《高校生が夢中になれる花いけバトルの魅力》
マツコ「正則学園は信じられないビル感が漂う学校なんですよ。あたしよく前の一通を通るんですけども。それはいいんだけど、花いけは部活なの?」
クロス「部活ではなく有志の」
マツコ「よく有志集まったな」
イシダ「エンペラーっていう人がいるんですけども、その人が『おまえらやるぞ』って言ったらスッと6人集まりました」
クロス「学校に住んでるって言われている」
アンディー「先生」
マツコ「先生なのね、エンペラーって」
アンディー「そいつが、あっ」
マツコ「いや、ここはカットしないです。今日そいつ来てるの?」
一同「来てます」
マツコ「じゃあもういいじゃねえかよ。あ、そいつ?」
小嶋徹議さん「ごきげんよう」
一同「ごきげんよう」
マツコ「なんだろう、若干キモいんだけど。これ何がおこなわれているの?あのビルの中で」
アンディー「私たちのプロフィールを。まずチームBBBと書いて『ビーバッブ』と読みます」
マツコ「ビーバッブ?わかりました。アンディとジゲンな。いいね、あれ。一筋縄ではいかないメガネの形だね。ああいうとこで主張してくるタイプは意外と厄介よ」
ジゲン「失礼しました」
マツコ「いいんだ、あたしはジゲン推しだから。大丈夫」
イシダ「私たちがチームITのイシダと」
イマミー「イマミーです」
イシダ「よろしくお願いします」
マツコ「ああなるほど、イマミーはそういう人ね。なんとなくわかってきた。自分で小ボケを入れてくる人だ。それを待てばいいのよ、あたしが」
クロス「自分がクロスで」
サンキ「カジワラサンキです」
クロス「頭文字のKKをとって、チームKKです」
マツコ「クロスはあと3年したら、派手に女遊びをしててもおかしくない。てか、これおもしろくわかれてるかもな。BBBは一番変態チームだと思う。将来ちょっと変わったことをやっててもおかしくないチーム。KKは『ウェーイ』の可能性を秘めてる。ITは質実剛健。いいと思う。そういう人がいなきゃ国は滅びる」
アンディー「そんな僕たちには共通の悩みがありまして。彼女がほしい」
マツコ「あー、なるほど。これはね、エンペラーを恨みなさい。こんなことやってたら、どんどん彼女からは離れるわ。こういうことをやっている男子をね、『あ、おもしろいな』って思ってくれる女子が増えたら日本はもっと多様性のある国になると思うのよ。ただ現時点で女子高生がどうやって同じ同級生の男の子たちを見てるかって言ったら、たいがいの女は野球とかサッカーとかバスケやっててキラキラしてる男が一番モテ筋なのよ。はっきり言うよ、この際だから。その極にいるわけよ、おまえらは。それはしょうがない」
アンディー「マツコさんもさっきおっしゃってた通り、学校内のヒエラルキーで言うと底辺じゃないですか」
マツコ「いや、あなたたちカースト外ですよ。組み込まれてませんよ、カーストの中には。でも底辺より良くない?たいがいね、学校でカースト上位にいたやつって同窓会で会うとみんなヤバくなってるから。本当にみんなことごとくショボくなってる。中学高校のときそんなに目立ってないような子のほうが、社会に出てから成功してたりとか、大変身してすごい美男美女になってたりとか。だからもう学生時代のカーストなんて、あんなものなんの参考にもならないわよ。だからあんなものに縛られて、この中の底辺に生きてるくらいだったら、外で生きてたほうがよっぽどかっこいいし、後の人生に生かされるのよ。あたしこのへんで生きてたんだから、ずっと。だからこのへんでカーストを冷ややかに見ながら自分たちの楽しいことして生きてるっていうのは、全然底辺にいるよりも意味のあることですよ」
アンディー「いい意味で捉えていいんですか?」
マツコ「いい意味で捉えていい。でも悪い意味でもある。でもそれが人生」
アンディー「そんな彼女がほしいという共通の悩みを持っているからこそ、花いけバトルにハマってしまった。その理由がこちらです。花いけバトルの最大の魅力」
一同「キラキラしたイケメンになれる5分間の魔法」
マツコ「全部こうやってそろえて言おうねって決めてたの?」
