2020/10/13放送
マツコの知らない世界


'水さえ飲まず果実だけ食べて生き続ける男性'
中野瑞樹(ナカノミズキ)さん(以下、中野)


マツコ「あれ?色が落ち着いた」
中野「今みかんが出始めなので、一番薄いです、一年で」
マツコ「みかん強烈なの?」
中野「みかん強烈です」
マツコ「みかんシーズン終わった直後くらいだと、もうオレンジ?」
中野「オレンジです」
マツコ「なんでそのタイミング呼ばないのよ」

マツコ「うわー。生きてた」

中野「ご無沙汰しております。なんとか生きておりました」

マツコ「『なんとか生きてる』って自分で言っちゃダメよ。でもなんかお顔が穏やかになった気がする。それはなんか特に変わったこと」

中野「あ、変わったことありました、そういえば。それが影響だと思います」

マツコ「とうとうメロンと結婚しました?」

中野「そうですね、そんなようなことが確かに」

マツコ「あっ、じゃあご結婚されたの?」

中野「前回の放送から2年半」

マツコ「イヤだ、こんな人と結婚するの」

中野「大きな進歩がありました。おっしゃる通りです、結婚しました。ありがとうございます」

マツコ「そう、よかったね。あたしこの人は生涯独身だと思ってた。あら、おきれいな方」

中野「ありがとうございます」

マツコ「こんなご本人前にして言うのもなんですけど、何がよかったんですか?」

奥様「ちょっと変わってるんですけれども、変わった人好きなんです」

マツコ「だって、いただきますって言ってお味噌汁飲んだら、この人なんか変なものかじってるんですよ」

奥様「食事は全然別々にしてます」

中野「いっしょにしてないの?イライラするから?」

奥様「やっぱり全然食べるものが違うので」

マツコ「今お幸せですか?」

奥様「はい」

マツコ「あら。人を幸せにしたわよ」

中野「ありがとうございます。実は今日は訴えたいことがあってまいりました」

マツコ「またですか?」

中野「まだあるんです。今日訴えたいこと、高級化で負のループです。というのは、フルーツの消費が過去40年で半分になっちゃってます。卸売市場の方とか果物屋さんとかは、農家さんの所得を上げるためにとにかく高級化を戦略として掲げている。だから結局消費者はもっと高くなると感じてるので、どんどん買わなくなる。買わなくなるからさらにもっと高いものを作ろうとする、完全な負のループに陥っちゃってるんです」

マツコ「でもたぶんそれって、お菓子が今ほどじゃなかったと思うんですよ」

中野「それももちろん原因のひとつです」

マツコ「今すごいじゃないですか、コンビニですごいおいしいケーキとか買えたりとか。デザート感覚でフルーツを食べてた習慣が、無くなりつつあるのかなって」

中野「そうなんですよね。それで今日はお手頃&おいしい、意外な産地をたくさん紹介したいと思います」

マツコ「うわ、大事なところで噛んじゃった」

中野「すみません、噛んじゃいました」

マツコ「壮大なテーマで。でも撮り直しはさせません」



《お手頃&おいしい!秋フルーツのフルコース》



中野「これまで私がいろんな産地に呼んでいただいたので、いろんな産地の実際にうかがったところから今回厳選いたしました」

マツコ「しかもお値段はお手頃?」

中野「もちろんです。お手頃なのにおいしい、秋フルーツのフルコースで、マツコさんを元気にしたい」

マツコ「本当に元気にしてほしいです」

中野「フルーツで元気になります。秋フルーツ、これから秋ですけど、これ見てもらったら、色とりどりなのがすごく良いと言われてるんです」

マツコ「あたし意外と秋のフルーツ、好きなフルーツが多い」

中野「いっしょです。だいたいカブってると思います」

マツコ「でも見た目が最も違う」


中野「それではマツコさん、秋フルーツのフルコース、一品目。オードブルでございます。○○の主な産地でございます。これはなんのフルーツでしょう?」

マツコ「まあ南っていうか、相当広範囲よね。それで秋?あたし今思いついたのはみかんだったんだけど、違うよね?」

中野「みかんで合ってます。温州みかん」

マツコ「合ってたわよ」

中野「静岡とか和歌山とか愛媛とか。三大産地ですね、最近伸びてるのが熊本とか佐賀とか。長崎も最近すごい伸びてます。味がよくなってきてます」

マツコ「九州?」

中野「はい、九州。みかんと言っても高級なみかんありますよね。関西だと湯浅町の田村みかん。非常にブランドもので有名で、数千円します」

マツコ「食べたい。これ出せー。誰かくれ!」

中野「秋フルーツのフルコース一品目、2つ産地をご紹介したいと思います。ひとつめは、和歌山県海南市の『下津みかん』。特に海南市はレアな産地なんです。南隣に有名な有田の産地があるんですけど、あまり知られていない。もうひとつは熊本県熊本市の『肥のさきがけ』です」

