2020/01/21放送
マツコの知らない世界

'流木に魅せられて流木家具作家に転身した元体育教師'
高江友作(タカエトモサク)さん(以下、高江)




マツコ「それ見せてくれる?」
高江「さっそくこの流木で発想をなにか。ちょっとおもしろい形なので、いいなと思って持ってきたんですけど」
マツコ「なんか、こうしたい。肘置きみたいなね」
高江「私の発想にはなかった発想ですね」
マツコ「じゃあ友作だったらこれどうする?」
高江「手触りが良いので、手すりとか良いですよね」
マツコ「手すり?」
高江「はい。ベンチの手すりとか。あ、ひじ掛けか」
マツコ「ひじ掛けだよね。じゃあたしのじゃないそれ」
高江「そうそう」
マツコ「あたしが言ったほうが近いじゃない。じゃあ友作と一緒のこと考えていたってことでしょ?」
高江「いや、私はさっき言ったように...」
マツコ「違うの?難しい!」

高江「実際、ご興味はどうですか?」
マツコ「大物のほうが良いかな、あたしはどっちかって言うとね。だから(背景の)これが良いなって思ったくらいだから」
高江「大好きです。今日お見せできる中には無いかも」
マツコ「これ相当でかいでしょ?」
高江「でかいですね」
マツコ「もし大きいリビングとかの家に住めるんだったら、これを真ん中にどんと置いてやれたらかっこいいよね。これベンチにしてさ」
高江「実はそうなんですよ。僕がやってきたことがマツコさん気に入っていただけるんじゃないかな、なんて思っちゃいました」
マツコ「今のところまだペースがつかみきれてないんですけども」

マツコ「あ!竹の塚?」
高江「そうです。竹の塚出身です」
マツコ「すごいわ。サラブレッドよ、あたしからしたら。竹の塚から日体大。この上ないね。どうなんだろう。みなさんの感覚で言うとなんなんだろうな。成城出身で、開成経由で東大行ったみたいな感じかな。あたしの中ではそれくらいエリートコースです」
高江「そうなんですよ。そうなんですよって言っちゃいけないですね。なかなか教員になれなかったんです」
マツコ「いやー、けっこう大変なんですよ。正式に各都道府県の教員試験で採用されるのって」
高江「そうなんですよ。8年かかりました」
マツコ「8年は比較的長めのほうです。そこまでしてがんばって体育教師になったのに。なんで流木?」
高江「生徒とぶつかり合う日々を送る。人間関係の指導であったり、関わり合いっていうのは教師の醍醐味だと思うので、このような経験をしながら」
マツコ「比較的今の先生には珍しい、熱血漢の先生をやられてなのね?」
高江「自分で言うのもあれですけど、一生懸命やってました」
ナレーション「夢だった体育教師をやめ、流木家具作家になった高江さん。現在どんな暮らしをしているのか?静岡市街を離れ、車で山道を走ること40分。どうやらここが高江さんの家。こちらが高江さんが3年前にすべてを投げ売り移住してきた、自宅兼流木家具作りの作業場」
高江「どうぞ」
スタッフ「お邪魔します。おしゃれな別荘のような」
高江「住める状態ではなかったので、まるごと内装を変えています」
ナレーション「実はこの家、3年前まではボロボロの状態」
高江「車で2ヶ月だいたい寝てたんです」
ナレーション「しかし高江さんはおよそ1年かけ、すべて自分ひとりでここまで改装。しかも材料もみずから購入し、かかった費用はおよそ200万円」
高江「ここが作業場で、奥が流木を保管してある場所」
スタッフ「うわー、すごい量ですね」
高江「いろいろと組み合わせてやっていくので、とにかく良い流木があったら持って帰ってきて保管するという形になります」
ナレーション「実際に高江さんはどのように流木を見つけているのか?自宅から車を走らせること40分。やってきたのは大井川の河川敷」
スタッフ「あそこ溜まってますね」
高江「こういう急カーブのところは必ず水流が増えれば残されますよね」
ナレーション「流木は今回訪れた、急カーブしている所が量も多く、狙い目なんだそう。さっそく流木を見ていくが、なかなか拾わない高江さん。河川敷を歩くこと30分。ようやく高江さんが動いた」
高江「重いですこれは。ものすごい」
スタッフ「それがいいんですか?」
高江「硬い木ですよね、ものすごく。中はものすごいカチカチでしっかりしてますね」
ナレーション「探し始めて30分。ついに好みの流木を発見。運びやすいサイズにチェーンソーでカットし、70キログラムほどの重さにして車まで500メートルの距離を運ぶのだ」
高江「自分で汗水流して拾ってきたもの。そういうものが作品に表れると思うんで」
ナレーション「ちなみにこの70キログラムの流木を運ぶのにかかった時間はなんと1時間」
高江「なんとか入りました。自分が切ったところをもっと短くすれば良かったと思いながら」
ナレーション「高江さんはこの作業場に拾ってきた流木を、常時500本以上も保管。そしてできあがった作品は、こちらのアトリエで飾る。月に一回、一般開放しているという」
マツコ「今ねあたしね、外よりも中を、廊下だけじゃなくて壁も天井も木にしたいなって」
高江「無垢の木でやると気持ちいいですね」
マツコ「最近癒してほしいことだらけなのよ」
高江「ああ!そうもっていければいいですね。もっともっと興味を持って」
マツコ「穏やかだけどエキセントリックな一面を持っていますよね。キライじゃないです」


