「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

ある飲食チェーン店において、最近「顧客数の全体的な減少」が大きな課題となり、施策会議に参加する機会がありました。広告投資によって新規顧客の流入は一定数確保できているものの、それ以上に既存顧客の離脱が上回っており、結果として顧客基盤そのものが縮小していることが、データ上からも明らかになってきました。

このような状況を受け、社内では様々な対策が立案・実行されはじめています。例えば、期間限定の値引きやポイント還元、特典の付与など、いわゆる「外的モチベーション」で一時的にリピートを促す施策も動いています。これらは確かに一定の効果を発揮しますが、根本的な離脱防止につながるかといえば、答えは「No」です。

なぜなら、「離脱の理由」は数字では見えてこないからです。
本質的な改善には、お客様がなぜ離れているのかを突き止める必要があります。

そのために有効なのが、「5つの不」という仮説視点です。

•不満:期待とのギャップがあった
•不快:接客態度や店内環境にストレスを感じた
•不備:商品・サービスに不足や欠落があった
•不安:価格や品質に対する安心感がなかった
•不信:会社やブランドそのものに対する信頼が揺らいだ

このような観点から現場を見直すことで、表面的な数値では見えなかった「真の離脱理由」に近づくことができます。これこそが、リテンション施策(既存顧客維持施策)の出発点です。

リテンションとは、単なるキャンペーンやスタンプカードの話ではありません。
商品力、接客品質、清掃状態、そしてお客様が感じる体験価値そのものまで含めた「お店の総合力」が試される分野です。

中でも、QSC(Quality・Service・Cleanliness)の向上は、もっとも基本かつ効果的なリテンション施策のひとつです。

・新規顧客を1人獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5〜10倍にものぼる
・既存顧客の再来店が続くことで、LTV(顧客生涯価値)が最大化される
・口コミや紹介の多くは、リテンション施策による満足の積み重ねから生まれる

こうした事実を改めて見直した今、私たちは社内でQSCの重要性を再認識し、現場主導の改善活動をスタートさせました。

お客様の「離脱」を責めるのではなく、
その理由に真正面から向き合うこと。

持続的な成長を目指すなら、答えはすでに目の前にあります。
大切なのは、一度来てくれたお客様と、再び出会えるお店であり続けることです。