2019/04/09放送
マツコの知らない世界
'小5から20年以上年パスを更新している男'
風間俊介(カザマシュンスケ)さん(以下、[風間])
《超ディープ!風間が見る「東京ディズニーシー」》
[風間]「まず東京ディズニーシーがどんなところかと言いますと、風間的考察。2つのパークの違い。東京ディズニーランドはディズニーの世界観を体現している場所、東京ディズニーシーは旅人になって海外旅行を楽しめる場所」
[マツコ]「確かにそうだった。運河沿いの船着き場みたいなレストラン。つまみ食べながらワイン飲んでると、イタリア来たみたいな感覚」
[風間]「ミッキーマウスたちのスタンスが違うと思ってまして。東京ディズニーランドにいるときのミッキーたちは、ホストとしてゲストを迎える感じがするんですけど、東京ディズニーシーにいるときのミッキーたちは、旅人として冒険中にゲストと出会うっていうスタンスじゃないかなと」
[マツコ]「ディズニーシーのぞかせてもらったことあるけれど、あれは西洋じゃない?もう一個くらい作れるなと思った。和のミッキーとかね」
[風間]「エプコットというパークがありまして。フロリダに。世界中の万博があって、日本館があるんですよ」
[マツコ]「行ったんでしょ?」
[風間]「行きました。最高でした」
[マツコ]「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートが一番すごい?」
[風間]「ディズニーワールドに行って感じるのは、すごいなと思うと同時に、僕を育ててくれたのが東京ディズニーリゾートなので我が家に帰りたいっていう気持ちが」
[マツコ]「うまいわ~!来年これでCM決定じゃない?」
[風間]「基本情報を紹介します。マップに年代をいれました。20世紀初頭のアメリカの港町を表現した、アメリカンウォーターフロントだとか。1873年の南太平洋に浮かぶ火山島、ミステリアスアイランドだったり。伝えたいのは、歴史がちゃんとあるということなんですね」
[ナレーション]「世界中の街並みを楽しめる東京ディズニーシーでは、その他にも20世紀初頭の南ヨーロッパの港街・メディテレーニアンハーバーや、1930年代の中央・アメリカロストリーバーデルタなどを体験でき、まさに海外旅行の気分を味わえる場所なのだ」
[風間]「僕のディズニーシーでの1日をご用意しました。バックグラウンドストーリーを巡る風間俊介のある1日。正午くらいにですね、ザンビーニブラザーズリストランテで食事をしながら南ヨーロッパの景色を堪能。こちらのレストランなんですけど、メディテレーニアンアンハーバーという港が栄えるのに尽力したザンビーニ一族というのがいるんです。そのザンビーニブラザーズが持っている圧搾所をレストランに改造したお店」
[マツコ]「眺めすごいね。これベネチアだよね?」
[風間]「午後2時頃に昔のニューヨークの街並みを味わいながらホットドッグを頬張る。これはアメリカンウォーターフロントというところのホットドッグ屋さん、デランシーケータリングのホットドッグを食べるんです。ここの街並みというのが20世紀初頭なので、ガス灯から電気灯に移行する頃なんですね。なのでメインストリートの明かりは電気灯なのですが、一本奥の道はまだガス灯のままで」
[マツコ]「そんな凝った設定にしてるの!?」
[風間]「設定という言葉にちょっと引っ掛かりはありましたけれど」
[マツコ]「そういう魔法にかけたのね」
[風間]「そうです、笑」
[風間]「路面電車のレールがひかれてるんですけれど、なぜかというと、この時代地下鉄に移行し始めているんですが、まだ名残があって」
[マツコ]「混在している時代なわけだ」
[風間]「当時のニューヨークっていうのが、休日になると通勤で使ってた人たちが電車に乗ってくれなかったらしいんですよ」
[マツコ]「なんでそんなこと知ってるの?」
[風間]「東京ディズニーシーの知識からニューヨークを学んでいくんですけれど」
[マツコ]「わあ、やだ。真性変態ね」
