2021/06/22放送

マツコの知らない世界

https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 


 

'浅草グルメを17年間食べてきた芸人'

木曽さんちゅうさん(以下、木曽)



木曽「よろしくお願いいたします。今日テーマが浅草のグルメ」

マツコ「浅草芸人さんは若いころから修行に入って、それこそお金もなかったときによく女将にごちそうしてもらったよみたいな話だから。17年ってことは、もういい歳になってから浅草と関わるようになったのね?」

木曽「そうですね、33の時にWコロンというコンビで浅草に出入りし始めたので」

マツコ「よくいけましたね。あたし今疎遠になっちゃってて、疎遠になっちゃうとけっこうハードル高い街じゃないですか?」

木曽「浅草行きだしたときは、あか抜けた雰囲気と違ったので」

マツコ「まだ違いましたよね?17のときヤバかった。ヤバかったっていうとあれだけど。なかなかディープでしたよね、浅草って」

木曽「歩道に縦に寝てるおじさんとか普通にいましたよ。33歳のころなんですけれども、Wコロンというコンビを結成して、この時点で初めて浅草を拠点として活動を始めることになります。このときの浅草グルメっていうのがこちら。師匠方に『アリゾナキッチン』でおごってもらう日々。ここがグルメとして初めて深く接するお店って感じですね」

マツコ「浅草の師匠方が出入りしてるとは思えない、ちょっとこじゃれたお店よね」

木曽「永井荷風さんが千葉県市川市に当時住んでたらしいんですけど、わざわざアリゾナキッチンに行くために通っていた」

マツコ「すごいね。おしゃれね。だからおしゃれなのよ、浅草って」

木曽「僕よくここでかわいがってもらうようになったのは山田邦子さんとか。よくいらしてて。そして一芸であったなぞかけでテレビとかにも出られるようになりました。この時期に実は行けるようになったお店があります。老舗の洋食屋さんなんですけれども、『ぱいち』。今三代目が後を継がれてるんですけれども、有名なのがビーフシチュー。2週間くらいだったかな、煮込んでお肉もホロホロになるような。メンチカツ、これ僕大好きで。メンチカツってなんか肉汁がジュワーってい表現があると思うんですけど、これ肉汁ジュワじゃなくて、もう赤身だけで作っているので肉のうまさだけで楽しめる一品になっています。ちょっとやっぱり値段が普通のお店よりも」

マツコ「浅草で2300円って大変ですよ。なんなら1か月暮らせます」

木曽「僕結婚してるんですけど、入籍した日に記念で食べにいったのがぱいちさんで、節目節目でぱいちでご飯食べたりとかがちょっとできるようになった時期でもあるんですよね」

マツコ「ていうかあたし知らなかったんだけど、その次。解散されてたの?」

木曽「え、本当ですか?はい、解散してます」

マツコ「穏便に?」

木曽「うーん、どうでしょう」

マツコ「まあじゃああんまりね、やめましょう」

木曽「人と人が別れるって、あんまり穏便ってないと思うんですよ」

マツコ「そうですよね」

木曽「私事なんですけど、半年前に実は子ども4人いるんですけれども」

マツコ「4人もいるの?確率高いわね」

木曽「これから稼がなくちゃいけないときに仕事も全部なくなって、かなり厳しい状況にこの時期なったんです。でもそんなときに実は浅草の師匠方がいろいろ支えてくれて、相談にのってくれたりして、今があるっていう感じなんです。そこで相談にのってくれた所が『ひととなり』というお店」

マツコ「また良い名前ね」

木曽「こちらのお店です。基本立ち飲み屋さんなんですけれども、漫才協会の師匠方がたくさんいらっしゃるのでこの席は足腰が弱ってきている師匠方のためにわざわざ作ったっていう。優しいお店でしょ?カウンターも低めに設計されてて、昭和こいる師匠の背の高さに合わせて低めにしているっていう。随所に優しさあふれる」

マツコ「いい話」

木曽「今回マツコさんにご紹介したいのはこちら、もつカレーライスです。シメの一品なんですけれど、もつが3種類入っていまして、他ではなかなか出会えない、とにかくルーが絶品なんですね。もつを煮込んだうまみが凝縮された一品というのをマツコさんにご紹介したいと思います」

