2021/04/06放送

マツコの知らない世界

https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/ 

 

'25年間で100組のヴィジュアル系バンドを愛してきた元自衛官'

藤谷千明(フジタニチアキ)さん(以下、藤谷)



藤谷「今日はよろしくお願いします」

マツコ「思いのほかさわやか」

藤谷「自己紹介してもいいですか?」

マツコ「どうぞ、お聞きしますよ。年齢は不詳かな?…書いてあったね」

藤谷「40歳です」

マツコ「追い追い」

藤谷「出身は山口県で、職業はヴィジュアル系作家」

マツコ「ヴィジュアル系作家って、どういうこと?」

藤谷「ヴィジュアル系に関するコラムだったり、インタビューだったり」

マツコ「なるほど。ヴィジュアル系の格好をしている作家ってことじゃないのね。ヴィジュアル系のことをやられている作家さんってことね。新しいと思って」

藤谷「14歳、山口県の漁村の出身。フグが名産じゃないですか。それすら獲れないから」

マツコ「やめなさいよ。言い方。だから下関とかじゃなくて、岩国よりももっと南のほう?」

藤谷「東のほうですね。やっぱりパッと思い浮かばないですよね。山口県の中でも、幕末のイメージもなければ、フグのイメージもない、なにもない」

マツコ「幕末のイメージをそんなに引きずっている人もいない。薩長連合ね」

藤谷「刺激の足りない村で育ったんですけど。ある日突然テレビでLUNA SEAを見たころから、私のヴィジュアル系人生が始まるわけなんです」

マツコ「稲妻が走っちゃったのね。LUNA SEA爆弾が投下されたのね。これは大変よね」

藤谷「大事件ですよ。中学校2年生の頃なので、この頃LUNA SEA聴くか聴かないかの頃ですね」

マツコ「人間ってのは無限の可能性を秘めてるわね」

藤谷「言葉を選んでいただいて、ありがとうございます」

マツコ「あとおもしろいのが、14歳でLUNA SEA爆弾の直撃を受けた純朴な中学生が、いかに自衛官になったかっていうね。これまたすごいサイドストーリーがあるわけですよ」

藤谷「それもヴィジュアル系が関係あって。当時LUNA SEAや黒夢が世代だったので、大好きだったんです。そしたら黒夢が99年1月に活動休止を発表してしまって。無期限の活動休止なので、どうしようかなと」

マツコ「みなさん引退や解散とは言わないからね。活動休止だからね。まあショックよ。でもショックだから『人生がどうでもよくなり、自衛隊』っていうのは自衛隊に謝りなさいよ。そういう機関じゃないですからね、自衛隊は。まあ『どうせだったら自衛官になってやれ』くらいショックだったわけね」

藤谷「田舎って就職場所もないから、周りでも自衛隊になった人がいた」

マツコ「この写真を見る限り、確かに自暴自棄になってるわよ。でも、自衛隊に入って更生したよ」

 

藤谷「今回、どうしても伝えたいことがあるんです。等身大の時代はもう飽きた。非日常をもっと体験してほしい」

マツコ「似たようなこともあたしも考えておりました、一週間ほど前に。なんで日本のエンターテインメントっていうのがこんな地味になってしまったんだろうって思った時に、みんな自分とものすごい近い所にいる人に対して、そこまでワーキャーしたくないじゃん。日常と全く違う何かに憧れて、その人たちに何か思いを託すことをしたいわけじゃん。でもあまりにも等身大の人多すぎない?と思って。だからその時に思ったの。ヴィジュアル系ってすごかったよなと思って。あと沢田研二さんとかすごいことしてたよなとか。例えばお化粧してたりっていうのがね、あの狭いスタイルの中でやっていることで収まっちゃったじゃん。K-POPの子がお化粧とかしているのを見て、ヴィジュアル系ってもうちょっと違う着地点があったら、もっととんでもない何か、万人受けする新しいジャンルにいってたんじゃないかなって、ふっとよぎったことがあった」

藤谷「それは本当におっしゃる通りだと思います」

マツコ「みなさんに言っておかなければならないのは、これ2人だけで話していることですからね」

 

 

《ヴィジュアル系が世界を救う⁉非日常を味わえる伝説のバンドたち》

 

 