マツコ「熊本市内?」

中野「熊本市内です。いろいろ合併してるので、最近」

マツコ「田舎のほうも熊本市になっちゃってる」

中野「同じ種類のフルーツでも、産地が違えば味は全く変わるんです」

マツコ「え?青いの?」

中野「毎年のようにいろんな産地で、品種改良をしております。これが20年30年で劇的に進化しております」

マツコ「じゃあ青いけどすっぱくないの?」

中野「とかが出てきてるんですよ」

マツコ「これで熟してるの?」

中野「それで熟してます」

マツコ「何十年ぶりかも、こんな青いみかん食べるの。若い子はわからないだろうけど、昔『すっぱいねこのみかん』って言いながら食ってたのよ」

中野「そうなんですよ」

マツコ「すっぱいフルーツっていっぱいありましたよね、昔ね」

中野「ありました。いちご、すっぱかったです」

マツコ「いちごすっぱかった。だから砂糖とか練乳とかかけて食べてたもんね。あとグレープフルーツにも砂糖かけて」

中野「すっぱかったです、グレープフルーツも」

マツコ「今考えるとあれうまかったな。あのシャリシャリしたね、砂糖かけて食べるすっぱいの。あ、でも甘いけど、青いみかんっぽい酸味がちょっと残ってる」

中野「それはあえて残してるんです」

マツコ「おいしい。あたしら世代にはちょっとこの最近すっぱいみかんないから。すっぱいみかんって言っても、まだ熟してないですっぱいじゃない、最近のみかんって。ちゃんと酸味が残ってて果物っぽい。おいしい。今日みかん買おう」

中野「私は八百屋さんでみかんは主食なので、毎日2、3キロ食べますから、冬場。箱買いするとき下津みかんあれば、ちょっとお安いですから喜んで買います」

マツコ「八百屋さんも恐怖だろうね」

中野「心配されます。熊本の『肥のさきがけ』をご賞味ください」

マツコ「これ香りがすごいな。なんだろう、ちょっと南国のフルーツというか。悪い意味じゃなくて、みかんっぽくない。ちょっとシークワーサーみたいな香りと味しない?」

中野「そうですね、酸味もちゃんとあって、コクがあって甘みが深い。最近糖度糖度ってうるさく言っていると思うんですけど、みかんって基本的には水をあまり与えないようにしている。濃縮させて糖度を上げているんです。だから糖分がどんどん増えているというわけじゃない。水分をとばしているからなんですね。その作り方がそれぞれ違いまして、下津みかんのほうは傾斜地で作って、土が浅いんです。結果的に水分があまり吸えない状況の土地で作っている。熊本の場合は白いシートを敷くんです。マルチって呼ばれてるんですけど。それであんまり雨が下に入らないように。さらに白いシートで太陽がはね返るので、色づきやすいです」

マツコ「大変ね、作るの」

中野「いろいろ改良して工夫されてます、それぞれの産地で」

マツコ「どこに行っても手に入るって感じではないですよね?」

中野「少ないんです。あるところの近くに僕は住みます」

マツコ「それは勝手にしてください。…冗談です」


ナレーション「続いてマツコを元気にしたい秋フルーツのフルコース、二品目は」

マツコ「北、これは分かるわ。ちょっと一品目、二品目は分かりやすいわ。りんごでしょ」

中野「さすが。大当たりです」

マツコ「でもこう見るとりんごとみかんって真っ二つに産地が割れてるのね、二大フルーツなのに」

中野「りんごと言えば、ふじが一番人気なんです」

マツコ「そうよね、ふじ・つがるよね」

中野「つがるはちょうど今の時季で、この後ふじは後から出てきます。10月下旬くらいから。ふじがお好きな方が多いんですが、もっと早くふじを食べたいとおっしゃる方も中にはいるので」

マツコ「わがままだね、みんな」

中野「ということで1ヶ月早く出荷できるふじが今けっこうあるんです」

マツコ「がんばったんだね農家さん」

中野「めちゃくちゃがんばってます。それを『早生ふじ』と言います」

マツコ「早生のふじね」

中野「早めに出てくるふじということで、早生ふじと言います。かなりレアな産地をご紹介したいと思います。青森県は板柳町の『弘前ふじ』、もうひとつは秋田県横手市の『やたか』です」

