東南角部屋二階の女(2008年、トランスフォーマー+ユーロスペース)
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監督:池田千尋
出演:西島秀俊、加瀬亮、竹花梓、香川京子、塩見三省、他
野上は会社を辞め、亡き父の借金を祖父の土地を売った金で支払うつもりでいた。
その土地には、居酒屋のおかみである藤子が経営する古アパートが建っていた。
そのアパートに引き寄せられるように、野上を追い突発的に会社を辞めた三崎と
野上の見合い相手・涼子もやってきて・・・
社会に居場所がなく、くすぶっている3人の男女が、
人生をありのままに受け入れて年を重ねた人々に出会うことで変化していく、ヒューマン・ドラマ。
西島秀俊や加瀬亮といった若手実力派俳優と香川京子らベテラン俳優が織り成す、
穏やかな交流が描かれる。
監督と脚本には将来を嘱望される池田千尋と大石三知子。
若者の共感できる題材が繊細(せんさい)に描写され、観終わった後にさわやかな余韻を残す。
(Yahoo!ムービーより引用)
どんなにか、この作品を待ち焦がれていたか…
というわけで、公開初日、初回、舞台挨拶付きの回のチケットを手に入れて、
ワクワクしながら、ユーロスペースへ!
とにかく緩やかな、小雨~本降り~台風~雨上がりみたいな流れの作品だ。
鑑賞後に後味の良い作品というのは、観ていて非常に気持ちが良い。
自分では何一つ悪いことをしていないのに、悪いことが立て続けて起こってしまって、
何もヤル気が無くなって、会社まで辞めてしまった主人公・野上。
野上の部下で一緒に働いていて、野上が辞めると同時に衝動的に辞めてしまった・三崎。
安定しない毎日と三十を目の前に焦り、見合いした女・涼子。
三人の現状に不満があるんだけど、煮え切らない若者を軸に
古ぼけたアパートとその周りに暮らす、年を重ねた人達の日常を
非常に優しく、丁寧に描いた物語。
面倒な事から逃げ出して、誰かのせいにして、先送りにしていた若者たちが、
周りにいる、人生の先輩方のゆるぎなく潔い人生を垣間見て歩き出すという、
すごく地味なんだけど、着実に前に進む様な群像劇を
若干27歳の池田監督が手がけている。
もちろん、大好きな役者さんがダブルで出演しているという贔屓目も多少あるが、
大きい映画館でなく、小さな映画館で大切に上映される作品として、
すごく合っているんじゃないかと思う。
ただ、人の人生って、そんなに劇的に変化なんてしないものだけど、
やっぱり日々は変わっていくし、昨日と今日と明日は違うものだから。
誰にでも起こりうる、考えられる、立ち止まる、そんな作品だと私は思った。
上映後、楽しみにしていた舞台挨拶。
何と言うか、出演者の方々の空気感がすごく似ていて、それはそのまま映画に出ているなと思った。
池田監督、西島さん、加瀬くん、竹花さん、大谷さん、香川京子さん、塩見三省さん!
西島さん&加瀬くんを観に行ったつもりが、すっかり塩見さんのシャイな感じに目が釘付けになってたり^^
西島さんが言っていた
「こういった小さい作品がちゃんと上映できることになって非常に嬉しいです」という言葉に、
邦画界の厳しい現状を垣間見た気がした。
何かに迷っていたり、立ち止まっていたり、そんな人に観てほしい作品。
というわけで、興味のある方は是非!
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