マツコ「いいね、浅草って」

木曽「ルーのうまさを味わてもらいたいと思います。立ち飲み屋だとこの味珍しいと思うんですけれど」

マツコ「うまっ。びっくりした、本当に」

木曽「なんかもっと古き良きカレーが出てくるのかと思ったら」

マツコ「かなり本格的な。めっちゃうまいわこれ。あたしが普段カレー食べてて、『ここもうちょっとこうだったらよかったのに』とかって思うのを全てを改善した後の味みたいな。今まで食べた全カレーランキングの中でも確実にトップ集団」

木曽「そこまでですか。うれしい。これで500円ですからね」

マツコ「本当においしいんですけど」

木曽「『ひととなり』のオーナーが、Wコロンってコンビでやっていたときに師匠にあたる人がいてWエースっていうコンビだったんですけど。そのつっこみの谷エース師匠のご子息が営んでらっしゃるお店なんです」

マツコ「だからお優しいのね、師匠方に」

木曽「僕もさっき話したとおり子どもが4人いて、長男が生まれてから今に至るまで、毎年クリスマスにプレゼントを贈ってくれる。芸人の息子としていろいろ思うところがあったんでしょうね」

マツコ「ごめんなさい、普通にガチ食いしてて」

木曽「全然大丈夫です。完食だ」

マツコ「あとでまだ余裕があったらもう一杯食べていい?」

木曽「まだいっぱいありますけど」

マツコ「今日はこれでおなかいっぱいにしたい感じなんだけど。すごいうまい」

木曽「お気持ちはわかります。続いてこれ、寿揚げ。さつま揚げなんですけれど、これも優しい食感で外はサクサク」

マツコ「繊維質なものいっぱい入っている。ごぼう?」

木曽「ごぼうですかね」

マツコ「こちらのお店はたぶん何食ってもウマいと思う。これポテサラね」

木曽「僕大好きで毎回頼むんですけど」

マツコ「こちらのお店はたぶん何食ってもおいしいと思う」

 

 

《浅草が粋な街と言われるその歴史》

 

 

木曽「大きくわけますと、エリアが3つに分けられると思うんです。ここがポピュラーな仲見世通りがある観光エリア。これはもうなじみだと思うんですけど。マツコさんがたぶん気に入られるエリアはここ、奥浅草エリア」

マツコ「あたしが一番好きなエリア」

ナレーション「地元民が通う飲み屋やグルメ店が点在し、ディープな浅草が楽しめるエリア」

木曽「若者エリアっていうのがこの田原町のあたり。けっこうおしゃれなカフェとかが今増えている」

マツコ「昔はなんにもなかったよね。雑居ビルがあっただけよね」

木曽「そうですね、Vシネのロケ地みたいなビルがいっぱい並んでいたんですけど。今ここがちょっとおしゃれに」

マツコ「なにこれ!代官山じゃねえか!このやろう。なんだと思ってるんだ浅草を!共存共栄してるのね」

木曽「若い子はこういうお店を好んで行ったり」

マツコ「蔵前の方からの浸食もあるんじゃない?今蔵前がとんでもないことになってるから。東京のブルックリンって呼ばれてるらしい。笑っちゃった」

木曽「今日は昔の浅草の光景っていうのをおさらいしながら、今の浅草のグルメというのをご紹介していきたい」

ナレーション「江戸時代、吉原に日本最大級の遊郭が誕生し、江戸随一の歓楽街に発展した浅草。1900年頃になると、演劇や歌舞伎などの芝居小屋が軒を連ね、芸の街としてもその名を全国に知らしめた」

マツコ「今だったらどこって言ったらいいんだろう?たぶん無いよね、こんな街ね。全てのエンターテインメントが全部集結していた街よ。木間座とかまだある?」

木曽「木間亭はありますね」

マツコ「山本リンダさんが再ブレイクしたときは行ったな。なぜか知らないけど山本リンダさん浅草でやったんだよね。マドンナみたいなとんがったブラジャーつけて、なかなかアグレッシブな画だったわ、浅草で。ウララ~ってやってたよ、浅草で」

