■宇宙戦争 War of the Worlds オーソン・ウェルズとH.G.ウェルズ | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

映画 [新作・旧作・TRAILER] を中心に、ツボにはまり、ボヤキもチラホラの果てしない
日記になるか、カッカッしながらも、とほほの日記になるか・・・
ツボとボヤキで「ツボヤキ」日記。では参ります!


予告では本日は、ヒトラー関連の映画を紹介するつもりだったのだが、皮肉にも19日記載の最後は、1937年で終った・・・この当時の政治背景を連想させるような出来事といえば翌年は、ヒトラーユーゲントが来日だったか。で、1938年・・・話はアメリカに飛ぼう・・・と急遽変更。

今夜は、H.G.ウェルズ原作の『War of the Worlds/宇宙戦争』に、まつわるいくつかのエピソードと映画について・・。






アメリカ、1938年10月30日、ハロウィンの前日、日曜日の午後8時にそれは始まった。
ラジオをつけてながら、人々は普段の暮らしよりハロウィンの夜という事でちょっと華やいだ気分でくつろいでいたのだ。

ラジオからアナウンサーの声が流れてきた。
「CBSネットワークが、今宵皆さまにお送りするのは、オーソン・ウェルズとマーキュリー劇場によるラジオドラマ、H.G.ウェルズの宇宙戦争("The War of The Worlds")であります」
当時、オーソン・ウェルズは23歳だった。 「市民ケーン」「偉大なるアンバーソン家の人々」「上海から来た女」等の製作・監督であり、「第三の男」等では俳優としても記憶されているだろう。あのオーソン・ウェルズ(写真:下右)である。

彼に、CBSからラジオの仕事がきた。ウェルズは、ただ普通にドラマをやってもしょうがないやい、とばかりに、H.G.ウェルズの『宇宙戦争"The War of The Worlds"』をニューヨークを舞台に展開させるラジオドラマではどうなるだろうと考えた。それも臨場感溢れるニュース形式でやると、当るかもしれない!と、引き受けた。

さて、ドラマはいよいよハロウィンの夜に開始された。
まずは、ドラマの導入部があり、天気予報が流れる。ハロウィンの夜だ、人々の歓声が聞こえて楽しげなラテン音楽を演奏する楽団の生中継。で、そこで突如番組が中断された格好になった。ニュース速報だ。

「只今、CBSネットワークに速報が入りました。8時20分前、イリノイ州シカゴ、マウント・ジェニングス天文台のファーレル教授は火星で白熱光を伴う定期的なガス爆発を観測。分析の結果、ガスは水素ガスであることが判明。光は現在、非常な速度で地球に向かっております。この件については続報が入り次第、ご報告致します。」

そして、再び、中継の音楽。そこへまた臨時ニュース。
「再び臨時ニュースをお伝えします。只今、ニュージャージー州トレントンよりの発表によりますと本日午後8時50分に、隕石と思われる巨大な炎に包まれた物体が、トレントンから20マイルのグローバーズ・ミル付近の農場に落下した模様。CBSネットワークは事件の重大さを認識し、現場からの状況を中継でお伝えすることになりました。中継車が現場に到着する間、再びラモン・ラケーロの音楽をお楽しみ下さい。」

この追い討ちで、人々はこれは本物のニュース、それも非常に緊迫した恐るべき事件が起きているのだと錯覚したのだ。この後に、実際にグローバーズ・ミルのウィルソン農場からの中継が入り、レポーターは刻々と現場からの報告を始めるが、・・・・

この後の詳細は、アメリカ・ニュージャージー州で発行されている生活情報誌「おしゃべりたんぽぽ」のwebサイトに詳しく掲載されている。但し、オーソン・ウェルズのプロフィールに関しては、やや違いがあるのであくまでも、ラジオドラマの部分を主体にご覧ください。

▼ラジオドラマに関する記載はほぼ完璧!
オーソン・ウェルズとグローバーズ・ミル

『War of the Worlds/宇宙戦争』の原作者は、H.G.ウェルズ(Herbert George Wells=ハーバート・ジョージ・ウェルズ:写真左)。 彼は、国内外共に相当数のファンを持った素晴らしい発想の作家だ。『タイム・マシン』(Time Machine)『宇宙戦争』などのSFの古典と呼ばれる作品では、特に有名なイギリスの小説家であるが、彼の作品は、時代を超えて愛読され、また映画化も数多い。

