2020/10/27放送
マツコの知らない世界
'国内外2000枚の路線図を集めた2人'
西村まさゆき(ニシムラマサユキ)さん(以下、西村)
井上マサキ(イノウエマサキ)さん(以下、井上)
西村•井上「よろしくお願いします」
マツコ「路線図顔だ。どういうご商売をされているかわからないんですけど、景気のほうはいかがですか?」
西村「よくないですよ」
マツコ「やっぱりよくないんだ。プロフィールを見ればいいのよね」
井上「こちらです」
マツコ「ライターか!The不安定よ」
井上「フリーでやってます」
マツコ「フリーライター!ほぼ無職だからね」
井上「路線図を好きになったきっかけから」
西村「鳥取県の倉吉市っていうところで生まれまして、僕初めて東京に来たのが高校2年生の夏休みのときに日曜日の朝、都心をふらふら歩き回って、これが東京か、って。見たら霞ヶ関の駅があって」
マツコ「これが東京かっていってまず行ったのが霞ヶ関っていうね」
西村「そこで切符買うのに路線図を見るんですね。こんなかっこいいものが東京にはあるのかって衝撃を受けて。これがあれば東京のどこにでも行けると思って、大感動しちゃってそれ以来路線図っていうのが好きになった」
マツコ「次じゃあ井上さんね」
井上「僕新婚旅行でロンドンに行ったんですけれども」
マツコ「ロンドンの中部のね。あれおしゃれよね」
井上「そうです。あれを見てかっこいいなと思ったのが最初に興味をもったきっかけ」
マツコ「世界中地下鉄の路線図ってだいたい似てるじゃない。あれって最初はロンドンなの?あの形を作ったのって」
井上「そうです。もともと地図の上に路線書いてあったんですけれども、地下鉄乗ってると、地上どこ走ってるかあんまり関係ないじゃないですか。なので、つながりだけわかったらいいじゃないっていうことで作ったのがこれ」
マツコ「へー。ほぼ今とあんまり変わらない」
井上「そうですね。最近言われてショックだった言葉がありまして。この番組の打ち合わせで流れで出た」
マツコ「じゃああいつに言われたってこと?」
井上「そうです。『路線図って必要ですか?』」
マツコ「じゃあ聞き返していい?お前って必要ですか?ねえ、よくない。これはデリカシーのない」
井上「だから『必要ですか?』って言うとあれなんですけど、乗り換え案内とかスマホでわかってしまうし、電車に乗るときもピッとやれば乗れちゃうから、あんまり見る機会っていうのは少なくなっていはのは確かにその通りなんです」
マツコ「いやだから、実用性だけが全てじゃないじゃないですか」
井上「そうなんですね」
西村「まあその通り」
《複雑だけどかっこいい!大都会の路線図4選》
井上「路線図の魅力です。現実と違うからこそおもしろい、路線図はファンタジーの世界」
マツコ「そうね、これは千葉に住んでると思い知らされるんですよ。だいたい路線図って、これぐらいで千葉終わってるんですよ。東陽町あたりから西船橋までビビビって東西線がこれぐらいになってるやつ。千葉ってあれだとだいたい東京の10ぶんの1くらいの面積しかない」
井上「さっそく見ていただこうと思うんですけれども、まさにさきほどおっしゃっていたこれですね」(JR東日本の路線図)
マツコ「それはまだ千葉側に優しいやつ」
井上「ファンタジーのレベルでいうと初級くらいのやつ」
マツコ「そうね、これは現実の地図に近い」
井上「真ん中に山手線があって。やっぱり端っこのほうが大変になりがちっていうのはある。大宮から先の宇都宮が右に行くんです。左に行くと熊谷•高崎という。T字になってしまう。本当に書くならYになってしまう」
マツコ「そうね。かなりまあ現実的な」
井上「そうですね、収めるための工夫をしましたというところ。上級編にいきますと、これがみなとみらい線です」
マツコ「やっぱり横浜ってすごいわよね。横浜か否かよね」
井上「青いのがみなとみらい線です。元町•中華街まで行くやつで、みなとみらい線は東横線、副都心線、東武、西武と乗り入れていくんですけども」
マツコ「まあめちゃくちゃよね。だってそれだとみなとみらいと馬車道の間に飯能があるんだもんね。だいぶむちゃくちゃよ」
井上「どんどん北に伸びていくので、こう畳んでいくしかないっていう。実はこれ最近リニューアルを進めてる」
マツコ「あらあらあら。つまらないのになっちゃって」