《世界にひとつだけの流木家具》


高江「流木インテリアは答えの無いパズル。答えが無いから全てが自由というか。この一例を持ってきました。これすみません、パネルなので」
マツコ「だってこれ持ってくるの大変ですものね」
高江「これの等身大の流木があったとして、マツコさんだったらこうしてみたいなとか」
マツコ「なんか、横だな」
高江「私も実は横で作ってきたので」
マツコ「あら、横派ですか。結婚しますか」
高江「笑。私が作った作品を見ていただけますか?」
マツコ「え、現物もあるの?こんなでかいの持ってきてくれたの?」
高江「そうです」
マツコ「ああー、ここに座るのね」
高江「見ていただいてもいいですか?」
マツコ「壊れちゃわない?」
高江「もしよろしかったら座っていただけたら一番なんですけど。確かに奥行き狭いんですけど、ちょっと座って」
マツコ「大丈夫?」
高江「このあたり触ってみてもらってもよろしいですか?」
マツコ「意外と座りやすいわね」
高江「座る場所によっても、座りやすさが違ったり」
マツコ「ここのくぼみにちょうど手が入って、こうやってられるわ」
高江「ああ、ありがとうございます。うれしい」
マツコ「クッションも無いんだけど、むしろ変にクッションが入ってるやつよりも少し柔らかく感じるくらい」
高江「ありがとうございます。結局は、さっき言ったパズルというのがそれぞれに、自然の中で育った躍動感だったり力強さがあるんですよ。だからそれをひとつひとつのピースの力と考えれば、そのピースをどうやって組み合わせるかっていうその発想が自由なんですよね。実際、これおいくらだと思いますか?」
マツコ「これはたぶんあれでしょ。これでどれくらい時間はかかります?」
高江「これは10日はかかりました」
マツコ「でもねあたしね、友くんはそんなに暴利をむさぼれないと思うんだよ。あたしだったら100万円くらいはつけちゃうわよ。だけど絶対そんなことできない人だから。そうなってくると、じゃあ80万円」
高江「本当マツコさん良い人ですね。ありがとうございます。一応これ自分で30万円つけてます」
マツコ「いやいやあなたダメですよ。それじゃダメです。これを機にもうちょっと値段を上げましょう。これ30万円だったら買う人絶対いますって。だからみなさん。今が最後のチャンスになります」