藤谷「続いてはこちらです。22年ぶりに、ヴィジュアル系が必要とされる時代がやってきた」

マツコ「22年ぶりっていうのは、何から22年なの?」

藤谷「これから説明します。今回は年表を用意してきました。どうですか?」

マツコ「ちょっと時間をくださいね。あー、でもそうなんだ。バブルの末期に出てるのね。崩壊とともに拡大していったのね。最後ノストラダムスの大予言が出てくるからね」

藤谷「これは完全にオカルトというか」

マツコ「いいんですよ、この番組は完全にオカルト専門番組ですから」

藤谷「私の与太話として聞いてほしいんですけど、時代が不況だとか、リストラだとか就職難とか、つらい時代だからこそフラストレーションの受け皿として90年代後半はヴィジュアル系が人々から求められたんじゃないかと」

マツコ「大いにあると思いますよ。これから良い時代になってほしいけど、ちょっと一旦苦難はある気がするじゃない?きますよまたこれ。出番来ますよ」

藤谷「すごいうれしいです今」

マツコ「やっぱり化粧してシャウトしなきゃダメですよ、人間」

藤谷「ヴィジュアル系の歴史は、当時Xのデビューから始まっていると考えると、89年スタートになる。ヴィジュアル系という言葉自体が、X JAPANがよく使っていたフレーズ、『PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK』からきているという説もあるくらい、Xは外せない存在なんです」

マツコ「たぶんもう二度と使わないと思うので大丈夫。そこからヴィジュアル系がきているのね。なるほどね。Xジャンプは誰しもが1回はやってみたいなと思ったはずよ」

藤谷「5万人でXジャンプをしたら、周りが揺れちゃうんです」

マツコ「これ本当らしいよ。ご近所の方とか、問い合わせしたらしいよ。『地震起きました?』って」

藤谷「一説によると、震度3くらい出ると」

ナレーション「バブル崩壊の影響で、リストラや就職難が問題となっていた94年。LUNA SEAがシングル『TRUE BLUE』で初のオリコン1位を獲得。当時のオリコンチャートでタイアップなしの1位はかなり珍しく、これまでの常識を覆した」

藤谷「いろんなバンドがいるので。黒夢の95年の『BEAMS』をご覧ください。黒夢はご存知ですか?」

マツコ「もちろん。ヴィジュアル系なの?ストリート系のファッションされてたし、けっこうそういう若いファッションリーダー的なひとだったのよ」

藤谷「昔はけっこう濃いメイクをしていて、だんだんヴィジュアル系の枠から外れていったというか、広げていったというか。すごい派手なメイクをされていたんですけど、徐々にストリートファッションを取り入れて、さっきもおっしゃってたようにファッションリーダー的な存在になり」

マツコ「ある意味、清春さんとか黒夢ってかっこよきゃなんでもいいじゃんっていう」

藤谷「そうです。基本的にヴィジュアル系はかっこよかったらなんでもありというところはあります」

マツコ「あと、本当に一番気になっていること言っていい?SHAZNA問題っていうのはあるわよね。これは問題だと思うんだけど」

藤谷「それはなぜですか?」

マツコ「なんでだろうね。最初IZAMさん出てきたとき、けっこうな衝撃だったよね」

藤谷「こんなかわいい男の人がいるんだと思ってびっくりしました」

マツコ「あれはヴィジュアル系なの?ちょっと女装に入ってない?」

藤谷「お茶の間ではけっこう女装と呼ばれていたと思う」

マツコ「難しいな、ヴィジュアル系って」

ナレーション「その後、98年にはPENICILLINの『ロマンス』がアニメのオープニングテーマに選ばれ大ヒット。ヴィジュアル系の曲がアニメに使われる礎を築いた」

藤谷「99年って、ノストラダムスの大予言とか、世界が終わるとか、終末思想が流行っていた」

マツコ「そうね、ガチでちょっとその日怖かったもんね」

藤谷「社会現象としてのヴィジュアル系のピークは99年だったんじゃないかなと思っております」

マツコ「それはあるかもな。その世紀末とリンクはしていたのかもねGLAYさんのは20万人くらい集めたやつ?幕張で」

藤谷「そうです。すごいですよね、ひとつのバンドがこんなに集めるって」

マツコ「ご存知ない方もいらっしゃると思うので、分かりやすく言うと幕張メッセの駐車場あるじゃない?あれが人で埋まったのよ」

藤谷「警備員も3000人だとか、仮設トイレも1500個、あと臨時バスも数百本増便してたとか。伝説ですよね」

マツコ「あの時は朝のワイドショーとかもずっと幕張からレポートしてさ、すごかったよ。ヘリコプターもバンバン各局飛ばしていた。なんかもう社会現象だったよね」

 

