『カシスウー論』 ~人形町のモツ鍋屋『やましょう』編~


こんにちは イイダテツヤです。 
第44回『カシスウー論』は、人形町にあるモツ鍋屋『やましょう』編です。

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人形町の交差点から隅田川に向かって数分歩き、
一つ目か、二つ目の信号を右に曲がった路地裏に末廣神社という神社がある。

有名かどうかはわからないし、ビルの隙間にカポッとはめ込んだごく小さな神社。
目印としてはかなり心もとないけれど、
ほかに適当な場所もないので、とりあえずはそこを目指すほかないのだ。

運良く、その神社を見つけることができれば、すぐ脇にモツ鍋屋「やましょう」がある。

黒く塗った板張りの日本家屋。
ひと目見るだけで「これは、なかなかおいしそうだ」と誰もが思う店構えだ。
平日の夜でもけっこう混んでいるので、かなり人気があるのだろう。

一番人気はやはりモツ鍋なのだろうが、
「やましょう鍋」という白菜と豚肉が交互に入っている鍋も有名で、今回はこちらを食べることにした。

正直な感想としては、「まあ、おいしいけれど、大騒ぎするほどではないな」というところだ。
人気店で予約が取りにくいとか、日本家屋の一軒屋など、諸所の情報のために、
こっちの期待値があがりすぎたのかもしれない。

空腹は最高のスパイスなんて言い方をするが、
過度の期待をしたために、やっかいな調味料を振りかけたみたいな感じだ。

とはいえ、期待っていうのは勝手に膨らんでいくので、どうしようもないんだけどさ・・・・・

そんなわけで、誰かを連れて行くときは、「おいしい鍋の店があるよ」とは言わず、
「ちょっといい店があるんだよ」と言うくらいに留めておこう。


さて、今回私たちは友人四人で行ったのだが、そこでの話題は「転職について」だった。

こんなふうに書くと、話の流れで、自然にそんな話題になったみたいに思うだろうが、
実際には、私が強引に転職の話を持ち出したのだ。


『エンゼルバンク』というテレビ番組(あるいは、マンガ)をご存知だろうか。
簡単に説明すると、転職をサポートするエージェントが活躍する物語だ。

『エンゼルバンク』には「ドラゴン桜外伝」というサブタイトルがついていて、
『ドラゴン桜』にも登場した井野という英語教師(ドラマでは長谷川京子が演じている)が、学校を辞めて、
転職エージェットになったという設定になっている。

一種のスピンオフドラマだ。 

もともとの『ドラゴン桜』はTBSで、
今回の『エンゼルバンク』はテレビ朝日で放映するというちょっとめずらしい展開になっているが、
ドラマを観るぶんには、そんなことはどうでもいい。

その『エンゼルバンク』のなかで、転職に関する興味深い考え方を紹介していたので、
「やましょう鍋」を食べながら、強引に転職の話をしたというわけだ。

内容の一部を紹介しよう。

まず、転職を希望する人に「仕事をするうえで、重視する要件」を五つ挙げてもらう。
一般的なところで言うと「収入、やりがい、人間関係のよさ」みたいな項目だ。

参考までに、私の挙げた項目は「収入、やりがい、楽しさ、、時間的な自由度、社会貢献度」の五つ。

こんな感じで各人が重視する五つの項目が挙がったら、
それぞれの項目について現状は何点なのかを五点満点で採点する。

「現状の収入は4点で、やりがいは2点だな・・・・」みたいな具合に、一つずつ採点していけばいい。

次に、同じ五つの項目について、転職先で求める点数をつけてみる。

この際、すべてが五点満点に越したことはないが、それではあまりに非現実的だ。
やはり、もう少し現実的なところで、
「収入は4点のままでいいけど、やりがいを5点にしたいな・・・」という感じで、それなりにリアルに考えていく。

できあがった点数(現状の数値と、転職後に求める数値)を五角形のチャートにしてみると、
現状のどんな部分に不満を感じていて、どの点を変えたいと思っているかが明確にわかるという仕組みだ。

けっこうおもしろいので、興味のある人は、ぜひやってみてください。
別に転職を考えていなくても、自分の仕事を見直すいいきっかけになりますよ。


さて、本当におもしろいのはこれからだ。

五項目の点数を合計して、現状と転職後の希望を比較してみると、
前者に比べ、後者が大きく上回るケースが多い。

私が友人たちと行ったケースにおいても、
現状が16点で、転職後の希望は22点とか、
現状が12点で、転職後は19点などの結果が得られた。

もちろん、これが当たり前なのだが、『エンゼルバンク』に登場する敏腕・転職エージェントは、
「そんな考えでは、転職は成功しな~い!」と厳しく言い切る。

彼の主張によると、「転職というのは合計点を上げるものではなく、
合計点はそのままで、その配分を変えることだ」とのこと。

現状の収入が4点で、やりがいが2点の人なら、
「収入は3点に落としてもいいから、やりがいを少し上げよう」という発想が求められるということだ。

テレビでその考え方を知り、「なるほど、そういうものか・・・」と私は妙に感心してしまった。
だからこそ、友人たちと飲んでいる席で、面倒なのを承知で、わざわざみんなにやってもらたったのだ。

やりがいを求めて転職をして、その後収入を上げていくことはできたとしても、
最初から、「やりがいをアップさせて、収入はいまのまま」みたいなわけにはいかないのだ。

あるいは、もともと小さな五角形しか描けない人は、転職したところであまり変わらないということでもある。

なかなか厳しい話だが、一つの真理を突いていると、私は思う。

こんな話を、転職はおろか、就職すらしたことのない私が述べてもまるで説得力はないのだが、
まあ、それはそれとして・・・・


だいたい、世の中というのは「あっちを立てれば、こっちが立たず」ということばかりで、
恋人を選ぶときも、住む家を探すときにも、この発想が役に立つ。

よくよく考えてみると、前の彼は「ルックスが5点」で、「話のおもしろさが2点」だったなんてことがあるだろう。

そんな彼に「アンタと話してても、全然おもしろくなかいんだよねぇ・・・」と言って別れた人は、
次の相手を探すときには、「ルックスは1点でもいい!」くらい大胆な覚悟と戦略が必要だ。

すると、「話のおもしろさが5点」の彼氏が、あなたの元にやってくるという算段だ。
「ルックス」は大いにダウンするが、まあ、それは仕方のないことだ。

夜景のきれいなバーへでも行って、「耳は彼氏に、目は夜景」という切り分けを徹底するしかない。

いま付き合っている相手を採点してみて、小さな五角形しか描けない人は、
残念ながら、次も同じ結果になるので、せっせと合コンへ行っても無駄だろう。
要するに、それが自分自身の五角形ということだ。

う~ん、厳しいねぇ・・・・でも、それが現実なのだ。