2019/05/21 放送
マツコの知らない世界
'700種類のアジサイを収集したアジサイ博士'
川原田邦彦(カワラダクニヒコ)さん(以下、[川原田])
[川原田]「これを見ていただきたいんですけども、これが普通に言うアジサイです」
[マツコ]「お花屋さんに売ってるタイプのやつですね」
[川原田]「実はこういうものもあります。これはガクアジサイというもので、花を額縁のように囲むのでガクアジサイ。同じものの、少し違っただけ」
[マツコ]「おおまかにこの2つね」
[川原田]「アジサイが好きなかたは、こっちがアジサイで、こっちがガクアジサイっていうことを知ってるんですけども、すごい違うものだと思われているかたが多い。でも実は違わない」
[マツコ]「まあでも家にどっち置くかと言われてわざわざガクアジサイ置きたくはないですよね」
[川原田]「これも実は改良されてて、本来は一重の花なんですけど八重になっている」
[マツコ]「ほんとうだ。ボリュームが増えたほうなのね。好きになってくるとこういうのも好きなのね。あたしはまだ素人だから、アジサイくらい花咲いてくれないとさみしいわ。特に一人暮らしだから」
[川原田]「このアジサイっていうのは日本生まれなんですね」
[マツコ]「あっ、そうなの?」
[川原田]「日本生まれのものが、シーボルトによって激変しています」
[マツコ]「もともとは日本のみのもの?中国でもない?」
[川原田]「中国にあるのは日本からいったもの。幕末に、ヨーロッパ人がすごくこれを気にいりまして、特にシーボルトが有名なですけども。長崎に住んでたんですが、日本人の奥さんがいて楠本滝さんっていうのがいるんですよ。当時の日本人は彼女のことを『おたきさん』っていうわけ。シーボルトはそれが気に入ったので、その奥さんの名前をつけてオタクサと言われている」
[マツコ]「それ今でも?」
[川原田]「古い名前は残ってるんですけど、一時はそれが当たり前の1番上にくる名前だった。海外に行くと学名というのを使いますので『ハイドランジア』と呼びます」
[マツコ]「アジサイの総称ハイドランジアっていうのがはやってるの?」
[川原田]「はやってるっていうわけでもないんですけど、そういうふうに言われている」
[マツコ]「だめよ何でもかんでも横文字にしたら。アジサイはアジサイでいいじゃないのよ。どうせオシャレな花屋が始めたんだろ。撲滅運動するわ!なんで日本生まれのものを横文字にしなきゃいけないのよ。外国生まれのものならまだしもなんで日本生まれのものを世界の共通名にしなきゃいけないのよ!」
《これから見ごろ!絶対見るべき絶景アジサイスポット》
[川原田]「私のプロフィールなんですけども、大正6年から続く園芸店の4代目として生まれる。いろんな種類を扱ってきました。アジサイもそのうちの一環だったんですけども、最初は全く興味がなくて。そのうちに日本で唯一のアジサイ研究家がいたんです。山本武臣さんというかたなんですけども、そのかたがたまたま当時の園芸雑誌にいろんなアジサイを紹介してくれた。それを見てこんなすごいのがあるのかとのめり込んでいきました。ビビっときまして。もともと私のところは収集が好きなので、好きになると集めちゃうほうなのでそれで今700品種以上集まっております」
[マツコ]「どこにあるの?」
[川原田]「茨城県の牛久というところに『確実園』があります」
[マツコ]「オシャレな花屋やってるじゃないのよ!」
[川原田]「全国でアジサイを見せるところが増えてまして」
[マツコ]「偶然見たもののひとつが箱根登山鉄道よ。すごいわよ。あの線路の両脇にね」
[川原田]「夜もライトアップしてますね。あと岩手県なんですが、『みちのくあじさい』、日本一だと私は思います。先ほどの山本武臣さんの最後のコレクションがここに植栽されています」
[マツコ]「岩手県だからこそ変に荒れずにすんでるってこともあるかもしれませんね」
[川原田]「あと有名なのが、お寺ではよくあるんですけれども千葉県の本土寺。お寺ってけっこうアジサイが合うんですけれども、ここしか見るところないんですよ」
[マツコ]「確かに観光といわれると他にない」
[川原田]「最盛期に60万人来られる。他にも、静岡県の下田公園。本数が15万株。普通は大きなアジサイ園でも1万~3万株なんだけど、ここは本数がすごい」
[マツコ]「そのわりには売り出してないわね。もっと観光客いてもいいのに」
《家で育てるからおもしろい!アジサイ衝撃の真実》
