最低自給引き上げ と 経営者として考えるべきこと

 全国労働組合総連合(全労連)が5月末、「生活に必要な経費をまかなえる最低賃金は「全国一律で時給1500円が必要」と訴えたそうです。
 その中で、ある経営者が、「最低賃金が上がれば自分の給与があがる。と勘違いしてるかたがたくさんいるようですから」として、最低賃金が上がった場合の、労働者にデメリットが多い雇用情勢について意見をのべたそうです。
 なんでも、最低賃金が上がると「生産性の高い人材の給与は下がる」と主張したそうです。
 現在の最低賃金は全国平均で時給902円。政府は時給1000円を早期に達成するという目標を示しているそうですが、最低賃金上昇時の企業行動を「時給1500円以下の仕事しかできない人は雇わなくなる。最低賃金以下の生産性の人を雇ったら赤字ですから当然ですね」と話し自らの予測をはなされています。
 つまり、「仕事ができる人の給料は減らされ、能力がなくても得をする人が一定数出てくるが、失業者は増える」という予測ってことになります。
 その結果、社会保障費の増加や「低スキル人材、新卒、未経験者、中卒、高卒等が失業する」のだといってます。
 ま、経営者の視点としては、未熟な視点だと思います。
 この経営者の投稿に欠落しているのは、労働者の生産性は労働者の能力だと思い込みがあること。
 経営者は将来の経営について環境をつくらなければいけないので、「低スキル人材、新卒、未経験者、中卒、高卒等」を育てていくという視点を欠落視点で未熟です。
 シンプルに 労働者の生産性を上げる環境づくりが経営者の仕事。
 美味しい材料をつかって、美味しいのは当たり前です。
 普通の材料をつかって、美味しい料理を作るのは、料理の腕がいいってことになります。
 普通の人材を雇用して、生産性を高められれば、有能な経営者ってことになります。
 労働者の能力は、生産性の一つの要素ではあるけれど、それ以上に、労働者の能力を上げる環境を作り上げるのは、経営者の能力が試されるわけです。
 で、能力の高い人を欲しがるんですから、能力の高い人は、より良い職場環境に転職する可能性が高くなるわけで、労働者の能力が生鮮性を決めると考える経営者よりも、労働者の能力を活かす経営者に流出し、結局、未熟な経営者は、人材不足で、「低スキル人材、新卒、未経験者、中卒、高卒等」を雇用せざるを得なくなるわけです。
 ま、未熟な経営者であるがゆえに視野が狭く墓穴を掘るわけです。

 たとえ、そんな未熟な経営者が「最低時給の撤廃」したときのメリットとして、「就業機会が増加する」「既に働いている生産性の高い人材の給与は上がる」などといわれても、経営者が安く人を使えるようになれば、労働者も仕事が増えて問題なし、という考えは、既に働いている生産性の高い人材の給与は上げることはないでしょう。なぜなら、人件費は安い方が良いという考えが、最低賃金の底上げを行う反対をすることはないからです。そもそもの考えに、労働者は使い捨てにしたいという考えが根本にあるわけです。

 最低賃金引上げということは、平等に引き上げられるってことだから、人件費という負担は平等って話になるのだから、それに反対するのは、経営者自身の都合ってことになります
 同じ条件の負担増となれば、経営者の手腕の見せ所ってことになるのに、そこに一切触れない時点で、経営者にとって生産性が低い労働者がいるように、自分自身が生産性の低い経営者ってことになる。自分の負担がふえるからと、消費者の消費を促す政策に反対するということは、自らの経営者としての生産性が低いといっているようなことになってしまいます
 経費削減が経営者の仕事と考えているとしたら、その仕事は、経営者じゃなくて部長レベルの仕事を経営者が行っているってことになります
 今の現場の利益を上げるのは、部長レベルの管理職ということになります。
 経営者の仕事は将来の利益を上げる環境づくりなのにそれをしなければ、将来の利益は上がらないだろうから、最低自給引き上げは、経費増加にしか見えないのだろう。それでは、経理を見ることはできません。
 経費をつかえばマイナスと思い込むのは経営者の視点じゃではなく、家計簿の味方です。使ったお金が利益を生んでいるかどうかを考えるのが経営者の視点です。
 それができない時点で、有能な経営者とはいけないでしょう。

 で、誰しも景気がよくなるのが望むけど、景気がいいのは消費者がお金を使うからです。
 最低賃金が引き上げられれば、当然、労働者は、消費者として、消費が促される。使ったお金がマイナスだと家計簿的な経理の読み解き方しかできないそんな経営者が最低自給引き上げに反対するのは当然です。