井上「方角通りのものができてしまいまして」
西村「こうやって消えていくんで、アーカイブしていかないとね。僕たちが写真に撮って残していかないと」
マツコ「そうですよ。誰が残すんですか」
西村「誰も残さない」
井上「生き物なので、変わったり生まれたりなくなったりっていう」
マツコ「だんだんめんどくさい人たちになってきた」
井上「いろんな路線図見ていくうちに、都会の部分と地方の部分で愛で方も違ってくる。路線図の密集度合いが違うので。ということでそこを分けてご紹介したい。都会の路線図のここが好き、複雑な路線を1枚に落とし込む見事さ」
マツコ「東京は特に大変だよね。碁盤の目じゃない街だし、地図通りにやったとしてもめちゃくちゃじゃない。だから本当にすごいと思う、あれをデザインしている方は」
井上「13路線ありますから」
ナレーション「というわけでここからは二人が思わずお見事とうなった都会の路線図を2つご紹介」
マツコ「大江戸線とかできたとき、みんな困っただろうね。いきなりあれを加えなきゃいけないってなったら、あれだけできあがったものに急に環状線が入るわけじゃない。あのとき大変だっただろうね」
ナレーション「こちらが大江戸線が開通する前、1990年代の都営地下鉄の路線図。これがどう変わったかというと、こちら」
マツコ「これを初めて見たときはすごいな、と思った」
西村「これデザインとして優れているのが、大江戸線の存在感がすごいんですよね」
井上「このデザインが採用されたのは、唯一楕円の環状を作ったかららしいです」
ナレーション「しかも現在の都営地下鉄の路線図には、1駅だけちょっと変わった形の駅があるという」
井上「都営地下鉄路線図の見どころが1個あるんです。こちらです。大江戸線が生んだくびれ、ひょうたん新宿駅。実はちょっと変な形になってまして、新宿駅が。比較をしてみます。これは大江戸線が開通する前の路線図です。ここまでは来てた、都庁前。これが開通とともにどうなったか。こちらです。これが全部新宿駅」
マツコ「なんのためにくびれてるの?」
井上「そこなんです」
西村「これ意味がちゃんとある。おわかりになります?」
マツコ「あれ1個にしちゃうと、丸ノ内線とかからそのまま都営線のほうの新宿駅にスッて行けそうになっちゃうじゃない。要はだからJRを2つにわけて、西新宿西口駅とか丸ノ内線の新宿駅側とコンタクトがとれるJR新宿駅と、都営新宿線とつながっている側のJRの駅、っていう意味で分けたの?」
西村「そうです。まったくその通り。僕ら説明するところがないですね」
マツコ「再開発好きだから。だからあそこに点点点が入ってるの?行けないよって?」
西村「そうなんです」
ナレーション「新宿西口駅や丸ノ内線の新宿駅から大江戸線の新宿駅に向かう場合、運賃上は乗り換え扱いにならず、切符を精算する必要がある。そのためこのようなひょうたん型になっているのだ」
井上「ここが乗り換えできるようになってしまうと、同じ大江戸線から大江戸線に行けちゃうんです。新宿って書いちゃうと嘘になっちゃう。かと言って2つにわけると、それもまた違う」
マツコ「それも嘘だもんね」
井上「いたしかたないっていう」
マツコ「だから点点点で。心は繋がってるんだよっていう」
井上「もう1個。○○駅の分岐がカオスすぎる、都営浅草線レインボー路線図」
西村「レインボー路線図って、僕ら勝手に行ってるんですけど」
マツコ「でしょうね」
西村「停車駅案内図で種別ごとに色分けしてる」
マツコ「私鉄とかの車内によくあるよね」
西村「南海ですね、大阪のほうの」
マツコ「渋いね」
西村「もう純粋にこれ色がいっぱいあってきれいだなっていうのが、鑑賞のポイントですね」
マツコ「西武池袋線もこれなかなかすごいですけど、都営浅草線はこんなもんじゃない?」
西村「おほほほほほ」
マツコ「いやいや、だってこれよりショボかったらこれ出しちゃダメだろ。すごいのね。何駅か分岐する駅でしょ?」
井上「厳密に言うと浅草線の駅ではない」
マツコ「浅草線の駅じゃないの?」
井上「浅草の駅じゃないんですけど、浅草線に貼ってある路線図がすごいっていう」
マツコ「分岐する駅?…青砥?」
井上「その通り。青砥です」
マツコ「全部入ってるから、東京は。地図好きだから全部入ってるからあたし」
