2019/06/11放送
マツコの知らない世界
'占いをやり続けた挙げ句におみくじに辿り着いた女'
平野多恵(ヒラノタエ)さん(以下、[平野])
[平野]「マツコさんはおみくじを引く時、どんな気持ちで引かれますか?」
[マツコ]「え?ごめんなさい、無自覚なまま引いてました」
[平野]「平野的おみくじの諸注意、①おみくじ一回に占うことは一つ。学問も恋愛もお金もみたいな欲張る人がいるんですけれどそれは欲張りすぎ。精神集中するのが大事なので。②何回引いてもよい」
[マツコ]「これは神社仏閣喜んでる。仕事で引いて、恋愛で引いて、病気・健康で引いて、家内安全で引くっていう引き方をしてもいいわけ?」
[平野]「そういう引き方でもよいと思います」
[マツコ]「ただ、みんながみんなおみくじ売り場で精神統一するのは...」
[平野]「同じ神社で何回も引くんじゃなくて、例えば天神様だと学問の神様なので学問のことを聞くのがよいとか、縁結びの神様だったら恋愛のことを聞くのがよいとか。神様にも得意分野がありますので、得意な所に行って、アドバイスをうけるほうがよいのではないでしょうか」
[平野]「まずプロフィールから紹介いたします。職業は、成蹊大学で文学部の教授を。学生時代すごく占いが好きで、姓名判断から手相占い、星占い、こっくりさんまで」
[マツコ]「こっくりさんって占いなの?」
[平野]「大学時代にサイババっていうインドの聖者がはやって、自分の目で確かめたいということでインドに行きました。手から灰を出すんです、ビブーティという。あと台湾の文鳥占い」
[マツコ]「あれはヒドイですよね。テレビのロケでよくやっている。文鳥がくわえてるんですよ」
[平野]「感銘を受けまして。文鳥大好きで飼ってて、飼ってた文鳥に芸を仕込んで。ついばんだらすぐに餌を一粒。その繰り返し」
[マツコ]「占いでもなんでもない。ただの調教」
[平野]「言ってみればそうなんですけれど、文鳥は何を取ってるか無意識じゃないですか。そこに神聖みがあるんですよ。いろいろな占いを体験しました。それで教員になりまして、日本の古典文学に興味を持ってもらいたいと思った。おみくじをネタにして授業をしてだんだん調べていくうちに、おみくじってすごいなと。自分が経験してきた占い、いろいろありますけど、この人にそんな事言われたくないとか、それ嘘でしょとか」
[マツコ]「占い師の方がいるわけじゃなくて、自分で選んでるわけでしょ」
[平野]「そうなんですよ。自分で選んで、いただいたメッセージを自分で解釈して受け止めて。つまりおみくじは自分自身が占い師になる、そういうものなんですね」
《おみくじの勘違いを正したい!》
[平野]「おみくじを引くときに、ぜひみなさんに聞いていたただきたいことがあります。まずおみくじを引いたとき、どこを最初に見ますか?」
[マツコ]「吉凶書いてあるところ」
[平野]「そうですよね、ほとんどの方がそうなんですけど、吉凶に惑わされてはダメ。実は大事なところは違う。そもそも見るところを間違えています」
[マツコ]「だったらもうちょっとそっちをわかりやすく書いてほしいわよね。どのおみくじも吉凶がでかでかと書いてありますからね」
[平野]「これからその読み方をご説明させていただきます。まず①和歌、②解説、③項目、④運勢。運勢はあくまでも目安のようなもので、一番大事なのは和歌の部分。これが神様のメッセージに当たる部分なので」
[マツコ]「あたし項目さえ読んでないわ」
[平野]「それはあまりにももったいない」
[ナレーション]「おみくじの歴史も研究している平野さんによれば、神様仏様のお告げである重要な部分は和歌や漢詩にあたる部分。このお告げを自分の悩みにどう当てはめるかがおみくじの醍醐味」