[川原田]「安いのに1か月も楽しめるアジサイを家で育てよう」
[マツコ]「え、1か月もつんだ。鉢植えでも?」
[川原田]「1つしか咲いてなければ別ですけど、アジサイは時間差で咲くので1か月はもちます。家で育てるからこそ、自分でそばで見るからこそ、という楽しみかたがありまして、まずつぼみから満開が同時に楽しめます。1つの株でつぼみのところもあるし、満開のところもみられる」
[マツコ]「けっこう時間差があるんですか?全部咲くまでに」
[川原田]「小さい株でも10輪くらいあると楽しめる。咲きがけが緑色している、これがつぼみの状態で、だんだん色がついていきます」
[マツコ]「上手に育てれば、また来年も咲く?ちょっと大きくなったら庭があれば植え替えればいいですもんね。そんな花あんまりないよね」
[川原田]「庭がない家庭は大きい鉢に寄せ植えするんです。レモンとかオリーブを芯にして、その下にアジサイを植える」
[マツコ]「オシャレ花屋の癖が出ちゃってるじゃないですか!」
[川原田]「もう1つありまして、何色が咲くかのドキドキ感。咲いてる花は色が変わらないんですけれども、これを仮に庭に植えた場合、花の色は変わっていきます」
[マツコ]「えー!?土で変わるってこと?オシャレな花ね。ミステリアスフラワー!」
[川原田]「pHで変わります」
[マツコ]「あ、だから要はリトマス試験紙か」
[川原田]「そういうことです。日本は酸性土壌が多いので、ほとんどブルーか白ばかり」
[マツコ]「ピンクにしたければ、アルカリ性になるように土壌を改良すればいい」
[川原田]「ヨーロッパへ持ってきたときアルカリ土壌だったので赤くなったんです。もともと日本では色が変わることがアジサイを嫌ってきた理由。人気が出たのはここ30年」
[マツコ]「え、アジサイって嫌われてたの?何があったの?」
[川原田]「ひとつは、基本的に花びらが4枚弁が多い。死につながるっていうこと。もうひとつは、色が変わることから移り気や浮気などの意味と取られ、全く人気がなかった」
[川原田]「続きましてもうひとつ家で育てる楽しみかたがあるんですが、アジサイは散らずにしがみつく。例えば桜は『散る』っていう。椿は『落ちる』。梅は『こぼれる』。それに対してアジサイは『しがみつく』。最後は茶色くなるんですけども、残ります」
[マツコ]「はぁ~、落ちないんですね」
[川原田]「中には2度目の花を咲かすものもあります」
[マツコ]「縁起のいい花ね」
[川原田]「花が出て、そのあとほうっておくと緑色になって終わった状況です」
[マツコ]「咲き終わりもきれいね」
[川原田]「終わった状態から剪定しちゃうから、この先を見ることは少ないんです。剪定しないと来年咲かないので。ところが、これを剪定しないでおいとくとこうなります」
[マツコ]「急にエキゾチック」
[川原田]「品種の差があって、これは赤くなりますが、紫になったり、それがまたきれいなものってけっこうあるんですね」
[マツコ]「知らなかった。初めて見た」
[川原田]「ここまで見る人は少ないと思う」
[マツコ]「来年また見たいから切っちゃうわよね」
《育てやすさNo.1 美しく進化したアジサイ》
[川原田]「実際に育てるときなんですけども、1つめに、肥料がいらない」
[マツコ]「なんでもっと普及しないの?肥料がいらないの?」
[川原田]「これには条件があるんですけれども、植物を育てる場合は、2年に1回の植え替えが必要になります」
[マツコ]「肥料はいらないけれど、植え替えは絶対ってことね。庭に植えた場合は植え替えは必要ないんですよね?」
[川原田]「そうです。庭に植えた場合は、剪定だけすれば花が咲いてくれます。そして2つめに虫がつかない。全くつかないってわけじゃないんですけれど、虫がつきにくい。例えばバラだと鉢植えにすると肥料にしても消毒にしてもやらざるをえない。ところがアジサイは虫がつきづらいので消毒する必要がない。アジサイの絵にカタツムリが乗ってますよね」
[マツコ]「あー!見たこともないのにみんな描いてたよね」
[川原田]「ところがですね、あれを実験したところがあって、あれをやるとカタツムリが逃げてしまいます」
[マツコ]「やっぱり見たことないのよね。みんな雰囲気だけで描いてた」
