2020/11/24放送
マツコの知らない世界

'今まで646種類のサンラータン麺を食べてきた会社員'
端野一郎(ハシノイチロウ)さん(以下、端野)


端野「サンラータン麺はまだ知名度なくて、選択肢に入らないこと多いと思うんですけど」
マツコ「いろんな種類ある中華屋さん行っても、悩む中の候補には入ってないかな」
端野「世の中的にはそうだと思うんですけど」
マツコ「食ったことあったっけな?出会いになるかもしれない」
端野「ありがとうございます。ひとつ知っていただきたいとこがありまして。実はサンラータン麺は中国ではなく日本発祥。これご存知でした?」
マツコ「これ実はあたし知ってた。サンラータン麺じゃなく、酸辣湯ブームがちょっと前にあったじゃない、10年前くらいかな」
端野「諸説あるんですが、発祥は赤坂。『榮林』っていうお店が。それまでは酸辣湯っていうスープは昔からあったんですけど」
マツコ「酸辣湯自体は中国のものなんだ?」
端野「そうです。そこに麺を入れちゃったのが榮林。まかない的に最初始まったらしいんですけど。いろんなところで食べられるようになったのは実はここ数年。2018年くらいからまた盛り上がってきた。第4次激辛ブームの中でサンラータン麺っていうのがちょっと注目されてまして」
マツコ「即席麺でも出てるんだ?」
端野「そうです、コンビニとかファミレスとかでもけっこう」
マツコ「食べたことない」
端野「ぜひ選択肢に一個増やしていただきたい。こんな感じで世の中で静かに盛り上がってきているサンラータン麺なんですけど、2018年のデータで、好きなラーメンランキングでサンラータン麺が9位。実はめちゃめちゃすごいことで、サンラータン麺を知っている人自体がまだそんなに多くないにも関わらずこれっていうことは、サンラータン麺知ってる人は全員票入れたって考えてもいい」
マツコ「それは極論だと思いますよ。サンラータン麺知ってても私は味噌が好きですみたいな人もいますって」
端野「一回食べたら票入れますって。まだマツコさんは召し上がってないと思うので」
マツコ「大丈夫?偏りすぎじゃない?」
端野「どう考えても日本人サンラータン麺好きなはず」
マツコ「たとえばどういうところが?」
端野「辛いの好きな人がどんどん増えてきてるじゃないですか。第4次っていうくらい激辛ブームは定期的に来ていて、辛いの好きなんですけど、酸味っていうのも和食でいうとド定番なんですよね。梅干しとか酢の物とか。その2つが合わさっているので、絶対好きなんですよ。これは間違いないです」
マツコ「あたしはそうですねとは言えないです。科学的データがあるわけじゃないので」
端野「間違いないです。646杯食べてきたので、そこは間違いないと思ってます」


《646種類食べて見つけた!探索術&究極の1杯》


端野「そんな私が毎日欠かさずやっていることがありまして、それがサンラータン麺パトロール。その様子をインスタグラムで世の中に発信している」
マツコ「全然意味がわからない」
端野「この店はこうだったよっていうのをお伝えしていく」
マツコ「パトロールの意味がちょっとよくわからない」
端野「11項目まとめてみました。こういうところ見て、この店は良さそうだぞとか、ここはなかなか期待できるぞとかいうのを見ている。気になるところございますか?」
マツコ「気になるっちゃ気になるけど、気にならないっちゃ気にならないです。なんてお答えしたらいいか。『店内の時計の正確さ』必要ですか?」
端野「ここはむしろ一番大事かもしれない。サンラータン麺ってすごく繊細な料理なんですね。特に酸味っていうのは熱で飛んじゃうらしくて、どのタイミングでどのくらいのものをいれるかっていうのはめちゃめちゃ大事なんですよ。それができないと味がキープできない。そういう繊細な料理を作る店の人が、自分の店の時計ひとつちゃんと管理できずそんなことできるのかと。正確な時計っていうのはバロメーターみたいなものです」
マツコ「応援します」
端野「ありがとうございます。今の11項目すべて満たしてるっていうお店がありまして、それをご紹介します」