ナレーション「そんな日本最大規模の歓楽街であったが、1945年、東京大空襲により全壊。しかし1950年代、映画館が30館近く軒を連ね、若者が集う流行地として復活を遂げることに」

マツコ「浅草が中心だったのよ。上野から浅草にかけてのあの一帯が、東京の真ん中だった」

ナレーション「そして1973年、渋谷にパルコが誕生。これをきっかけに流行の発信地は渋谷・原宿エリアへと移り変わってしまったが、2010年代、インバウンド政策により外国人でにぎわう大観光地として再び息を吹き返したのである。しかし」

木曽「コロナ禍での浅草の様子を紹介したいなと思って」

マツコ「コロナ禍の浅草って、『ノンフィクション』よね」

木曽「日曜日なんですよね、この映像が」

マツコ「ていうか、お土産屋さん今大丈夫なのかな?」

木曽「店を閉めているのか、それとも休業しているのかもわからない」

マツコ「商売されているんだったらいいけど、大丈夫?浅草なだけに本当に心配になってくるんだけど」

木曽「だとお思いになると思うんですけど、僕は大丈夫だと実は思っています」

マツコ「あら。なにゆえに?」

木曽「こちらです。浅草の最大の魅力は懐の深さ。観光客・外国人・若者・地元民、全ての人を飲み込む『粋』がある。その粋を最も感じられるのが浅草グルメ」

マツコ「言われてみれば、どんな状況でも何かが無くなったなりにみんなで支え合って生きていくのが浅草ですよね」

木曽「みんな強いんですよね。芯がしっかりしているというか、そこがブレないので浅草の人は今最大のピンチかもしれないのですが、でもなんとか乗り越えられるんじゃないかと思うんです」

マツコ「全てを包み込む街だったのよ。あたしみたいなのも含めて、変わり者を優しく包み込んでくれる街だったから、おそらく外国の方とか、そういう方に対しても全然気負わなかったんだと思う」

木曽「どう見ても外国人の方で、言葉通じてないのに堂々と日本語のままコミュニケーション続ける店ってけっこうありますよ」

マツコ「普通そこでちょっと怖気づくじゃない?言葉が通じないくらいじゃなんてことない」

 

 

《入りにくい先にある絶品グルメ3選》

 

 

マツコ「また観光客になったりとか、外国の方が来るようになったりして、食べ物もだいぶ変わったでしょうね」

木曽「そうなんですよね。いろんなテーマでご紹介したいと思うのですが、ひとつめはこちらです。入りにくい先の向こう側にこそ、本当のうまいが眠っている」

マツコ「まだ観光客が行かないゾーンだ。入りにくいって一言で済ませられないくらい入りにくい。浅草の入りにくいってことは、ほぼ入れないっていことだからね」

木曽「観光客の方とか相手にしなくても、地元の方で十分成り立っているからなんですよ。行ったことない人はそれで入るのをちょっと控えちゃおうっていう方多いと思うんですけど、その先においしいものが待っているので。ぜひみなさんもにもそこを知ってもらいたいということで、紹介したいなと思います。見てください、こちらです」

ナレーション「つくばエクスプレス浅草駅を出て、国際通りを進むこと徒歩2分」

木曽「そこから路地に一本入ったお店。見ていただくと観光客は全くいません。通ってても地元の人のみという感じでございます。こちらでございます、『来集軒』さんです。メニュー表など一切なし。看板、ビニールテープどんだけ巻いて巻いてまたはがれて巻いてってしてるんですかって感じ。雰囲気入りにくいなって感じしてると思うんですが。失礼します。いやー、いい雰囲気だね、いつ来ても」

ナレーション「昭和を感じるレトロな店内。一見地元民しか来なさそうだが、壁にはサイン色紙がずらり。実は数々の有名人が通う隠れた名店なのだ。創業71年、変わらぬ味を守り続けるこの店の名物が」

木曽「こちら、モヤシそばです。あんかけのトロッとした感じ、醤油ベースのこの出汁とうまく混じり合っていて最高です。モチモチのちぢれ麺がよくからんでとにかくうまいんですよ」

