飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる
NEXT5コンサルティングの雑賀です。
昨年末頃から、鶏もも肉の不足と価格高騰が続いています。多くの飲食店が仕入れ価格の上昇に頭を悩ませていますが、その背景には日本国内だけではなく、世界的な鶏肉市場の変化があります。
通常、日本は月間でブラジルから約3万5,000トン、タイから約1万5,000トン、合計約5万トンの鶏もも肉を輸入しています。一方、日本国内の月間消費量もおよそ5万トン強といわれており、この輸入量によって市場全体の需給バランスが保たれている構造です。つまり、日本の鶏もも肉市場は輸入によって支えられていると言っても過言ではありません。
しかし昨年10月、11月、そして今年1月には、この輸入量がそれぞれ約5,000トン減少しました。供給量が減ったことで市場に出回る鶏もも肉が不足し、国内在庫は通常約13万トンほどあったものが、現在は約10万トン程度まで減少しているといわれています。単純に供給が減れば価格は上がります。これが現在の高騰の直接的な要因です。
では、なぜ輸入量が減ったのでしょうか。その大きな理由が、世界の輸入需要の変化です。近年、UAEや南アフリカなどの国が輸入量を大きく増やし、日本を上回る主要輸入国になりました。これらの国は、日本ほど細かい規格を求めず、価格についても比較的柔軟に受け入れる市場です。
輸出側から見れば、規格がシンプルで価格も受け入れてくれる市場の方が取引はしやすくなります。そのため輸出国がこれらの国を優先し、日本向けの供給量が減っていると言われています。
一方、日本は品質規格が非常に厳しい市場です。サイズ、カット方法、脂の状態など細かな基準があります。さらに価格交渉もシビアです。結果として輸出国から見ると、日本は「取引が難しい市場」と映ることがあります。
その結果、日本向けのオファー自体が減り、買い負けてしまうケースが増えているのです。国内在庫が減少し、価格が上がるという構図がここから生まれています。
さらに現在の市場では、「日本は最終的に高くても買う市場」という見方も広がりつつあります。供給量が限られる中で、必要な分を確保するためには高い価格でも購入するしかない。この構造が形成されると、価格は簡単には下がりません。
つまり、今後も規格品の供給量は限られ、鶏もも肉の価格は高値で安定する可能性が高いと見られています。これは一時的な問題ではなく、世界市場の変化による構造的な問題です。
飲食店にとっては、仕入れ価格の上昇を前提にした経営が必要になります。メニュー設計の見直し、部位変更、調達先の分散、価格戦略の再設計など、原価マネジメントを戦略的に行うことが重要です。
食材価格はコントロールできません。しかし、原価の設計はコントロールできます。これからの飲食店経営では、こうした市場変化を理解し、数字で経営を組み立てていく力がますます求められていくでしょう。
