『カシスウー論』 ~代官山のカフェ『イータリー』編~
こんにちは イイダテツヤです。
第59回『カシスウー論』は代官山のカフェ『イータリー』編です。
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ほとんど無趣味な私にとって、街をブラブラ歩くのはちょっとした趣味の一つと呼べるのかもしれない。
風情あふれる遊歩道とか、裏原みたいなオシャレスポットを選んで歩くというわけではなく、
ただ純粋にA地点からB地点を通過し、C地点へ向かうという実務的な街歩きだが、
これはこれでけっこう楽しいのだ。
「ああ、あそこからここには、こんなふうにつながっているのかぁ」とか、
「この付近は、やたらと急な坂が多いんだなぁ」「そういえば、以前ブラタモリでやってたなぁ」なんてことを
とりとめもなくぼんやりと感じながら、とぼとぼ歩くのが好きなのだ。
私はフリーで仕事をしているので、毎日決まった場所へ通勤することはなく、
取材や打ち合わせに出るときも、向かう場所はいつもバラバラである。
しかも、たいていの用事は2、3時間で終わってしまうので、
その空いた時間にブラブラと街を歩くのが、いつのころからか私の習慣になってしまった。
打ち合わせが午後3時から、なんてときには、
目的地からちょっと離れた駅で降りて、そこからわざわざ歩いていくというパターンもけっこう頻繁にやる。
暇で、モノ好きなタイプしかそんなことはしないだろうが、
どうやら私は、そのどちらにも当てはまっているみたいなのだ。
つい先日も渋谷で用事があったので、わざわざ中目黒で降りて、そこから歩くことにした。
中目黒から代官山を通って、渋谷へ抜けるというルートだ。
よくよく考えてみると、私は代官山へ行ったことがない。
ものすごくファッションに興味がある人ならいざ知らず、
たいていの人は代官山に行く機会なんてそうそうあるもんじゃない、と私は思う。
少なくとも私の人生において、「今日は代官山へ行かなければならない」という日は一度も訪れなかった。
そんなわけで私は代官山駅で降りたことはないし、
代官山と呼ばれるエリアに足を踏み入れたことも一度もない。
もっとも、どこからどこまでが代官山エリアなのかという線引きはむずかしいところだが、
いずれにしても、「その洋服、どこで買ったの?」「代官山だよ」という会話や、
「この前行ったイタリアンがおいしかったから、今度一緒に行こうよ」「それ、どこのお店?」「代官山だよ」
という会話をしたことは一度もない。
たぶん、この先もないんじゃないかな・・・
そんな私が中目黒から線路沿いを歩き、一路代官山へ向かったのだ。
代官山という山があるのか、ないのかは知らないけれど、渋谷周辺はとにかく坂が多い。
駒沢通りと旧山手通りの交差点のあたりなんかは、ちょっとした登山かと思わせるほど急な上り坂だ。
さらに進んで、代官山交番前という交差点に来るころには、坂を登るのにもほとほと疲れて、
「ちょっと、どこかで休みたいな」という気持ちがじわじわと沸き起こってくる。
そんな思いを抱えつつ、代官山のメインストリートへ向かって少し入っていくと、
疲弊した私を待ちかまえるかのように、カフェ『イータリー』がある。
マンションの中庭みたいな場所に、イスとテーブルがいくつも並べられた開放的なオープンカフェだ。
通りからカフェの方をちらっと見ると、外国のご婦人がいい感じで読書をしている光景が目に入り、
「あなたもここで一休みしていきなさいよ」なんて誘ってくる。(注:実際に誘われるわけではない)
そもそも代官山がどんな街かはまったく知らないのだが、
五月の陽光が差し込むオープンカフェで、外国のご婦人がリラックスして読書なんぞにふけっていたら、
「オオ! これが代官山アフタヌーンなのね!」と誰もが思うことだろう。
もちろん、私もそう思った。
そんなわけで私は『イータリー』で一休みすることにした。
仕事柄、たいていいつもノートパソコンを持ち歩いているので、カフェに入るとつい電源を入れてしまう。
優雅に読書にいそしんでいるご婦人に比べると、なんとも忙しない感じだが、
ブラブラと街を歩いて、歩き疲れたらカフェに入って数時間仕事をする、というのが私の基本スタイルなのだ。
『イータリー』で2時間ほど仕事をした後、何の気なしにツイッターを覗いてみた。
ちなみに、私はツイッターではほとんどつぶやかないが、
何人かのツイートは割合きちんとフォローしている。
どうでもいいことだけど、けっこうまともにフォローしようと思ったら、20人くらいが限界だよね、あれは。
その日、フォローしているうちの一人が
「シアターコクーンでやっている『2人の夫とわたしの事情』という芝居がおもしろかった」と書き込んでいた。
サマーセット・モーム原作で、松たか子、段田安則、渡辺徹らが出ている芝居だ。
誰かのツイートによって何かしらの行動を起こすなど滅多にないことだが、
なぜかその日に限っては、「そんなにおもしろいなら、観てみようかな」という気になった。
そんなスイッチがカチッと入ることってあるでしょ?
