2020/04/28放送
マツコの知らない世界
 
'平成生まれの昭和ポップス育ち'
高橋昌太郎(タカハシショウタロウ)さん、(以下、高橋)
さにーさん、(以下、さにー)
 
 
 
マツコ「年齢不詳。中学生にも見えるわよ」
高橋「ああ、よく言われるんです」
マツコ「いくつ?」
高橋「28です」
マツコ「28!?平成何年?」
高橋「3年です」
マツコ「平成3年生まれが28か。はあー、もう死ぬなあたしそろそろ」
 
さにー「知識としては全然マツコさんのほうが」
マツコ「いやいや、あたしもそんな知識があるわけじゃないわよ。ただ聞いてただけだから」
さにー「平成生まれっていうか、その世代に音楽を聴いてなかった自分たちが、昭和ポップスをどういうふうに思っているかっていうか。どういうところがすてきかっていうところを、今日はご紹介したいなと思います」
マツコ「やっぱ女の子のほうが大人だよね」
さにー「バブルを知らない私たち。日本が一番元気だった時代の『華やかさ』『共有感』に憧れる。華やかさっていうところでいうと、やっぱり当時は」
マツコ「まあね。めちゃくちゃだったわよね、今思うとね」
さにー「レコーディングにも当時の一流のミュージシャンを集めて、生の音でレコーディングしてましたし、生放送の音楽番組が毎日のようにあったわけですよね。ていうのが私たちからするとあんまり馴染みがないというか。そんなに音楽が盛り上がってたんだなっていう豪華さというか。すごい憧れるところのひとつではあります」
マツコ「やっぱり『夜ヒット』とかはえげつなかったわよね。豪華さとか。あとたぶん歌手の人も『夜ヒット』は気合い入ってた気がする。歌唱がちょっと違うんだよね」
さにー「共有感に憧れるっていうところがすごく大きい」
マツコ「確かに、別にあたしこれあんまり言うとノスタルジーでモノを語る人間にはなりたくないので、『昔のほうがよかった』とは思ってないですけど、聖子ちゃんの歌も明菜ちゃんの歌もキョンキョンの歌も、おじいちゃんおばあちゃんまで知ってたよね。子どもは子どもで、五木ひろしさんとか森進一さんの歌を知ってた。どっちがいいとか悪いじゃなくて、そういうものはなくなりましたよねって話よね」
さにー「私たちはその音楽による社会現象とかブームとかっていうのを、あんまり体験したことがない。カラオケ10人くらいで行っても、全員がAメロBメロサビまで歌える曲ってあんまりなくて。そういうブームみたいなものの最後がモー娘。で終わってる感じなんですよね」
高橋「『LOVEマシーン』と『だんご3兄弟』」
マツコ「だんご3兄弟はまた別腹の話だと思うけど」
さにー「昭和歌謡バーっていうのが都内にけっこうよくあって、よく行くんですけど、たまたまその日に店に来た大人どうしが同じところで盛り上がったりして、みんなで合いの手入れ始めたりすると」
高橋「その音楽聞いてたときの年齢に急に」
さにー「盛り上がれる。うらやましいなと思います。そういう曲がないのでなかなか」
マツコ「まあだからたぶんあたしたちは全部見聞きしてしまってきたから、しっくりこないけど、その世界を知らない人にとっては...。あたしLADY GAGAを最初聞いたとき、あれ歌謡曲なんだよ。メロディとかが。もう一回こういうのをみんな新しいと思い出したのかなって。おもしろいよね、たぶん。今の人が昔のメロディラインとか聞いたらね」
 