[平野]「もともと日本の神様が初めて和歌を詠んだという伝承がありまして、日本では和歌占いという和歌を使った占いが昔からあるんです。1800年頃に写された本『歌占 萩の八重垣』。何を占われますか?偶然のことを一つ選び出す占いは、今のことを聞いていただくほうがよいです」
[マツコ]「そうですね...TBSとの関係かしら」
[平野]「では呪歌(呪文の歌)を唱えてください。そして精神集中してこの賽を振ってください。そうすると天・地・人の数の組み合わせが決まります。今結果を見ます」
「年毎に 生ひそふ松の 葉数より なを数そふる 天が喜び」
[平野]「意味はですね、毎年生えて増えていく松の葉が、さらになお、葉っぱが増えて天が喜んでいる。この本は松の絵が描かれている。地植えの松が多いんですが、ここに描かれている松は鉢植え。この小さい鉢(TBS)の中でいっぱい葉っぱが出て、局の方が喜ばれている」
[マツコ]「そうなんですよ。まさしく!なるほど、これはあたしの気持ちではなくTBSサイドの気持ちってことですね」
[平野]「それを受けてマツコさんがどういうふうに行動するかということ」
[マツコ]「なるほど、不愉快極まりない。あたしは大地にそびえる松になりたいんです。占いって当たりますね~」
《平野セレクト 全国各地の心に刺さるおみくじ》
[ナレーション]「和歌おみくじの王道といえば、和歌のみ記載されている明治神宮や、手すきの和紙の風合いが美しい住吉大社。一方お寺は漢詩を使ったものが多く、最近では外国人でもわかるサービスを施した浅草寺に、愛らしいイラストの高尾山薬王院などが大人気。そんな中、明日引きたくなる心に刺さるおみくじをご紹介」
・津軽弁ほたておみくじ、津軽弁りんごおみくじ
(廣田神社)
[マツコ]「こんなのあるんですか。津軽がんばってますね」
[平野]「伊奈かっぺいさんが作られたおみくじなんです。神社に奉納して神様のお告げとしている」
[マツコ]「伊奈かっぺいはいいお年の取り方されてるわね」
[平野]「ほたてを釣ったり、りんご狩りをしたりしていただける」
[マツコ]「さっきはTBSとあたしの関係が深刻な事態だったから」
[平野]「気を取り直して。吉!でも物憂げな顔が」
「なにを尻込みしているのだ いつもニコニコ笑顔でいれば なんの心配もいらないものだ」
[マツコ]「深刻な事態を伊奈かっぺい先生もちゃんと読み取っていただいている」
・イチハラヒロコの恋みくじ
(布忍神社)
[平野]「ズバッと引きたいかたに。振っていただいて、番号取り出してもらう。何を占われますか?」
[マツコ]「TBSとの関係」
「どうにもならない事がある」
[マツコ]「ズバッと言っていただけて。オブラートが全くない感じ。おみくじは当たります」
・恋みくじ
(お初天神)
[平野]「曽根崎心中の舞台となった。どれか一枚選んでいただいて」
「一歩踏み出せば?」
[マツコ]「そうだよね~」
[平野]「なにかグッとくるものが?」
[マツコ]「きました。この流れで。決心しろと」
・辻占おみくじ
(瓢箪山稲荷神社)
[平野]「火を使ったおみくじ。レトロな見た目がすてき。やきぬきと、おみくじと、あぶりだしと3種類入っているんです」
「一寸手おくれ ざんねん」
[マツコ]「手遅れにならないように早く旅立てと。恐ろしいですね」
[平野]「次にやきぬき。火をつけると、一つだけ残るようになってる」
「うれしいけれど じゃまがある」
[マツコ]「もうあたしどれだけちゃんとおみくじを見てなかったか。吉凶しか見てなかった。さっき言った通り、なにか占いたいことを明確にしておかないと入ってこないっていうことですね」
[平野]「そうです。お告げが心に刺さらない。自分のための言葉にならないので」
・萬葉神籤