ナレーション「さらに木曽さんオススメなのがこちらのチャーハン」

木曽「ああー。シンプルな塩コショウで味付けしてあっさりと仕上げた感じです。もう一粒一粒のパラパラ感、しっかりとここで再現されています」

ナレーション「味付けはシンプルだが、飽きさせない粋な工夫が。それは大きくカットした玉ねぎを入れること。これにより玉ねぎのシャキシャキ感がたまらないクセになるチャーハンに」

木曽「整いました。チャーハンとかけまして、昔流行ったダンスと解く。その心はパラパラ」

ナレーション「続いてやってきたのは、東洋間の前にある狭い路地。奥に進んでいくと」

木曽「こちらです。『翁そば』さんです。メニュー表がないんですよ。なので正直入りにくいんですよね。看板も字が薄れちゃってたりとかして。とにかく年季がはいってるんですけど、ただこのお店にどうしても紹介したい一品がある」

ナレーション「一見入りづらいが、中は畳のテーブル席が設けられた落ち着く店内。オススメがこちら。カレーが丼になみなみとそそがれたカレー南ばんそば。粋なのがこちらの麺。うどんのようなもちもちの太うちにするため麺はすべて自家製。さらにカレーはスパイスを炒ってから作ることで、太うち麺に負けないスパイシーな味わいに仕上げている。ここまでこだわって、お値段は650円と粋なプライス。途中生卵をトッピングし、味変するのもオススメ」

マツコ「2000年代に入ったってまだ気づいてないんだろうね」

木曽「変わらないです、あの辺は」

マツコ「教えてあげないと早く」

木曽「でも変に教えちゃうと味変わっちゃうので、あのままでいいかなって」

マツコ「ちょっと一歩入るとまだ残ってるのね、30年前が。昔はあれがほぼ、全域あれだったからね。たまに高いビルが建ってるくらいで、全域あれだったから」

木曽「そしてもう一軒ご紹介したいお店。こちらもオススメなんですけれど。一見なんの店かわからない、創業118年の喫茶店『デンキヤホール』さん。こちら映像あるんですけど」

マツコ「ああ、ディープ浅草のほう」

木曽「そうです。お店の名前がもうわからないですよね、デンキヤホールという。たたずまいもいい雰囲気なんですけども、ちょっと入るのは『え、大丈夫かな、入っていいのかな』っていう感じのたたずまいになっています。中のほうに入りました。どうですか、この昭和。ノスタルジックな雰囲気。こういった昔懐かしのゲーム機があったり。そこには実は歴史が」

スタッフ「なんで『デンキヤ』っていうんですか?」

3代目女将;杉平淑江さん「もともとおじいさんは電気技師で、明治末期のころに電器屋を始めました。ただ男の人って戦争に出てしまうので、女の人や子どものできる商売で今の甘味喫茶を始めたのがきっかけです」

木曽「喫茶店に寄せることなくそのままつけちゃった」

マツコ「すごいね、70年代のままってことね」

木曽「喫茶店でゲームをするっていうのが大流行した時期。そのなごりで今でもゲームを普通にできる台がテーブル代わりとして置かれているってことなんですね」

マツコ「あの横に必ず占いの丸いやつ、地球儀みたいなのがあってね。必ずそうなのよ」

木曽「デンキヤホールの一品をご紹介したいと思います。ぜひお願いします」

マツコ「てか、このお皿久しぶりに見た。いいね」

木曽「こちらがオムマキというメニューでして」

マツコ「この麺ちょっと特徴ある。最近さ焼きそばとか食べてて、『あー、昔っぽい味ね』とか言ってたのが、本当の昔じゃなかったことがわかった。これが昔のやつです。変わらなかった。いた。下手したら40年ぶりくらいの味かも。なんか今もうあたし明日死ぬんじゃないかっていうくらい、走馬燈のように昔のことが今よぎり始めているから」

