『カシスウー論』 ~新宿のうどん屋『つるとんたん』編~
こんにちは 菓子酢ウーロンです。
第26回『カシスウー論』は、新宿にあるうどん屋『つるとんたん』編です。
--------------------------------------------------------------------------
このブログの説明だけを頼りにお店へ向かう人はいないだろうけど、
まあ一応説明しておくと、新宿の『つるとんたん』は歌舞伎町のニューコパボウルの裏あたりにあります。
もともと歌舞伎町というのはかなり猥雑な街なのだが、その“猥雑さ”は二段構えになっている。
ミラノボウル前の広場あたりは、いわゆる「ファーストゾーン猥雑」で、初心者向けのかわいい“猥雑”である。
それよりも奥というか、東新宿方面にどんどん進入していくと、
よりディープで、濃密な空気が立ちこめる「セカンドゾーン猥雑」に突入する。
キャバクラやホストクラブが密集して、
サラッとした素材の、ワンサイズ大きめのスーツを着た人たちがうろちょろしているエリアである。
リアルに「おっかねぇエリア」と言うこともできる。
『つるとんたん』は、二つのエリアのちょうど境界線あたりにある。
店を探しているうちに、「なんだか、すごくディープなところに来ちゃったな」と感じたら、
すごろくのふりだしに戻るみたいに、コマ劇場あたりまで引き返して、もう一度やり直してください。
江國香織の短編に「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」というタイトルがあったが、
歌舞伎町の奥深くは、キョロキョロと『つるとんたん』を探すのに、
安全でも適切でもありませんから、注意してください。
『つるとんたん』の店内は、一般的な「うどん屋さん」のような
優しく、庶民的で、リーズナブルな雰囲気はまるでない。
冷酷で、排他的かつ刹那的で、都会の匂いをプンプンさせたお店である。
それがいいとか、悪いとかって言うのは、別問題ですけど・・・
うどん屋なので、うどんを食べてすぐに帰っても、もちろん構わないのだが、
カシスウーロンを2、3杯飲んでから、シメにうどんを食べるという感じのほうがしっくりくる。
単にうどんを食べるだけなら、
「はなまるうどん」あたりで適当に済ませてしまったほうがいいと個人的には思っているんだけど、
「ああ、今週のカシスウー論はどうしようかなぁ・・・」なんて考えているうちに、
わざわざ『つるとんたん』へ行って、夕方からカシスウーロンを飲んでしまうのだ。
「これじゃあ、まるで取材じゃないか」と思いながら、駅前でもらった「R25」を読んでいたら、
アルピニストの栗城史多(くりき のぶかず)という人の失恋話が載っていた。
かいつまんで説明すると、以前交際していた年上の女性から、
「これまで2年つき合ったけど、あまり好きじゃなかった。じつはほかに好きな人が3人いる」
と言って、栗城さんはフラれたらしい。
それにしても、すごいフラれ方だ。
「あまり好きじゃなかった」って言われるだけでもショックなのに、
「ほかに好きな人が3人いる」なんて告白されたら、これはもう笑うしかない。
「たとえそれが本当だとしても、すべてをさらけ出すことはないのに。ひどい女性だな」
と最初は私も思っていたが、ズルズルとうどんを食べながら考えていくうちに、
「ひょっとすると、それほど悪い話でもないのかもしれない」と思うようになってきた。
この男性にしてみれば、自分は4番手に過ぎないのに、相手の女性はある程度の期間つきあってくれたのだ。
これはこれで、なかなかありがたい話ではないか。
実際、彼だってけっこう楽しい思いをしたはずである。
いやいや、それどころか、彼女は4番手の男とつき合い、彼は1番手の女とつき合っていたのだから、
むしろ、楽しかったのは彼のほうだろう。
彼女にしてみれば、上位3人の男には見向きもされず、
仕方なく4番手とつき合っていた辛く、苦しい恋愛だったはずだ。
この恋愛において、本当に幸せなのは誰だったでしょう?
ものすごい暇な人が集まる飲み会があったら、ぜひ議論してみてください。
この記事を読んだとき、私はある友人のことを思い出した。
その友人は大学時代に「Yさんのことが、サークル内で一番好きだ」という微妙な告白をしたことがある。
「○○で一番好き」という表現は、
「世界で一番」とか「宇宙で一番」などスケールがでかいからこそ意味があるのに、
「サークル内で一番」なんて、わざわざ限定したらかえって妙な雰囲気になってしまう。
「なんで、そんな言い方をしたの?」と彼に尋ねてみたら、
「サークルで一番好きなのはホントだから・・・」と言う。(う~ん、なるほど、としか言いようがない)
詳しく事情を聞いてみると、彼には高校時代から忘れられない女の子がいて、
「サークルで1番(全体では2番)」というのが彼なりの正しい表現だったらしい。
(オマエはバカ正直かっ!)