 
《聖子・明菜・キョンキョン、平成生まれに人気の理由》
 
 
さにー「私たちのプロフィールを紹介させてもらおうと思います」
マツコ「まだやってなかったね。え、ちょっと待って。おまえ寄居出身なの?」
高橋「そうです、寄居生まれです。母の実家があるので、ちょいちょい帰ってます」
マツコ「うちの親戚も住んでるよ、寄居に」
高橋「仲間じゃないですか!」
マツコ「いや、全然仲間じゃない。全然仲間じゃない。あたし寄居出身じゃないもん。昔は東上線直行してたのよ。池袋から乗り換えなしで行けたんだよ、昔は急行で寄居まで。今小川町で乗り換えなきゃいけない」
高橋「ワンマンになっちゃった」
マツコ「そうなのよ。悲しくなって。...いいわよそんな話は」
高橋「職業が、中山競馬場勤務。本当は、作曲とかもやっているので、『音楽関係』とかを書きたかったんですけど、なかなかそれで食べられないので。今中山で働いている」
さにー「実はお父さんもミュージシャン」
高橋「実は『ザ・ベストテン』の今週のスポットライトにも一度だけ出たことあって。池田政典さんっていう俳優さんのバンドリーダーを務めていた」
マツコ「お父さん、どうだったのよ」
高橋「若いな、変な髪型してるな、くらい」
マツコ「想像してたよりも、お父さんずんぐりむっくりしてたわね。おまえから想像して、ミュージシャンっていうから、すごいシュッとした人が出てくるかと思ったら、お父さん意外と」
高橋「けっこう小太りで腹が出てるっていう」
さにー「そしてお母様もCMソングを」
高橋「一個だけ。マザー牧場のジングルを」
マツコ「マザー牧場のジングルってどんなんだったったけ?え、これ歌ってるの?」
高橋「これうちの母親」
マツコ「まじで!?」
 
高橋「ハマったきっかけの曲が山下達郎さんの『LOVELAND,ISLAND』」
マツコ「これはいつ聞いたの?」
高橋「これは2002年、小学校5年生のときに、とあるドラマの主題歌になってて、それでハマりました。その年に、達郎さんが3年ぶりにツアーをやるっていって、それで家族で観にいったときのがこの服です」
マツコ「家族で山下達郎観に行くってなかなかよね。マザー牧場からはたどりつかないわよね。そこから入っていったのね」
高橋「そうです。歌謡曲のほうに。裏方さんのほうにいきました。筒美京平先生とか」
マツコ「先生?作詞・作曲・編曲のかたとかには先生をつけるようにしてる?」
高橋「先生です」
さにー「私のプロフィールなんですけど、私は中森明菜さんの『十戒』」
マツコ「『十戒』ね。『十戒』いいよね。あたしも大好き」
さにー「21くらいのときに、たまたま過去の映像見るときがあって、出だしからあの曲すごいじゃないですか。『愚図ね』から始まって。ああいう世界観を出せるアイドルって今いなくて」
マツコ「求められてないっていうのもあるしね」
さにー「求めてるんですけどね。一人であの世界観を作ってるアイドルっていうのがけっこう斬新で」
マツコ「ていうか、たぶん覚悟だと思う。覚悟をしたかしてないかだと思う。やるんだったらとことんやってやれっていう、誰も味方はいないんだっていう気合いの入れ方よ。子どもだったから、結局後付けなんだけど、でも明菜があんなに憑依して歌ってることは、やっぱり大人になってからじゃないと気づけない。そこまで一曲一曲に情をこめて歌ってるとは小学生では気づかなかった。あたしはどっちかって言ったら斜に構えて生きてる小学生だったから、聖子のキラキラは好きではなかったのよ。やっぱ明菜だったのよ。聖子の良さは、年を取ってから気づく。子どもにはわからない。あのすごさは。あ、この人こんなに歌うまかったんだ、っていう」
高橋「歌うまいですよ」
マツコ「それは子どもにはわからないのよ、小学生には」
高橋「90年代のなかば頃、幼稚園生だったんですけど、松田聖子さんは歌うまいなって思ってました」
マツコ「ふーん、そうですか。違うのよ。聖子が何を歌ってたのかなのよ。あなたが記憶してた頃の『あなたに逢いたくて』とかじゃないのよ。『青い珊瑚礁』とか、『夏の扉』を歌ってるわけよ、聖子が。ブリブリなわけよ。でもやっぱり30、40になって聞き返すと、『チェリーブラッサム』とか圧倒的な歌唱力なのよ。すごいなってことに気づく。あなたとは違うの。あとあのキョンキョンの恐ろしさには気づかないよね、子どもには。大人になってから見ると、恐ろしいわよ、あのセルフプロデュースのすごさは」
高橋「キョンキョンは確かにそうですね」
マツコ「キョンキョンって言うな!」
高橋「あ、小泉さん」
マツコ「年上だろおまえ。あたしも年上だよ」
 