木曽「今マツコさんが食べているこの麺なんですけど、デンキヤホールのそばの麺ってすごい茶色いじゃないですか」

マツコ「これでも昔はなんかあったよね」

木曽「これって二度蒸しっていう工程をちゃんといれている麺なので、水分飛ばしててこういう色になっている」

マツコ「だから麺も含めて懐かしいのよね。もうたぶん今あれ使ってないでしょみんな」

木曽「と思うんですよね。だからわざわざたぶんこれを使っているんだと思うんです」

マツコ「この卵とケチャップといっしょに食べると急にハイカラになる。たぶん昔の人はこれ相当ハイカラな味よ。浅草やっぱりすごいな。これはたぶん全国にあったんだと思うよ、こういうものが。たぶんもうやっていけなくなったんだよね。浅草はやっていけるのおよ。それがすげえんだよ、浅草は」

木曽「地元のおじいちゃんとかが一麺一麺ゆっくり食べて、僕が店入る前に来てたのに、帰りぎわに見たらまだ半分以上残ってるみたいな光景が普通にこの店である」

マツコ「本当久しぶりだわ。この焼きそば食べたの。当時はビールじゃなかったけどね、大人になったから」

木曽「いきますね。なんかで優勝した人の飲み方ですよ」

マツコ「でも遠慮してこれくらいにして」

木曽「あとですね、こちら。これがオススメです、ゆであずき」

マツコ「これはなに?」

木曽「北海道十勝産のあずきをただ煮て」

マツコ「『じゃあおしるこでしょ?』と思うでしょ。これに入ってるからかどうかわからないけれど、おしることもちょっと違うんだよね。井村屋のあずきバーを溶かして温めたらこんな味になるんじゃないかなっていう。どぎつ過ぎない穏やかなおしるこみたいな感じ。カチカチのアイスにかけたい。やや溶かしたい。完全には溶かしたくないのよ。やや溶かしたい」

木曽「ジェラートみたいな感じにして。劇場でどスベりしたときにたまに癒されたくてこれ飲みに」

マツコ「これは癒されるね」

木曽「まあスベってもいいかって」

マツコ「つらいとき飲みたくなる感じよね」

木曽「ある種解毒剤みたいな魅力ありますよね」

マツコ「7秒前までビールを飲んでた自分が恥ずかしくなったもん」

木曽「ああ、その気持ちわかるな」

 

 

《連日行列!若者に大人気グルメ3選》

 

 

ナレーション「2010年代から始まったインバウンド政策により、街の様子が様変わりした浅草。1950年代、流行の発信源だった映画館のひとつ大勝館は2013年ドン・キホーテに。1970年代日本に爆発的に起こったボウリングブームを支えてきた楽天地浅草ボウルは今月頭ユニクロに」

マツコ「あたしこの間たまたま別の番組で浅草のユニクロがオープンしたしたときのやつやってたけど、ユニクロもやっぱり浅草の呪縛には抗えなかったらしくて、他のユニクロとは全然違う造りにしてたよ。浅草っぽさを出すように。浅草ってやっぱりすごいわ」

木曽「浅草の街並み自体が非常に新しく生まれ変わっているのが、これでもなんとなく伝わったかなと思うんですけれども。実はグルメでも新しいお店がどんどんと誕生しているんです。いくつか紹介しますと、例えば『アルテリア・ベーカリー』さん。場所は仲見世通りから一本外れたところにあるんですけど、1日4000個メロンパンを売り上げたり。あとこの『紅鶴』さんは」

マツコ「ていうかそんなの出してて『紅鶴』っていう名前がいいね」

木曽「もともと喫茶店なんです」

マツコ「もともとあったお店なんだ」

木曽「それを雰囲気変えてパンケーキのお店に変えたらこれが大人気で。いつ行っても長蛇の列。途端に距離感作りましたね」

マツコ「だって浅草でパンケーキで行列って。もう舟和の芋ようかんじゃないのね」

木曽「ありますけどね、もちろんです」

マツコ「あるでしょ。あれあたしひとつ食べちゃうのよね、牛乳飲んでね」

木曽「あとこちら、焼き肉屋さんなんですけど『たん鬼』さん。こちらは紹介の動画があるということなので、ご覧ください」

ナレーション「2017年開業、『浅草焼肉たん鬼』。熟成肉やA5和牛をリーズナブルに食べられると若者に人気。こだわりは店内の冷蔵ケースにある熟成たん。25日間独自の温度管理と風量調整をおこない、うまみたっぷりの超やわらかいたんに仕上げている。そんな焼肉たん鬼で大人気のメニューがこちらの『鬼く丼』。お皿からはみ出るほどの粋なボリューム。さらにお肉はらんぷ・らんぼそ・いちぼの一皿3種類のお肉が味わえる贅沢な盛り合わせ。ちなみにこの方ここの常連さんですが、マツコさん誰だか覚えていますか?そう、以前サンバの回で出演した中島洋二さん。じつはこのお店のオーナーと友人なんだそう」