西村「都営浅草線の構内にある路線図なんですけど、青砥の構内にあるやつ」
マツコ「ありがたいですけど、こんなに丁寧にやることある?」
西村「でも乗り入れてるところ全部書かなきゃ。この部分がめちゃめちゃきれい」
マツコ「むしろわかりづらい。なにがなんだかわからないわよ。としまえんのハイドロポリスみたいになってるわよ」
西村「わかりやすくするために色つけてるはずなんだけども、これだけ種別が多くなると」
マツコ「途中であきらめたんでしょうね」
西村「めちゃめちゃ多い」
マツコ「特急多すぎだよね。ありがたくないわよね、特急が」
西村「種別が多すぎなんですよ」
マツコ「通勤特急、特急、アクセス特急、快速特急。特急ばっかりじゃないのよ。四ツ木に住んでる人2時間に1本くらいしか来ないんじゃない?ずっと特急通過しちゃって。ちゃんと乗れてる?」
《イラスト満載で楽しい!全国ご当地路線図10選》
井上「今度は地方のほうですね。だいたい1路線、2路線っていう」
マツコ「そうね、地下鉄もそんなにいっぱい走ってないしね、大都市行ってもね」
井上「地方の路線図のここが好き、寂しい余白の埋め方に地元愛を感じる」
マツコ「ディスってます?」
井上「いやいや、愛を感じる」
マツコ「もし余白になっちゃってたら寂しいところを愛で埋めているってことね」
井上「まとめたのがこちらです。地方の路線図。一本線だったりするんですけれども、イラストで工夫されてるところですと、地元の名所とかおいしいものとか散りばめている。一昔前のデザインみたいなものがまだ生き残っていたりとか、時代を超えた良さみたいなものを感じる」
マツコ「『道南いさりび鉄道』は余白埋めてませんよね?」
井上「埋まってないんですけど、地方の鉄道あるあるで、どこの都道府県のここをはしってるかって示しがち。ここを通ってますよっていうのをちゃんと言いたいっていう」
マツコ「なるほど、これディスってますよね?」
井上「全然です」
マツコ「ディスってはないのね?」
井上「この手があったかっていう」
マツコ「なるほど。海の余白をそういう埋め方をしたのかと。ただもう1個それをつけるわけにはいかなかったから、陸は埋めきれなかったのね。しょうがないわよ、広いから」
井上「他、気になるところございますか?」
マツコ「ピンクのイルカはいないよね?」
井上「『ことでん』ですよね」
マツコ「すごいイルカね。温泉に入ってゴルフしてるわよ。カップルなのかしらね、このイルカ」
井上「これすごくイラストがかわいくて」
西村「絵の良さで言うと『智頭急行』もすごく良くて。たぶん看板屋さんが描いたんだろうなというぼんやりした絵がすごくいい」
マツコ「壮大よね。だって日本海側から瀬戸内海まで抜けてるっていうね。『宮本武蔵』っていう駅名すごいわよね。生誕の地と言われているところね」
井上「千葉ですと『新京成』とか」
マツコ「新京成の余白はほぼ梨畑です。リアルだとね」
井上「ランドマークがたくさん描いてあって」
マツコ「新京成のランドマーク?」
井上「アンデルセン公園とかね」
マツコ「三咲と二和向台の間のランドマーク、イチゴ狩りになってますよ。鎌ヶ谷大仏の隣にはモモ狩り」
西村「狩りがちですね」
マツコ「よかった、モモ狩り、イチゴ狩りがあるのに梨狩りないじゃんって思ってたら、梨狩りはもっと豪華だった。フルーツだけかと思ったら、梨は園みたいになってる。よかった、あったあった。…そんなに新京成で盛り上がらくていいのよ」
井上「なかでもこれはいいなというのがこちらです。『銚子電気鉄道』です」
マツコ「すごいね。地元愛プラス金がないっていうね」
西村「一目でわかりますね」
井上「もともとは観光協会の方が10年くらい前に模造紙にマジックで描いたり、ケータイで印刷した写真を貼ったり、手作りをしたやつがオフィシャルに採用された。今でも車両の中にこれが貼ってあります。駅名なんですけど、上のほうにいろいろ書いてあるんです」
マツコ「そうなのよ、売ったのよ」
井上「ご存知ですか」
マツコ「ネーミングライツね。もう売るものがないの。売れるものは全部売ったのよ」
井上「それも全部ここに書いてあるという」
マツコ「仲ノ町のあたりはそれなに?写真のほうは?あ!ありました『ヤマサ醤油』。ありがとうございます。どうしてもそれだけはゆずれなくて」
〜完〜