 
《聴くだけで盛り上がる!昭和イントロベストテン》
 
 
さにー「昭和ポップスのすごさが如実に表れているところっていうのが、たった数秒で心をつかむ、イントロがすごい」
マツコ「たぶん今の曲と違って、イントロがもっと重要だったわよね、昔は。今って意外とすごいあっさり入ったりするじゃない、本編に」
高橋「それこそ米津さんとかは、『Lemon』なんて歌から入っちゃったりするので。けっこうイントロがない曲っていうのも多いんですよ」
さにー「頭からそもそも聴くっていうことをしないで、飛ばして飛ばして聴いちゃう人も今多いので。ていうのもあって、イントロの重要性っていうのが今はあんまり高くないのかなって思うんですけど」
高橋「今日は『ザ・ベストテン』のあのランキングボードを使わせていただけるということで」
マツコ「本物?ダメよ、こんな番組でそんな安売りしたら」
高橋「じゃあ、お願いします」
マツコ「うわ、すごい」
高橋「近くいっても大丈夫ですかね」
マツコ「どうぞ。これ先週のベストテンはなんなの?」
高橋「これはなんかイントロの強めのやつかなと思って」
マツコ「確かに『夏色のナンシー』良いよね」
さにー「それこそ『夏色のナンシー』は歌謡曲バー
とかに行くと、みんなそれぞれ飲んでても、『恋かな?』ってなったらみんな『イエス!』ってやるんですよ」
マツコ「うん、それにはちょっとついていけないんですけと。そんなことやってるんだね、おっさんはね。『銀河鉄道』も良いよね。あたし朝方、中央道を朝日を向かいに見ながら聴くのが好きなのよ。行きは杏里さんの『気ままにREFLECTION』を聴きながら行くの。知ってる?」
高橋「知ってます」
マツコ「いいよね。あたし杏里さんで一番好きなのよ」
高橋「おしゃれですね」
 
さにー「では10位から7位まで発表させていただきます」
高橋「じゃあいきましょう」
高橋・さにー「今週の10位から7位」
高橋「10位『君は1000%』、9位『そして僕は途方に暮れる』、8位『夢芝居』、7位『ルビーの指環』」
マツコ「え、思い出せない、『君は1000%』のイントロ」
さにー「これは夏がブワーっとくる感じのイントロです」
マツコ「全然覚えてない。『ふたりの夏物語』は覚えてる。あっちのほうがかっこいい。あっちのほうがかっこいいって言ったら申し訳ないけど」
さにー「マツコさんは、スギオメ派とカルオメ派とどっち派ですか?」
マツコ「歌が好きなのは杉山さん。見た目が好きなのはカルロスです」
高橋「『ふたりの夏物語』のほうがお好きですか?」
マツコ「『ふたりの夏物語』のほうが、イントロでいったら好き。あ、でも歌も好きかな。オメガドライブ系列の中では一番好きかも」
さにー「では次、9位。『そして僕は途方に暮れる』」
マツコ「これはもうおしゃれイントロですよ」
さにー「なんか映画のエンドロールが流れてきそうな感じのイントロですよね」
マツコ「エンドロールになっちゃうんだ」
さにー「最後に余韻たっぷり残して、終わったあとに下界に戻れなくなる感じの映画のエンドロールに出てきそうな感じがします」
高橋「これ、打ち込みっぽく聞こえるじゃないですか。実は人が弾いてるんです。たぶんマツコさんならご存じだと思うんですけど、『キング・クリムソン』とか、『ホール&オーツ』とかのギターとかベースの人が弾いてる」
マツコ「なつかしいわね。『ホール&オーツ』ね。見た目おもしろかったよね」
さにー「8位いきますか?」
マツコ「これはもうイントロ史上に残る名作ですよ」
さにー「なんともこう、背筋が伸びる感じのイントロですよね」
マツコ「背筋伸びます?そうですか」
高橋「役者梅沢富美男って感じ」
マツコ「今のところあたしが好きなのが出てきませんね。あえて黙ってたんですけど。かぶるかどうか」
さにー「これは入るなっていうのがあるんですか?」
マツコ「入ってもおかしくないなと思うけど、『夢芝居』がきちゃったら、もうこないかな、って」
さにー「このイントロ、ダメですか?」
マツコ「ダメじゃないけど、二人とはあたし合わないな、って」
高橋「ちなみにこれアレンジされた方、桜庭伸幸さんて方で、『天城越え』とかアレンジされてる方。あとは『3年目の浮気』とか」
マツコ「『3年目の浮気』はこの流れで言わないほうがいいと思う。ちょっと違ってきちゃう」
さにー「7位が『ルビーの指環』。これは間違いない」
高橋「間違いない。『♪ジャッジャッジャカジャンジャン、コンコン♪』っていう」
マツコ「『コンコン♪』が好きなの?だったら『与作』のカアァァァのほうがいいじゃないのよ」
高橋「『与作』のカアァァァはちょっと違うんですよね」
マツコ「違うのね」
高橋「ギターの間の部分にあれが入るのがいいんです。...違います?」
マツコ「いやいや、それは人それぞれだからいいじゃないのよ。『違います?』ってなによ」
さにー「その寺尾聰さんが、ザ・ベストテンで12週連続1位をとったっていうのはけっこう有名だと思うんですけど、それまでの記録が、10週連続1位だったのが世良公則&ツイストの『銃爪』だったらしいんです。それを塗り替えて11週連続1位になったときのVTRがあるらしいので」
ナレーション「1981年6月18日、『ルビーの指環』が番組の新記録となる11週連続1位を獲得。そのお祝いの仕方が、とてつもなく華やかだったという。まずはルビー色のベルベット生地に金なめ入りのソファー。さらに歌セットは視聴者からのリクエスト葉書を円形に並べたレコードセット。しかもなんとレコードが回転。たった一曲のためだけに独創的なセットが組まれていたのも、この時代ならでは」
高橋「かっこいいですよね、このイントロは」
マツコ「かっこいいですよ」
高橋「このイントロをアレンジしたのは井上鑑さん。今福山さんとかのピアノ弾いてて。他にも小泉今日子さんの『The Stardust Memory』とか、泰葉さんの『フライディ・チャイナタウン』とか」
マツコ「あんたちょっと最後オチつけようとしてない?やめなさいよそういうの。まあいい曲ですけどね」
 
