよ。生きてたら大変ですよ」
ナレーション「コメディア・デラルテとは、16世紀頃からヨーロッパで流行した即興演劇で、商人や老人など決まったキャラクターで世相などを風刺するコメディー、いわゆる喜劇。実は現在のピエロもこのキャラクターが元だと言われている」
が~まるちょば「このときはまだ無いものをあるように見せるようなテクニックとかではなく、言葉を使わずに、ヨーロッパって多言語ですから」
マツコ「演者さんみんなパントマイム的な、ジェスチャー的なことをされてたんだ」
が~まるちょば「そこからどんどん流れて、たぶんマツコさんご存知だと思いますけどマルセル・マルソーという。フランスの方ですけれども今でも日本ではパントマイムっていうとフランスのっていうイメージがあるかもしれない。こんな流れもあったりとかして」
マツコ「フランスというか主にパリだけど、あの時代のシャンソンとかもそうだけど、なんだったんですかね。独特な、おしゃれでしたけど全部」
ナレーション「パントマイムは中世ヨーロッパで起こった喜劇をベースに、アートな要素がミックスされていったそうなんです」
《パントマイムに隠された超細かいテクニック!》
が~まるちょば「パントマイムが究極のアートだと思う理由1、フェイクをリアルに感じさせる超超繊細さ。簡単に言うと、ジャスチャーとパントマイムのなにが違いますかっていうことが、わかるかわからないか」
マツコ「もちろんこれがうまいに越したことことはないけど、壁がここにあったからこの人がどう思うかなのよね」
が~まるちょば「正しい。もうパントマイムアーティスト」
マツコ「いやいや、違いますよ」
が~まるちょば「それをこれから紐解くわけですけど。6つほど、有名なパントマイムといえば。壁・ガラス、ドア、コップ、ロープ、歩く、エスカレーターとかありますけれど。これ用いながら、マツコさんにパントマイムとはっていうことをお教えできたらなと思うんですけれど。なにかやりましょうか」
マツコ「せっかく目の前で見せていただけるんだったら、やっぱりエスカレーターなのかな。エスカレーターはパントマイムか?」
が~まるちょば「テレビ的に。ほらほらほら」
マツコ「上手。いやだから上手ってものよね。テクニックはパントマイムの一環だけど、表現としてのパントマイムとはまたちょっと違う」
が~まるちょば「僕らパントマイムを生業にしている人間は、ここにエスカレーターがあるように見せるだけではなくて、『ああ、ヤベ』って感情を動かしてなにかを表現しなければいけない。この技術を見せるんじゃなくて、この人がおもしろくならないといけないってことなんです。たとえばロープなんていうのも、このロープの先にどんなものがあるのかっていうのを感じる。ここだけで完結しないで、『あれ?ロープの向こうがどうなっているんだろう』っていうふうにやると、表現がどんどんデカくなってくる。『あ、引っ張られる。え?』ってやると、見ている人がここだけでなく向こうも想像してくれる。こんなにすばらしい」
マツコ「すごい。そういうことじゃないって言われてもやっぱりテクニックを見てしまうわよね」
が~まるちょば「もっと言うと、もっとおもしろい話すると、引くっていうのは自分の意思だから、重心が動いてから相手に力が伝わる手が動く。引っ張られるっていうのは相手の力が伝わる手、ロープから力が伝わる。動きの順番っていうのがあるんです」
マツコ「どっちが先かで、見てる人がリアルに感じるか感じないかの差が出てくるのね」
が~まるちょば「これが手が動いてから軸が動くと、相手に動かされてるって感じ。同じ動きなのに」
マツコ「突かれてるみたいだもんね」
が~まるちょば「逆に引っ張られるっていうのは、相手の力があって引っ張られる、軸が動くなんだけれど」
マツコ「あたしちょっとわかってきたわ」
ナレーション「テクニックの種類には、リアルに想像させるためにあえて現実ではやらない動きを取り入れることも」
が~まるちょば「お手玉」
マツコ「どういうこと?」
が~まるちょば「お手玉ってリアルにやったらこんな感じでできると思うんですけど、これを無いものを見ている人に感じさせるためには自分が見なきゃいけない。ひとつ見るだけで、ここに物が見えてくる」
マツコ「普通、自分でこうやってお手玉とかジャグリングとかするときって、あの目の動きじゃないもんね」
が~まるちょば「違いますね。予測してこうやるわけだからこうなっちゃうけど、こうするとこれが見えなくなってくるから、ちゃんとあるものを見ないとだめなんです。今の世の中、CGとかでなんでもできるじゃないですか。だけれどパントマイムは映像のあれも使わずに、見るっていうことを使えばこういうこともあるものできる。ありえない動きっていうのは。こんなこともできる。これはやっぱりマイムのすごさだったりとかはするんです」
マツコ「確かに」
が~まるちょば「じゃあ次。こんなこともできるね。重いカバン」
マツコ「これはもう十八番じゃないのよ。出た。この印象強いのよあたしたち、が~まるちょばさんね」
が~まるちょば「僕らが発明したものではなくて、昔からあるものなんですけど。壁とかと同じように物が動かないっていう」
マツコ「これ間近で見るとすごいね」
が~まるちょば「『重いカバン』って書いてありますけれど、これ重いわけじゃなくて実は軽いの。本当は軽い。これで引っ張られたり。急に重くなったり。重いカバン」
マツコ「やっぱりテクニックに目がいっちゃうね。こういうのだとどうしてもね」
