寒くとなると食べたくなる、イギリスの家庭料理。


 パイというと、日本ではバターの入った薄い層になった生地のことですが、本来は「生地の種

類」ではなく「パイ皿で焼いたお料理やお菓子」のことなのです。


 ちょうど日本で、具材がなんであれ「鍋」に入れて煮てみんなで食べると「お鍋」「鍋物」と

呼ばれるように、使う道具から来た名称なんです。


 日本では明治にはすでに、パイ=バターを入れて折りたたんだ生地の意味で使われていました

から、日本に入ってすぐに「パイとは、バター入りの層になった生地」となったようです。


 だからコテージ・パイやフィッシャーマンズ・パイのように、マッシュポテトを敷いたり被せ

たりしたお料理も、れっきとした「パイ」なのです。


 もっとも、今では四角や変形やいろんな型で焼いていますが、昔ながらに「パイ」と呼ばれて

います。





 このコテージ・パイ、もともとサンデーディナーで食べたローストビーフの残りを、翌日挽

肉器で挽いてリフォームしたのが始まりだと言われています。


 日本で、ちょっとはりこんですき焼きをして、残ったものを翌日温めて卵でとじて丼にする

感じと言うと、少しイメージできますか?


 どこの国でも、残り物をきちんと上手に利用して別のおいしいものを作る主婦の知恵が、受

け継がれているようです。


 今は、最初から挽肉を使うことが多いですが、中には昔ながらにローストビーフやロースト

ポーク、時にはラムのローストを挽いて使う家もあるようです。


 イギリスではスーパーでもパブでも売られている、お馴染みのものですが、安い材料でおい

しく作れるので、私も寒くなるとよく作ります。


 中の挽肉は、合い挽きを使いましたが、豚でも牛でも鶏でもお好きなもので。


 ヴィーガンであれば、8月27日の記事の「豆腐そぼろ」を入れてください。その時は、隠し

味にお醤油かケチャップを少々入れると、味がしまります。


 日本で出ているイギリス料理の本を見ると、挽肉の具にケチャップやトマトピューレを入

れているのがほとんどですが、私が教会のバザーやマーケットのティーコーナー、パブ、近

所のお裾分けで食べたコテージ・パイは、すべて塩・コショウでした。


 とてもポピュラーなお料理ですから、その家やお店によって味付けが微妙に違うのだと思

います。


 ここでは食べ慣れた塩・コショウ味で作っていますが、お好みでケチャップかトマトピュ

ーレ少々を入れてください。


 

 ちなみに写真を撮ったのですが、変に光が入って失敗しましたので、ご想像くださ

い(^_^;




コテージ・パイ(シェパード・パイ) 16cmパイ皿



材料


じゃがいも   23

塩       少々

こしょう    少々

豆乳      適量



合い挽き肉    50g

タマネギ     半分

ニンジン     半分

塩        少々

こしょう     少々


植物油



作り方


ニンジンとタマネギはみじん切りにしておく。フライパンを温めて油を入れ、野菜のみじん切りと合い挽き肉を入れて、しっかり炒める。塩こしょうで味をつける。



じゃがいもは皮をむいてやわらかくゆで、湯を切ってつぶすかフードプロセッサーにかける。固まりを少し残すか、完全になめらかにするかはお好みで。

鍋に戻し、豆乳を入れてゆるめ、塩こしょうで味をつけて火にかけて木べらで練り、マッシュポテトにする。



パイ皿に薄く油を塗り、マッシュポテトの半分を敷き詰め、縁を少し高くする。

その中に1の挽肉と野菜を炒めたものを入れて、残りのマッシュポテトでおおい、縁を閉じて表面をならす。

フォークで模様をつけてもよい。


220度で予熱したオーブンかオーブントースターで、20分ほど、表面に薄く焼き色がつくまで焼く。






 日本のおふくろの味、肉じゃがもいいですが、時にはイギリスのおふくろの味もいいものです

よ(*´∀`*)