マツコ「これは珍しいの?この産地は」

中野「青森としては珍しくないんですが、青森としては弘前が1番有名。板柳町はかなり高齢化もあって、先細りしている」

マツコ「だんだん農家さんも減ってきたんだ」

中野「いなくなってしまうしまうんじゃないかぐらい」

マツコ「きれいな木だね。高いままにしてるのね」

中野「いえ、ここは矮化(わいか)栽培と言いまして、収穫しやすいように背丈を小さくした栽培。密植してます」

マツコ「なるほど、低くしたんだ」

中野「横に広げずに。丸葉栽培と言うんですけれど」

VTR「マツコさん、矮化栽培で有名な板柳の早生ふじ。立派でしょ。食べてみてください」

マツコ「あたしちょっとお兄さんに興味ある。もうちょっとアップで撮りなさいよ」

中野「非常に男前で」

マツコ「非常に興味があります」

中野「ぜひ横手と板柳の味を」

マツコ「なにこれ。なんでこれついてるの?」(ゆず)

中野「それはあとで。まずは横手のほうの秋田県やたかのほうから召し上がってください」

マツコ「あまっ。あと前よりもシャキシャキになった。なんかもっとふじって少しやわらかくなかった?しゃわしゃわって」

中野「より寒い地域のほうがシャキシャキ感はでますね。次は板柳町の弘前ふじ」

マツコ「ああ、やっぱりりんごうまいな」

中野「いかがでしょう?」

マツコ「確かにちょっと北行ったからかもしれないけど、こっちのほうがパリパリというか。こっちのほうが酸味が強いかな。あたしおかしくなってる?」

マツコ「いえいえ、全然そんなことないです。生ものなので、個体差がもちろんあります。甘かった横手の『やかた』のほうを味変したいと思います。甘いりんごに少しゆずをかけていただくと味が変わります。ちょっとでいいですよ。これは高知産のゆずです。おいしくなる柑橘はないかなと思っていろいろ調べたんですが、一番ゆずが良い」

マツコ「おいしい。ゆずりんご」

中野「マツコさん、そのへんにしていただいて。このあともたくさんあるので」

マツコ「毎日食べてる人が何言ってる」


中野「秋フルーツのフルコース三品目、メインディッシュです。国内の品種数およそ1000種類の果物はなんでしょうか?」

マツコ「ええー?1000種類もある?秋でしょ?」

中野「秋の果物です」

マツコ「ぶどうはそんなにないと思うんだよね。柿?」

中野「当たりです。柿です」

マツコ「当たりました。柿はあたし3位なんですよ。1位は梨で、2位がビワなの」

中野「あー、ビワでしたか」

マツコ「笑」

中野「中野的、柿がメインディッシュの理由。柿の栄養はフルーツ最強レベル。たとえば食物繊維」

マツコ「急にどうしたんですか、柿ブロックだけ」

中野「柿は僕の中で熱いんですよ」

マツコ「柿は熱いんですね。大丈夫ですよ。もうツッコまないので」

中野「甘柿でも食物繊維で言えばレタスの1.5倍あります。含有量です。渋抜き柿では2.5倍もあります。ビタミンCは、女性にはうれしい」

マツコ「ビタミンCは意外」

中野「レモン果汁よりも両方とも含有量多いんです」

マツコ「じゃあ女の人はどんどん食べればいいじゃない」

中野「柿ってだいたいどなたが食べる果物と思われてますかね?世間一般では」

マツコ「ばばあですね」

中野「おばあちゃまの食べる。実は違うんです。若い女性のかたもぜひ食べるべき果物が柿です」

マツコ「これはあれじゃない?もっと言ったほうがいいんじゃない?なんか若い子あんまり柿食べないでしょ?」

中野「そうなんですよ」

マツコ「うまいぞ。食ったことないんだよ、うまい柿を」

中野「ということで、メインディッシュ渋抜き柿、奈良県五條市、和歌山県紀の川市『刀根早生』をこれからご賞味いただきます。まずは五條のほうを召し上がってください」

マツコ「こんなに柔らかいの?この時期から」

中野「これはハウス栽培ではなく、完全に露地栽培です」

マツコ「それでこんなんなるの?この時期に」

中野「はい。この五條というのは、市町村レベルでいうと、最も柿の生産が多いところです」

マツコ「こんなに柔らかくなるんだ?」

中野「そうなんです。この時期から本当においしくなります。では次は紀の川市」

マツコ「もっとおそろしい状態になってるわよ。これ普通の状態?こんなの初めて見たけど。中トロみたいになってるわよ。…もう無い」

中野「実は柿自体のときにはほとんど同じ硬さだったんです、五條の柿と紀の川市の柿と。切ってみたらこれだけ柔らかさが違うんですよ」

マツコ「どういうシステムなの?」

中野「気候風土の違いで差が出ます。これを味変したいと思います。今回は徳島県産のすだちでございます。これもちょっとだけです」

マツコ「すだちおいしいよね」

中野「いかがですか?」

マツコ「柿とすだち、合うね」

中野「甘い柿は特に合います。果物と果物の組み合わせって、意外に合うときあるんですよ」

マツコ「うん、甘い柿とすだちはおすすめよ」

中野「それではマツコさん、今口がまったりしていると思うので、これからさっぱりしましょう。秋フルーツフルコース四品目、主な梨の産地です」

マツコ「あたし生まれてから一度も梨1位は変わったことないです。ずーっと梨が1位でした。ガリガリ君も梨味が1位でした。あたしが千葉県で生まれて唯一良かったと思うのが、梨の産地っていうところ。唯一ですからね、…怒られるわ」

