実存は、本質に先立つ



ある朝、目を覚ますと私は私ではなくなっていた。

私は私の形をした体の中にいてはいたが、

私の形をした私の体は私ではなかった。

私は私の形をした体にいることは、

確実ではあったし、私はその体に存在していた。

私の頭の中は天使の羽音とも、虫の羽音とも、

判別できない何かが、飛び回っている。

しかし、やがてそれが最初の思考通り、

天使の羽音と、虫たちの羽音であると認識するのに

時間は掛からない。

その音を聞いていると、

なにか漠然とした力に脅かされる疎外感ではないのか。

痛感させられる。

それを例えるならば、宗教的な神や仏の前に

ただ一人佇む単独者と同じであり、量的価値では図れない

ものではないのか。

私は私で、それを罵倒す。



よく耳を傾けてみると、天使たちは囁きあっている。

しかし、その会話の中身までは聞こえない。

虫たちはそこには存在しているが、それは私の一部

ではあるが、ただ羽音だけが、

私の中に存在しているかのようだった。

私は天使の羽音は、一般的な関心であると思い、

それはまた実存であると思った。

虫たちの羽音は、反権威的な思想なのだと思い、

それはまた本質であると思った。

一般的な関心は既に失っていて、

反権威的な思想もすでに無い。

これが私の現状の段階であり、私の実存と本質では

ないのかと思われる。

ただ、たった今思考する私の思考は、純粋なものであり、

天使と虫が頭を飛び回っている以上、

これによってまだ実存も本質も、私には残っていることが

辛うじて理解できる。



本質は、実存に先立つのか。



これは難しい。

潜在的な本質は、果たして私を形作る実存より、

先に作り出されていないのではないのか。



やがて、天使の一人が約束を逸脱し、私へ

話しかけて来た。

その天使は、黄色の天使だ。

「虫たちの言う事を、聞いてはいけない」

黄色の天使が私に、そっと囁いた。

それは本質だから?

私は黄色の天使に聞き返すが、黄色の天使は紋切型の

羽音を立てて、何事も無かったように、他の天使と

なにごとか囁き始めた。



私の体は立ち上がる。

私の体は目を覚まし、立ち上がろうとしている。

私は、この空虚な二元論に嫌気が差したと、

呟いてみた。

私の体は、その呟きに気付かない。

上の写真は

僕の部屋に掛けてある時計。

コンビニの店内

に掛けてある

あの時計です。



まだ、働いていたころ

僕はあるお店の

閉店作業に

担当SVとして

従事していました。



レジが運ばれ

ゴンドラが片付けられ

総合警備が防犯カメラを

取り外す。

そして

僕は自分が手配した業者が

皆来ているか

確認をしている時



ふと、あの時計が

目に入りました。

あの時計は



このままでは捨てられてしまう

お前も頑張った

お客様の為に

よく働いてくれた



と思い、

脚立に乗って

彼を壁から

外しました。



そして

我が家で

時を知らせるのだ



と使ってきました。



例えるならば

パトラッシュとネロ

の関係です。



今日、日本に帰ってきて

自分の部屋に入ると

あの時計が一番最初に

目に入ってきました。

6畳の僕の部屋には

やや大きすぎる時計。



お前、久しぶりだな。



と彼に問いかけながら

時間を見ました。



ぜんぜん違う時間でした。



バカヤロウ

止まっているんじゃ

ねえか

恩知らずが。



なんと薄情なやつでしょう。

ご恩を忘れたのか。



まぁ、いいさ

我が手下は

お前だけではないさ



僕はテレビの電源を入れました。

写りませんでした。

コードが抜かれていました。



コイツもか



調子に乗るなよ



テレビはお前だけではないのだぞ



そうです。

僕のパソコンは

テレビも見れるのです。



パソコンの電源を

入れました。

立ち上がりませんでした。

コードが抜けてました。



もう

だめだ

あれほど忠実な

奴らだったのに

みんな

俺を待ってなかったのか



寂しさに包まれました。



やがて

トイレに行きたくなり、

トイレに行きました。

便座に座ると



ちょっどよいわ

このぬくさが

たまりませんな



なんと、彼は

木下藤吉郎が

信長のわらじを

暖めていたように

我が主人を

便座を暖めて

待っていました。

そして

便座から

立ち上がると

勝手に水が

流れました。



なんて

おりこうさん

なんでしょう



お前だけだね



俺を待っていたのは

お前だけだったのか

便座くん



ありがとう



便座くんに

最大の感謝をしました。



これで

日本に帰ってきた

甲斐があった



でも

テレビやパソコンに

話しかける

我が息子を見て

両親は

悲しげでした。















なにもすることがありません。

ほんとだったらもう日本

だったから。



どこにも行きたくありません。

もうタイも終わりだと思って

行きたいとこは

すべて行ったから。



ひまです。



バンコクは何でもあります。

日本の本も簡単にかえます。

たべものもおいしいです。

でも

アフリカほど刺激はないです。



アフリカでは

ヒッチあり

野宿あり

ギュウギュウ詰のバスありと

今思えばたのしかった。

南アが嫌いなのと

病気をしたんで

アフリカには行きたくない

と思ったけど

チャンスがあれば

また行きたいです。

あそこには

ワクワクドキドキ

があります。

でも

ケープタウンの町を歩いていると

二十歳くらいの男が

近づいてきて

アイ ハブ ナイフ

ギブ ミー マネー

って

いってきました。

弱そうなやつだったので

無視しました。

こういう

ワクワクドキドキは

いりません。



東南アジアにきて

気づいたことがあります。



アフリカのマラウイは

東南アジアではラオスだ。

マラウイとラオスは

にている。



ラオスには母なるメコン川が

南北に流れています。

マラウイは国土の半分ぐらいが

マラウイ湖です。

どちらの国も

ながほそい形しています。



ラオスの首都ビエンチャンは

すっごいしょぼいです。

マラウイの首都リロングウェも

すっごくしょぼいです。

どちらも

あのしょぼさ加減が

すきです。



ラオ人はタイ人、ベトナム人と

比べるとたいへん穏やかです

マラウイ人も周辺のアフリカの国の

人と比べると穏やかな人たちです。



どちらの国も

まわりの国よりまずしいです。



どちらの国も

とくにこれといった

見どころがありません。

それがいいです。



ラオスのシーパンドン

っていうところは

たいへんシャンティですが

電気水道がありません。

マラウイもしょっちゅう

停電します。

電気がつく時間より

2倍停電の時間のほうが

ながいです。

電気がないと

星がよくみえます。

そういえば

南十字星は

どれかわかりませんでした。



ようするに

まったりできる国

です。

ふたつは。



じぶんは

ラオスだいすきっ子です。

そしてマラウイも

だいすきっ子です。



また行きたいものです。







こんな長くタイにいるんだったら

ラオスに行けばよかったよ