「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
飲食店が安定して繁盛を続けるためには、「新規客」と「リピート客」の理想的なバランスが7対3になることが重要とされています。この比率はチェーン店のデータやコンシューマー調査、FS報告などに基づいた計算式であり、客単価・来店頻度・滞在時間といった要素を組み込んだうえで導かれた“根拠ある黄金比率”です。
しかし、開業半年〜1年の段階で新規率が7割以上を維持しているにもかかわらず売上が伸び悩む場合、これは明確に「リピート定着に課題がある」というサインです。
新規客は獲得できているにもかかわらず売上が改善しない背景には、次のようなリスクが潜んでいます。
・広告費や宣伝活動の依存度が高まり、販促費が膨らみ続ける
・市場の飽和による反応低下、SNSの効果が弱体化
・競合店の出店により、フロー売上が急激に減少
・話題性に依存した集客モデルが限界に達する
この状態が続くと、外部環境の変化が起きた瞬間に売上は急落し、「止められない下降スパイラル」に陥る可能性があります。
特に、新規客のうち約30%は本来リピーター化し積み上がるべき層です。この層が積み上がらないということは、QSCや立地設定、業態設計のどこかにズレがあると捉えるべきです。また、時間の経過とともに再来店頻度は必ず低下していくため、リピート施策は“後回し”にすると取り返しがつかない影響を及ぼします。
だからこそ、飲食店は常に次の3つを数値で管理する必要があります。
・新規とリピートの割合(7:3の維持)
・売上進捗(前年・予算・直近推移)
・リピート率、再来店頻度、顧客導線の変化
この3つを見れば、今どこで問題が起きているのか、どこに投資すべきか、どんな施策が必要かが明確になります。
新規が取れているのに売上が伸びない——これは現場にとって「危険信号」です。早期にQSC・オペレーション・商品力・導線設計を点検し、立地×業態のバランスも含めて見直す必要があります。
開業半年以降、売上が頭打ちになる瞬間はどの店舗にも訪れます。そこで原因を正しくつかみ、リピート定着に舵を切れるかどうかが、繁盛店と衰退店の分岐点です。
新規とリピートの黄金比率を守り、売上進捗を常に見える化する。この基本が、持続的な繁盛を支える最強の仕組みとなります。