パトロール11項目すべてをクリア、最強サンラータン麺
SANKOUEN CHINA
東京都千代田区

端野「ここはお店の外観も含めて。シュッとした感じ。中華料理っぽい赤いめでたい感じっていうよりかは、黒系の抑えた感じ。初めてのかたに特にオススメできる王道中の王道みたいなサンラータン麺」
マツコ「王道を出す店には見えないんですけどね」
端野「こういうところに王道があるっていうのがサンラータン麺のおもしろいところ」
マツコ「わかりづらいですね。まずはスープよね」
端野「ちょっと待ってください。食べる前に、サンラータン麺っていろんなタイプがあるので…」
マツコ「食べますね」
端野「どうですか?」
マツコ「思ってたよりとろみがあるな」
端野「とろみあるスープって一番メジャー」
マツコ「これがメジャーなんだ。思ったよりあっさりしてるというか、そんなにトゲトゲしくない」
端野「辛さがラー油とホワイトペッパー、2面から攻めてくる」
マツコ「本当だ、コショウもきいてる」
端野「最初の一口目に酸味がオッと来たりするんですけど。食べてるうちにあとからじわじわ」
マツコ「うん、ウマい。国民食になれるってまだ言い切れないけど、DNAの中にある味だね、全部」
端野「ありがとうございます」
マツコ「違和感みたいなものはないね」
端野「酸辣湯麺って、酸とか辣とかって字面の強さがあるんですけど、そこを越えた向こう側に豊かなストーリーが展開されているっていうか」
マツコ「まだ手前にいます」
端野「もうちょっと奥までいっていただいて」
マツコ「まだ手前です、すみません」
端野「お店の名前が、いわゆるなんとか飯店とかなんとか酒家とかなんとか楼みたいなのが一般的なんですけど、たまに横文字が。そういう名前のお店のほうがサンラータン麺おいしい確率が高いです」
マツコ「横文字のほうが期待できるの?アルファベットにしただけで、これ三幸園さんですよね。どっちかっていったらあたし避けちゃうけどな」
端野「一見そうなりがちなんですけど、今まで巡ってきたなかでそういう傾向あるなと思って」
マツコ「そのほうが当たりの確率が高かった?」
端野「なぜかっていうと、サンラータン麺って定番メニューじゃない。無くても中華料理店として成立しちゃうんですけど、あえて出す料理なので、お店の個性とか差別化したい気持ちを込めがちだなと思って。そういうサンラータン麺を作るような人って、自分のお店にどんな名前つけるかっていうと、お店の名前も差別化したがるんじゃないかっていう説です」
マツコ「横文字で中華料理屋だと、あわよくば全国展開しよう、みたいなITにも片足突っ込んでるようなタイプがやってそうじゃありません?」
端野「そう思ってたんですけど、悔しいんですけど横文字っぽいところのほうがおいしかった。データがあるのでしょうがない」


《酸味と辛味だけじゃない!ルール無用サンラータン麺》


端野「いろんな新しい動きが起きておりまして。日本一自由度が高いラーメン、だからこそ店主の個性が大爆発」
マツコ「日本一自由度が高い?」
端野「サンラータン麺ってルールがないんですよ。酸っぱくて辛くて麺が入っていればなんでもありなんです。なにしてもいいんですよ」
マツコ「そうなんですか?」
端野「最近特にいろんなものが爆発してる。たとえば具で言うと、麺見えないくらい豆苗がワーッと乗ってるやつとか、いろんな野菜ありますけど、かぼちゃもアリですね」
マツコ「アリですか?」
端野「アリです。ここはここでちゃんと成立しちゃうのがサンラータン麺の恐ろしい所。あと麺で言うと、パスタ、アリです。うどんもありました。ありとあらゆる麺がサンラーできるっていう」
マツコ「サンラーできる?」
端野「ついいつも言ってるのが出ちゃった」
マツコ「それ専門用語?」
端野「はい」

端野「この真ん中にあるのが発祥と言われるサンラータン麺。ここがゼロ地点。ここを基準にいろんな方向に拡散していってるのが今の状態。縦軸で言うと上がハイソ系、下が庶民派。これは単に上にいけばいくほど値段が高い。左右の軸で言うとパワー系っていうのと、技巧系。パワー系っていうのは、とにかくおなかいっぱいにすることを主目的にしたような。逆に技巧系のほうにいくと、おろんなことにチャレンジしてみましたみたいな感じで凝ったやつ」
マツコ「あのぽっちゃり系のやつ。ぽっちゃり系ってどういうことなの?」
端野「刀削麺」
マツコ「あー、麺のふくよかな感じをぽっちゃり系と」
端野「これはこれでひとつのジャンル」
マツコ「刀削麺おいしいよね」
端野「いろんな所がサンラータン麺出してるんですけど、そのお店のサンラータン麺食べると、そのお店のレベルがわかるっていうか。サンラータン麺がしっかりしてれば、他の何食べてもいける」
マツコ「じゃあまず新しい中華屋さんに行ったらサンラータン麺食べて、おいしければ次回以降も通えばいいし、イマイチだったら他のもの食べても微妙だよってこと?本当ですか?本当に大丈夫ですか、そんなこと言っちゃって」

端野「独自の進化が止まらないサンラータン麺なんですけど、ここまできたかっていうのが2つありまして、そのうちの1つをご紹介したいと思います」

サンラータン麺界の大型新人
冷やし酸辣麺
東京都板橋区 芝蘭

マツコ「個人的にあんまり冷やし系好きじゃない」
端野「ただ、冷やし酸辣麺は違うんですよ」
マツコ「あたし本当のこと言うタイプですよ」
端野「一回召し上がってください。スープにとろみがなくて冷たいんですけど。どうですか?」
マツコ「これもサンラータン麺なの?」
端野「そうです。普通サンラータン麺っていうと熱々のものをイメージされると思うんですけども、その真逆の冷たいやつを打ち出してきたっていうのがすごいところだと思っています」
マツコ「なんだろう、これ。ちょっと甘い感じの」
端野「甘いんですよ。冷麺でもそこが決め手」
マツコ「おいしい」
端野「けっこう具だくさん系で。個性大爆発」
マツコ「今日なにも食べてなかったんですよ。けっこうもっと食べられるよ」