中島さん「こちらはいっぱいはみ出るくらいお肉乗ってるんだけど、実はさっぱりしてて卵の甘みとお肉の甘みが絶妙なコンビネーション。ローストビーフのたれがさっぱりしてるんだけど甘くて、もうサクサクいけます。コロナ禍で今サンバ大変なんですけれど、全然負けてないで肉食べてがんばっているので、その続きここだけの話たくさんあるのでスタジオでお話ししましょう」

マツコ「すごいわね、やっぱり浅草」

木曽「濃いめの方もなじみにしている店もあったり」

マツコ「あれはヤバい人ですから。モノホンですから。ただやっぱり彼は本場のリオにいて、リオのカーニバルのダンサーさんをやられてた方なんだけれども、リオでもあるよね浅草って。ラテンも入ってるよね」

木曽「入ってますね、ひさご通りとか行くと、ラテン系のお店が何軒かあって、ありえない盛り上がりになってるときがあるんですよ」

マツコ「最新流行・文化というものの融合が、これまた浅草をもう一回中心地にする可能性を秘めてきましたよ。もう正直渋谷とか原宿とかちょっと新しくないじゃん。もうそこが最先端になって数十年経ったじゃない。こっちのほうが若い子も新しいって思ってる気がするんだよね。浅草方面じゃない?くるよ」

 

 

《全国から腕利きが集結!注目の粋な店4選》

 

 

木曽「全国から腕利きたちが引き寄せられるブラックホール」

マツコ「浅草はこれに限らずブラックホールですよ。褒め言葉ですよ」

木曽「浅草ってさっきから話題に出てますけど、流行の発信地として昭和の時代から親しまれてて。特に洋食の発祥地とも言われてて。グルメに関してもかなりそういった意味合い強いと思うんですよね」

ナレーション「明治時代、食の街としても栄えた浅草には数多くの料理人たちがその腕を試しに集まってきており、その流れが再びやってきているのだと木曽さんは言う」

木曽「今回ご紹介したいお店をいくつかピックアップしました。こういったお店ができてるんですよね」

マツコ「おしゃれな焼鳥屋。なにあれ」

ナレーション「2012年オープン『焼鳥トリビアン』。店主はミシュラン1つ星の『銀座バードランド』で9年修行した腕利きの料理人で、ここ浅草に来てからもミシュランガイドに2度も掲載されている。そんな焼鳥の名店でぜひ食べてほしいメニューがこちらの中華そば」

マツコ「焼鳥じゃないの?」

木曽「焼鳥もうまいんですけど、焼鳥屋さんが本気で作ったラーメンっていう」

マツコ「鶏でお出汁とってるの?」

木曽「そうです」

マツコ「それはすごそう」

ナレーション「スープは昆布と煮干しなどで出汁をとった特製醤油だれに、シャモの骨を5時間以上煮込んで作ったガラスープを合わせたもの。さらに麺は東久留米の製麺所から取り寄せたストレート細麺と、ラーメン屋さん顔負けのこだわり。地元の人においしいラーメンを食べてほしいという思いだけで出しており、頼まれると儲けがでない粋な一品」

マツコ「やっぱりだからさ、そういう人がお店出そうと思った時に青山とかで出すよりおしゃれなのよ。変わってきてるの」

木曽「今むしろそうなんですよね」

マツコ「確実に変わってきてる」

木曽「流れでもう一軒」

ナレーション「2016年オープン『食菜 朋』。実はここ洋食の老舗、代官山の『小川軒』で修行したシェフが開いたお店。そんな腕利きのシェフが作るオススメのメニューが特選ハヤシライス。作り方に粋なポイントが。通常デミグラスソースは2、3日じっくり煮込んで作るが、このソースは煮込む期間がなんと2週間。これにより深いコクとまろやかな味わいに仕上げている」