[風間]「そして、鉄道会社がどうしたら休日にも乗ってくれるかって考えたら、終点に遊園地を作ったんです。それによって、休日にお父さんたちが子どもに遊園地連れてってあげるって言って電車に乗ってくれる。その線路の行き着く先というのがトイ・ストーリーマニア!という。子どもたちの学習にも向いているなと僕は思っているんですけれど」
[マツコ]「ほおおぉぉ。詰め込んでくるね」
[風間]「こういうところをもっと東京ディズニーシー特集の時にはやってほしい」
《未来に残したい!恐ろしいほどすごい建築物》
[風間]「東京ディズニーシーは世界遺産の宝庫。建築物のみならず、いろいろなものがですね、未来に残していきたい世界遺産と同等なものだと僕は思ってます。とにかくですね、作り込みがすごいんですね。今回は専門家の方々といっしょに東京ディズニーシーを回らせていただきました。まずやっていきたいことはこちら。地質学習も驚愕、プロメテウス火山です」
[マツコ]「真ん中のシンボルよね?」
[風間]「そうです。あの火山が、どういう変動が起きてできあがったかというのを研究している先生がいるんですね。小山真人教授とですね、本当のことはわからないので、こうだったのではないかという」
[マツコ]「何を言っているのかなこの人...。今日ちょっとヤバくなってきてるよね?」
[ナレーション]「今回同行してくれるのは、地質学者静岡大学教授の小山真人先生。プロメテウス火山を地質学的に分析した研究で火山学会でも話題をよんでいる人物。小山先生の研究によると、もともとは何もない海だった場所から、海底で何度も噴火を繰り返し、陸上にプロメテウス火山が誕生したというのだ。そしてその証拠というのがパークの中に残っているという。やってきたのは大航海時代の要塞を探険できるフォートレスエクスプロレーション付近の地層」
[小山教授]「これはですね、海底火山の蓄積物ですね
。海底火山が噴火して、海底にたまった地層ということになります。マグマと水が触れると、割れてしまう。その部分が岩の多い部分ですね。そうじゃない白くて細かくてしましまの部分が火山灰」
[ナレーション]「実際この地層は伊豆や島根でも見ることができ、教授いわく、これがあるということは、海の中で火山が噴火した証拠なのだという。さらにプロメテウス火山の注目すべきポイントが。パホイホイ溶岩とは、マグマが冷え固まってできた岩で、プロメテウス火山が地上で噴火した証拠だという」
[小山教授]「表面に光沢がありますね。これはパホイホイ溶岩の特徴で、溶岩が急に冷えてガラス質になり、光沢ができます。気泡もできますね。火山ガスが抜けた穴なんです」
[ナレーション]「手軽で安全に見られるパホイホイ溶岩は東京ディズニーシーだけ。続いてはプロメテウス火山の中で最も注目してほしい場所へ。やってきたのは大きな湖がひらけたミステリアスアイランドの中心地。ここにはプロメテウス火山の驚きの発見が隠されていた」
[風間]「ミステリアスアイランドの特徴でもあるんですけれど、真ん中に水がたまってるじゃないですか。これが火口湖。現在のプロメテウス火山なんですけれど、もともとはおそらくここが火口だったのではないかと。最初の火口が爆発したあと、噴火場所が移動して奥になった」
[ナレーション]「小山教授によると、成長した火山島に地下水が侵入し地下で水と接触し火口が爆発。これにより大きな火口湖ができたのだという。すると爆発の影響で火口場所が移動し現在のプロメテウス火山になったというのだ。その証拠といわれるのが、湖のほとりからあがる湯気。実際にサーモグラフィーで温度を測ってみると92度。いまだに高温の湯気が吹き出し、地下でマグマ活動が高まっている証拠なのだという。つまりこの火口湖こそプロメテウス火山が噴火した原点といわれている」
[風間]「すごくないですか?」
[マツコ]「すごいを通りこして、狂気を感じた。あれを作ろうとしたこだわり?っていうレベルじゃないね。だって人が触れないところの温度再現することないじゃん」