(伴林氏神社)
[平野]「特大のおみくじです」
[マツコ]「これで本決まりかしら」
[平野]「伴林氏神社は万葉集を編纂した大伴氏の氏神と言われてるんです。これだけ大きいおみくじというのは非常に珍しいです」
「自然の流れに任せましょう。臨機応変」
[マツコ]「そんななまっちょろいこと言ってられないんだよ」
[ナレーション]「他にも家族で引いても楽しい世代別で項目がちがう尾山神社の世代みくじや、周りのものや人とどれだけ悪縁があるか記した安井金比羅宮の縁みくじなどさまざま」
・歌占
(天祖神社)
[平野]「私がいつかおみくじを作ってみたいなっていうことをずっと言っていたんですが、たまたまこちらの天祖神社の宮司様と縁を得て」
[マツコ]「平野先生が作ったおみくじなんですか?」
[平野]「正確にいうと、私だけじゃなくて大学院生と一緒に作ったものなんです」
[ナレーション]「天祖神社歌占は16の神様のうちどの神様とご縁があるか占うというもの。古くから伝わる方法でまずは呪文の和歌を詠み、祈りを捧げ弓にかかった短冊を引きます」
[平野]「目を閉じていただいて、弓にかかった短冊から1枚をお選びください。では目を開けて中を見ていただけますか。天手力雄神ですね、力持ちの神様がマツコさんの守護神」
[マツコ]「力持ちで体が大きい...これがあたしの縁のある神様。あらなんか嬉しいわ」
[平野]「天岩戸神話といって天照大御神が岩戸に隠れた時に世界が真っ暗になってしまった。その時に岩戸をこじ開けた神様です」
[マツコ]「じゃあ世界を救ったわけね」
「どうにもならないこともある」
[マツコ]「どうにもならないこともあるけれど、力で道は開けるという。道は開けるんだけど、どうにもならないこともあるんだというね」
《まるで占い?超変わり種おみくじ》
・辻占判断
瓢箪山稲荷神社
[平野]「辻っていうのは交差点、道の交わる所。そこで占いをするというのが、万葉集の時代からおこなわれていて、今もそれを体験できる」
[山畑阿登視さん(宮司)]「占ってもらいたい方が辻に行って立っていただきます。そしてその目の前を通る方を見ていただいてどんな方だったかを宮司に伝えていただく。それを元に占う、そういう形をとったものが辻占判断です」
[ナレーション]「宮司さんによると、古来から日本では昼と夜、また道と道との境目には霊魂など神聖なものが行き来すると言われていた。江戸時代には辻に立って偶然前を通り過ぎる人物の姿を記憶し、それにより願い事が実現するか占う辻占が大流行したそうです。ではさっそく辻占判断をやってみることに。まずは占ってほしいことを紙に記入。何番目に通り過ぎる人を観察するかきめるためのおみくじを引く。そして神社裏手にある占場という場所へ。前後左右から来て正面を通りすぎるすべての人が対象。いったいどんな結果が出るのか。メモを書き、宮司さんの元へ。見た情報と相談事と照らし合わせて宮司さんが祈祷しお告げをもらう」
[平野]「この辻占判断は、四柱推命と合わせて占ってくださる」
[マツコ]「あたし一回だけ占いをしてもらって、衝撃的だった事があって。たまたまそこにいた方で、四柱推命ができる方だった。ついでにちょっとやってあげるよって言われてやってもらったら、35歳から先が見えないって言われたの。死ぬとかではなくて無いんだって。占ってもらったのが、あたしの本名で占ってもらった。そしたら35歳くらいから本名じゃなくてマツコとして生きるようになった。四柱推命がそれですごいって言うのはまた違うけど、あの方はすごいなって思う。ただその人が『私は関西の人間だからよくわからないけど赤坂にテレビ局ある?そこだけはやめたほうがいい』って。言うこと聞いておけばよかったわ」
[平野]「本当ですか?笑」
~完~