木曽「2週間前にものすごい大きい容器に入れて煮込みだして、最終的に4ぶんの1くらいの量に減っちゃうんですよね。それだけ煮込む時間も長いので、うまみもギュッとなって。赤ワインの風味がすごいんですよ、大人の」

マツコ「浅草に赤ワインの風味が来たわよ。いやいや、あったわよ、昔から。でもわざわざさ、代官山の小川軒でしょ?浅草に来るっていうね。そっちがナウいんだと思うんだよね、今」

木曽「あと『壽々喜園』のほうも紹介しておきたい。このお店自体は老舗なんですけども、実は静岡の世界一濃い抹茶ジェラートという商品を出して有名になっている『ななや』さんというお店とコラボして新しく出されたお店。ここのだんごがめちゃめちゃうまいんです。抹茶餡が4種類乗せられている。色で物語る通り、だんだん抹茶が濃くなっていくっていう」

マツコ「うわー、これ食べたい。ないの?」

スタッフ「一応ある」

マツコ「じゃあ出しなさい。あるもの全部出そう」

木曽「ストレートに最初色の薄いところから召し上がっていただきたいですね。ひと玉ずついきたいです」

マツコ「だいぶこれでも濃いわよ、普通の世の中のレベルからしたら」

木曽「これがまだ第一段階です」

マツコ「これでまだ第二?」

木曽「まだいきます。このへんからだいぶ濃くなるんじゃないですかね」

マツコ「甘すぎる抹茶は気持ちが悪いのよ」

木曽「飽きますよね」

マツコ「これはもう3つめになってくると、ほぼ甘くない。抹茶餡っていうのはこういうことをいうのよ」

ナレーション「全国各地の料理人がその腕を試すべく集結する浅草。そんな数あるグルメの中でも特にマツコに紹介したいお店があるという。2018年オープンの味噌汁専門店『MISOJYU』。店内のあちこちには、書道家武田双雲の作品。食事するには豪華すぎる粋な空間だが、実はここ海外で修行を積んだシェフが浅草の街に魅了され出したお店。粋なのは店内だけではなく、材料選びから。味噌は全国から厳選した有機生味噌を3種類。出汁には高級な北海道の真昆布と、その時期に一番いいかつお節をたっぷりと使用。そんなこだわり満載のシェフ、エドワードさんオススメがこちら。まるごとトマトとほろほろ牛スネのみそポトフ。お肉も入っているが、メイン食材がトマトというのが粋。あっさりとした味わいで女性に人気の一品」

木曽「ちょっと雰囲気変わりまして、味噌汁専門の店」

マツコ「味噌汁専門店の前に、エドワードさんがやってるの?浅草に何が起きてるの?みんな浅草をどうしようと思ってるの?」

木曽「ご用意させていただいてますので、召し上がってください」

マツコ「気になるわエドワードさん。エドワードさん、他の街でもよかったのに」

木曽「あえて浅草ってことですね」

マツコ「あえて浅草にいったのね。知ってた?あたしお味噌汁の具、玉ねぎとジャガイモが好きなの。偶然?これトマトだけで食べるのもいいんだけど、トマトをちょっと溶いて。めちゃうまいよ」

木曽「味の雰囲気ガラッと変わりますよね。なじませればなじませるほど洋風のテイストになっていく」

マツコ「でもお味噌汁の大事な部分の一線は超えないよね。おにぎり食いたい」

木曽「MISOJYUさんのセットを頼むとここにおにぎりがついてくる」

マツコ「出して。おにぎりだして」

木曽「今日相当炭水化物を食べてますけどね」

マツコ「あたし炭水化物は腹減ってたら3合くらいはいけますね。前は5合いけたんですけど。最近はちょっと衰えてきて」

木曽「細くなってきちゃいました?」

マツコ「細くなった、食が。昔いただきものの揖保乃糸、どれくらい食べられるんだろう思ってやってみたら、12は食べてた」

 

 

《今の浅草芸人を支える究極の一品》

 

 

