ターミナル(2004) | つぶやキネマ

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140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★

 

ターミナル(2004)

 

 東欧の小国クラコウジアからニューヨークのJFK空港
に到着したビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、
母国でクーデターが発生し国家が消滅してしまったため、
帰国はおろかアメリカへの入国も出来なくなり空港内に
足止めされてしまう...というお話。自分にはコメディ・
センスが無いと公言していたスピルバーグだが、トム・
ハンクスや個性的なキャストの名演で、思わずニコニコ
してしまうユーモアにあふれた傑作になった(注1)。撮影
の合理化のために空港ロビー全体をセットで造ってしまう
という大胆な発想のおかげでカメラが自在に動き回り、
スピルバーグ流の演出でもこういうフランク・キャプラ
作品のようなタイプのコメディなら十分イケる事を証明して
みせた。空港ロビーでの生活術を次々と身につけ空港職員
たちと交流を深めていくビクターの様子を観ているだけでも
楽しいのだが、そんな彼を監視モニターで追い続ける警備局
主任のディクソン(スタンリー・トゥッチ)のイライラする
様子がとにかく可笑しい。ジョン・ウィリアムズによる
ユダヤ民謡のようなテーマ曲も効果的で、ビクターが
アメリカへ会いに来たジャズ・ミュージシャンのベニー
・ゴルソンの御本人登場には泣きそうになった...演奏場面
が短過ぎだが(注2)。

 

●スタッフ
製作・監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作:ローリー・マクドナルドウォルター・F・パークス
製作総指揮:ジェイソン・ホッフス、パトリシア・ウィッチャー
製作総指揮・原案:アンドリュー・ニコル
原案・脚本:サーシャ・ガヴァシ
脚本:ジェフ・ナサンソン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ

 

●キャスト
トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、
スタンリー・トゥッチ、シャイ・マクブライド、
ディエゴ・ルナ、バリー・シャバカ・ヘンリー、
クマール・パラーナ、ゾーイ・サルダナ

 

◎注1; とにかく本作の魅力はトム・ハンクスなんだが、
言葉が通じない国で突然窮地に立たされた時の戸惑いや
生活手段を見つけてからの生き生きとした姿が自然な
感じで、ビクターというキャラクターを完全に自分の
モノにしていて素晴らしい。好奇心おう盛な所は御本人
とも共通する部分なので演じやすかったのだろう。出世
の妨げになりそうなビクターを何とかしたい警備局主任
を演じたスタンリー・トゥッチは、映画とTVで大活躍
なのだが、作品ごとにキャラクターを変えてくるので
キャスト表を観て初めて気がつく事も多い。本作では、
困った入国者に振り回される役人の様子を上手く演じて
いて、たとえ話の流れでポテト・チップスの袋を破裂
させる場面はトム・ハンクスのリアクションと合わせて
大爆笑ポイントであります...話をしながら昼食をとり
たがるあたりは合理主義で出世欲の塊な感じが良く出て
いて、かつての我が国のモーレツ社員(死語)のようだね。
愛人に振り回される客室乗務員を演じたキャサリン・
ゼタ=ジョーンズは、ゴージャスな美女の役が多い
彼女のキャリアの中でも、本作が最高にキュートで
可愛いのではないだろうか...ロマンティック・コメディ
路線をもっと観せて欲しいな。入国審査官トーレスを
演じたゾーイ・サルダナは「パイレーツ・オブ・カリビ
アン/呪われた海賊たち(2003)」にも出ていたが本作で
魅力全開、要領の悪いビクターに対し冷たい態度を
とっていたのが柔和な感じに変化していくあたりの
演技が素晴らしく可愛い。トーレスはトレッキー
(トレッカー)=スター・トレックの熱烈なファンという
設定なのだが、まさか5年後に「スター・トレック(2009)」
でウフーラを演じる事になるとは...出演のオファーぐらいは
すでにあったのかもしれないケド。

◎注2; ジョン・ウィリアムズによるテーマ曲はナカナカの
名曲だと思うのだがヒットしなかったようで残念。空港内
に足止めされる事になり落ち込んでいるビクターが寝る
場所を探している時に、ロビーに「夜のストレンジャー」
が流れるのには笑ってしまった。ラストに登場するベニー
・ゴルソンはテナー・サックス奏者としてよりもジャズの
作曲・編曲家として評価が高い。本作でも演奏場面がある
「キラー・ジョー」の他にも「ステイブルメイツ」「ウィス
パー・ノット」「クリフォードの想い出」「アロング・ケイム
・ベティ」「ブルース・マーチ」「ファイブ・スポット・アフ
ター・ダーク」等の名曲がある。ビクターが作業をしている時
に聴いているのはベニー・ゴルソン演奏の「サムシング・イン
・B♭」(作曲はレイ・ブライアントだが)。
 

◎蛇足; ベニー・ゴルソンの"サイン"をもらいに来る話なので、
メインのスタッフ&キャストの"サイン"がエンド・クレジット
で流れるのがオシャレです。

 

 

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