 経営者だったら、資本主義経済で、物価が上がるのが景気がいい証拠なんだから、景気をよくしたければ、最低時給の金額の妥当性を議論すべきだと思うんですけどねぇ。






「最低時給は撤廃すべき」という経営者の投稿に「低能経営者の寝言」と猛反論 "最低賃金1500円"をめぐる論争
キャリコネニュース2021年06月05日 10:07 (配信日時 06月05日 06:00)
https://blogos.com/article/541076/
★★★ここから★★★
全国労働組合総連合(全労連)が5月末、「生活に必要な経費をまかなえる最低賃金は「全国一律で時給1500円が必要」と訴えた。これは今に始まった要望ではないが、はてな匿名ダイアリーに6月1日、「最低時給は撤廃すべき。という経営側の意見を聞いたことがあるか」という投稿があり注目を集めた。

40人ほどの会社を経営しているという投稿者は、「ポジショントークをするつもりはない」と断りつつ、

「最低賃金が上がれば自分の給与があがる。と勘違いしてるかたがたくさんいるようですから」
として、最低賃金が上がった場合の、労働者にデメリットが多い雇用情勢について持論を展開。これが物議を醸し、「低能経営者のそんな寝言は百回聞いたわ」と噛み付く反論エントリーも話題となった。(文:okei)

最低賃金が上がると「生産性の高い人材の給与は下がる」と主張
現在の最低賃金は全国平均で時給902円。政府は時給1000円を早期に達成するという目標を示しているが、前述の経営者はこの動きに冷水を浴びせるように、最低賃金上昇時の企業行動を予測している。

「時給1500円以下の仕事しかできない人は雇わなくなる。最低賃金以下の生産性の人を雇ったら赤字ですから当然ですね」

「既に働いている生産性の高い人材の給与は下がる。既に雇っている1500円以下の人の給与上げなきゃいけませんから、当然ですね」
など、要約すると「仕事ができる人の給料は減らされ、能力がなくても得をする人が一定数出てくるが、失業者は増える」という暗い未来予測だ。この結果、社会保障費の増加や「低スキル人材、新卒、未経験者、中卒、高卒等が失業する」と断言し、「これは、想像できますよね」と同意を求めた。

次に「最低時給の撤廃」したときのメリットとして、「就業機会が増加する」「既に働いている生産性の高い人材の給与は上がる」などと説明。ようするに、経営者が安く人を使えるようになれば、労働者も仕事が増えて問題なし、という主張だ。

この投稿にはブックマークが850つき、大きな反響があった。経営者に都合のいい持論に反感を抱く人は多く、「最低賃金って要するに『最低賃金未満で雇用しないと成立しない事業は潰れるべき』ということです」「"既に働いている生産性の高い人材の給与は上がる"はウソ。可能ならあげたくないだろ」などの批判が相次いだ。

「最低賃金ずーっと止めてる間に日本社会は一人負け」
翌2日には「低能経営者のそんな寝言は百回聞いたわ」というタイトルで反論が入っている。この経営者が、いかに自分に都合のいい「想像」だけで自説を展開しているかを厳しく指摘。これには、800近くブックマークがつき共感を呼んでいた。

投稿者曰く、歴史的にみても奴隷制度や児童労働の廃止、女性の賃上げをしたくない経営者たちが過去にこうした主張を繰り返してきた。何ら珍しくもないことを得意気に語るところからして、低能なのが分かるという。

人件費の上昇分を働く人におしつける経営者としての甘さなどを糾弾した上で、「最低賃金上昇で失業率が上昇するというデータはないんだよね」と論拠の弱さを指摘。

「最低賃金ずーっと止めてる間に日本社会は一人負けして生産性では韓国にも負ける国になったんです」
などと説いていた。確かに、OECDのデータによれば1997から2018年の21年間で、賃金変動率がマイナスになったのは、主要国中で日本だけ。日本の低迷は、目先の経費削減を重視した前述のような経営者が、人件費を安く抑え続けてきたことと無関係ではないだろう。l

労働問題に詳しい弁護士の明石順平氏は、自著『人間使い捨て国家』(角川新書)の中で、最低賃金を適切なペースで引き上げてきたイギリスの例を紹介している。最低賃金を上げても2018年6月の失業率は4%と、むしろ過去47年の平均7.04%を下回り、企業の廃業が増えるなどの悪影響も確認されていないという。

こうしてみると、やはり冒頭の経営者がいかに虫の良い持論を展開していたかがよくわかる。最低賃金を上げる動きに一部の経営者の甘えを持ち込んで阻もうとするのは、いい加減やめてほしいものだ。
★★★ここまで★★★