まさにそんな感じだった。
さっそく私は、チケットがまだあるのかシアターコクーンに電話で問い合わせてみた。
電話に出たオペレーターが言うには、当日券は数枚出るが、
当日券の買うにはコクーンのチケットカウンターに直接行く必要があるとのこと。
いつもなら「わざわざコクーンまで行って、すでに当日券が売り切れていたら無駄足じゃないか」
とあきらめるところだが、何と言ってもここは代官山だ。
何というか、すべての歯車がうまくかみ合って、私を劇場に運ぼうとしているみたいだ。
私はすぐに『イータリー』を出て、シアターコクーンへ向かった。
電車で行ってもいいのだが、やっぱり移動は歩きに限る。
代官山からシアターコクーンまでの途中にある、猿楽町、鉢山町、円山町、道玄坂などは
これまた示し合わせたみたいに坂道続きなのだが、
私はどうにか目的地に着いて、無事に当日券をゲットすることができた。
スムーズにいく日とはそんなものである。
その後、予定通り打ち合わせを一件こなし、夜には『2人の夫とわたしの事情』という芝居を観た。
ツイッターで紹介されていた通り、
芝居はとてもおもしろかったし、主演の松たか子はチャーミングで、弾けた女性をじつに魅力的に演じていた。
芝居自体がおもしろかったことはもちろん重要だが、それ以上に、
ツイッターを見て「久しぶりに芝居でも観てみよう」という気になり、たまたま代官山にいて、
運よく当日券がゲットでき、しかも芝居がおもしろかったという一連の流れに私は満足していた。
ツイッターがとても正しく機能したようにも感じたし、
思い立ったその日にチケットが取れて、おもしろい芝居を観られたりすると、
一日がほんの少しだけ豊かになったみたいに感じる。
たまにでいいから、そんな一日が訪れるのはなかなかいいものだと思う。
そんな日は、人生がもう一段階楽しくなったような気がする。
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こんにちは イイダテツヤです。
第59回『カシスウー論』は代官山のカフェ『イータリー』編です。
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ほとんど無趣味な私にとって、街をブラブラ歩くのはちょっとした趣味の一つと呼べるのかもしれない。
風情あふれる遊歩道とか、裏原みたいなオシャレスポットを選んで歩くというわけではなく、
ただ純粋にA地点からB地点を通過し、C地点へ向かうという実務的な街歩きだが、
これはこれでけっこう楽しいのだ。
「ああ、あそこからここには、こんなふうにつながっているのかぁ」とか、
「この付近は、やたらと急な坂が多いんだなぁ」「そういえば、以前ブラタモリでやってたなぁ」なんてことを
とりとめもなくぼんやりと感じながら、とぼとぼ歩くのが好きなのだ。
私はフリーで仕事をしているので、毎日決まった場所へ通勤することはなく、
取材や打ち合わせに出るときも、向かう場所はいつもバラバラである。
しかも、たいていの用事は2、3時間で終わってしまうので、
その空いた時間にブラブラと街を歩くのが、いつのころからか私の習慣になってしまった。
打ち合わせが午後3時から、なんてときには、
目的地からちょっと離れた駅で降りて、そこからわざわざ歩いていくというパターンもけっこう頻繁にやる。
暇で、モノ好きなタイプしかそんなことはしないだろうが、
どうやら私は、そのどちらにも当てはまっているみたいなのだ。
つい先日も渋谷で用事があったので、わざわざ中目黒で降りて、そこから歩くことにした。
中目黒から代官山を通って、渋谷へ抜けるというルートだ。
よくよく考えてみると、私は代官山へ行ったことがない。
ものすごくファッションに興味がある人ならいざ知らず、
たいていの人は代官山に行く機会なんてそうそうあるもんじゃない、と私は思う。
少なくとも私の人生において、「今日は代官山へ行かなければならない」という日は一度も訪れなかった。
そんなわけで私は代官山駅で降りたことはないし、
代官山と呼ばれるエリアに足を踏み入れたことも一度もない。
もっとも、どこからどこまでが代官山エリアなのかという線引きはむずかしいところだが、
いずれにしても、「その洋服、どこで買ったの?」「代官山だよ」という会話や、
「この前行ったイタリアンがおいしかったから、今度一緒に行こうよ」「それ、どこのお店?」「代官山だよ」
という会話をしたことは一度もない。
たぶん、この先もないんじゃないかな・・・