さにー「この時代はそれぞれのプロたちが、それぞれの個性をぶつけ合わせて、英知を結集させてひとつの曲を作ってた」
マツコ「編曲次第みたいなところもあったしね」
さにー「そうです。そうなんですよね」
マツコ「これ編曲家の作品じゃねえか?みたいな」
さにー「作詞家は歌詞を作って、作曲家は曲を作るんだろうけど。じゃあ編曲家は何やるの?っていう人はやっぱり多くて、日陰の存在みたいなところ」
マツコ「一番音楽に精通してる人たちなんだけどね、本当はね」
高橋「そうなんですよ!」
マツコ「なんだかなこいつ。キライじゃないのよ」
高橋「ありがとうございます」
マツコ「まあだから簡単に言うと、メロディラインを作っているのは作曲家。それ以外の音楽を作っているのが編曲家。単純に言うとね。もっと複雑なんだけど、おおざっぱに言うとそういうこと。だからメロディラインと詞しかない歌に、イントロだとか伴奏だとかの譜面を書くのが編曲家です」
さにー「編曲家のかたがたって、音楽番組とかでも今作詞と作曲しか出てこないし、しかも印税も入らないんですよね」
マツコ「そうなんだ」
さにー「カラオケとか行っても、作詞と作曲の人は出てくるんですけど、編曲家の名前は出てこない」
マツコ「昔出てきてたんだけどね」
さにー「え、そうなんですか?」
マツコ「けっこう昔出てくるカラオケあった」
高橋「レーザーディスクとかですか?」
マツコ「いやいや、通信になってからだよ!...キライではないわよ」
高橋「ありがとうございます」
 
