マツコの知らない世界
'40年間毎日チャイを飲み続ける男'
神原博之(カンバラヒロユキ)さん(以下、神原)
神原「どうもはじめまして。よろしくお願いします」
マツコ「なんかこの番組、けっこう何百人というかたに来ていただいてるけど、ナチュラルランキングでいったらトップ3にはいるわね。そのへん歩いて散歩中のお父さん『良かったらお出になりません?』って呼んじゃったみたいな」
神原「40年間毎日チャイを飲み続ける男、神原博之、65歳。職業はマンション管理人です」
マツコ「40年前から飲んでるってのはすごいわよね」
神原「1980年に僕が日本のチャイ発祥の店と言われる『カンテ・グランデ』っていう所に入ったのが25歳なんです」
マツコ「働かれてたんですか?」
神原「アルバイトで入ったんですよ」
マツコ「たまたま?」
神原「たまたま。アルバイト募集の張り紙があったので、一回こういう店で働いてみようかなと思ったのが最初のきっかけなんです。それまではチャイも知らなかった。それでチャイを飲んでみたらおいしかった。その3年後に社員になりまして、それから34年間定年まで働いた。その時に一緒に働いてたのがトータス松本さん。僕の後輩」
マツコ「そうなんだ。トータスさんが音楽で食えるようになるまで働いてらっしゃったんだ?」
神原「大阪でバンドを組む前から入ってて、カンテ・グランデでバンドを組んで、東京に行ったんです」
マツコ「え?お店の中でバンド組んだの?」
神原「そうです」
マツコ「じゃあみなさんお店の従業員だったの?」
神原「一人だけ違うんですけど、その人を除いてみなさん」
マツコ「じゃあもしかしたら」
神原「あー、僕?」
マツコ「入ってたかもしれないよね」
神原「最近の悩みがありまして、妻に『部屋が汚れるのがイヤ!』と怒られてチャイ作りがなかなかできない」
マツコ「部屋汚れます?」
神原「茶葉をブレンドしたり、スパイスをブレンドするときに、こういうことをしますよね。そうすると飛び散って下のじゅうたんに入り込んでしまう」
マツコ「テーブルの上でやっていないんですか?」
神原「テーブルの上でしてるんですけども」
マツコ「なんで落ちるんですか?」
神原「けっこう粗忽なんで」
マツコ「じゃあ気をつけましょうよ! バーってならないように、こうやってやればいいじゃないのよ」
神原「キッチンで作ってるときに、ふかしたりして、コンロを汚してしまうとか」
マツコ「いや、昨日今日始めたわけじゃないですから、ふく前になんかちょっと。そこを怒ってらっしゃるんです奥様は。ずっとやってるのに同じことやるから」
神原「たぶんそうだとは思う」
神原「これが僕がいつも作っているキッチンを汚すような道具です」
マツコ「そこまで汚すほどの感じには見えない」
神原「作りだすとそれが見えてくると思います。『なにやってるの』って」
マツコ「奥様は何十年と見てるはずなんですけどね。『なにやってるの』っていまだに言っちゃうっていうね。でも茶葉がゴマみたいね」
神原「そうでしょ、丸いでしょ。製法を変えて、丸く加工したものなんです」
マツコ「見た目から違うんだ」
神原「一応時間を正確に計るのが僕の流儀でして、タイマーを見ながら」
マツコ「だいたい3分?けっこうすぐに出るのね」
神原「それがCTCという、紅茶の良いところなんです」
マツコ「こんな短時間でこんな茶色くなった。いい香り」
神原「ねえ、いいでしょ。これがインドのチャイの香りなんです」
マツコ「まだあと1分くらいありますけど」
神原「茶葉の成分を十分出さないといけないので」
マツコ「じゃあ沸騰してからもしばらくグラグラやって、もっと茶色くして」
神原「これ最初見た人はびっくりします」
マツコ「紅茶の茶色じゃないわ」
神原「ちょっと危ない感じ」
マツコ「危ないとは言ってない」
神原「ここでミルクを入れて」
マツコ「ほら、色が全然違うもんね。ここからまた煮る?」
神原「ここからまた沸騰するまでに1分かかる。そこからさらに3分なので」
マツコ「今のところ奥様が嫌がる要素がないわよね」
神原「ないんですけど、ここからは説明します」
