開き直ると世界が変わる〜自分の選択を意識しよう〜 | 使えるビジネス心理学

使えるビジネス心理学

こちらはプロカウンセラーの集団であるカウンセリングサービスが提供するビジネス心理学のブログです。
経営者・管理職・従業員など様々な立場や視点から仕事に使える心理学をご紹介いたします。

大谷常緑 講師:大谷常緑


心理学では「自分の現在の状況や身の回りに生じている出来事の全ては、自分が選択した結果である」という捉え方をします。
私たちは連続的な時間の中で生きています。
従って、生じた状況やできごとに対して、自分がどう感じるか、どう捉えるか、それに基づいてどのように行動するかがが現在の状況に影響を与え、新しい状況を形成していきます(いわゆる、フィードバックです)。
私たちは、置かれた状況や生じたできごとに対して、特に意識することなく反射的に感じ、習慣的に捉え方を決め、その結果行動することがとても多く、これが次の新たな状況やできごとを作り出すのですが、このプロセス(道筋)が“パターン”として固定化されていると、同じような結果を繰り返してしまうことになります。
その結果が、自分にとって望ましい形であれば問題はないのですが、もし望んでいない結果であれば、そのプロセスの中の“何か”を変えないと生じる結果は変わらないものです。
では、その“何か”を変えるにはどのようにしていけばいいのでしょうか。
人が何らかの行動を決定するプロセスを大まかに分けて考えると、
(1)イベント(できごと)が生じる
(2)感覚器官による取り込み(聞く、見る、触る、臭うなど)
(3)感じる(好きだ、嫌だ、怖いなど)
(4)捉え方を決める(どういうことだろう、どうなっているのだろうなど)
(5)行動を決める(感謝する、反撃する、放置するなど)
という流れになります。
“(1)イベント”は自分以外の外部からやってくる事柄なので、先ずは自分から変えることはできません。
“(2)感覚器官による取り込み“は、人により個人差があったり、年齢による変化が生じたりしますが、こちらも自分の現在の感覚器官の特性という意味では余り変えることができません(例えば、視力はメガネやコンタクトレンズで変えられますが)。
“(3)感じる”は、“(4)捉え方を決める”とも密接に関連する部分もありますが、経験や理解により変わってくることもあります。例えば高所恐怖症を克服する訓練を受けると、高所でも怖いという感情は生じなくなります。
また、無意識の中に抑圧された広義のコンプレックス(劣等感によるコンプレックスのみではなく、触れられると大きく心が動揺するもの。ファザーコンプレックス、マザーコンプレックス、エディプス・エレクトラコンプレックス、カインコンプレックスなどがあります)も影響を与えますが、それが影響していることを認識し、自分の問題とそうでない問題を切り分け、理解を深めることで影響が緩和していくことができますが、コンプレックスは深層心理に潜む問題ですので、少しハードルが高いかもしれません。

比較的容易に、主体的に変えることができるのは、“(4)捉え方を決める”と“(5)行動を決める”部分です。
先ず“(4)捉え方を決める”というプロセスですが、ここには自分の過去の記憶や経験、観念(こうでなければならない、こうあるべきという考え方)、自責の念(自分は不十分だ、自分は人とは違っておかしい、自分は悪い人間だなど)などが影響します。
このプロセスでは、多くの場合“自身の防衛”から発想が固定化されている場合が多く、“守らなければならない”=“自信の無さ”が影響を及ぼしています。
例えば“遅刻をしてはいけない”という観念を例にすると、そのような意識が無ければ遅刻をしてしまうという自信の無さが反映されていることになります。
人は、問題になるところには意識を向けますが、問題にならないところには意識を向けないものです。ピーマンが嫌いな人はピーマンに意識を向けますが、ピーマンが平気な人はピーマンに意識を向けないのと同じです。
この“(4)捉え方を決める”部分を意識してみると、自分で変えることができます。
“どう捉えるか”を選択することができるようになります。
多くの場合、自信の無さとそれに伴う“遠慮”が相互に影響しているので、ここでは「それが何か」というような感じで開き直りにチャレンジしてみることです。
先の遅刻の例でいえば“遅刻をしてはいけない”という観念を横に置いて、“遅刻することもあるよね。だって人間なんだもん”ぐらいの軽い捉え方に変えてみても、案外遅刻はしないものです。なぜならば、そもそも遅刻はしたくないからです。
もしそれで遅刻が多くなる様であれば、それは例えば遅刻により感じる“罪悪感”を感じたいなど遅刻とは別のところに問題を生じる原因があるということです。そのような場合には、遅刻以外にも“自分は悪い人間だ”というような罪悪感を感じるようなことを繰り返して行っている可能性があります。
“(5) 行動を決める”というプロセスですが、捉え方を変えると自然に変化をします。
今まで先の“遅刻をしてはいけない”という捉え方をしていた場合、約束の時間に遅れてくる人がいるとついつい気分が悪くなり、つっけんどんになったり、チクリと一言刺したりしていたものが、“遅刻することもあるよね。だって人間なんだもん”に変化すると、相手に対する縛りも弱くなってそのようなことが無くなります。
そうすると相手からの受けもよくなって、あなた自身の評価も自然と高まり、あなたが心地悪くなるような状況も減っていきます。ポジティブなフィードバックに変わっていくのですね。
また、“(5)行動を決める”プロセス単独でも変化を起こすことはできます。
例えば、“1日1回感謝をしてみよう”というようなことでも、“快く思っていなかった人のいい部分を見つけるようにしよう”でも構いませんし、“ちょっとオシャレしてみよう”などでも構いません。あなたの気持ちが変わるだけでなく、それがまた自分の外側の人や状況に影響を与えて、ポジティブなフィードバックへと変わっていくかもしれません。

今まで固定化されていた状況に何らかの変化があると、全体的に流れが変わっていきます。
自分にとって望ましい方向に変化した流れを受け取っていかれると、大きく人生が変化していきます。
“選択の力”は、私たちが持っている、とても大きな力なのです。