高江「次のパネル。またパネルですみません」
マツコ「小さいわね」
高江「これも等身大なんですけど。なかなかこれを見て何って難しいですよね」
マツコ「これは難しいわね」
高江「じゃあ実際の作品を見ていただいていいですか?ちょっとまた少し違うんですけどもこれスツールです。背もたれの無いイス。マツコさんが座っても折れないです」
マツコ「本当に?」
高江「全部が流木なので、この時の太さで」
マツコ「これかわいい。ちょっとくぼませて削ってあるんだね」
高江「お尻が入るようにしてあって。流木の特徴がこうえぐれちゃってるんです」
マツコ「すごい。本当に人の足みたい」
高江「流木に靴をはかせるみたいな」
マツコ「かわいいこれ」
高江「ありがとうございます。これはちなみにお値段」
マツコ「えー、これはどうしよう。さっきのが30万円ってなってきたら、これヘタしたらもう10万円切るんじゃない?」
高江「マツコさんそんな気を遣っていただいてます?6万円です」
マツコ「ダメよ」
高江「実はこの流木に靴をはかせるっていうのを、シリーズを作り始めまして。その作品を見ていただけますか?また雰囲気が違いますので。全てここにあるのはスツールです」
マツコ「なんだろう。あたしこういうきれいな元気な子どもみたいなのも良いなって思うんだけれど、やっぱりさっきのおじいちゃんみたいなのが良いね。これはもっと子どもみたいだよね」
高江「おっしゃる通り、これは流木だけじゃなかったりするんですよ。このあたりは自然木、丸太を使っていたりするので」
マツコ「だから若々しさが」
高江「そうかもしれないです。これ、不安定そうに見えますよね?安定してるのかなって思うんですけど、実はこうやって土踏まずを浮かせてるんですよ。ここ浮かせてるんで、4点で支えてるんです。平面で支えると床がきしんでバッタンバッタンしちゃうじゃないですか。4点で支えてるので、安定してるんです。マツコさんが乗っても全然大丈夫」
マツコ「本当に?だってあたしロデオボーイも体重オーバーで買えなかったオカマですよ」
高江「流木っていうのが実は丈夫なんです」
マツコ「普通の材木とかの木より?流木になってたのほうが丈夫?」
高江「縦に入ってるものは折れないですよね。だから全然大丈夫です」


《2大カリスマ作家がつくる極上の流木家具》


高江「流木インテリア作家2大カリスマ。松本政春さん、志摩英和さん。松本さんはすごくステキな、お人柄のあたたかい人で、作品もそれを感じるようなものなんです。志摩さんもお若いんですけど、私なんかよりずっと早くから流木の作品とかを作ってらっしゃっていて、発想とかが自由というか。すごくアーティスティックなかたです。今日は志摩さんと松本さんの作品をスタッフのかたが持ってきてくださったので、ご覧ください」
マツコ「うわ、すごい!」
高江「すごいですよね。見ていただけますか」
マツコ「ちょっとやっぱり木だわ。あのランプすごい。なにあれ?ああいうことするの?」
高江「あれ松本さんの作品です。松本さんのすごいところは、コードが見えないんですよね。木の中をどうやって」
マツコ「木の中を通してるの?」
高江「その通すのも機密的なやり方をやってらっしゃって」
マツコ「あっ!なにあれキックボード。かわいい」
高江「おもしろいですよね。これは志摩さんの作品で、こういう発想がすごいですよね」
マツコ「これが家の中にあったら、それだけでうれしい。かわいい」
高江「そうですよね。僕なんかは思いつかない作品。これすごくないですか?これ志摩さんの作品!この本棚見た時は、度肝抜かれて」
マツコ「かわいい」
高江「すごいですよね」
マツコ「流木だからかな?普通の木材で作ったものよりも、これ一個置かれたときの癒され感はやっぱり強いわよね、流木だとね」
高江「これ志摩さんのゴーグルらしいんですけど、ちょっとつけさせていただいて。こんなような」
マツコ「これなんかちょっとジブリっぽい。見た目はどうなってるの?」
高江「ちゃんと中見えるんです」
マツコ「あ、普通に見える。これかわいいね」

高江「今回のお話をいただいて、マツコさんのスツール作品を作りたいなと思って作ってきたんですけど。本当はマツコさんに座っていただきたかったんです」
マツコ「なに?これ」
高江「ただ、流木の座面が、用意してたものが、周りが腐ってて」
マツコ「それを削っちゃったらちょっと小さくなっちゃった?」
高江「小さくなってしまった」
マツコ「いやいいんですよ。大丈夫です」
高江「なでていただくだけでも。見ていただけたら」
マツコ「なにをおっしゃってるんですか。座りますよ」
高江「大丈夫ですか?寄りかかれますか?」
マツコ「なかなかの体勢になりますね」
高江「こうまあ、ストレッチを」
マツコ「ああ、そういうことね、こうクーッと。なるほど。あとね、小さいは小さいけど、めちゃくちゃ安定してるわよ」
高江「マツコさんにリラックスしてもらうイスにしたくて、マツコ・リラックスってしたかったんです。だけど、座面がちょっと小さかったので、今回はそこまでいかなかった」
マツコ「今回はマツコ・リラックスまではいかなかったんだ」
ナレーション「その後、高江さんはおよそ1ヶ月かけて作品をイチから作り直し、全て流木でできた世界にひとつだけのマツコ・リラックスを完成させたのだ」



~完~