【読書記録】船に乗れ!Ⅰ | 月並みなログ

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月並みな日々の出来事と創作(一次、二次、夢ごったまぜ)を残していきます。

前回書いた本の福袋、その2冊目が『船に乗れ!Ⅰ 合奏と協奏』(藤谷治 作)でした。

 

チェロ奏者として音楽学校に入学した主人公が、初めてのオーケストラに挑む青春物語。

 

大人になった主人公が、過去を振り返るという体裁で書かれています。

第一章の冒頭で『どんなに自己評価を甘くしても、あの頃の僕が人に好かれるような子供、あるいは少年だったとは思えない』(本文引用)とありました。

なので「これは主人公の失敗の記録なんだな」と勝手に邪推して、共感性羞恥で読めなくなりそうだと思ったのですが、全然そんなことはありませんでした。

確かに彼の言うように、高慢な部分はありますし、そのせいで失敗もしていましたが、読了すると概ね成功していました。ちょっと拍子抜けするほど。

 

特にオーケストラ本番で、弦が切れてしまった他のチェロ奏者の楽器と、自分のものを交換するシーンは、かっこいいと思いました。とっさにそんなことできませんよ。

 

 

タイトルに「Ⅰ」とあるので、続きも読んでみようかと思います。

しかし福袋に連作ものを入れるのはアリなのかしら……? とちょっと思ってみたり。