マツコ「あら。なにゆえに奥様が怒るか。ここからが奥様の怒りポイントが」
神原「どんどんどんどん膨らんでくるんですよ。ここでコントロールしないと、一気にふいちゃうんです」
マツコ「なるほど。こまめにやらないでふかした時に奥様が怒る」
神原「この泡を毎回見るのが楽しい」
マツコ「いやいや、わかります、あたしこれ。これはうどんとかパスタゆでる時そうよ。この膨れてくるの見るの。それで鍋のギリギリまで攻めたいのよ」
神原「このヘリについてるのは別に取らなくてもいいけど、後々の洗い物のために」
マツコ「じゃないと奥様がね」
神原「ちょっとでも汚すと『なにしてるの?』って怒られるので」
マツコ「なにしてるか奥様もわかってるんだけどね」
神原「これで一応できました。注ぎます。この注ぐときもちょっと失敗してしまったり。今日は大丈夫だ。あ、これ失敗しました。砂糖入れてない。...もうそろそろ。はい、どうぞ。どうですか?」
マツコ「あ、もっとめっちゃ濃くなってるのかと思ったら、意外とあっさりしてるよね。たぶん今まであたしが飲んでたやつが、逆にいろいろやりすぎてたやつなんだと思う」
神原「スパイスがね」
マツコ「これぐらいだったら、ほんとミルクティーにちょっと香りがついてるくらいよ」
神原「今チャイがおしゃれ女子たちに大人気になっているとえう話も。どういうふうに人気かと言いますと、代官山とか中目黒にも、チャイ専門店が出てると」
(代官山「LIFE SPICE SHOP」、中目黒「モクシャチャイ」)
マツコ「ブス女といえば、代官山か中目黒ですから」
神原「チャイに関するインスタの投稿が27万件を超えるというふうなことらしいです」
マツコ「チャイ飲んでる私、ってことよね?」
神原「僕もインスタをあげてるんですけど」
マツコ「やってるんですか?」
神原「やってるんです」
マツコ「奥さんはそういうところがイヤなんじゃないですか?」
神原「こういう写真じゃなくて、もっと研究っぽく。茶葉を調べたり、そういう情報を」
マツコ「なるほどね。チャカついたインスタてばないと」
神原「はい。女性に人気があるのは発汗作用もあるし、お肌がきれいになるっていうのもあります」
マツコ「それで飲んでるのか。飲んだくらいで、急にきれいにはならないですって言ってやったほうがいいですよ」
神原「運動したほうがいい」
マツコ「運動しなさい。簡単には無理です。まああたしに言われたくないでしょうけど」
神原「ははは」
マツコ「今日イチでウケたわよ」
神原「あと、スーパーで買えるような茶葉もありまして」
マツコ「これもうチャイになってるってこと?
神原「こちらのほうはティーパックです。最初からスパイスが入ってますから、これをお湯にひたせばチャイっぽいのができる」
(無印良品「チャイブレンド」)
(カルディコーヒーファーム「オリジナルインスタントチャイ」)
マツコ「だから茶葉っていうよりは、溶かすタイプのやつね」
神原「あとは茶葉だけをスパイスといっしょにいれてるやつもあります」
(カルディコーヒーファーム「ティーファンタジーチャイ」)
マツコ「へえー。もともとはイギリスにわたったわけじゃないですか、紅茶が」
神原「イギリス人がインドで紅茶を作らせて、上等なやつは本国に送ったんですけど、余ったやつは送っても売れないから、インドの人で消費さそうとしたんです」
マツコ「え、じゃあインドの紅茶文化っていうのは、イギリスが紅茶を飲んでなければ、ここまで広がらなかったってこと?」
神原「そうですね。キャンペーンをしたらしいですよ。紅茶にミルクと砂糖を入れるっていうのは、英国式ですからね」
マツコ「今はチャイ文化ができたから、自分たちで良いものを使って飲んでるわけよね」
神原「チャイ専用の茶葉がある。僕がオススメするのはインドのCTC紅茶。これがネットでも買えるので、一番最適だと思います」
(神戸スパイス「アッサムCTC」)
マツコ「ほんとにインドの人が飲んでるやつなんだろうけど、完全にパッケージがペットフードみたいな」
神原「僕が伝えたいことは、チャイはエナジードリンク。疲れた大人たちにも飲んでほしい」
マツコ「ああそう、だからお父さんたちにも」
