息子高校2年 夏の県予選 一回戦 | 波太の日々精進 (サーファーだった人)

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7月6日 30度を超えるクソ暑い中、

 

ついに夏の大会が開幕した。

 

開会式の後、約1ヶ月近くに渡り甲子園を目指して熱戦が繰り広げられる。

 

2年生として迎えた今年はガラッと立場が変わった。

昨年は1年生ながらベンチ入りが出来るか出来ないかくらいの『入れたらラッキー』的な立場で、最終的には入れなかったワクワク感が強かったはずだ。

だが、今年は違う。

2年になり春からずっと試合で頭数に入れてもらい、『勝ち』を計算してもらえるようになってきた。

 

この春には仮初だが『1』を付けてマウンドに上がって、エースナンバーの重みを知る機会を監督は体験させてくれた。

3年投打のエースの次にはなってくる背番号10。

 

責任ある背番号と、ついに夏の高校野球という舞台に立つ事になったわけだ。

 

まぁ1年の秋から体験しているが、やはり夏は独特なのである。

 

先輩の力にチームの力になり、人生の貴重な夏になってほしいと願いながらこの日を迎えた。

 

 

息子の高校は今年1番激戦区のブロックに入った。

新聞の言葉を借りれば『死のブロック』である。

優勝候補筆頭であり過去に全国優勝経験のある超強豪高校、

私学で選手層は全国でも屈指で甲子園準決勝まで行った超強豪、

春大で優勝したチームに勝った強豪、

過去に甲子園に出た高校があと2つもいるえげつないブロック。

 

更に夏特有の"初戦の入り"がある。

 

どのチームも夏の初戦は入り方が本当に難しい。

 

毎年、下馬票では圧倒すると思われても番狂せが起きるのが夏の高校野球。

 

昨年も全国で県予選初戦で消えた甲子園常連校がたくさんあった。

 

 

しかも息子のチームは開会式の後の開幕戦1試合目・・・

 

始球式の後すぐ試合なのだ…

 

で、事前に息子は開幕戦の先発を言われていたそうだ…

 

つまりこの県の『2024夏の第一球』は息子が投げる事になるのである。

 

本人は緊張しかないだろう。

 

責任ある役割を任せられたのだ。

 

でも、そんな経験は今しか出来ない。

 

思い切り緊張して、思い切り考えて、思い切り開き直って、思い切り野球してこい。

 

 

 

球場に到着したらまあ暑い…

 

シートノックも終わった頃に到着してしまい、既に先発オーダーが放送されている最中。

3年の保護者の前を通り挨拶をして通過しようとすると

『頼んだよ!』

とか言われるが、やるのは子供だからな…

 

やはり先発は息子だった。

 

 

 

始球式のあと、ついに夏が始まった。

 

 

"プレイボール!"

 

球審の手があがり、息子がワインドアップから投じた

 

 
あれ?球が走って?ない?
 
どうやら調子はイマイチに見えたが、負ける事はないだろうし、かなりの緊張してるだろうから仕方ないよな。
 
息子は1年秋からベンチ入りはしているが、何せ夏の高校野球公式戦のマウンドは人生初。
緊張しないやつなどいない。
 
球速表示は137km
 
1回は四球でランナーを出したがそこからはしっかり抑えてゼロ発進。
 
その裏、頼もしい先輩やチームメイトがチャンスをものにし先制してくれた。
 
そこから息子はかなり力を抑えたコントロール重視のピッチングをしていく。
 
いつもより明らかにスライダーをかなり多めに投げて試合を作る事に専念しているように見えた。
 
時折、力を入れた時に140kmを超えたが、何か球場のスピードガンがおかしく時々変な数字が出たりして、あまり指標にはならなかった。
 
1点は失点したが、攻撃陣が細かい走塁や詰めをしっかりかけて加点してくれた。
更に息子自身もタイムリーを打ったりとじわじわ加点した。
結果として8-1の7回コールドで次戦に勝ち進む事が出来た。
先ずは一安心。
 
何しろ初戦は何が起こるか分からない。
現に同時刻に行われた2つの隣県では昨夏代表で第1シード優勝候補の有名校が各々の県でまさかの初戦敗退のニュースが入ってきた。
こえー…夏・・・・
 
 
そしてそれを少し体感したのが7点差で迎えた回。
相手チームは1点も入らなければコールド負けになってしまう。
 
打席に入るバッターもベンチも相手スタンドからも大きな声援や、ブラスバンドの代演奏が一層強くなりその想いが伝わってきた。
どのチームも3年生は負けた時点で引退となり高校野球が終わる。
各々の子供全てに今日この日に賭ける思いや色々な物が出てくる場面。
 
しかしランナーを出してもまだ余裕が感じられた息子は3アウトを取ってコールド成立。
1回戦を無事に勝利した。
 
試合が終わってからスタンドの外に出ると、相手チームの三年生や色々な人が泣いている姿があった。
周囲に応援してきた家族の姿も見えた。
 
ああ…そうだよな
皆頑張ってきたんだ
色々な事があっただろうし、各家庭にも色々な思い出があるだろ。
 
 
 
そして帰宅した後に息子からTELが入った。
 
聞けば、とにかくいつもより緊張していたし、マウンド付近は気温が高すぎて初回から右足が何度かつっていたらしい。
 
緊張から筋肉も強張り、更にマウンドの暑さなど状態を考えたら力を入れて投げると間違いなく攣ってしまうのが分かったらしい。
だから抑え気味に投げて、徐々に身体の状態を見ながら大事な時にギアをあげようと考えていたそうだ。
馴染みの記者さんには『調子悪かったんじゃない?』と言われたそうで、正直に緊張やコンディションの悪さを言ったらしい。
 
ただし悪い中でも最低ラインの140㎞は超えていた。
それもちゃんと140を超えようと意識した時は超えたらしく、ちゃんと自身の状態は把握していたようだ。
 
事前に聞いていたのが、相手チームがうちとやると分かってからマシンを145km以上に設定して徹底的にストレートに照準を合わせてきた事を後から聞いたそうだ。
早い段階でストレートに張っていると感じた息子は縦スラとカーブを多投した。
見事に変化球で相手に的を絞らせなかった。
 
そして夏までに”習得した球”も封印して、大会の先を考えたピッチングをした。
 
『本当ならもっとズバズバとストレート投げても自信があったけど、夏はどんなにかっこ悪くても勝たないとさ。
夏は"最低でも勝ち、最高でも勝ち"だからさ
初戦のマウンドを任されたからにはロマンより現実的に行ったよ。
まぁ少し場には慣れてきたから、次からまだ上げてくよ』
 
最高球速更新は?
 
『146は出すよ、約束する』
 
おーかっこいい
 
次が序盤の山場のひとつ。
今年の優勝候補筆頭で全国でも有名な高校。ましてや今年はメモリアルイヤーで超気合が入っている。
3年エースが次は投げるだろうが準備はしておかなくてはならない。
 
その山場を越えたらその次は恐らく影の実力校で甲子園経験校、
 
その次はおそらく甲子園ベスト4の実績を持つ因縁のあそこの高校、
そこでようやくベスト8くらいか?
まさに死のブロックである。
 
そこから先はカウントダウンロード。
 
長いようで短い夏
 
もう頑張ってるお前に頑張れは必要ない。
3年の先輩の『3年力』を信じてチームの為に自身のベストを尽くせ。
 
果たして来週どうなるやら。