藤谷「総製作費数億円をかけた非日常のステージ。LUNA SEA10周年ライブ。まさに99年に行われた。3日前に台風の影響でセットが倒壊しちゃうんですね。LUNA SEAはライブで台風だったり大雪に見舞われてしまう。嵐を呼ぶバンドって言われてて、普通だったら中止にする。開催しちゃったんですよ。ヘリが5台来て」

マツコ「お台場の辺りだったよね?」

藤谷「ビッグサイトです」

マツコ「そうだ、有明だ。すごい記憶にある。壊れた所の前で歌うんだよね。覚えてる」

藤谷「かっこいいですよね」

マツコ「どうしても真矢さんに目がいってしまう。悪い癖よね。良くないね、全体を見ないとね」

藤谷「なぜ真矢さんに目を引かれるんですか?」

マツコ「そこは詳しく聞かないでください。これ覚えてる。足場が壊れた前で歌った。逆にかっこいい演出になったよね」

藤谷「それが伝説となったわけなんですよ」

 

ナレーション「ここからは藤谷さんが今の時代にこそ必要だと思う、非日常に浸れるヴィジュアル系をご紹介」

藤谷「ド派手衣装で非日常に浸れる、美しいを極めた究極のヴィジュアル『MALICE MIZER』。MALICE MIZERはご存知ですか?」

マツコ「なんとなくうっすら名前は聞いてたけど、やっぱりGACKTさん」

藤谷「一流芸能人になる前のGACKTさんが在籍していた」

マツコ「言い方」

藤谷「すごくないですか?曲に入る前にマントをバサって」

マツコ「ていうか、これほぼ宝塚だよね」

藤谷「衣装がすごすぎて、世界観を優先するために楽器を弾いてないんです。ポイントとして、ゴールデンボンバーはMALICE MIZERに影響を受けているんです」

マツコ「何をお客さんが求めているかとかって突き詰めると、もちろん演奏してる姿を見たいっていうのもあるだろうけど、ああやって後ろで踊ってくれたらファンはうれしいよ。こうなってくるとヴィジュアル系って無限ね。もう演奏しなくてもいいっていう。マリーアントワネットみたいな人いたわね」

藤谷「今もこういった世界観を追求しているいるバンドがいるんです」

マツコ「最近の人で?」

藤谷「それが『Versailles』というバンドです。『ベルサイユの薔薇』ってあるじゃないですか。フランス貴族をイメージした衣装や舞台をやっている。Versaillesは、馬に乗ってたりとか、海外でもフランスでも人気なんです」

マツコ「ベルサイユの本場で?」

藤谷「はい、本場でも支持されているんです。やはり非日常だと思うんです。なのでヴィジュアル系もワンチャンあるんじゃないかと」

マツコ「いや、ワンチャンって言うな」

藤谷「また非日常を紹介したいなと思うんですけど。極め過ぎた非日常パフォーマンス、『DIR EN GREY』」

マツコ「もちろん存じ上げております」

藤谷「最初はYOSHIKIさんプロデュースを含めたシングルを3枚同時リリースですごい話題になったんですけど、日本だけでなくて、海外でも支持されるようになった。さっきからよく海外でも人気人気って言ってますけど、その走りがDIR EN GREYなんです。人間の痛みとか心の闇とかを表現している音楽性で、非日常の極み。ファンの間で語り草になっている事件があるんです。ミュージックステーションに出た時に、パフォーマンスが過激すぎてお子さんが泣いちゃったとご家庭から苦情が殺到したらしいんです。昔のミュージックステーションってクレヨンしんちゃんが前じゃないですか。クレヨンしんちゃんを見ているキッズがそのままMステを見てしまい、こともあろうに1曲目だったんですよ。過激パフォーマンスをしてしまい、ある意味伝説になってしまった」

マツコ「どんなパフォーマンスだったの?」

藤谷「これはミュージックビデオになってしまうんですけど、こういう世界観です」

(♪「残 -ZAN-」)

藤谷「これがお茶の間にああいう衝撃が」

マツコ「あれはなかなかよ。あのデスメタルをいきなりタモリさんが紹介するわけでしょ。なかなかのことをしてたわよね」

藤谷「迫力がすごいじゃないですか。これも非日常だと思うんですね。DIR EN GREYの非日常って、人間の痛みとかを歌ってるんですけど、ファンのみなさんがここで激しいパフォーマンスに感情をぶつけて、日常を戦うために非日常を愛しているって感じがしてすごくいいなと思うんです」