[川原田]「梅雨だし、ちょうどアジサイがカタツムリと合ったんでしょうね。理由はですね、ガクアジサイは毒がある。人間は触ったぐらいでなんともないので、怖くはないんですけれども。アジサイによっては毒がないどころか、葉っぱに甘味成分があるので、甘茶として飲めるものもある。お釈迦様の花祭りのときに使う甘茶というのは実はアジサイ」
[マツコ]「あれアジサイなの?なんでみんな嫌ってたんだろう?逆にいうと、庭に花を植えたいんだけど手入れめんどくさいなっていう人は、毒のあるタイプを植えると虫が寄らない。売り出し方によっては、肥料もいらない、虫を寄せ付けませんよ、って言ったら売れますよ。アジサイ、おすすめになってきたわ」
[川原田]「3つめ、香りがない。嗅いでみてください」
[マツコ]「なんにもない。たまにフッと嗅ぐぐらいならいいよ。家の中むせかえるように、庭がずっと匂ってたら嫌になるって。だから匂いがないって実はすばらしいこと」
[川原田]「多くの有名なもの、例えばバラとかユリとかって、花の美しさとともに匂いまで1つの観賞価値のある植物だと思うんですけど、それは何のためにそうなったかっていうと、受粉させるため。種を残すために、植物が虫を寄せるために、独自に進化している。アジサイは匂いがなかったんですけども、そのために花が美しく多様に進化したという」
[ナレーション]「ここからは博士厳選。家で育てるべき進化したアジサイをご紹介」
・スノーフレーク(ピラミッドアジサイ)
八重咲きの花弁で自宅をより華やかに
[マツコ]「これはアジサイだって言われないとわかんないよね」
[川原田]「これは丸になるんじゃなくて垂れたように」
[マツコ]「ライラックとかスズランみたいな咲きかたですよね。花もアップでとるとすごいのよ。ものすごい重なっているのよ」
[川原田]「もうひとつ楽しみかたがありまして、秋の紅葉がすばらしい。葉っぱが真っ赤になります」
・スターリットスカイ
着物のような美しい絞り斑で和室との相性◎
ジャパンフラワーセレクション受賞品種
[マツコ]「近くで見ると、ペーパークラフトで作ったような質感。グラデーションもおもしろいね」
[川原田]「実はこれ最新品種」
・伊予獅子てまり
派手過ぎず飾る場所を選ばない
[マツコ]「アジサイじゃないみたい。かわいい」
[川原田]「あまり大きくならない」
[マツコ]「日本っぽいですよね。ボタンとかシャクヤクっぽい感じの」
[川原田]「アジサイ好きなかたって、テマリ咲きが好きなかたと、ガク咲きが好きなかたと半々にわかれてますね」
[マツコ]「小さいほうにしても大きいほうにしてもこのつき方が好きですね。日本っぽい」
[川原田]「商売やってると、これだけだと商売にならないんで。今言ったとおり半分は派手なほう好きなかたいますので」
[マツコ]「急に...。まあそうですよ。こういうのも守っていくために商売も上手にやらないと。だからあんなオシャレな店を牛久に建てちゃう」
・アジアンビューティーKURARA
小ぶりな花&葉で場所を取らず和室にも合う
[川原田]「ヤマアジサイを改良したもの。独特な花の色」
[マツコ]「今っぽいというか。白が混ざってるところとか。ショウブとかこういう感じ」
[ナレーション]「実はひとえにアジサイと言ってもその種類は様々で、現在4000種類以上あるといわれている。今回その中でも博士が異端児と呼ぶ驚きのアジサイがスタジオに登場」
[マツコ]「こんなにアジサイに種類があると思わなかった」
[川原田]「これはガクウツギ。アジサイの中では変わり者なんですけれど、実は香りなんです。花が咲くのが一番早い。4月末には関東地方で咲く。 日本の和名の付け方って、何かに似てるから『ウツギ』ってつけちゃう。ウツギだと思われてるかたも多いけど、実はこれもハイドランジア」
[マツコ]「けっこう香りする」
《4000種類から博士が厳選!ベストビューティフルアジサイ》
[川原田]「マツコさん宅に飾ってほしいアジサイっていうのがあって。アジサイの品種は4000くらいあります。その中から美しいアジサイだと思うものをもってきました。ぜひ飾ってほしい」
[マツコ]「えっ?ごめんなさい、想像してたのと違って、驚きが先にきちゃって」
[川原田]「これはすごい地味ですよね。これは寄せ植えをして、盆栽風に楽しめる」
[マツコ]「確かに枝ぶりがおもしろいですね」
[川原田]「これは『紅』という名前がついています。日光にあたると花の色が白から赤くなる。これは先ほどのpHと関係なくて、日光にあたればあたるほど、最終的に色付いて真っ赤になる」
[マツコ]「アジサイすごいね。知らない人多いよ」
~完~