因みに1902年にフランスで製作され、その後アメリカでも評判を呼び、ベルが映写機の特許を素早く取ったという逸話も残るジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(LE VOYAGE DANS LA LUNE)、忘れてはならないイギリスのミュージカル映画でTommy Steeleトミー・スティールの好演が今も語り継がれる68年の『心を繋ぐ6ペンス』(HALF A SIXPENCE) 、これもウェルズの原作である。実にその想像力たるや広く深い~人物。(1866/09/21~1946/08/13)

The H.G. Wells Society
▲ウェルズに関する詳細の殆どはコチラでチェックできる。

さて、今回スポットを当てるのは先にラジオドラマで大騒ぎになった原作で、1898年に発表されたSF作品として有名な『War of the Worlds/宇宙戦争』。この作品の最初の映画化は、53年。
物語の舞台は、19世紀の末のイギリスに宇宙から流星が落ちてくる。落ちてきた謎の物体から白熱を放射し、毒ガスを使う火星人が出てくる!慌てふためく地球人・・・イギリスはパニックと恐怖に陥った。そして最後に・・・。
TVで活躍(2001年時点現役)した、今も懐かしい『バット・マスターソン』のジーン・バリーが、主人公のクレイトン・フォレスター博士に扮した。今、見ればなんともな~の場面も多いのだが、ま、SF好きには懐かしい話題作ではある。余談だが、映画監督のSimon Wells サイモン・ウェルズは、H.G.ウェルズの曾孫であり、2002年には「タイムマシン」を監督した。「プリンス・オブ・エジプト」「バルト」「恐竜大行進」「アメリカ物語2/ファイベル西へ行く」等の作品がある。

映画『宇宙戦争』
監督:Byron Haskin バイロン・ハスキン 
製作:George Pal ジョージ・パル 
原作:H.G. Wells H・G・ウェルズ 
脚本:Barre Lyndon バー・リンドン 
撮影:George Barnes ジョージ・バーンズ
特殊効果:Gordon Jennings ゴードン・ジェニングス 
出演:Gene Barry ジーン・バリー、Ann Robinson アン・ロビンソン、Les Tremayneレス・トレメイン、Robert Cornthwaite ロバート・コーンスウェイト、Sandro Giglio サンドロ・ジグリオ・・・。

さて、話を戻そう。
1953年公開の映画『War of the Worlds/宇宙戦争』に関するファン・サイトは多い。その充実振りも圧倒される程にディープだ。ここで、当方がいくつか知っている事を紹介するより、それぞれのサイトにジャンプしていただければ一層熱いファンの気持ちがおわかりになるだろう。作家ウェルズのファン、映画『宇宙戦争』ファンの為に相当数のサイトが活躍中だ。

▼1953年映画『War of the Worlds/宇宙戦争』サイト
War of the Worlds

▼Indepedent Film
War of the Worlds

▼この映画に関するラジオ、テレビ、フィルム、書籍といったあらゆるバージョンの紹介にリンク。映画の予告編とソフトウェアを含む場所のリストもリンク。
完全な宇宙戦争ウェブサイト

▼こちらは、1938年にラジオドラマとして放送されたものの、聴いた人々が本当の出来事だと思い込みパニックに陥った"War of the Worlds"の内容。視聴者は600万人にのぼり、そのうち100万人が家を逃れ、教会やバスターミナルに押しかけ満ちあふれたというから凄い!
Orson Wellesが主宰する"The Mercury Theater on the Radio"で放送されたもので、20世紀が残した歴史的名作。因みに、このラジオ番組はCDの3枚組セットで販売されている。
"War of the Worlds" Radio Broadcast Wavs



・・・というわけで、本年公開になる映画『War of the Worlds/宇宙戦争』へと参ろう!あ、上になってた・・・(苦笑)


■宇宙戦争DVD
■H.G.ウェルズ書籍