マツコ「そうなの?あんなデスメタルみたいな感じの曲もあるんだ?ちょっと聴いてみよう」

藤谷「ぜひぜひ。さっきスタッフさんから聞いたんですけど、DIR EN GREYのボーカルの京さんが、この番組のファンで毎週見ているってことをおっしゃってたと」

マツコ「なんでつながってんだよ。誰だ?」

スタッフ「許可を取った際に」

マツコ「それでおっしゃっていただけたの?見てますって?本当?あたしもある意味デスメタルよね。たぶんそういうことなんだと思う」

 

 

《最新トレンドを取り入れる!ヴィジュアル系×???》

 

 

藤谷「ヴィジュアル系バンドの魅力、あらゆるトレンドや流行を取り入れる闇鍋パフォーマンス」

マツコ「闇鍋パフォーマンスっていうバンド名なの?」

藤谷「いえ」

マツコ「違うのね、ごめんごめん。今までとは違う流れなのね。あたしびっくりした。闇鍋パフォーマンス?っていう。おしゃれだなとは思ったんだけど」

藤谷「今のヴィジュアル系って細分化しすぎて、今はこれが流行っていますって言いづらい。だから『最近ヴィジュアル系ってどうなの?』って言われたら、一言で言えないから世の中にヴィジュアル系が届いていないのかなと。ヴィジュアル系って音楽ジャンルじゃないぶん、いろいろな要素を柔軟に取り入れる」

マツコ「柔軟すぎません?特にごめんなさい、右下はヴィジュアル系ですか?」

藤谷「くくりとしては。NOCTURNAL BLOODLUSTというバンド。2015年の映像がこちらです」

マツコ「写真よりは全然ヴィジュアル系だわ。あの写真だけ見たら違うと思ったけれど」

藤谷「これは2015年の映像なので。メンバーチェンジなどがありまして」

マツコ「えっ、これさっきのボーカルしてた人?」

藤谷「そうです。尋さん。もともと筋肉質な方ではあったんですけど、最近は徐々にムキムキになっていき。ヴィジュアル系って細い華奢なイメージありますけれど。それもありかなというのがヴィジュアル系の懐の広さでもあるのかな」

マツコ「すごい人気出るんじゃない?サービス精神がすごいと思うんだよね。それがすごい大事な気がしてて。でもちょっとヴィジュアル期間短すぎません?ヴィジュアル期間2、3年でしょ?個人的に好きなのは地下アイドルですかね」

藤谷「どこが気になりますか?」

マツコ「いったい何をやっているんだろうって。ジャンルどんな歌なの?」

藤谷「地下アイドルみたいなトリッキーなパフォーマンスが多いのが『0.1gの誤算』です。魅力はなんでもあり。ある意味地下アイドルとかもなんでもありじゃないですか。ファンと綱引きをしたりとか、演奏中に。ファンに支えてもらってボートに乗ったりとか。アイデアがすごいんですね」

マツコ「ポリシーが地下アイドルであるってことね」

藤谷「そうですね、なんでもありみたいな」

マツコ「別に地下アイドル的なことをやってるっていうよりは」

藤谷「これもすごいんですよ、アイデアが。なにをやっているかわかりますか?ソーシャルディスタンスライブと言う」

マツコ「見にいった人が事前に自分の叫ぶ声を録音しといて、言われたらそれを押すんだ」

藤谷「そうなんです」

マツコ「これありね。ヴィジュアル系に限らず全ライブで」

藤谷「逆境をプラスに変えるのもヴィジュアル系の魅力だと思うんです」

マツコ「そんな壮大な話にはしてません」

ナレーション「他にも、バンド形式以外にもアイドルのようなダンスを取り入れ圧倒的な女性人気を獲得している『アリス九號.』や、ヴィジュアル系に本格的なラップを取り入れた『CHOKE』など、新たなジャンルが日々生み出されている」

藤谷「他にはなにか気になったことは?」

マツコ「あたし和装は知ってる気がする」

藤谷「最上川司さんって言うんですけど」

マツコ「え、じゃあ知らないかもしれない。最上川司?」

藤谷「本業は『THE MICRO HEAD 4N'S』というドラマーなんですけど、演歌にも堪能な方。演歌歌手としてメジャーデビューをしています」

マツコ「ドラムの方なのよね?歌お上手ね」

藤谷「演歌の道に進むかバンドのドラマーになるという選択肢もあったということを以前インタビューで」

マツコ「じゃあモノホンで歌える方なのね、演歌もね。演歌いいんじゃない?あとね、勘違いでした。最上川司さん、存じ上げませんでした。すいません、勘違いでした。これからファンになります」

 

~完~