ナレーション「というわけで、ランキングに戻る前に、二人が大好きだという昭和ポップス界の3大編曲家をご紹介。まずは75年のレコード大賞『シクラメンのかほり』などをアレンジした萩田光雄さん。山口百恵や中森明菜の数々のヒット曲を手掛けたことでも知られる、編曲界の第一人者。ギターアレンジの名手としても知られ、『待つわ』など、その印象的なイントロは平成生まれにも絶大な支持を誇る」
マツコ「萩田先生はすごいわよ。本当にすごい」
さにー「萩田先生の印象に残ってる曲はありますか?」
マツコ「この中だったらやっぱり百恵ちゃんかな?百恵ちゃんってなってくると、阿木燿子さんが好きなんだよね。阿木燿子さんの詞いいよね」
さにー「いいですね」
マツコ「あれはウーマンリブよ。阿木燿子と湯川れい子はウーマンリブよ。『秋桜』のイントロとかもいいわよね」
ナレーション「続いて船山基紀さん。その特徴が、ドラマティックでスケール感のあるアレンジ。クリスタルキングの『大都会』や、『勝手にしやがれ』、『お嫁サンバ』など」
さにー「船山さんの編曲の特徴は派手という」
マツコ「『恋人よ』!」
さにー「そうですね。『恋人よ』もイントロが1分くらいあるんですかね。衝撃的というか、常識を覆す編曲が多いのが船山さんかなと思いますね」
マツコ「『仮面舞踏会』もそうよね」
さにー「すごいですね」
高橋「船山さんは、80年代の初期くらいから当時の最先端だったフェアライトというシンセサイザーを使って『仮面舞踏会』とかああいったものを仕上げたり。のちにWinkのジャパニーズユーロビートとかブームを作ってきて。僕個人的にはWinkさんのユーロビートのアレンジは、本家のストック・エイトキン・ウォーターマンとかよりも全然」
マツコ「あたしはストック・エイトキン・ウォーターマンが好きです。すみませんね」
高橋「僕も大好きですよ」
マツコ「ええ、そうですか」
ナレーション「続いて、大村雅朗さんの代表作といえば、『青い珊瑚礁』に『夏の扉』など、松田聖子の数々のヒット曲や、渡辺美里の『My Revolution』など、J-POPに通じる近代的アレンジをいち早く確立した人物」
高橋「初期の『みずいろの雨』のときっていうのは、ストリングスとかもゴージャスだったりするんですけど、80年代半ば頃は吉川晃司さんの『モニカ』とかですね。あのあたりからは徐々に音数が少なくなっていって」
さにー「歌手の声の良さを引き立たせるために素材は最小限みたいな。無添加っていう感じで」
マツコ「実はあたし一番好きです」
さにー「例えばどの曲とかありますか?」
マツコ「あたし『みずいろの雨』が一番好きかな」
高橋「おお、出世作。ゴージャス大村期が好きっていうことですか?」
マツコ「ストリングスが好きだね。まだ自分がいろいろ自由にできないときの、あるもので作っている頃の。『みずいろの雨』のストリングスは本当にすばらしい」
高橋「じゃあ八神さんとか好き?」
マツコ「八神さん大好きよ。八神さん『Mr.ブルー』が一番好きかな。宇宙船地球号ね。すごい歌よ。『故郷(ふるさと)を聞かれたら、まよわず地球と答えるの』っていうね。地球代表かおまえは、っていうね」
 