[風間]「僕が感動したのは、東京ディズニーシーっていうところはアトラクションや建物に物語があると思ってたんですが、もう地層から物語はスタートしてたんです」
[マツコ]「ディズニー、こわっ」
[風間]「小山先生の見解によるとなんですが、火口湖に入る前に入り口にある柱状節理なんですけれども、マグマが冷え固まって体積が収縮してできる割れ目だそうで、地表にマグマが露出していた証拠なんだそうです。溶岩が飛んできて人に当たらないように、防護ネットをつくってる」
[マツコ]「恐ろしいディズニー!あたしディズニーランドがらみで見てきたなかで一番びっくりしたかも。狂気の沙汰」
[風間]「学術レベルなんですよね。それが他にもあるんですよ」
[マツコ]「もういい」
[風間]「建築史家も唸る、ホテルハイタワー。このハイタワーが舞台となってるのがタワーオブテラー。ホテルハイタワーを紹介するにあたり、ホテルハイタワーの創設者、ハリソンハイタワー三世さんを紹介しなければならないですね」
[マツコ]「ハイタワーって人の名前だったんだ」
[風間]「このハイタワーさんっていうのはとにかく強欲な人で、世界中のありとあらゆるものを自分の手中に納めたがったんです。ホテルハイタワーが建築物としてすばらしいということで、それを専門家のかたと検証します」
[ナレーション]「今回解説してくれるのは、世界中の歴史的建造物を研究する建築史家の倉方俊輔教授。32か国61都市を巡り数多くの建築書籍を出版する、建築物のスペシャリスト」
[風間]「素人から見ても、ハイタワーホテルというのはおもしろいつくりだなあと思うんですけれど。増築に増築を重ねたような不思議なつくりになってる」
[倉方教授]「まさにそれがこの建築の特徴です」
[ナレーション]「倉方教授によると、建築は通常1つの建築様式を取り入れてつくられるのだが、このホテルハイタワーは世界中の建築様式が見られる貴重な建物だという」
[倉方教授]「真ん中のところに、3つのアーチが並んでるところが。あれは3連アーチと呼ばれるもので、宮廷建築の時代、ベルサイユ宮殿とかああいうものの正面の中心を示すサインみたいに使われる。威厳と中心性を示すものとして3連アーチというものが使われます。あの花形みたいなアーチが入り口の上にありますが、あれは多弁形アーチというもので、イスラム様式で多く用いられる装飾手法。良いものを得るというハイタワー三世の過激なリヴァイヴァリズムに表れている」
[ナレーション]「ハイタワー三世の強欲さを表現したといわれる、ホテルハイタワー。外見を見ただけでも様々な時代の建築様式を組み合わせてつくられているのがわかる。さらにその中では、日本でもおなじみのあの建物に使われている手法も」
[倉方教授]「あの端の棟の赤と白の帯みたいなのがありますね。あれはクイーンアンというスタイルなんです。クイーンアンというのは、アン女王っていう18世紀始めの女王の時代のものを参考にしながら19世紀にはやった手法なんです。東京駅にも取り入れてあります。レンガで石の帯をいれるのが、クイーンアンの特徴のひとつなんですね。東京駅は辰野金吾っていう日本で初めての建築家が設計したんですが、クイーンアンっていう様式を取り入れて、ちょっと加工して辰野式って呼ばれるデザインにした」
[風間]「同じというよりかは、大元が同じということですね」
[マツコ]「あのアンバランスさが気持ち悪い建物だなと思ってたのよ。なんであんなつくりにしたんだろうて。今日いろいろ背景を聞いて、納得がいった」
[風間]「ホテルハイタワーの入り口上部にあるステンドグラスなんですけれど」
[マツコ]「あら!いるじゃない。自分のことステンドグラスにするやつはロクなやついない」
[風間]「自己顕示欲の塊だったということがわかるんですけれども。このステンドグラスのところに『the world is mine oyster, which I with sword will open』って書かれてるんですね。シェイクスピアの作品のセリフからとってきているらしいんですけども、『この世は牡蠣のようなもの。私の剣でその貝殻を開けてみせよう』という。普通聖母マリアとか、そういうものをステンドグラスにかくんですけれど、地球を踏みつけている自分を、ステンドグラスにした」