神原「そうですね、インドではチャイは男の飲み物みたいなところがあるんですよね」
マツコ「そうなんですか!」
神原「チャイ屋さんていうね、リヤカーで運んできたりとか、そこにたむろする人たちは労働者が集まって」
マツコ「なるほど、だからサラリーマンのお父さんがKIOSKでリポD買って飲んでる感じに近いんだ。あ、そうなんだ。聞いたか、中目の女、このやろう。おしゃれでもなんでもないんだよ」
《無限の可能性!名店&神原流かけ算チャイ》
神原「女性に大人気。超スパイシーかけ算、痺れるチャイ。これは東京の高円寺『妄想インドカレーネグラ』さん。ここは本格的なカレーを出すんですけれど」
マツコ「妄想カレーってなんなんだろうね」
神原「自分で妄想して」
マツコ「なるほど、自分で妄想したやつを作っちゃってるっていう」
神原「そこで食後に飲まれるのが『痺れるチャイ』」
店主・大澤さん「ネパールの山椒とインドの胡椒をかなりガツンときかせてるところですね」
神原「山椒っていうのはチャイには珍しいんですけれども、これを超粗挽きにして投入してます。これで痺れて超刺激的な女性に人気のチャイになります」
神原「チャイの常識をくつがえす、超マイルドかけ算チャイ。ここは神奈川県鎌倉のお店『AMAZAKE STAND』。とってもおしゃれなチャイなんです。定番シナモンのクローブ、カルダモン、シナモンを使って、普通であれば牛乳を足すんですけれども、水と茶葉とスパイスを煮出しただけ。生甘酒を使うんです。ヘルシーかつ栄養面とうまみもアップします。甘酒ホイップをのせたら、超マイルドなチャイ甘酒が完成。チャイには茶道みたいなものがないですから、好きに作れるのが良いところではあります」
マツコ「だからみんな自分でアレンジして飲んでるんですね」
神原「ここが僕が一番衝撃を受けたお店のかけ算。○○を使って王道が激変、かけ算チャイ」
福岡県福岡市
「オオカミの口」
ジンジャーチャイ
神原「これはご用意してます。かけ算してるので、ジンジャーとなにかを。それがなになのかを当ててほしい」
マツコ「香りはシナモンとジンジャー」
神原「ガツンときてる感じ、ないですか?」
マツコ「おいしい」
神原「おいしいですよね。僕も最初飲んだ時、『え?何が入ってるの?』って思った」
マツコ「なにこれ」
神原「ちょっとピリッとくるっていうのが」
マツコ「でもね、そんなに激しいものじゃないのよ。だからこれ胡椒とかペッパー系かな。なんだろう」
神原「そうだと思われがちなんですけれど」
マツコ「そんなに悪目立ちはしてない」
神原「正解は、唐辛子」
マツコ「えー!?ああ、でも、けっこう量飲むと、ここに残るのが唐辛子だね。胡椒とかの残り方じゃない。飲めば飲むほどここに蓄積されていって、麻婆豆腐食べたあとみたいな喉になってくる。あー、でもあたしこれすごい好きだわ」
神原「それは本当にありがとうございます」
マツコ「いえいえ、オーナーさんじゃないですよね」
神原「ショウガを使うんですけども、スライスしたショウガを白ワインとかブラックペッパーとかシナモンとかクローブとかハチミツとか、そういうものに漬け込んであるんです。なのでえぐみがなくなってくるんですよね」
マツコ「まだ今日他にも出てくるだろうから、あんまり言っちゃうのあれだけど、現時点ではこれ人生最高チャイですよ。今まで飲んだやつとはレベルが違う」
神原「一応基本は、先ほどお見せしたアッサムのCTC紅茶というインドのです。それに他の茶葉を足すことによって、無限に味が変わっちゃうとか、香りが変わっちゃうとか」
マツコ「煎茶とか、麦茶とか混ぜちゃうんだ」
神原「僕もこういういろんな組み合わせを作って飲んでるんですけども、一度たりとも同じものができないという。それが楽しいとは思います。それでは最高のかけ算チャイをご紹介します」
インドの濃さ×スリランカの深み、奇跡のブレンド
超濃厚ダブルインパクト
アイスチャイ
神原「このアッサムCTCをベースにして、僕が一番気に入ってるのがこのルフナというものなんです。これはスリランカで作られているんです」
マツコ「スリランカの茶葉って黒いですもんね」