私が女の子の立場なら「えっ、えっ、サークルで一番って、どういう意味??」と思うところだが、
どうやらそんな問題は勃発せず、とりあえず交際がスタートしたのだから、
周囲がとやかくいう問題ではないのだろう。
「恋は盲目」どころか、「恋は思考停止かっ!」とツッコミたいところだが、そこは私もグッとこらえた。
最近は、婚活ブーム、未婚率のアップ、草食系男子など、
何かと恋愛がむずかしくなっているみたいなので、
いっそみんなが5番手くらいの相手とでも、どんどんつき合ってみればいいと思う。
それで、交際中にさらに上位の人とうまくいきそうになったら、
「ごめんなさい。あなたは5番手だから、3番手の人のところへ行くね」と言って別れればいい。
なんとも辛い話だが、もともとが5番手なんだから、
これまでつき合ってもらっただけでも相手に感謝しなければならない。
もちろん、恋愛の始まり方も、これまでとは少し変わってくる。
「僕はあなたのことが世界で2番目に好きなので、つき合って欲しい」と男が告白すると、
「私にとってあなたは6番目だけど、ベスト5は軒並み別の子にもっていかれてるので、つきあってもいいわ」
と女は応える。
2番と6番という組み合わせでは、結婚まで発展する可能性は決して高くないが、
もし二人がゴールインすることができたら、これはすばらしい奇跡である。
披露宴では、仲人が「ここにいる二人は2番と6番という苦難の乗り越え、奇跡的に結ばれました」
なんて紹介して、会場からはどよめきとともに、大きな拍手が沸き起こる。
すると、大学時代の友人たちが先導して「にーばん! ろくばん! にーばん! ろくばん!」
なんていう即席の『2番6番コール』が起こるのだ。
当事者二人は笑顔で手を振ってコールに応え、両家の親御さんたちはひっそりと涙を拭う。
記念日はもちろん2月6日で、その日に入籍届けを提出することになるだろうし、
「2月6日に生まれて」というバカバカしいスライドショーが披露宴会場で上映される。
そんなことをあれこれ考えながらズルズルうどんを食べていたら、
想像以上に『つるとんたん』に長居してしまった。
あ~、あほらしい。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
『カシスウー論』の最新号はメルマガで!
登録をお願いします。
登録のお手続きは http://www.mag2.com/m/0000287963.html
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
こんにちは 菓子酢ウーロンです。
第26回『カシスウー論』は、新宿にあるうどん屋『つるとんたん』編です。
--------------------------------------------------------------------------
このブログの説明だけを頼りにお店へ向かう人はいないだろうけど、
まあ一応説明しておくと、新宿の『つるとんたん』は歌舞伎町のニューコパボウルの裏あたりにあります。
もともと歌舞伎町というのはかなり猥雑な街なのだが、その“猥雑さ”は二段構えになっている。
ミラノボウル前の広場あたりは、いわゆる「ファーストゾーン猥雑」で、初心者向けのかわいい“猥雑”である。
それよりも奥というか、東新宿方面にどんどん進入していくと、
よりディープで、濃密な空気が立ちこめる「セカンドゾーン猥雑」に突入する。
キャバクラやホストクラブが密集して、
サラッとした素材の、ワンサイズ大きめのスーツを着た人たちがうろちょろしているエリアである。
リアルに「おっかねぇエリア」と言うこともできる。
『つるとんたん』は、二つのエリアのちょうど境界線あたりにある。
店を探しているうちに、「なんだか、すごくディープなところに来ちゃったな」と感じたら、
すごろくのふりだしに戻るみたいに、コマ劇場あたりまで引き返して、もう一度やり直してください。
江國香織の短編に「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」というタイトルがあったが、
歌舞伎町の奥深くは、キョロキョロと『つるとんたん』を探すのに、
安全でも適切でもありませんから、注意してください。
『つるとんたん』の店内は、一般的な「うどん屋さん」のような
優しく、庶民的で、リーズナブルな雰囲気はまるでない。
冷酷で、排他的かつ刹那的で、都会の匂いをプンプンさせたお店である。
それがいいとか、悪いとかって言うのは、別問題ですけど・・・
うどん屋なので、うどんを食べてすぐに帰っても、もちろん構わないのだが、
カシスウーロンを2、3杯飲んでから、シメにうどんを食べるという感じのほうがしっくりくる。
単にうどんを食べるだけなら、
「はなまるうどん」あたりで適当に済ませてしまったほうがいいと個人的には思っているんだけど、
「ああ、今週のカシスウー論はどうしようかなぁ・・・」なんて考えているうちに、