が~まるちょば「テクニックだけだと5分です。僕ら舞台では2時間くらいやりますから」
マツコ「2時間もやるの?」
が~まるちょば「それを引き付けるためにはテクニックだけじゃ無理。テクニックだけっていうか、本当のテクニックを身につけないと」
《万能パフォーマンス!ここにもパントマイム》
が~まるちょば「パントマイムが究極のアートだと思う理由2。ありとあらゆるものに応用される万能さ」
マツコ「日常生活とかも含めて、パントマイム的なことをしないとやってれないんじゃないかと、人間は。(飲みに行く?)とかもパントマイムで。ドロンはさすがにやらないわよ、最近。いつの時代よ。『私先にドロンさせていただく』、やらないよ。(飲みに行く?)もけっこうギリギリだよ。(飲みに行く?)(だめだめ、嫁が妊娠中だから)」
が~まるちょば「ウマい」
マツコ「ウマくないよ、これはみんな」
が~まるちょば「一応これはジェスチャーじゃないですか。だけどちゃんと見てる人が気持ちが動いてくれたらマイムです」
マツコ「マイムしてたわよあたし」
が~まるちょば「ちょっと例を挙げてみました。こんな感じで。が~まるちょば的、こんなところにパントマイム。大道芸、スタチュー。スタチューっていうのは銅像っていう意味」
マツコ「あたしこれ好きなんだよね。これやってる人の前でずーっとこっちも動かないで。ずっと見てるとちょっと迷惑そうな雰囲気になってくるの。あれ好きなの。最低でしょ」
が~まるちょば「そしてコメディー、チャールズ・チャップリン」
マツコ「チャップリンとかMr.ビーンとかは王道だよね」
が~まるちょば「ビーンなんかは、ロワート・アトキンソン。彼は普通の役者でセリフ芝居ももちろんやるコメディアンなんだけど、彼はビーンという中では言葉を用いずに笑いを生み出そうとしている形ではやっぱりマイム。多様化しているなというふうに僕には思えたりします。これ大発明だと思いますよ。飛行機の中でいろんな国の人たちが乗ったり、目の前に映るじゃないですか、映像が。それでビーンが流れてると」
マツコ「確かに飛行機の中で『Mr.ビーン』が流れている率高いよね」
が~まるちょば「どんな国の人でも理解できるっていうことですよね」
ナレーション「無声映画時代の喜劇王チャップリンは、名作『街の灯』の冒頭で自らの表現をパントマイムでおこなっていると語った。そしてダンス部門のマイケル・ジャクソンは、パントマイムの神様マルセル・マルソーと親交が深かったことも有名で、あの一世を風靡したムーンウォークもマルソーのパフォーマンスから着想を得たという説も」
が~まるちょば「ロボットダンス。僕ロボットもやるんですよ。こういうのを使って」
マツコ「それなんですか?」
が~まるちょば「笛」
マツコ「ロボットダンスって確かにそうよね。けっこう日本の音楽の振りにも取り入れられてる」
が~まるちょば「今の若者が食いつく欅坂46。これを振りつけたTAKAHIROさんっていう方。ちょっとお話をうかがったんですけど、やっぱりマイム的な要素を利用させてもらいました。さっき言った壁とかを利用した空間の固定とかっていう形で。今だったら腕ですね。腕の部分を移動させずに固定させて振りつけるっていうことで、なにか効果を出したりってことをご自身でおっしゃられていた。こういうところでも活かされている」
ナレーション「形を変え、さまざまなジャンルで応用されるパントマイム。そんな中、が~まるちょばさんがマツコにぜひ知ってほしいと訴える、パントマイムによる無言劇」
が~まるちょば「パントマイムって舞台セットとかも使わないし、言葉も使わないのも理由があって、セットを使うとそれひとつになっちゃうんですね、観ている人のイメージが。だけどパントマイムは何も使わないことで、観ている人の経験だったり想像力で背景を感じてもらう。だから小さい子どもも楽しめるし、おじいちゃんおばあちゃんも楽しめる。その二人が見ているものが違ったものに見えてくるすばらしさっていうのがパントマイムなんです。マツコさんにそのパントマイムを知っていただくために、コメディーじゃないパントマイムを生で見てほしい。『追う者、追われる者』。ひとりでやるんですけど、しゃべらずにやる。パントマイムってできないことなんですか?ってよく聞かれるんです。たとえばこうやって『おいしい』とかは伝えられる。だけどこれがあんぱんだったりジャムパンだったりうぐいすパンだったりとかは伝えられないんです。だけどタイトルでこれが『うぐいすパン』ってタイトルがついたら、これはうぐいすパンになるんです。実は作品のタイトルっていうのは唯一許されている言葉の情報になる。今回『追う者、追われる者』。二人いるの?一人しか出ないのに、とか。そういうヒントが隠れていたりとか」
マツコ「その髪でやるの?」
が~まるちょば「かぶります」
(パントマイム「追う者、追われる者」)
が~まるちょば「わかりました?」
マツコ「もちろん。どっちが悪い人なんだろう、どっちが良い人なんだろうっていうのも、見ようによっては悪いやつが追いかけてるようにも見えるし、刑事さんが追いかけてるようにも見えるし。こんなにもいろんな印象を変えることもできるし、受け取り方も変えることができるしっていうのを、すごいなって思った」
が~まるちょば「その自由の広がりがパントマイム。ありがとうございます」
マツコ「あとそのヅラをかぶると、銀行の支店長にも見える」
~完~
