3日目:5月15日(水)
昨日、小川珈琲を訪れたところで京都三大コーヒーを制覇した。
今朝は気になっていたカフェに行くことにする。烏丸交差点と定宿にしているマイステイズの間にホリーズカフェ(四条室町店)という店がある。その前を始終往復するので、中をうかがうとかなり広い。値段が安い。なんと6時30分から開いている。
調べると関西を中心にしたコーヒーチェーン店で、名古屋発祥のコメダ珈琲と似ているかもしれない。
開始時刻に合わせて行くことにした。すでに5、6名並んでいた。
一番安いモーニングセット(トースト&ゆで卵&指定ドリンク〈コーヒー・紅茶〉)430円である。
私はが注文したつぶあんトーストセットでも480円。
妻はみかんジュースのセットを頼んだが、500円台だったと思う。
この値段にしては味は悪くない。
京都の観光地巡りは朝が勝負である。10時過ぎると、団体旅行客が大勢やってくるので早ければ早い方がいい。昨今のオーバーツーリズムを緩和しようと、寺社仏閣の拝観時間を7時にしているところもある。
ここで軽い朝食をとって、目当て観光場所に行けばゆっくりと鑑賞できる。1日目に三十三間堂がそうだった。
これからこのカフェを最大限利用しよう。
今日の目当ては葵祭見物である。
葵祭とは下賀茂・上賀茂神社の例祭のことで、平安時代から続いている。
調べると行列は10時半京都御所を出発する。ただ、早く行かないと前列で見られない。8時頃チェックアウトした。
地下鉄烏丸線で四条駅から今出川駅まで行く。そこのコインロッカーに大きな荷物をしまう。
駅の前が京都御苑である。中に入り、御所(塀の中)のそばの砂利道を進む。
建礼門の前に場所をとる。ここは無料で見物できる。
建礼門から堺町御門までの路(参道に似ている)左右には有料観覧席が連なっている。10000円から3500円の価格帯だそうだ。発売されるとすぐ売り切れになるという。
私たちの自由席は、2時間前に来たので混んでない。妻は最前列、私はその後ろに場所を確保できた。
(青い服は妻)
30分もたつと席は埋まってしまった。
私たちより先に陣取っていたのは妻の左隣のご婦人とそのまた隣のご老人男性である。ご婦人は宮崎市の方で妻と同じく60代後半くらいか。葵祭は私たちと同じく初めてだという。ご老人男性は私より少し上の70代中ばと見受けられ、兵庫県西脇市から来たという。彼は今回で5回目だという。ビデオカメラを立てていた。
私たちもフランクに話す。出身地やこれまで見学した場所やこれからの予定を述べる。彼らも応じ、話が弾んだ。そのうち私の横に50代くらいのご婦人が座った。地元京都の方である。この方もフレンドリーなので、話に参加し、各自のご当地談義で盛り上がった。おかげで行列開始までの2時間があっという間に過ぎた。旅は道連れ、世は情け。他人と話し、他人に親切にすれば、旅はさらに充実する。
10時半ちょうどに祭は始まった。
御苑内の主催団体からもらったちらしを見る。
それによれば、総勢500名を超す大行列である。すべての人が平安朝の衣装をまとい、馬36頭、牛4頭、牛車2基で巡行する。
すべての写真や動画を載せられないので、代表的なものを紹介する。牛の赤綱を引いている朱の狩衣姿の子を牛童(うしわらわ)という。双子の男の子だそうである。長い髪はかつらなのか。彼らがなんとも言えないくらい可愛い。
今日は夏日のような昨日に比し曇り空。気温もやや低い。雨が降らなければ今日のような天気の方が行列の人にはやりやすい。
斎王代の登場である。童女(わらわめ)に扮した子どもたちがこれまた可愛い。
間近に見ることが出来、私も妻も満足した。
行列は下賀茂神社に進み、そこで休憩した後、ゴールの上賀茂神社を目指す。
約1時間で終わった。私たちは下賀茂神社に行って、そこで行列を待ち受けることにした。有料観覧席の背後を歩いて烏丸通に出る。
丸太町駅ー(烏丸線)ー烏丸御池駅・・乗り換え・・烏丸御池駅ー(東西線)ー三条京阪駅・・乗り換え・・三条駅ー(京阪電車)ー出町柳駅
凵の字の形に進むことになる。2回乗り変え、ややこしいが、仕方がない。
出町柳駅に出ると、下賀茂神社方面の道は人の波。たどり着くのには高野川に架かる御蔭橋を渡らなければならないが、その先に警官が大勢立っていて通行止めをしている。すなわち参道から入れないようにしている。参道には観覧席が設けてあるので、入られるとカオスになるからだと思われる。
したがって皆橋を戻って来る。彼らは高野川沿いの歩道を北上し、蓼倉橋を渡って神社の裏門から入ろうとしている。その数がとても多い。列をなしている。大半が外国人観光客である。キャリアケースを引いている中国人旅行客も目立つ。ご苦労なことだ。
私たちも群集心理に襲われ、彼らの後を追う。