さにー「続きいきましょうか。6位から4位までいってみましょう」
高橋・さにー「今週の6位から4位」
高橋「6位『チェリーブラッサム』、5位『少女A』、4位『Romanticが止まらない』」
マツコ「わかります~。『チェリーブラッサム』わかりますよ。これはすごい曲です本当に。これは聖子ちゃんで一番好き」
高橋「これも大村雅朗さん」
マツコ「すばらしい。ほらやっぱり大村さんのストリングスはすばらしいでしょ?」
さにー「もうまさに『何もかも目覚めてく』って感じのイントロですよね。次世代にずっと受け継がれる松田聖子っていうものが確立され始めた感じの、そのイントロなんです。松田聖子伝説のイントロなんです」
マツコ「『チェリーブラッサム』はわかります。これはもうあたし生涯好きな歌の中でも上位に入ってきます」
高橋「ギター、今剛さんっていう人で。ご存じです?『ルビーの指環』と同じ人なんですよ、ギター。『夏の扉』も今剛さんです」
マツコ「ギターがね。でもその前にキーボードのほうが気になるよね、『夏の扉』はね」
さにー「次5位が『少女A』」
マツコ「『少女A』か。まあいいんだけどね」
高橋「ハマりません?」
マツコ「あたし『1/2の神話』派なのよ、どっちかって言うと。イントロも」
高橋「どっちも同じ萩田光雄先生のアレンジ」
マツコ「ですけど、あたしは『1/2の神話』のほうが好きなんですよ」
高橋「ギターも同じ人が弾いてます」
マツコ「でもあたしは『1/2の神話』のほうが好きなんです。ごめんなさいね。好きなのよ、『少女A』も」
高橋「あの『じれったいじれったい、♪チャカチャーン』とかも歌えるじゃないですか、ギターも」
マツコ「『それでもまだ私悪くいうの、♪テレレレーレレレ』が好きなの」
さにー「次いきましょうか。4位は『Romanticが止まらない』」
マツコ「おしゃれよ。おしゃんてぃーよ。これもね、ちょうどリアルタイムで見た頃は、こんなおしゃれだって気づかなかったのよ」
高橋「奇抜さのほうが前に」
マツコ「そうそう」
高橋「ちょっと引っかかるイントロかな、シンセの音色とか。ドラムの音がトゥーン!みたいな」
マツコ「あとドラムの人のビジュアルとね」
高橋「ピンク色だったりとか」
マツコ「笠さんだっけ?」
 
さにー「じゃあ3位から2位」
マツコ「出てくるかな?あたしが好きなの」
高橋・さにー「今週の3位から2位」
高橋「3位『抱きしめてTONIGHT』、2位『異邦人』」
マツコ「今のところ入ってないですね。でね、たぶん入らないと思う。イントロだけで選んでいいんでしょ?だからたぶん好きなジャンルじゃないと思うんだけど。あたしは『石狩挽歌』ですよ。北原ミレイの。もうイントロって言ったらあれですよ」
高橋「馬飼野俊一先生ですね」
マツコ「すごい良いイントロですよ。トランペットのね」
さにー「それではないんですよ」
マツコ「しょうがない。入らないだろうなとは思ったもん。個人的イントロナンバーワンはどれかって言われたら、あたしは『石狩挽歌』なんですよ。『抱きしめてTONIGHT』イントロで入るか」
さにー「この『♪テーレ、テレッテレーレー』のところは作曲は筒美京平先生なんですけど、筒美京平先生の作曲の中にすでにはいってたらしいんですけど。その前にもっとキャッチーなものを入れてくれって言われて、船山基紀先生がつけたのが『♪ンタッタラー、ンタッタターラー』のところだったらしいんですね」
マツコ「逆に言うと、それ以外の曲は全部筒美さんが作ってたってことね」
さにー「そういうことです」
マツコ「イントロもすごいけど、これはもうイントロも含めて全部サビなの。全部サビなの。これもう本当に全部聴いて終わったあと、『えっ』て思うから。どこがサビだったの?って。でも全部盛り上がる」
さにー「俊ちゃんも、すごくリズム感が良いので、それを踊りながら歌いながら全部こなしていってた。編曲がすばらしいので、ぜひもう一度ちゃんと聴いてもらいたいな」
マツコ「『抱きしめてTONIGHT』ってすごい曲だよね」
高橋「あれ筒美京平先生ですもんね」
マツコ「なんで筒美京平にだけ先生つけるのよ?他の人には先生つけてなかったからな、おまえ」
さにー「2位が『異邦人』」
マツコ「これはね、クイーンオブイントロですよ。『異邦人』って三洋のコマーシャルソングに決まって、そのコマーシャルを砂漠で撮ることになって、それに合わせたアレンジに萩田先生がして、そしたらあんな大ヒットした。たぶん最初のイントロとかだったら、ヒットしてなかったわよあんなに」
高橋「そのシルクロード感を出してるのがダルシマーっていう楽器らしいんですよ。民族楽器。それをいれたことによって、こういうアレンジになったって萩田さんが言ってて。調べたら、ダルシマーを演奏してるのが生明慶二さんというかたで。『犬神家の一族』の」
マツコ「ああ、なんか変な音流れてたもんね、ずっと」
高橋「あの『♪ティンティンティン』も、同じ人がやってるらしい。...以上です」
マツコ「以上か。...大丈夫だよ」
 