[マツコ]「今日すごいところまできたわね」
[風間]「今日はですね、ミッキーが登場しない東京ディズニーシー特集なんですね」
《あの人気キャラクターに隠された秘密》
[風間]「もうひとつ、紹介したいのがこちらです。テーマパークからうまれたキャラクター、ダッフィーです。かわいい人気のダッフィーっていうことをお話したいわけじゃないんですよ。ダッフィーって何がすごいかっていうと、テーマパークからうまれたキャラクターなんですね。だからディズニーアニメーションからやってきたキャラクターじゃないんですよ。この人気になる理由っていうのは、かわいいだけじゃなくてダッフィーを作った人たちの情熱がすごかったんだっていうのが、今回改めてわかりました。よく見ると、少し表情が違ったりするんです。そしてこのダッフィーのとんでもないこだわりはですね、ふわふわ生地から得られる癒し効果」
[マツコ]「ダッフィーは、ミッキーがかわいがってるものなの?」
[風間]「ミニーがミッキーに寂しがらないように旅のお供にって渡した」
[マツコ]「やっぱり強いのは女ね」
[風間]「最後になるんですけども、僕がマツコさんとどうしてもやりたかったことがあるんですね。東京ディズニーシーっていうのは、お酒が飲めるじゃないですか」
[マツコ]「やだちょっと。大人になって...」
[風間]「マツコさんとお酒を飲みたいなと思ったんですが。行きたいお店があるんです」
[マツコ]「あらやだ。そんなしっとりしちゃうの?」
[風間]「テディルーズヴェルトラウンジという、S.S.コロンビア号の中にあるバー」
[マツコ]「ていうことはルーズヴェルト大統領のルーズヴェルトよね?」
[風間]「はい。そこのバーが雰囲気もステキで人気も高くて、ふらっと立ち寄ることができないバーなんです」
[マツコ]「夜、カップルとかで立ち行ったら絶対寄っちゃう感じのバーなのね。そんな所もういられない」
[風間]「今回特別にスタジオに作っていただきました。ふだんテディルーズヴェルトラウンジで働いているキャストのかたが来てくださっています。店内は皮張りの椅子があるんですよ。今日マツコさんにぜひ飲んでいただきたいカクテルがありまして。ヴァイオレットフィズなんですけど」
[マツコ]「きれいな色。こんなオシャレなお酒久しぶりに飲んだわ。これはクイクイいっちゃうわね」
[風間]「飲み終わって外に出ても、最高の夜景が広がってるんですよ」
[マツコ]「もう一杯つくってきてもらってもいい?」
[風間]「もちろんです。いやー、夢が叶いましたよ。お酒飲みたかったんですよマツコさんと」
[マツコ]「それだったら別に今度約束してとかでも」
[風間]「マツコさんがなかなか東京ディズニーシーに行けないってことで、この雰囲気の中で」
[マツコ]「目の前にコイツら(スタッフ)がいたら雰囲気もくそもないよ。ここはどう見てもビッグハット(TBSテレビ)の中よ!」
[風間]「マツコさん今日どうでしたか?」
[マツコ]「あたしびっくりしたわ。特に火山。無意識のうちに人が惹かれて狂信的にファンになっていく心理は、今日初めてわかった気がする。全容を把握している人がいないんだろうね。ここまでいろいろあると」
[風間]「そう思います。だから、よく何回もそんなに行って気付くことあるの?って聞かれるんですけど、何回も行ったからこそ、今まで気付かなかった見過ごしてたものに気付いた時って、けっこうすごい興奮が」
[マツコ]「すごいよあなたは」
[風間]「一生懸命心の底からしゃべっても、若干うさんくさいってよく言われるんですよ」
[マツコ]「うん、それはすごいうさんくさい。違うんだって、そのうさんくささも、ここまでうさんくいんだったらいいんだって。それがいいんだって。それでいいの」
~完~