旦那さんが亡くなった直後からこの1年



沢山、人の悪い本性を見たり、感じたりして人間不信になっていた



ご近所の若いお母さん達から嫌われてしまったりもした



人間が嫌いになっていた





だが、ここ最近ご近所の4人の方と交流するようになり気持ちが変わってきた




1人は、99歳のおじいちゃん



60代で奥さんを亡くされたそうだ



お元気だが少し認知症のようだ



毎回何度も同じことを言ったり、話が噛み合わなかったりする



毎回私に言うことがある



『あんた、120歳まで生きればいいよ』と



私は毎回言う



『絶対嫌だよ。今日の夜寝て、そのまま天国に行きたいよ』



おじいちゃんは毎回言う



『あんた120歳まで生きればいいよ。俺、200まで生きるから看取ってやるよ』と



以前、旦那さんが亡くなった話をしたことがあるが覚えてはないだろう



冗談だと分かっている



それでも毎回嬉しくなり、泣きそうになる





2人目は、ご近所のおばあちゃん



おばあちゃんも認知症のようだ



おばあちゃんが毎回、何度も言うことがある



『あなたのお花達、いつも笑ってるね。あなたが好きなのよ』と



私は毎回言う



『お花達は、変なおばさんだなって笑ってるんだよ』と



おばあちゃんは毎回言う



『お花達はあなたのことが好きみたい。笑ってるもん』と



お花達は私のことを好きでも嫌いでもないと思う



それでもおばあちゃんの優しい心に触れて



私の心が愛情で満たされ嬉しくなる






3人目は、同年代の花好きの男性



初めて声をかけられた時


『いつも花、楽しみにさせてもらってます。

雨の日はしまってるんですね。うちは、雨ざらしですわ。大葉も勝手に生えてきてジャングルですわ。』と



4人目は、同年代の花好きの女性


初めて声をかけられた時


子供のように可愛く『わぁ~、わぁ~素敵』と喜んで下さった



『うちは庭に地植えだから、ペチュニアを沢山並べられないから』とおっしゃった



『私は、庭に花を植えたことがないから憧れます』というと



『見に来る』と誘って下さった




花園のように素敵なお庭だった



玄関にはバラのアーチが作ってあり



紫陽花が咲き



色とりどりの花やハーブやカラーリーフ等が植えられていた



花談義をしていると家の中から男性が現れた



3人目の男性だった



ご夫婦だったのだ



お昼に誘われご馳走になった





旦那さんのことを聞かれ、亡くなったと答えた



ご主人は『残念やったね。辛かったね』とおっしゃってくれた


奥さんは黙って背中と腕を撫でて下さった



それからも時々、声をかけて下さったり


お家に誘われたりして仲良くしていただいている




知人のご夫婦に会うと必ず、可哀想にというと表情や可哀想ねと言われたりする



その上で、仲の良い姿を目の当たりにすると



淋しくなり、悲しくなり、羨ましくなり、やりきれなくなる


1人になると沈み、泣いてしまう






花好きのご夫婦は違った



旦那さんの話をした時は、可哀想にという表情をされたが、その後は1度もなかった



可哀想にと思っているのかもしれないが、私にはそういう姿は見せないし、感じさせない



お2人の仲睦まじい姿をみて、羨ましくなったり、切ない気持ちにはなるが沈んだりはしない



居心地がいい



お2人からの優しい愛情を感じて、満たされ救われる




これからも他所のご夫婦をみて寂しくなったり、恋しくなったり、沈んだり、泣いたりすることも多々あるのだろうけれど



人の悪い本性を見てしまう、感じてしまうこともあるのだろうけれど



数は少ないのかもしれないが、一時の出会いかもしれないが



愛情を持って私に接してくれる人もこの世にはいるのだということを思い出しながら



また人と関わって生きていこうと思い始めた








矮性キキョウ