イシダ「楽屋でめちゃくちゃ練習しました」
アンディー「たとえば野球部とかサッカー部とかの、俗に言うキラキラしたウェイ系がいるじゃないですか。憧れる瞬間っていうのがあって。花いけバトルには5分間の中で自分の思いをありったけこめて、その5分間のパフォーマンスもそうですし、結果としてできた作品も自分がかっこいいってなれる。そういった瞬間があるのが最大の魅力だと」
BBB「チームBBBがイケメンになれた瞬間、都立神代戦。イケメンを秘策で撃破」
マツコ「ここの学校の子はその彼自体もイケメンだったんだ?」
アンディー「イケメンでした。今風のですけど」
マツコ「それがもうイラッとしてたのね?」
アンディー「そう」
ナレーション「2019年6月、池袋のサンシャインシティで開かれた花いけバトル関東大会。観客はなんと500人以上。制限時間は5分。50種類以上の花や草木を使いその美しさで勝負。こちらが対戦相手、都立神代高校」
アンディー「対戦相手がちょっと今風な感じの」
マツコ「そこまで卑屈になるほど、おまえらそんなに変わらないぞ。おまえらもちょっとカフェ店員風になってる。おまえらはおまえらでちょっと問題あるじゃねえか」
実況「青いベストがなんともジェントルマンじゃないか」
ジゲン「この大会って実況がつくんですけども、見ていただいたらわかると思うんですけども」
実況「流木を横たえました。まるで滑走路を離陸していく飛行機のようにですね、見事な一連の流れを作ってまいります」
マツコ「本当?滑走路を飛び立つ飛行機だった?」
ジゲン「引きで見ればすごく流れができてる作品になっています」
マツコ「けっこう簡単に喜ぶんだなおまえら」
ナレーション「そしてイケメンを撃破した秘策がこちら」
(裏表をひっくり返す)
マツコ「これあえてそうやってたのね。最後に感動を与えるために」
アンディー「そういうことです」
マツコ「汚えやり方だな」
ジゲン「策ですから」
ナレーション「こちらが5分で仕上げた両チームの作品。勝負は観客と審査員の投票で決まるのだが、果たして結果は?」
実況「114ポイント対290ポイント」
アンディー「ここは気持ちよかったですね」
マツコ「これ映されてるあいつら気分悪いだろうな今本当に」
アンディー「でもそこは爽やかに。やっぱり所作はイケメンなのかな」
マツコ「そうだな、なんかイケメンってああいうことなんだよ。でもイケメンかどうかって判断するのは自分じゃん。キラキラしてるか判断するのも自分じゃん。自分で思ってたんだからいいじゃない」
アンディー「自分で思ってます」
マツコ「いいんだよ、それでいいんだよ。あ、でもね、たぶんモテるのはあいつらだと思うぞ」
ナレーション「花いけには5分という短い時間で花を美しくみせるためのテクニックが。たとえば、左右の花の位置を変えて左右非対称にいけたり、流木を使い力強さを表現する方法があるのだが、花いけ男子たちが試合を勝ち抜くために使うあるテクニックが」
アンディー「葉っぱの加工です」
マツコ「葉っぱを加工しちゃうの?」
アンディー「こちらのテクニックはジゲンのほうが上手なので、ジゲンにお任せします」
ジゲン「葉っぱをこのまま入れても、こういうふうな形で段差をつけて入れても」
マツコ「3個くらい入れると見栄えがよくなってくるわね」
ジゲン「なんですけど、僕はもう少し遊ばせたいのでこの葉っぱの真ん中に穴をあけまして。穴をあけて先端を真ん中から通してこういうふうにくるりんぱすると、おしゃれないい感じに」
マツコ「おしゃれなんだな、それは。あたしはそれはコンニャクの処理の仕方にしか見えない」
ジゲン「遊ばせたものをこういうふうに入れると、またおもしろい作品となります」
アンディー「おおー」
マツコ「帰りなさい」
《高校生活のラストステージ 熱血!花いけバトル》
アンディー「最後に私たちからお願いがひとつあるんです。マツコさんへのお願い、もう一度花いけでキラキラしてカッコいいところを見せたい」
スタッフ「大会なくなっちゃったらしいんですよ」