ところが、糾すの森沿いに塀が連なる道をどこまで行っても裏手の門が見当たらない。結局神社の敷地を半周するように歩き、下鴨本通に面する入口に達したが、やはりガードマンや係員が立ち、入れないようにしている。彼らに聞くと、行列が入退場するまで一般客はもう入れないとのことである。
ああ、疲れた。20分くらい早歩きをしたためだろうか。下賀茂神社は明日参拝することにした。
上賀茂神社に行くことにする。いいことを思いついた。入場できるかどうか確認の電話をした方がいい。上賀茂神社の答えは、2時30分までなら入れるという。行列が到着する予定時間は3時30分である。現在正午。入れる。時間はたっぷりある。
疲れたので下鴨本通でバスに乗る。幸いそれほど混んでない。
15分くらいで上賀茂神社に着く。
一の鳥居の近くで関連行事を行っている。
二の鳥居を抜けて、参道へ。
境内に入ると、細殿の前に立砂が置かれてある。風格がある社だ。
葵祭にちなんで葵桂も売られている。
参拝するのには楼門を潜り、次の境内に行かなければならない。
拝殿は中門というらしい。変わった名前だ。本殿がこの先にあるため、この名がつけられたのか。一般客は本殿には行けない。
幅がないのでお参りするのが一苦労である。
疲れてのどが渇いた。この辺にスタバはない。フラペチーノは飲めない。仕方がないので、バス停まで戻った時、自販機でコーラを買った。
次の目的地は仁和寺である。
まず烏丸線の今出川駅に戻り、コインロッカーから荷物を取り出す必要がある。そこまでのルート。
上賀茂神社前ー(市バス)ー北山駅前・・乗り換え・・北山駅ー(東西線)ー今出川駅
荷物を取り出してから、仁和寺までのルート。
烏丸今出川ー(市バス)ー北野白梅町・・乗り換え・・北野白梅町駅ー(京福電鉄)ー御室駅
Suicaをひんぱんに使っているので、残額の減り方が激しい。京都駅でチャージしておけばよかったと悔やむ。
京福電鉄は嵐電の会社である。この路線は北野線という。関東で言えば江ノ電と同じか。路面電車に似て可愛い。
10分ほどで仁和寺がある御室駅に着いた。
葵祭で知り合った兵庫のご老人が話してくれたのだが、京都にある電機メーカー「オムロン」は「御室」からネーミングしたという。
駅から仁和寺まで歩いて1分くらい。直進すると、仁王門が見えた。
南禅寺の三門、知恩院の三門と並んで京都三大門と呼ばれている。
仁王門で撮影。奥に朱色の中門がちらっと見える。その奥に境内があるのだからかなり広大だ。
伽藍の右奥にある御室会館で受付をする。
その後、左手にあった御殿と呼ばれる御所庭園を見学する。入場料800円だが、宿泊者は無料。
パンフレットがもらえた。江戸時代に建てられ、明治・大正に別の地から建物を移築したり、庭園を改修したりしたそうだ。
昨年、竜王戦がここで行われた。藤井八段の人気はすごいらしい。
御殿の回廊を巡り、部屋を見学する。二条城を思い出させる。
下は黒書院と呼ばれる部屋。
庭園も眺められる。
ただし、平安神宮の神苑の印象が強いので、今一つ印象に残らない。天気のせいもある。
終わった後、中門を目指す。これより先が本当の境内である。
中門の前から振り返る。仁王門が見える。ここまでの境内も広い。
中門を潜ると、左手に有名な御室桜の一画が目に入る。桜の季節はさぞかし壮観だろう。葉桜となった現在、小道を歩けない。
右手には五重塔がある。仁王門と並んで重要文化財。
金堂に参拝する。ただし入口は閉ざされ、内部が見られない。賽銭箱も置かれてない。どうしてなのだろう。せっかく世界中から観光客が来るのだから開放してもよかろう。ただし、私たちのような宿泊者は勤行に参加するので明日早朝内部を拝見出来る。運がよいというのか。
続いて御影堂に行く。仁和寺は真言宗なので(真言宗御室派総本山)、弘法大師を祀る御影堂がある。
私たちは四国遍路をしたが、八十八箇所の雲辺寺や屋島寺が御室派である。
御室会館へ行く。疲れた。風呂に入って休みたい。
宿坊は昭和に建てられたのだろう。共同トイレ。テレビもない。4時30分から風呂に入れるという。男性は小浴場である。ということは男性客の方が少ないのだろう。
6時30分、夕食。食堂に集まった宿泊客は少ない。私たち夫婦、外国人カップル、60代と思しき男性客が1人、やはり60代と思われる女性客3人組、70代の女性と40代女性の一組、三十代くらいの女性二人組。これだけである。
料理は豪華だった。味もいい。昔は精進料理を出してたのだろう。最近の宿坊は精進料理から普通料理に切り替える所が多い。精進料理は手間が掛かる。普通の料理人ではできない。この世界も人手不足なのだ。
これで15600円。料理がいいのでリーズナブルな価格か。
食事後、写真の整理をしたり、数独をしたり、パンフレットの類を見たりして就寝。
ーーー 続 くーーー
次回は、勤行体験、龍安寺、金閣寺、下賀茂神社など最終日の思い出を語ります。