木曽「新しいお店だったりとか入りにくいお店だったりいろいろな形で紹介していますけれども、今回私がご紹介するお店ということでこういう見方でピックアップしていきたいなとおもいます。芸人の心とおなかを満たしてくれた店」

ナレーション「古くから芸の街として栄えた浅草には、芸事と関わりの深いお店が多い。例えばこちら、創業116年『桜なべ中江』は甘めの味噌と煮込んだやわらかい桜肉の鍋など馬肉をメインで提供しており、明治時代、吉原芸者や遊郭のお客さんから滋養強壮にいいと愛されたお店。これが語源となってスタミナのつく料理を食べることを馬力をつけるというようになったそう。さらにこちら『どぜう飯田屋』。1902年から続くどじょう専門店で、古くから歌舞伎役者に愛された名店。名物はどじょうとネギだけのシンプルなどぜう鍋。甘辛い割り下で骨がやわらかくなるまで煮込んだどじょうは栄養価が高く、今でも新春浅草歌舞伎の公演期間中は出演者の方々が体力をつけるために訪れるという」

マツコ「やっぱり浅草芸人の方のエピソードとか聞いてると、必ず出てくるもんね、お店がね」

木曽「浅草芸人を支えてくれたお店っていうのはたくさんあるんですけれども、今回一番紹介したいお店というのがこちらになります。今の浅草芸人の駆け込み寺『水口食堂』です。ご存知ですか?」

マツコ「あたしこれ存じ上げております。行ったことないけど、その存在は」

木曽「こちら創業71年になります、東洋館から歩いて30秒くらいの場所にある水口食堂でございます。お酒をたしなむための定食屋さんというところ。メニューの数どうですか?すごくないですか、メニュー数」

マツコ「昔ってこういうお店多かったよね」

木曽「この初音さん(二代目女将)、大盛りを頼むとこの量をで白ご飯を入れてくれるんですよ。うれしいですよね。若手のときからずっとそうです。いり豚っていうのは昭和こいる師匠が大好きな。行くと必ずこれを。また酒に合うんですよ。すごいでしょ、新春特番ですよ」

マツコ「すごいわこれ。すごい顔ぶれだわ。縁起がいい」

木曽「こちら自家製のコロッケ定食でございます」

マツコ「このコロッケはヤバいコロッケだわ」

木曽「これいいですよ。朝ちゃんとポテトをふかして、お店で作った手作りの一品になっています。ちょっとポテト召し上がってください」

マツコ「これ衣がすばらしいね。箸を入れてるだけでものすごいサクサク」

木曽「音が鳴る感じですよね。師匠方が必ず頼む一品のひとつなんですけど」

マツコ「本当の手作りのポテトコロッケ。何年振りだろう、食べたの」

木曽「余計なもの全然入っていない」

マツコ「何も入ってないんだよ。ないよ今時。あたしちょっと変な食べ方してもいい?」

木曽「あー、わかる。僕も好き」

マツコ「ちょっと汚くしていい?」

木曽「良い食べ方だ」

マツコ「誤解してるのはあなたたちのほうだから。あたしはね、こういう人間なんですよ、もともとね」

木曽「確かに昨日今日じゃできないですからね。もう完全に身に付いた食べ方ですよね」

マツコ「またいいね、この親の仇みたいに硬いソースが。最近ないのよこのとんかつソースが。みんなサラサラのになっちゃって」

木曽「底でドロッとたまったような」

マツコ「うまいね。やったことない方やってみて。同時にお芋とあとこの油とね、サクサクと、キャベツのシャリシャリとソースと飯が同時に。なんの味だって言われたら、それを同時に食べた味なのよ」

木曽「名前はないですよね」

マツコ「名前ないのよ。うまい。あたし今日どんだけ食うんだろう。ニュー浅草が始まるんだなっていう感じがした。渋谷の街が再開発終わったとき、終わりが来ると思うのよ。きれいなビルだらけになったときに渋谷が終わるのよ。そして西の文化が終わるの。ざまあみろ」

木曽「いやー、やりましたね」

マツコ「やりました。あたしたちの勝ちです」

木曽「やったー」

マツコ「やったー」

 

~完~