わざわざ『つるとんたん』へ行って、夕方からカシスウーロンを飲んでしまうのだ。
「これじゃあ、まるで取材じゃないか」と思いながら、駅前でもらった「R25」を読んでいたら、
アルピニストの栗城史多(くりき のぶかず)という人の失恋話が載っていた。
かいつまんで説明すると、以前交際していた年上の女性から、
「これまで2年つき合ったけど、あまり好きじゃなかった。じつはほかに好きな人が3人いる」
と言って、栗城さんはフラれたらしい。
それにしても、すごいフラれ方だ。
「あまり好きじゃなかった」って言われるだけでもショックなのに、
「ほかに好きな人が3人いる」なんて告白されたら、これはもう笑うしかない。
「たとえそれが本当だとしても、すべてをさらけ出すことはないのに。ひどい女性だな」
と最初は私も思っていたが、ズルズルとうどんを食べながら考えていくうちに、
「ひょっとすると、それほど悪い話でもないのかもしれない」と思うようになってきた。
この男性にしてみれば、自分は4番手に過ぎないのに、相手の女性はある程度の期間つきあってくれたのだ。
これはこれで、なかなかありがたい話ではないか。
実際、彼だってけっこう楽しい思いをしたはずである。
いやいや、それどころか、彼女は4番手の男とつき合い、彼は1番手の女とつき合っていたのだから、
むしろ、楽しかったのは彼のほうだろう。
彼女にしてみれば、上位3人の男には見向きもされず、
仕方なく4番手とつき合っていた辛く、苦しい恋愛だったはずだ。
この恋愛において、本当に幸せなのは誰だったでしょう?
ものすごい暇な人が集まる飲み会があったら、ぜひ議論してみてください。
この記事を読んだとき、私はある友人のことを思い出した。
その友人は大学時代に「Yさんのことが、サークル内で一番好きだ」という微妙な告白をしたことがある。
「○○で一番好き」という表現は、
「世界で一番」とか「宇宙で一番」などスケールがでかいからこそ意味があるのに、
「サークル内で一番」なんて、わざわざ限定したらかえって妙な雰囲気になってしまう。
「なんで、そんな言い方をしたの?」と彼に尋ねてみたら、
「サークルで一番好きなのはホントだから・・・」と言う。(う~ん、なるほど、としか言いようがない)
詳しく事情を聞いてみると、彼には高校時代から忘れられない女の子がいて、
「サークルで1番(全体では2番)」というのが彼なりの正しい表現だったらしい。
(オマエはバカ正直かっ!)
私が女の子の立場なら「えっ、えっ、サークルで一番って、どういう意味??」と思うところだが、
どうやらそんな問題は勃発せず、とりあえず交際がスタートしたのだから、
周囲がとやかくいう問題ではないのだろう。
「恋は盲目」どころか、「恋は思考停止かっ!」とツッコミたいところだが、そこは私もグッとこらえた。
最近は、婚活ブーム、未婚率のアップ、草食系男子など、
何かと恋愛がむずかしくなっているみたいなので、
いっそみんなが5番手くらいの相手とでも、どんどんつき合ってみればいいと思う。
それで、交際中にさらに上位の人とうまくいきそうになったら、
「ごめんなさい。あなたは5番手だから、3番手の人のところへ行くね」と言って別れればいい。
なんとも辛い話だが、もともとが5番手なんだから、
これまでつき合ってもらっただけでも相手に感謝しなければならない。
もちろん、恋愛の始まり方も、これまでとは少し変わってくる。
「僕はあなたのことが世界で2番目に好きなので、つき合って欲しい」と男が告白すると、
「私にとってあなたは6番目だけど、ベスト5は軒並み別の子にもっていかれてるので、つきあってもいいわ」
と女は応える。
2番と6番という組み合わせでは、結婚まで発展する可能性は決して高くないが、
もし二人がゴールインすることができたら、これはすばらしい奇跡である。
披露宴では、仲人が「ここにいる二人は2番と6番という苦難の乗り越え、奇跡的に結ばれました」
なんて紹介して、会場からはどよめきとともに、大きな拍手が沸き起こる。
すると、大学時代の友人たちが先導して「にーばん! ろくばん! にーばん! ろくばん!」
なんていう即席の『2番6番コール』が起こるのだ。
当事者二人は笑顔で手を振ってコールに応え、両家の親御さんたちはひっそりと涙を拭う。
記念日はもちろん2月6日で、その日に入籍届けを提出することになるだろうし、
「2月6日に生まれて」というバカバカしいスライドショーが披露宴会場で上映される。
そんなことをあれこれ考えながらズルズルうどんを食べていたら、
想像以上に『つるとんたん』に長居してしまった。
あ~、あほらしい。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
『カシスウー論』の最新号はメルマガで!
登録をお願いします。
登録のお手続きは http://www.mag2.com/m/0000287963.html
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
