刑事コロンボ/指輪の爪あと(1971) | つぶやキネマ

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140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


刑事コロンボ/指輪の爪あと(1971)


 3つの新聞社を経営するアーサー・ケニカット(レイ・
ミランド)から依頼され妻エドナ(パトリシア・クローリ
ィ)の浮気調査をした探偵社の経営者ブリマー(ロバート・
カルプ)は、浮気の証拠を掴みながらケニカットには嘘の報
告し、エドナには交換条件としてケニカットの情報を要求
する。ブリマーの別荘にやって来たエドナは誘いを断り脅
迫された事を夫に話すと言って帰りかけるが、激昂したブ
リマーはエドナを殴り殺し別荘から離れた空地に遺棄して
しまう。現場で死体を確認したコロンボ(ピーター・フォー
ク)は、エドナの左頬の傷痕は犯人が殴った時に指輪でつけ
られたのだと推理する...という、シリーズ化の第2弾であり
ます。冒頭の射撃場で何発も銃声が響くが、本シリーズで
これだけ銃が撃たれるのは最初で最後ではないだろうか。
撮影監督が同じなためなのか映像の雰囲気は、前作「構想
の死角(1971)」に良く似ているが、バーナード・コワルス
キー監督による演出はあまり上手くない。ブリマーの眼鏡
レンズにエドナ殺害の後始末をする場面が映るという特殊
な手法(昔少し流行った)を使っているのだが、眼鏡の2枚の
レンズに違う場面をならべてもマルチ・スクリーン(これも
昔流行った)としての効果は薄いし、この手法で後始末を延
々観せられるのが結構苦痛だ...こういう手法は普通は"隠し
味"として使うんだよね。エドナを遺棄した後に走り出した
ブリマーの車がタイヤの跡をはっきり残しているのに、現
場検証の場面では「何もない」という台詞が出て来て吃驚。
コロンボが手相を見るフリをしてブリマーの指輪を確認す
るあたりの演出も一工夫欲しいし、コロンボが目を付けた
エドナの愛人のゴルファーを尾行していた探偵社の男を、
ブリマーが指示を出して出張させるのも伏線として上手く
機能していない...結局何故そうしたかかという理由も曖昧
なまま回収もされないんだが。元警察官の探偵ブリマーが
協力するフリをして捜査状況を把握しようとしたり、事件
の核心に触れ始めたコロンボを自社に探偵として勤めない
かと勧誘したりと揺さぶりをかけられたためか、今回は犯
人に直接ズバリ切り込むような感じが強くオトボケ捜査は
少なめなのが残念...ブリマー逮捕に使うイタズラ的トリッ
クは以後のシリーズの楽しみのひとつにもなったんだけど
ね(注1)。


●スタッフ
監督:バーナード・コワルスキー
製作・脚本:リチャード・レヴィンソン、ウィリアム・リンク
ストーリー監修:スティーヴン・ボッコ
撮影:ラッセル・L・メティ
音楽:ギル・メレ


●キャスト
ピーター・フォーク、ロバート・カルプ、レイ・ミランド、
パトリシア・クローリー、ブレット・ハルゼイ


◎注1; 前作で少しだけ登場した愛車プジョーが本作で本格
デビュー、現場へ向かう途中白バイ警官にテイル・ライト
が壊れていると警告され、さらに刑事という事も警察バッ
ヂを見せるまで気がつかれず、御本人と車を合わせたポン
コツぶりが明らかになるという、コロンボ・ファンとして
嬉しい場面が初登場...この件は以後のシリーズで何回も登
場する。その場面で運転免許証の期限切れが指摘された事
が捜査の進展につながるという伏線はナカナカ良かった。
署内では敏腕刑事として上司の信頼も厚かったはずなのだ
が、同僚刑事がエドナの顔の傷を調べなおすコロンボの様
子を怪訝な顔で見つめるあたりは、キャラクター設定が監
督に伝わっていなかったのかもしれないなぁ。探偵社の警
報システムで、コロンボが所持が義務づけられている拳銃
を持ち歩いていないという設定も初登場...初心者のフリし
て実は上手いという設定もゴルフの場面で観られます。俳
優陣では、ブリマーを演じたロバート・カルプは計算高く
怒りっぽいキャラクターがぴったりな感じだったが、後半
になってコロンボに追いつめられてからは、キャラクター
がふらついてる感じでイマイチ不徹底なのが惜しい。ケニ
カットを演じたレイ・ミランドは、抜群の存在感と素晴ら
しい演技で富豪の新聞社主を演じていて、ビリー・ワイル
ダー監督の「失われた週末(1945)」でアカデミー主演男優
賞受賞した俳優の貫禄が作品に厚みを与えている...コロンボ
からイタズラ的トリックの説明を受けて確認しようとして
思い直すあたりのさりげない演技が素敵です。


 

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