動作習得の際には 次の2段階を経ることが重要です。
1.記憶段階
動作のポイントを言語化して、その言語とそこで言われている動作の両方を記憶する。
2.獲得段階
記憶をより鮮明にするために言語的なポイントをチェックしながら、動作を習得する
→その際、動作をいくつかに分解したり、スピードを遅くしてできるだけ正確に身体に染み込ませる(動作習得の第一段階)
3.反復段階
染み込ませたらその正確性を損なわないように徐々にスピードを上げたり、部分を繋いだりしながら反復する。
この時もただ回数をこなしていると動作の正確性が失われるので、動作のポイントのチェックを繰り返す
4.完全化段階
何も考えずに正確に動ける段階。
ここまで来たら次は条件を変えながら、神経系がやるべき仕事を増やしていく(習得の第二段階)
こうする事で動作は 前頭前野→大脳運動野→筋肉のルートから小脳→大脳運動野→筋肉のルートに変わります。
そうする事で高次の機能を司る前頭前野はさらに複雑な仕事をするようになるのです。
例えば僕の専門の格闘技でパンチの習得を例に出します。
初心者はパンチを出すのも形になりません。
だからまずパンチの構えを学びます。
→ナックルの起動や腕の動きをゆっくり力まずに覚えるでしょう。
→腕の動きが形になって初めて、今度は足の力を骨盤に伝える動きを習得。
→その二つを合わせてある程度のパンチの動きになったら、シャドー からミットやサンドバッグなどでの条件の変化
→それで得た経験をさらに活かしてシャドー
→軽い目慣らしで対人に慣れて、段々動く人にも同じように打てるようになり
→今度は戦略的に相手の隙をついたり、フットワークの技術を足したり。
もちろん順番はこの通りではありませんが、このように細分化して初めて動作が身に付いたという状態になります。
これは楽器演奏でも一般のスポーツでも格闘競技でも同じです。
ただ厄介なのは格闘競技の場合、闘うというストレスがかかるので、感情が練習とは違うことです。
それによって脳の特に海馬と前頭前野の働きが極端に少なくなり、「頭が真っ白になった」となります。
こう言った様々な現象も脳科学と運動の関係で説明が付きます。
その仕組みを多くのアスリートにも知っていただけたらと日々トレーニング指導やトレーナーの育成をしています。