ここまでやってはじめてツンデレです/テレンス・フレッチャー【セッション】 | だからおっさん最高だって言ってんだろ

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テレンス・フレッチャー


今日はツンデレについて話そうと思います。

これまでもおっさんのツンデレについては、
その名の通り「ツンデレオジ」とか進化形の「ツンツンオジ」とかで言及してきました。
更には「帰ってきたヒトラー」を取り上げた際に「究極のツンデレ」とまで言ってますが
今回のツンデレは病的なツンデレです。メンヘラツンデレと言っても良いかもしれん。
と言う訳で、映画「セッション」よりテレンス・フレッチャー先生です!!


※以下ネタバレ注意です・・・・・・が、
「セッション」はストーリーよりも極限の音楽を重要視する映画なので
まあ別にネタバレしたところで実際映画を観た時の衝撃に変化は無いかと思われます。


「セッション」はジャズ音楽映画で、19歳の主人公がスパルタジャズ部に入って
信頼とか彼女とか健康とか精神の安定とかゴールド免許とか色んな物を失いながら
最後に残った音楽だけを研ぎ澄ませてゆく、ジャズキチ映画です。
確かにその研ぎ澄まされた音楽は本当にすさまじく、最後の演奏シーンは圧巻ですが
ジャズってこんな人生捨てる音楽なら演奏側になるのはやめとこう・・・と観客を震え上がらせる
フィクションではありながらもなかなかのホラースパルタ映画です。

そのスパルタを作り上げているのが、今回取り上げるフレッチャー先生で
見た目ヴォルデモート、中身はブラックバイトの上司みたいなもうすごい悪玉です。
でも音楽だけには一途で不器用だからつい出来の悪い生徒にドラム投げちゃうの・・・みたいな
見ようによっては可愛いかも知れない。私はリアルに見てて先生怖くて泣きましたが。


そんなおっさん好きの社会人すら泣かせるフレッチャー先生なんですが
タイトルに掲げた通り、彼はツンデレがすごいんですね。
しかもデレ具合をコントロールして人を惹きつけるという戦略的ツンデレ。
女子に生まれていたら確実にNo.1キャバ嬢となって男を次々破産させていただろうって感じ。
最初デレを見せて「あなただけは特別よ」みたいな顔で主人公にも近づき壁ドンまでかまし
取り込んだら後全部ツン。しかもイス投げるとか軟禁するとか系のツンです。

そんな事ばっかりしてて主人公も精神を病み、血まみれコンサート事件なんかもあり
フレッチャー先生は教職をおろされるハメになります。
そうして同じく中退した主人公とある日ジャズバーで再会。
「実は俺辞めさせられたんだ・・・でもそれもジャズへの情熱が強すぎたからで・・・
 君だったら俺のジャズの理想に近づいてくれると思ってて・・・」と語り主人公に弱みを見せ
そっからまたね、フレッチャー先生のドツンが炸裂する訳なので、続きは映画見て下さい。


この映画、全編通して主人公はフレッチャー先生に振り回されまくるんですが
同様にフレッチャー先生の恐るべきツンデレテクを目の当たりにできる物語でもあるのです。
見終わった後に魅力的なキャラクターを思い出すとやっぱりフレッチャー先生ですし
やだこれ・・・恋?(ストックホルム症候群的な意味で)ってなるのでお勧めです。

結局フレッチャー先生がどこまで自らの心に闇を抱えているのか、
本当に彼の弱みはこの劇中にさらけ出されているのか大いに謎なところも良いですね。
超たまにいますね、こういうおっさん。リアルにも。
まあリアルでは近づいたらすごい危険だと思うのでお勧めしませんが
客観的に楽しむというだけであれば、フレッチャー先生はお勧めです。
全ての演奏が終わったラストシーン、その瞬間の彼の表情を見るだけでも最高に良いですよ。


今回は「我が身と精神を削ってでもおっさんのデレを目撃せよ」という話でしたが
次回はもっと消極的なおっさんらしいおっさんを取り上げようかしらね。
どうぞお楽しみに。