アンディー「そうなんです。春の選抜っていう地区ごとに選抜されたグループが岐阜県に集まって、そこでまた競うっていう形だった。それがなくなってしまって、パフォーマンスできる場所がなくなっちゃったんですよね。ていう時にこのお話を聞いて、ここで最後有終の美をこの場を借りて飾らせていただけたら」
マツコ「ここが有終の美にふさわしいかどうかわからないけど、おまえらがここでいいって言ってくれるんだったらいいぞ」
アンディー「よかった。お題は『マツコさん』」
マツコ「いやいや、ここまできたら逆にもう1個お題を乗せます。今日のこのチーム分けのテーマにもなりましたけど、クロスとサンキのところはウェーイって感じをちょっと入れなさい。イシダとイマミーのところは質実剛健。アンディーとジゲンのところはより変態的に。それをちょっと入れてくれると、今日やる意味がまた出てくるんじゃないの?」
アンディー「花いけジャパン代表の日向先生に」
日向雄一郎さん「ご紹介いただきました、花いけジャパンプロジェクトの日向でございます。実況で先ほどお聞きいただいたと思うんですけれども」
マツコ「そのジャケットどこで買ったんですか?」
日向さん「いつも花いけバトルの時にはこれ」
マツコ「普通花のこと気を遣って、ちょっと抑え気味にするほうがいいと思うんですけれども。一番目立っちゃってるっていう」
日向さん「それではいきましょう。キラキラしたいぞ高校生花いけバトル」
マツコ「ちょっと待って。こんななのいつも?…思う存分やってください」
日向さん「さあスタートしてまいりました。まずはこれゴングが鳴ってですね、一斉に花材それぞれに目指したもの、イメージしたものというのがあります。そちらを手に取って戻ってまいります。センターがチームIT。4メートルはあろうかという竹を用意して参りました。アンディーが手にするのは紅葉のドウダンツツジでございます。そうこうしているうちにチームIT、イマミーがノコギリで竹をカットしてまいります。残り時間2分」
マツコ「でもこれやっぱり性格が出るね。言わなくても、あたしがさっき第2のお題出さなくても、最初からそうなってましたわ」
日向さん「これは最後ゴング鳴って終了ですけれども、その時点で台の上も含めて完成作品のフイニッシュ、しっかりと整えられてなくてはいけません」
マツコ「ちょっとあと10秒だよ、早く片付けないとほら、落としちゃえ」
日向さん「はい、ゴング鳴って終了」
マツコ「今日は別に本当に競技やってるわけじゃないんだから、もうちょっと時間かけてもいいから最後仕上げちゃえば?いいよ。気にいらないところあったら最後修整していいよ。今日は特別ルールよ」
…
マツコ「マイペースにもほどがあるよな。人の話も聞いてないし、ゆっくりやってるぞあいつら。はい、終わりました」
アンディー「ではまず作品の説明を。マツコさんは輝かしい功績が数々芸能界であるじゃないですか」
マツコ「そうなの?」
アンディー「なので今回は鮮やかな」
マツコ「まあでもその赤の部分がすごい鮮烈。だからすごい変態性を感じる」
ジゲン「ありがとうございます」
アンディー「次にITの」
マツコ「良かったんだけど、その菊。あれいらないってあたし思っちゃった。最後迷ったな。そこで質実剛健じゃなくなったもん。取ってみて。全然いい、このほうが。いいです、ちゃんと出てます性格が。すばらしいです」
イシダ·イマミー「ありがとうございます」
マツコ「それに引き換えですよ。大問題!とっ散らかってますよ。いやあたしさ、余計なお世話かもしれないけど、直す前の状態に木の枝を戻してみて。こっちのほうが良かったよ、収まり。あとこれをベースにしたブーケなりなんなりを考えたときに、あの中心にある花。より実践に近いんだよね、こいつらがやってることって。だから『ウェーイ』だと思うのよ。最後こういうお題もちょっと考えてやってよとは言ったけど、これからの人生を見せられてるみたい。がんばってよ。日本の未来はおまえらにかかってるんだからな。本当にお願いするけど、本当にあたしたちの世代を見捨てないでね」
〜完〜