さにー「2位まできたんですけど」
マツコ「いやあ、でもさ、『異邦人』越えるってなってくると」
さにー「想像つくものありますか?」
マツコ「『石狩挽歌』ではないわよね?」
さにー「そうですね。じゃあ1位の前に」
マツコ「1位の前に?」
さにー「私たちの選んだ隠れた名曲を紹介したいなと思いまして」
高橋・さにー「今週のスポットライト」
さにー「こちらです」
高橋「井森美幸さんで『瞳の誓い』」
さにー「埋もれた名曲じゃないですけど」
マツコ「そうね、完全に埋もれちゃってるわね」
さにー「なんかけっこうバラエティーに出てるタレントさんのイメージしか私たちはないので」
高橋「ダンスのイメージが強いので」
マツコ「そうね、あれはもうあまりにも色がつきすぎたっていって、しばらく封印されてるわ。もうリアクションがとれないんだって、ねえさんが。8万回くらい見させられてるから」
さにー「でもこんなにいい歌も歌ってたから、歌手時代のことも知ってほしいな、っていう」
ナレーション「前年のホリプロスカウトキャラバンでグランプリに。満を持してリリースされた、井森美幸のデビュー曲がこちら」
さにー「かわいいですね」
マツコ「8人ぶんくらい重ねてない?歌」
高橋「すごい奥行きが、ボーカルの。この曲は、サウンド的には8人ぶんって言うのも、そのとおりで。大瀧詠一さん感のある、ちょっと奥行きのあるアレンジ。でも萩田光雄さんのアレンジなんですけど。あとはこの林哲司さんのメロディが、井森さんの歌唱にすごい合ってるなって思って。素朴感っていうんですかね。まだ誰のものでもありません感」
マツコ「今も誰のものでもないんですけどね。林哲司さんもいいよね~」
高橋「そうなんですよ。オメガドライブ」
マツコ「そうね。あと『SEPTEMBER』がそうか。そうだよね」
高橋「『北ウイング』」
マツコ「そうそう。バラドルアイドル時代シリーズ見たかったね。山瀬まみさんの『メロンのためいき』もいいわよ」
高橋・さにー「それと迷ったんですよ」
マツコ「それ系で攻めるんだったらね」
さにー「競ったんですけど」
マツコ「島崎和歌子『弱っちゃうんだ』とかね」
 
さにー「じゃあそろそろ1位に」
マツコ「『異邦人』が2位ってなってくると。難しいわね、1位」
さにー「これはでも満場一致の1位みたいな」
マツコ「あ、そう。二人とも断トツで好き?」
さにー「そうですね。イントロと言ったらこれと『異邦人』は外せないよねっていうの2つ出てきて、そっちが1位になった」
マツコ「ちょっともう見せてよ」
高橋「いってみましょう」
高橋・さにー「今週の第1位」
高橋「ジュディ・オングさんで、『魅せられて』」
マツコ「ああ~。確かにね。すばらしいですよ、イントロ。イントロっていうか全部すばらしいですけど」
高橋「作編曲、筒美京平先生」
マツコ「詞は阿木燿子さんだよね。すばらしい。芽生えのひとつよ、この歌詞は。『女は強いんだ、女は自由に生きていいんだ』っていうのをね、阿木さんの歌詞っていうのは、百恵ちゃんの歌詞もそうだし。それこそ明菜ちゃんの『DESIRE』とかもそうだけど。これはもう芽生えです、あたしにとって。あたしのメイクやってるオカマもね、この曲を聴いて母親の紅をさすようになったって言ってましたから。これはいろんなオカマを芽生えさせています、この歌は。すごいです」
さにー「イントロ、一回」
マツコ「イントロ聴いてみましょうよ」
 
♪(ジュディ・オング『魅せられて』)
 