神原「黒いし、黒いので濃く出るのと、味に深みがあるんです。どうしても加工の仕方によって香りが飛んじゃうとか、深みが無くなってしまうというのが」
マツコ「それで飛んじゃったぶんをこれで補ってるんですね。アイスチャイっていうから大きいグラスでくると思ったら、グラスサイズは変わらないのね。氷の容量考えたらちょっとしか入ってないわよこれ」
神原「それでも基本的に濃いので」
マツコ「相当濃くいれてますね。アイスにしても。すごい。香りが全然消えてない」
神原「これは普通にホット用のチャイを作ってるんですけど、一晩寝かせるだけで、これだけ濃厚に」
マツコ「だってこれおちょこ一杯ぶんくらいしか入ってないからね。こんなに氷入れちゃってるんだから」
神原「氷が溶けてもそれほど薄まらないっていう利点がある」
マツコ「これ確かに、この量で飲んだほうが薄まらないよね。ショットのテキーラ飲むみたいにちょっとずつついで飲んだらいいんだもんね?」
神原「チャイってもともとそんなに大量に飲むものじゃないですから」
マツコ「そうなんだって」
神原「もうひとつおいしいやつ」
新感覚、香り高き和風かけ算
献上加賀棒茶チャイ
神原「チャイばっかり飲んでもらって」
マツコ「いや、しょうがないですよ。今日チャイですから。チャイ以外のもの飲んでたってしょうがないじゃないですか。...うん、香りが全然違う。すごい香りになるね」
神原「そうなんですよ。この加賀棒茶っていうのが、ほうじ茶のことなんです。その中でも一番最上級の献上加賀棒茶っていうのが香りがべらぼうに良いんです」
マツコ「でも味はね、けっこうそのままチャイ。そんなにじゃましてないから、チャイにすごい良い香りが加わった感じ」
神原「加賀棒茶だけでチャイを作ることはできませんから、ちょうといい感じでトッピングできてる。これ僕のお気に入り」
ナレーション「さらに和の味・香りを強めたい方は、抹茶とのかけ算。より刺激がほしい方は秋ウコンをかけ算するのもオススメ」
《業界に旋風を!?濃厚チャイスイーツ》
神原「僕、甘党なんですよね」
マツコ「何が好きなんですか?」
神原「あんこが好き」
マツコ「あたしと味覚同じかもしれないですね。あたしもあんこが一番好きですから。あたし昔、味噌の袋みたいなのであんこ売ってたじゃないですか、1リットル入りみたいなやつ。あれもうスプーンでそのまま食ってたから」
神原「それ僕もやってます」
マツコ「奥様、だから本当にイヤになったら旦那さんあたしが引き取ります」
神原「この中でマツコさんが気になってるもので、飲みたいものがあれば」
(チャイぜんざい、とろとろチャイ、ラム酒チャイ、チャイかき氷)
マツコ「一番気持ち悪いんだけど、一番興味があるというか、わからないのは『とろとろチャイ』ね。あとのやつはおいしいのわかるもん。とろとろチャイはどうなるのかっていう」
神原「それなりにおいしいですよ」
マツコ「あととろとろチャイが危険だった時のために、他のも全部用意できるんだったら用意してほしい。とろとろチャイをどうにかしなきゃいけないときもあるから。これとろとろちょっと少なくないです?こんなもん?」
神原「そんなもんですかね」
マツコ「なんかちょっとココアみたいよね。...あたしこれすごいダメです」
神原「残念」
マツコ「これすごい独特ですね」
神原「片栗粉ですからね」
マツコ「『片栗粉ですからね』じゃないですよほんとに。これ独特だわ。びっくりした。想像をはるかに越えて独特。あ、全部そろってるじゃないのよ。ぜんざいからかな。...なんか不思議なんだけど、ちょっときなこっぽくなる。なんだろうこれ?めっちゃうまい」
神原「小豆好きにはたまらない」
マツコ「チャイも小豆も強いのよね。負けてないのよ両方が」
神原「チャイもけっこう主張してますからね」
マツコ「これ絶対普通に売れると思う」
神原「そうなんです。僕もこれ自分で店作ったら、これ出そうかなって」
マツコ「絶対出したほうがいいですよ。奥さんそれだけはのるかもしれませんよ。(ラム酒チャイ)うまっ」
神原「これはもう定番」
マツコ「問題ないですよ。チャイとラムとあんこ。金の匂いがする」
~完~
