晩秋の秋に山へ行ったら。 | 奇言雑言

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TUGUの脳内再生中のあれやこれや。

前回の記事 

https://ameblo.jp/tugu-wat/entry-12629824082.html

 

 

この記事で、日没までの時間の計り方を紹介しました。

 

日没までの時間は

山で遊ぶときに必要な情報なので

知っておくと何かと便利だと、そういう話をしたのですが。

 

今から、30年ほど前の話になります。

10代のころ。

唐突に「山に行きたい」と思いまして、思ったその日に

バタバタ準備して、ザックに必要なもの

飲み物、食べ物、タオル。などを詰め、それを背負い。

電車に飛び乗り、昼近くになって奥多摩にある「鳩ノ巣」駅に到着。

 

シーズン的には完全にオフであり。

紅葉が終わり、登山道は落ち葉で埋め尽くされて

人も、自分以外にいませんでした。

 

目指した山は「本仁田」で1200mほどの山です。

鳩ノ巣からすぐ傍の登山口から山に入り。

団栗拾いながら、シカの鳴き声を聞きながら。

途中でおにぎりを食べ食べ。

一人、誰もいない山の中をざくざくと落ち葉を踏みしめ歩いていくと。

 

落ち葉で埋もれたルートを見誤って、「おや、道がなくなった。」

「あれ、ここはルートじゃない。」というのを繰り返したことにより。

予定時間を1時間近くオーバーしての登頂。

 

時刻は、15時を回っていました。

 

1200mの山頂に一人、この時間です。

「やばいかも。」と思いましたが、もう、進むしかないです。

本仁田山頂から、奥多摩駅までの下山予定ルートをこのまま行くか。

今来た道をそのまま戻るか2択でした。

 

奥多摩駅へ行く方を選択して

山頂から前回の記事の方法で日没時間を計ります。

およそ、1時間ほどで太陽が山の陰に隠れて暗くなることが判り

その時間なら、山を抜けられる。と思ったからですが。

 

実際には、その半分ほどの時間しか

ありませんでした。

そう、、、、下山すれば山の陰にどんどん入っていくので

太陽は実際にはまだ十分高さがあっても

自分がいるところは、陽が届かず。

真っ暗なのです。

 

あっという間に、真っ暗になり。

その上気温もぐんぐん低下。

 

もう、戻れません、行くしかないです。

真っ暗で、そのうえ、この山頂から奥多摩駅へ降りるルートは

<奥多摩三大急登>といわれるルートのひとつで。

ものすごい急勾配で、そこを下るとなると。

真っ暗な中ではほとんど足元が確認できず。

手探り状態。

懐中電灯を持ってきていなくてどうしようかと思ったんですが。

ライターを持っていたのでそれで凌ぎました。

片手にライターを掲げ。

急勾配をずるずると進みます。

 

せめて、完全な日没までにこの杉林を抜けねば、、、、。

 

完全な日没後の山は、何があるかわかりません。

 

季節的に、熊も出ます。

 

気温はどんどん下がっていくのに、体からは緊張から滝のような汗。

それが体を冷やします。

 

風を通さない上着を持っていたのが幸いでした、これが無かったら

たぶん動けなくなっていたと思います。

 

無理な姿勢で足に負担がかかり、疲労がピークを超えて

麻痺してきました。

もう、踏ん張りが利きません。

何度も転んで、何度も滑り落ちて。

 

「ひー!」「でも、こんなところで止まらんぞ、家に帰るぜ!」

 

明日は、学校へ行くんだぜ!

絶対に降りきってやる。

 

ひーひーぜーぜー。

 

やっと、杉エリアが終わりました、、、、。

ぽかんと、頭上が抜けて、広々としたところに出ましたが

その先には再び、杉が、、、。

 

道は先ほどよりも歩きやすく、暗闇に目が慣れて

ライター無しでも行けるように。

完全に日が落ちているのに、見えるのです。

人間の適応量はすごいです。

 

杉の林を下って行くと

山葵田のある沢沿いに出ました。

 

人の気配が、ある場所へ出たのでもう安心です。

 

山葵が生えるきれいな流れと併走して下へ、下へ。

 

舗装道路にでました。

 

人が住む家からの明かりがポツポツみえます。

 

早足で、舗装道路をくだり。

奥多摩駅の光が

暗闇の中煌々とまばゆかったな、、、、。

 

駅から公衆電話で自宅に連絡を入れたのは

夜、7時でした。(怒られました。当然ですよね。)

 

山頂から4時間、、、、。

よく降りてこられたなと思いますが、たぶん、あの山が呼んだのでしょうな。

最後まで不思議と「もう駄目だ。」とか思わなかった。

「いける!絶対に大丈夫。」「道がわからない、、、、あ!あっちだ。」

何度も転がってるのに、無傷。

足は疲労でガクガクだけど、しっかり歩けて、その上、翌日は何事も無かったように

学校へ行きましたw

 

友人に「昨日拾った!」と団栗を渡して奥多摩行った。

って言って驚かれた。

 

しかし、、、。

今思い出しても、アレは、、、、。

無謀な山行でしたね、アレ以後、二度と無計画に山へ行くことはしてません。

突如として山へ行きたくなることはあっても

「まてまて、駄目だ今から行くんじゃない。」と自制できるようになりました。

本当は行きたいんだけどね。

ライト持って、夜の山歩き、、、、。

 

山の夜。

山の闇。

 

人工物がない一人だけの山。

 

心身と冷える山の空気。

寂しさ。

 

孤独。

 

そして、人里のありがたみ。

 

奥多摩からの帰りの電車は

だんだんと新宿に近づくにつれて

「ああ、帰ってきたなぁ」って実感できてなんか感動だった。

 

今だったら、新宿まで行かないで国分寺や国立で降りて

むさしの号で一気に帰ることをするだろうけど、当時は

新宿経由しか知らなかったんだよね。

 

奥多摩もずいぶん近くなったもんです。

 

季節で変わる山での過ごし方。

日没は、本当に気をつけましょう。

余裕がある予定であっても、懐中電灯は予備の電池と共に

必ず持っていきましょうねー。

 

ではでは。

(^^)ノシ