そんな私が中目黒から線路沿いを歩き、一路代官山へ向かったのだ。
代官山という山があるのか、ないのかは知らないけれど、渋谷周辺はとにかく坂が多い。
駒沢通りと旧山手通りの交差点のあたりなんかは、ちょっとした登山かと思わせるほど急な上り坂だ。
さらに進んで、代官山交番前という交差点に来るころには、坂を登るのにもほとほと疲れて、
「ちょっと、どこかで休みたいな」という気持ちがじわじわと沸き起こってくる。
そんな思いを抱えつつ、代官山のメインストリートへ向かって少し入っていくと、
疲弊した私を待ちかまえるかのように、カフェ『イータリー』がある。
マンションの中庭みたいな場所に、イスとテーブルがいくつも並べられた開放的なオープンカフェだ。
通りからカフェの方をちらっと見ると、外国のご婦人がいい感じで読書をしている光景が目に入り、
「あなたもここで一休みしていきなさいよ」なんて誘ってくる。(注:実際に誘われるわけではない)
そもそも代官山がどんな街かはまったく知らないのだが、
五月の陽光が差し込むオープンカフェで、外国のご婦人がリラックスして読書なんぞにふけっていたら、
「オオ! これが代官山アフタヌーンなのね!」と誰もが思うことだろう。
もちろん、私もそう思った。
そんなわけで私は『イータリー』で一休みすることにした。
仕事柄、たいていいつもノートパソコンを持ち歩いているので、カフェに入るとつい電源を入れてしまう。
優雅に読書にいそしんでいるご婦人に比べると、なんとも忙しない感じだが、
ブラブラと街を歩いて、歩き疲れたらカフェに入って数時間仕事をする、というのが私の基本スタイルなのだ。
『イータリー』で2時間ほど仕事をした後、何の気なしにツイッターを覗いてみた。
ちなみに、私はツイッターではほとんどつぶやかないが、
何人かのツイートは割合きちんとフォローしている。
どうでもいいことだけど、けっこうまともにフォローしようと思ったら、20人くらいが限界だよね、あれは。
その日、フォローしているうちの一人が
「シアターコクーンでやっている『2人の夫とわたしの事情』という芝居がおもしろかった」と書き込んでいた。
サマーセット・モーム原作で、松たか子、段田安則、渡辺徹らが出ている芝居だ。
誰かのツイートによって何かしらの行動を起こすなど滅多にないことだが、
なぜかその日に限っては、「そんなにおもしろいなら、観てみようかな」という気になった。
そんなスイッチがカチッと入ることってあるでしょ?
まさにそんな感じだった。
さっそく私は、チケットがまだあるのかシアターコクーンに電話で問い合わせてみた。
電話に出たオペレーターが言うには、当日券は数枚出るが、
当日券の買うにはコクーンのチケットカウンターに直接行く必要があるとのこと。
いつもなら「わざわざコクーンまで行って、すでに当日券が売り切れていたら無駄足じゃないか」
とあきらめるところだが、何と言ってもここは代官山だ。
何というか、すべての歯車がうまくかみ合って、私を劇場に運ぼうとしているみたいだ。
私はすぐに『イータリー』を出て、シアターコクーンへ向かった。
電車で行ってもいいのだが、やっぱり移動は歩きに限る。
代官山からシアターコクーンまでの途中にある、猿楽町、鉢山町、円山町、道玄坂などは
これまた示し合わせたみたいに坂道続きなのだが、
私はどうにか目的地に着いて、無事に当日券をゲットすることができた。
スムーズにいく日とはそんなものである。
その後、予定通り打ち合わせを一件こなし、夜には『2人の夫とわたしの事情』という芝居を観た。
ツイッターで紹介されていた通り、
芝居はとてもおもしろかったし、主演の松たか子はチャーミングで、弾けた女性をじつに魅力的に演じていた。
芝居自体がおもしろかったことはもちろん重要だが、それ以上に、
ツイッターを見て「久しぶりに芝居でも観てみよう」という気になり、たまたま代官山にいて、
運よく当日券がゲットでき、しかも芝居がおもしろかったという一連の流れに私は満足していた。
ツイッターがとても正しく機能したようにも感じたし、
思い立ったその日にチケットが取れて、おもしろい芝居を観られたりすると、
一日がほんの少しだけ豊かになったみたいに感じる。
たまにでいいから、そんな一日が訪れるのはなかなかいいものだと思う。
そんな日は、人生がもう一段階楽しくなったような気がする。
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