端野「続いてはこちらのサンラータン麺です」

らーめん業界に殴り込み!
スーラーつけめん
東京都世田谷区 栄楽

マツコ「どっちかって言ったらこれはつけ麺ですよね」
端野「サンラーにいってほしい」
マツコ「それだったらつけ麺のスープもいろいろあるから。魚介系だったら、つけ麺だけど魚介系に入っちゃう。だからこれはつけ麺ですよ」
端野「じゃあむしろこれが広まれば、こっちがつけ麺のスタンダードになってもおかしくないと思います」
マツコ「スタンダードとか言ってるんじゃないんですよ、つけ麺はつけ麺だって言ってるんですよ。これはつけ麺でいいんですね?」
端野「そうですね」
マツコ「あ、いいんですね、つけ麺で」
端野「いやいや、違います。むしろこれがつけ麺の概念を取り込んじゃう可能性があります」
マツコ「だとしたら他のつけ麺はどこに行くんですか?」
端野「もうなくなります。つけ麺って言ったらスーラーだよねってなると思います」
マツコ「あたし別にそんなつけ麺好きじゃないのでなくなってもいいんですけど。なくなったら困る人もいますよ」
端野「いると思うんですけど、これ食べると、確かになって言ってくれると思う。ぜひ召し上がっていただきたいと思います」
マツコ「あたし全国のつけ麺ファンを敵に回すことになるかもしれないけど。これなんですか?」
端野「ゴマだれです」
マツコ「そしたらこれ担々麺じゃないですか?」
端野「つけ汁がサンラータン麺のスープになっている」
マツコ「これを入れちゃったら担々麺じゃないんですかね?」
端野「その味の変化を楽しめる。まずストレートにいっていただいて」
マツコ「これも全然違うな。なんのダシ?すごい独特な味がする」
端野「豚肉ごっそり入ってます」
マツコ「豚肉でダシをとってるの?だからこういうかなりパンチが効いた感じになるのね」
端野「お店によってどんどんいろんなことをやっていて、個性が爆発してるっていうのが分かっていただけてるかなと思います」
マツコ「ゴマ混ぜてみようか。ああ、担々麺とは全然違うな」
端野「酸味と辣味があればいいやっていうところではあるんですけれども、むしろ第三の味、ゴマの味っていうのがメインになってきちゃってるのがここの特徴だと思います」
マツコ「酸味を感じる強さはゴマを入れたほうが強くなるかも。つけ麺もこれから食べようかな。つけ麺の良さを今まであんまり気づかなかったんだよな
端野「それはたぶんサンラーだからだと思います」

端野「最後にご紹介したいものがありまして。私、端野一郎の夢。恥ずかしくて行かなかったオシャレ女子が食べる至極の1杯」
マツコ「そのお店に恥ずかしくて行けなかったの?」
端野「はい。というのも、タピオカ屋さんなんですよ。代官山の『春水堂』という」
マツコ「タピオカ屋さんが出してるの?」
端野「噂を聞きつけて。ここちょっと一人では、44歳男性会社員はキツイ。勇気なくて。今まで全然行けてなかったんですけれども、番組の力で出していただけることになりまして」
マツコ「汚い男だねあんたは。それでよく日本一を名乗れたね。恥ずかしさも超えていかないと。真の日本一にはなれないですよ」
端野「ちょっと修行足りなかった」
マツコ「だから今日は食べちゃダメ。あたしが食べてから判断する。これ辛味ある?これスーラー?これあたしがよくやってたお醤油ラーメンに酢ぶっ込んた味ですよ。めっちゃ懐かしい味がする。これタピオカ粉も入ってるのかな?モチモチしてツルツルしてる。まあいいわよ食べて。食べなさいよ」
端野「いただきます」
マツコ「麺がうまい。めっちゃ特徴的」
端野「あっ、おいしいですね」
マツコ「そんなに辛くないでしょ?」
端野「確かに。女性向けっていう感じはします」
マツコ「麺ウマくない?」
端野「本当ですね、この食感」
マツコ「サンラータン麺だけじゃなく、いろいろなタイプのラーメンを出してほしい」
端野「辛さ控えめなんですけど、別に物足りない感じとかじゃない」
マツコ「ラーメンにお酢入れる人って実は多いじゃん。だからやっぱりスタンダードではあると思うのよ、お酢をたっぷり使ってるっていうのは。これでもサンラータン麺だよってなるなら、国民食はまだちょっとあれですけど、県民食くらいだね」
端野「ありがとうございます」
マツコ「何県かはわからない」
端野「ここからです。今日みたいに知ったら選択肢の中に入れていただけるっていうのが実証されたので、いろんな人がそれをやってくれればどんどん広まっていく。見えましたそのルート。今は県民食で大丈夫です」
マツコ「見えた?」

〜完〜