中野「青梨の一番メジャーな品種といえば」

マツコ「いやもう、二十世紀じゃないですか?」

中野「ですよね。さすがです。二十世紀梨です」

マツコ「最近人気ないのよ」

中野「そうなんです。関東で売ってないんですよ」

マツコ「あたしが子どものころは、梨と言えば二十世紀だったのよ。でも幸水・豊水の出現により、一気にいったよね」

中野「二十世紀梨と言えば、千葉県とも縁が深い」

マツコ「松戸市に二十世紀が丘っていう地名がありますよ」

中野「今おっしゃった通り今から130年前、松戸市の13歳の少年がゴミ溜め場から芽が生えてるのを見つけて、それが広まったんです。その少年は10年かけてそれを育てて、実ができるまで10年かかったんですよ、二十世紀梨」

マツコ「それ本当の話ですか?」

中野「リアル話です。この二十世紀梨が今とんでもないことになっています。37年間で92パーセント減って、今絶滅の危機にあります」

マツコ「えー!あたしでどうにかなります?」

中野「このあとどうにかできます」

マツコ「できるの?」

中野「できます。実は二十世紀梨のもうひとつの産地を見つけました。この時季でも食べられる二十世紀梨」

VTR「マツコさん、梨子本果樹園の梨子本亘希です。妻の知笑です。マツコさんのふるさと、千葉で生まれた二十世紀梨。奈良県大淀町で情熱を持って情熱を継承しています。ぜひご賞味ください」

マツコ「奈良の大淀町」

中野「隠れた梨の産地。農水省の統計にも出てこないんです、奈良は。食べてみたら驚きでした。僕は関東の方が二十世紀梨を好まれない理由はこれじゃないかなって思ってて、新しい切り方を編み出したんです。まずは右側のオーソドックスなほう」

マツコ「懐かしい味。これだった」

中野「今食べていたところって、芯のところどうでした?酸味とかえぐみとか」

マツコ「全体的にちょっとえぐみはある」

中野「ありますね。だからそこをくり抜く切り方を編み出しました」

マツコ「エジソン並みにおっしゃってますけど」

中野「ということで、中野式のほうを召し上がってください」(四つ切りにして芯の回りを丸くくり抜く)

マツコ「本当だ、青臭さとか、くさみみたいなのがなくなってる」

中野「えぐみとかも感じないのではないでしょうか」

マツコ「全然違う。二十世紀梨の芯に近いところがえぐみの原因なんだ」

中野「そうです。あそこをきれいにくり抜けば、ものすごく甘くておいしいんです」


中野「秋のフルーツのフルコース四品目、デザート。さっぱりとしたシャキシャキ感『新高』。今回ご紹介する産地は栃木県宇都宮市と長野県飯田市です」

マツコ「どちらから?」

中野「どちらでも大丈夫です」

マツコ「急にゆるくなるのね」

中野「栃木からお願いします」

マツコ「この新高っていうのは、一番コリコリしてるのよ。だから梨の歯ごたえが物足りないなって方はおすすめです」

中野「オンエアの頃からすごくおいしくなります。この飯田っていうのは、普段はりんごを作っている農家さんが多くて、梨はまだ少量なんですけど、意外なおいしい産地です」

マツコ「飯田はすごいわね。香りといい、ジューシーだし。これはすごい」

中野「梨は最近注目の栄養成分もけっこうあるんですよ」

マツコ「えっ、なあに?」

中野「女性にうれしい成分がけっこう入ってます。というのは、たとえばアルブチンです。アルブチンって美白成分」

マツコ「アルブチンが入ってるの?」

中野「入ってます。アルブチンは塗ると美白成分ですけど、飲むと実は尿路感染症っていって、尿道炎とか膀胱炎とか腎盂炎のお薬の成分です」

マツコ「これ女性はうれしいんじゃない?むいた皮は塗っとけばいいんだもんね?」

中野「どうでしょうね?そこは」

マツコ「そんな簡単な問題じゃない?」

中野「じゃないと思います」


中野「ありがとうございました」

マツコ「ちょっと本当にお元気でね」

中野「マツコさんもお元気で」

マツコ「ありがとう。でもそういうことじゃないんですよ。奥さんね、いざって時は助けてね。いつか倒れるかもしれないから。その時は握り飯口にぶちこんでね」



〜完〜