マツコ「ありがとうございます、本当に。今日長めのやつ。いつもよりすごいわ、ありがとうございます」
ジュディさん「とんでもない」
マツコ「なんかこの若い二人が、一番好きらしいんです」
ジュディさん「どうもありがとう。1位?ほんと?わあ、うれしい。ありがとうございます」
マツコ「うちのスタイリストが、『このプリーツをきれいにしてるのはたいへんだ』って言ってた。こんな大きくてこんなプリーツが」
ジュディさん「スペシャルクリーニングで」
マツコ「スペシャルクリーニングよ。普通のところじゃめちゃくちゃになっちゃうからこれ。...ごめんね、あんたたちよりも興奮しちゃって」
さにー「質問してもいいですか?」
マツコ「なんでも聞いとけ」
さにー「最初に楽曲聴いた時、衝撃とかありましたか?」
ジュディさん「最初はアレンジができてなくて、曲だけをレッスンしていただいて。その時のレッスンをしたかたがハネケンさん。羽田健太郎さん。彼がピアノでレッスンをして。羽田さん来て『いいんじゃない?』ってパッと帰っちゃう、すごい忙しい人だったんですけど、帰る時にドア開けて『この曲売れるよ!』って言ってそれで帰ったの」
マツコ「これは本当に今まで見たことも聴いたこともないタイプの歌だったわよ」
ジュディさん「そうですね。筒美さんがこれは絶対自分がアレンジするっておっしゃって」
マツコ「ご本人なんだ」
ジュディさん「そう。『僕がこれやるから』っておっしゃって」
マツコ「阿木燿子さんの歌詞もいいのよ。これはもう本当にすばらしい。これは本当にすごい組み合わせでしたよね。ジュディさんご本人も含めてね」
ジュディさん「『好きな男の腕の中でも違う男の夢をみる』っていう部分、最初読んで、え、これどうやって歌うんですか?って言ったの。そしたら『そんなもんシャーシャーと歌えばいいのよ、シャーシャーと』って言われました」
スタッフ「レコ大のときのVTRあります」
マツコ「レコ大のときのある?」
ジュディさん「いやー、どうしよう。41年前」
ナレーション「帝国劇場でおこなわれた、1979年の日本レコード大賞。その大賞にノミネートされたのは、沢田研二や西城秀樹、山口百恵など70年代を代表する超人気歌手から、この年ヒットを連発したゴダイゴ、さだまさし。そして、演歌も『舟唄』や『おもいで酒』など、大ヒット曲がノミネート。そのそうそうたるメンバーの中から選ばれたのは?...ジュディ・オングさんが歌った『魅せられて』に決定」
マツコ「きれい!こんな人いないでしょ今。きれいねー」
ナレーション「ちなみにこの放送の視聴率はなんと43.3%。そして、8時55分までレコード大賞に出演した彼女は、9時からの紅白歌合戦にも初出場」
ジュディさん「アナウンスされた時に、わーっと思った時、フラッとしちゃったの、歩くのが。そしたらフッと倒れそうになった私を助けてくれる、エスコートしてくれる人がいて。フッと見たら西城くん」
さにー「うわー!かっこいい!」
ジュディさん「彼が『おめでとう』って言って、階段のぼるところまでエスコートしてくれたの。後日、『あの時エスコートありがとう』って言ったら、『僕は自分が獲れなかったら、ジュディをエスコートするって決めてたんだ』って、そう言ってました。いい男ね」
マツコ「本当は気があったんじゃない?」
ジュディさん「本当にナイスガイ」
マツコ「あのメンツ。すごいね、豪華で」
ジュディさん「本当ですね。もうね、ヒット曲がすごい並んだ年」
マツコ「いやびっくりする。あんなのみんな見るわ。たぶんあそこに出てた人、全員あのあとパトカーの先導で紅白に向かうんでしょ?あれあのメンツだから全員出てるよね?おしゃれ芸能界!あー!つまんない今!おしゃれよ芸能界が。なんかないか?思い残すことは?」
高橋「いや、もうこれ筒美京平先生の最大のヒット曲なんですよ。だから僕も筒美先生の大ファンなので」
マツコ「筒美先生の作品で、一番ヒットした歌なんだ?」
高橋「一番ヒットした曲で。最近この曲ばっかり聴いてるんです。この曲イントロがすごくて。最初の『♪タタタタタタタ』高いほうが左から出てて、そのあと低いのが出て、最後『ダーラララ』で出てきて。当時のミックスでは考えられないような
マツコ「そんなことをジュディさんに言うやつってのも斬新だな」
ジュディさん「すてきよ、この話」
マツコ「すてきよ、キライじゃないって」
ジュディさん「どうもありがとう」
 
 
~完~